物価高騰対策
① 全都民を対象にした物価高騰対策
【質問】
令和5年度決算特別委員会で、繰越金などあらゆる財源を活用し、物価高騰対策の実施を求めたが、今や低所得者に限らず多くの都民が疲弊している。全ての都民を対象にした物価高騰対策を実施すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【財務局長】
都は、当初予算において、セーフティネット支援や賃上げに向けた取り組みなど、重層的な対策を講じている。
さらに、令和6年第3回定例会における補正予算においても、LPガスを利用する家庭等の負担軽減に加え、消費を下支えし経済の好循環に繋げるキャンペーンの実施など、都民生活等の支援に向けて、対策の強化を図った。
今後も国の経済対策等の動向などを踏まえながら、物価高騰対策を検討していく。
② 中小企業への資金繰り支援
【質問】
国は物価高騰対策として、融資のための信用保証制度を改正し、制度融資の対象を拡大したが、対象にならない業種も多い。都の制度では、国の制度では対象にならない事業者を対象にし、かつ、融資金額も拡大させるなど、物価高騰に対応した中小企業制度融資にしていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
物価高騰などで事業活動に影響を受けている中小企業が経営の状況に応じて、円滑に資金調達できる環境づくりは不可欠である。都はこれまで、原油や石油製品の仕入価格の上昇により、経費負担が増加している事業者に対し、制度融資により、資金繰りを支援している。
今般、国は、資材価格の高騰等に直面する事業者を支援するため制度改正しており、都もこうした動きにしっかりと対応するとともに、多くの資金を必要とするそれ以外の業種の事業者についても活用できるよう検討していく。
これらにより、中小企業の経営の安定を支援していく。
子ども・子育て支援
① 子供政策のさらなる推進
【質問】
中高生海外派遣事業で、東京の子どもたちがアイルランドを訪問した。東京都こども未来会議での発表では、アイルランドでは「不登校を問題として意識されていなかった」「不登校の場合の受け皿が用意されておりネガティブなイメージがない」など、日本での不登校問題とは異なった状況に対する率直な感想が述べられた。文化や制度の違いはあるものの、子供を取り巻く政策課題は、発想を変えれば全く違った見え方になり、これまでの常識に囚われることなく新たな取り組みにチャレンジしていくことが重要である。
チルドレンファースト社会の実現に向け、海外の先進事例や知見を積極的に取り入れ、子供政策を更に充実強化していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【子供政策連携室長】
子供目線の取り組みを徹底し、世界の潮流を捉えながら、政策をバージョンアップするため、従来の枠組みに捉われない幅広い視点で、先進的な子供政策を展開している。
幼保共通のすくわくプログラムや令和6年度立ち上げた学校の居心地向上検証プロジェクトなどは、海外事例の調査研究を端緒にスタートした取り組みである。また令和7年には、15程度の海外都市の子供政策の実務責任者を招聘し国際会議を初開催するとともに、令和7年夏には、海外の子供政策先進都市の子供と都内の子供が一堂に会するシンポジウムを開催する。今後とも海外の先進事例の知見を積極的に取り入れ、子供政策の強化を図っていく。
② 第1子の保育料無償化を東京都版子ども誰でも通園制度に
【質問】
東京都版子ども誰でも通園制度は、親の就労の有無に関わらず子どもを保育所などで受け入れ集団保育を行う事業であるが、都は令和6年度から、本事業の第2子以降の利用料の無償化を開始した。令和6年第3回定例会において、都は保育料の無償化を具体的に検討していくと答弁した。その検討状況、また、本事業についても無償化を第1子まで広げて令和7年度から実施すべきと考える。知事の見解を伺う。
【知事】
子供たちの健やかな育ちのためには、発達の早い段階から、同年齢や異年齢の子供など多様な他者と関わる中で、様々な学びや経験ができる環境を整えることが必要である。
このため都は、保護者の就労等の有無にかかわらず多様な他者との関わりの機会を創出するため、保育所等で児童を定期的に預かる取り組みを実施しており、保育料と同様、第2子以降の負担額を無償化している。
保育料無償化の第1子への対象拡大については、保育料の改定時期にあわせ、令和7年9月からの開始を目指し、検討を加速していく。
事業内容については、多様な他者との関わりの機会創出事業の利用者負担も含め、第2子無償化と同様の内容を念頭に検討していく。
③ 医療的ケア児等の育ちの支援
【質問】
令和6年第2回定例会において、保護者の就労等の有無にかかわらず集団での生活が難しく、保育所等に通うことができない医療的ケア児や障がい児等の育ちの支援について、当事者の声を聴くなどにより実情を把握していくとの答弁があったが、保育所等に通うことが難しい子供たちのための育ちを支援すべきである。都の見解を伺う。
【福祉局長】
都は、集団での生活が難しく保育所等に通うことが困難な医療的ケア児等の実情を把握するため、令和6年度、区市町村に対してアンケート調査を実施し、30自治体で、保育所等に入園できなかった事例があることを把握した。
また、医療的ケア児の相談機関や支援を行う事業者にヒアリングを実施し、看護師に加え、保育士等との関わりが子供の育ちを豊かにするなどの意見をお聴きした。
今後、こうした調査結果等を踏まえ、集団での生活が難しい医療的ケア児等の育ちの支援について、検討していく。
④ 妊娠、出産、子育て事業の更なる充実
【質問】
都は、国が令和4年度から開始した経済支援と伴走型相談支援を都独自の出産・子育て応援事業に組み合わせ実施してきた。令和7年度から国は妊娠時・出産後にそれぞれ5万円の現金支給を考えており、都は国の動きも踏まえつつ、出産、子育て事業を更に充実させていくべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉局長】
都は、子供を産み育てる家庭を社会全体で後押しするため、国の出産・子育て応援交付金も活用し、妊婦や子供が生まれた家庭に対し、妊娠時5万円分、出産後10万円分の育児用品や子育て支援サービス等を提供している。
本事業では、都独自のスキームにより、区市町村と連携し、妊娠時、出産後の各段階で保健師等の面談を受けることを要件として相談支援と経済的支援を一体的に行っている。令和7年4月から、国制度は現金給付が原則となる予定であり、都は実施主体となる区市町村と連携し、妊産婦等への支援の更なる充実に向け、事業スキームを具体的に検討していく。
⑤ 産後ケア事業の継続と妊婦も対象にしたサポーター派遣を
【質問】
とうきょうママパパ応援事業では、産後鬱の早期発見につながる産婦健診事業や産後ケア事業に取り組む区市町村を財政支援してきた。しかし、産後ケア事業は令和6年度の時限つきのため、事業の継続はもとより、どの地域でも産後ケアが受けられる体制整備とともに充実を図るべきである。また、産婦健診を実施している自治体が少ないので、実施が進むよう、補助率を上げることや都内共通受診券が使用できる仕組みづくりを進めるべきである。さらに、産後が対象の家事・育児サポーター派遣事業は妊婦も対象として一層充実を図っていくべきである。そこで、とうきょうママパパ応援事業をグレードアップさせ、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援のさらなる充実を図るべきであるが、見解を伺う。
【福祉局長】
都は、平成27年度から、妊娠・出産・子育ての切れ目ない支援体制を整備する区市町村を支援しており、令和2年度からは、とうきょうママパパ応援事業として子育て家庭に家事育児サポーターを派遣する事業を開始するなど、取り組みの充実を図っている。
また、本事業では、産後ケアを推進するため、実施主体である区市町村に対して、運営費補助の全額、施設等整備費補助の半額を支援するとともに、産婦健康診査の健診費用の半額についても支援している。
今後、妊産婦等が必要な支援を妊娠期から着実に受けられるよう、取り組みを更に進めていく。
⑥ 若者、子育て世代へのアフォーダブル住宅の提供
※アフォーダブル住宅・・・住宅確保困難者に対して、収入の3割程度の家賃で提供される住宅
【質問】
東京の都心部では住宅価格が高騰し、所得の低い若者や子供が生まれて少しでも広いスペースを確保したい子育て家庭は、近隣県に移住する傾向にある。
こうした状況を解決する1つの手段として、東京都と民間が一体となって、若者や子育て世代に対してアフォーダブル住宅を提供する仕組みを構築していくべきと考えるが、知事の見解を求める。
【知事】
都はこれまで、結婚予定者や若年夫婦、子育て世帯の都営住宅への優先的な入居や、安全が確保され、快適な間取りや設備を備えた東京こどもすくすく住宅の普及促進等の取り組みを進めてきた。
現在、国内外の様々な事例についても調査をするなど、副知事を筆頭とした体制で、民間活力を生かした住みやすいアフォーダブル住宅の検討を進めている。
今後とも、チルドレンファーストの社会の実現に向け、若い方々や、子育て世代が住みやすい環境の形成に取り組んでいく。
若者施策の体制面での具現化
【質問】
令和5年第4回定例会での都議会公明党の提案を受け、都は若者に対する支援について政策企画局が中心となり、庁内横串を刺して、各局横断で施策の強化を図っていくと答弁があった。今後、この考え方を、体制面から具現化すべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
施策の立案に当たっては、若者が置かれた様々な状況を踏まえながら、若者の参画の後押しや悩み・課題への相談支援など、幅広い施策を連携して展開することが重要である。
そのため、子供から、学生など成人への移行期にあたる年代を含め、切れ目のない支援を構築していくことが重要である。
都はこれまで、若者の意見を取り入れる取り組みや様々な困難を抱える若者に対する支援策について、庁内横断で検討し、施策を強化してきた。
今後、若者施策を切れ目なく、かつ機動的に推進するため、体制面を含め、様々な観点から検討を進める。
女性活躍基本条例に盛り込むべきこと
【質問】
令和6年第4回定例会の所信表明で知事から、我が国の女性活躍の転換点となるような条例の制定に向け、検討を進めていくとの発言があった。女性登用の拡大に向け、働きやすい職場づくりに取り組む企業がある一方、女性の活躍が進んでいない業種も多い。各企業に、課題に向き合い女性が活躍できる環境を整えるよう求めることを条例に盛り込むべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
社会経済がめまぐるしく変化する中、豊かで、持続可能な社会を作るためには、多様性が重要であり、女性の力を一層生かすことが不可欠だ。とりわけ、女性が少ない業種や意思決定層に女性を増やしていくことが必要である。
都は、女性リーダーの育成や、専門スキルを高めるための支援を行うとともに、企業での女性専用設備の導入や女性特有の健康課題に対応する環境整備の後押し等に取り組んできた。
更に女性の幅広い分野への参画を加速させるため、女性が従事できる職域の拡大や、キャリア形成の強化等について、有識者からなる検討部会において幅広く議論している。
今後、検討部会での議論を踏まえ、女性一人ひとりが持てる力を最大限発揮できる社会を実現していく。
教育施策
① デジタルを活用した教員の働き方改革の推進
【質問】
昨今、学校では長時間勤務で健康を害し、休職や離職する教員が増えるなど、教員の働き方改革が急務の課題であり、教員からの要望の一つに事務の簡素化、合理化がある。区市町村によっては、教員の出退勤や休暇の管理がシステム化されておらず、いまだに紙や印鑑で行われているところもあると聞いている。また、デジタル化されていても自治体によってシステムが異なるなど、管理のデジタル化、システムの共通化が必要と考えるが、都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
学校での働き方改革を進める上で、教員の業務の効率化につながるデジタルの活用を図ることは不可欠である。
都教育委員会は、都立学校の教員の出退勤等の手続の負担を減らすシステムを導入している。一方で、こうしたシステムに関し、公立の小中学校では導入が進んでいない場合もある。デジタルの活用を増やすと共に、教員が他の自治体の学校に異動しても共通のシステムを使える環境作りを進める視点は重要となる。
このため、中長期的なシステムの共通化を見据えながら、各自治体の状況を正確に把握し、その内容を出退勤等の管理の仕組みのデジタル化の推進に結びつける。
② 都立盲学校での歩行訓練士の活用
【質問】
視覚障がい者が日常生活及び社会生活を安全かつ自由に送るためには、この分野唯一の専門職である歩行訓練士による生活・歩行訓練が必要不可欠である。
都立盲学校においても、歩行訓練士の活用により、教員が専門的な指導や助言をできるようにしていくべきと考えるが、見解を伺う。
【教育長】
視覚障害のある児童や生徒が、安全で安心して学校に通い、日々の暮らしを送ることのできるようサポートを行うことは重要である。
これまで都立の4つの盲学校では、視覚に障害のある中で日常生活を円滑に行うための様々な指導や支援を行ってきた。このうち2校には、歩行訓練士の資格を持つ教員もおり、他の教員に対し様々な知識や技能などを提供し、助言も行っている。
今後、都教育委員会は、盲学校における教員へのよりきめ細かな指導を行うため、歩行訓練士の資格を持つ外部の人材の活用について検討する。
福祉施策
① シルバーパスの利用者負担額の引き下げ
【質問】
令和6年第3回定例会代表質問で、シルバーパスが現行制度になって25年が経過し、高齢者の社会参加を促進する観点から、根本的に見直すべきと提案した。令和7年度予算要求で、福祉局はICカード化を要求しているが、こうしたツールも活用しながら制度を改善すべきである。見直しに当たっては、まずは利用者負担の引下げを速やかに行い、より多くの高齢者にシルバーパスを利用してもらえるよう改善すべきであるが、知事の見解を伺う。
【知事】
シルバーパス制度は、現在の制度となってから四半世紀が経過し、平均寿命、健康寿命の延伸や、交通事情の変化、地域における移動手段の多様化など、本事業を巡る環境は大きく変化している。
このような状況の変化を踏まえ、現在、アクティブな「Choju社会」の実現を目指し、高齢者の社会参加に加え、福祉、まちづくりなど、高齢者施策全体を総合的に議論している。
こうした議論の中で、シルバーパスについても、高齢者の社会参加を支える事業として、利用者負担も含め、制度の改善について検討を深めていく。
② 介護職員等を対象とした居住支援特別手当の継続
【質問】
都議会公明党が都独自の手当の支給を提案し、令和6年度から開始した介護職員等を対象とした居住支援特別手当について、現在の実施状況を伺うとともに、令和7年度も本事業を継続して実施し、より多くの事業者に活用いただけるよう働きかけていくべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉局長】
都は、令和6年度から、国が介護報酬等の必要な見直しを講じるまでの間、介護職員や介護支援専門員等を対象に居住支援特別手当を支給する事業者を支援している。
事業の実施に当たっては、説明会やチラシによる周知、専用のコールセンターによるきめ細かな問合せ対応などを行っており、現在、介護分野では約1,750事業者に対して約117億円、障害分野では約1,090事業者に対して約35億円を交付している。
今後、介護人材等の確保・定着に向け、事業者を引き続き支援するとともに、区市町村や事業者団体等と連携し、事業の一層の周知を図るなど、取り組みを進めていく。
医療施策
① 都内民間病院への財政支援
【質問】
福祉医療機構の調査によると、特に東京都の一般病院の過半数が赤字になってきている。東京都の場合は、診療報酬が全国一律のため、人件費や資機材が他の地域よりも割高となり、経営赤字に陥る病院が増加している。後期高齢者の急増が目前に迫っている中、民間病院が高齢者を確実に受け入れる体制を確保するなど、東京の医療提供体制の維持に向け、取り組むべきと考えるが、都の見解を伺う。
【保健医療局長】
都は医療提供体制の確保や物価高騰対策に取り組むほか、先般、国に対し、大都市の地域特性や現下の物価高騰を踏まえた診療報酬の改善等の緊急要望を改めて行った。
都内の救急告示医療機関が減少傾向にある中、介助等で人手を要する高齢者の救急搬送の増加や東京ルール事案が高止まりしている。救急外来や病棟での高齢者等の確実な受入れや看護師等の離職防止、老朽化した病院の建替えなどソフト・ハード両面から、将来にわたって地域医療を提供できるよう取り組むことが重要である。
今後、都内の地域医療体制の確保に向け、更なる取り組みについて検討を進めていく。
② 駒込病院の陽子線治療施設の整備
【質問】
都議会公明党は、政策目標チャレンジ8の中で、都立病院への粒子線治療施設導入を掲げ、本会議、予算特別委員会等で質疑を重ねてきた。その結果、都は陽子線治療を都立病院に導入することに至った。令和12年度の運用開始に向け、早期かつ着実に施設整備を進める必要があるが、都の見解を伺う。
【保健医療局長】
駒込病院の陽子線治療施設の整備についてであるが、都立病院機構では、令和6年10月に入札公告を行い、令和7年5月の落札者決定に向け事業者選定を進めている。
施設の設計、建設、治療装置の調達等を一括で発注することで早期の運用開始が期待できるため、デザイン・ビルド方式を採用している。
事業者の選定は、総合評価一般競争入札により行い、学識経験者等で構成する審査委員会において、治療装置の性能や安定稼働への工夫などを審査し、品質の確保を図っていく。
多くの患者に対し、早期に陽子線治療を提供できるよう、着実に整備を進めていく。
③ 陽子線治療の人員体制の整備
【質問】
陽子線治療を都民に提供していくためには、施設整備と並行し、患者への治療を担う人材の確保や育成など人員体制の整備等の検討も進めていく必要があると考えるが、都の見解を伺う。
【保健医療局長】
施設を安定的に稼働するには、陽子線治療に知見がある放射線治療医や医学物理士、放射線技師、看護師など専門人材の確保・育成が重要である。
また、小児から高齢者まで幅広く陽子線治療を提供するため、入院時の療養環境の整備や、小児がん拠点病院である小児総合医療センターとの連携などの体制づくりも必要である。
このため、今後、都立病院機構において、都や病院等で構成する委員会を立ち上げ、陽子線治療を適切に提供できるよう検討を重ねるなど、準備を進めていく。
④ 都立病院での不妊治療の相談・検査・治療の取り組み
【質問】
令和4年度からの不妊治療の保険適用拡大を受け、都議会公明党は、身近な都立病院こそ都民ニーズに対応するべきと繰り返し求めてきた。その結果、不妊治療に対する取り組みが着実に進められている。知事は所信表明で、都立病院での不妊治療を令和7年度目途に開始すると明らかにした。望む人の誰もが子供を産み育てられる社会の実現に寄与するため、都立病院での具体的な取り組みについて見解を伺う。
【保健医療局長】
都立大塚病院の不妊治療についてであるが、大塚病院では、令和7年度を目途に開始する体外受精や顕微授精等の生殖補助医療の準備を進めている。
具体的には、採卵室や培養室など不妊治療外来エリアの患者のプライバシーに配慮した設計や、生殖医療専門医や胚培養士等の確保に向けた調整、職員向けの研修等を実施している。
医療開始後は患者の希望に応じ、5か所の都立病院の不妊治療相談窓口から大塚病院の検査・治療につなげるほか、民間医療機関等とも連携しながら分娩や分娩前後のケア等にも切れ目なく対応することで、望む人誰もが子供を産み育てられる社会の実現に貢献していく。
防災施策
① 地域の防災力向上に向けた連携の強化
【質問】
都は地域の防災力向上を見据え、令和6年度から町会・自治会とマンションが合同で防災訓練を行う際の支援を実施している。しかし、自治会や管理組合などの組織が無い集合住宅や都営住宅などはカバーされていない。それらの集合住宅とも連携を強化し、地域の防災力を更に高めていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【生活文化スポーツ局長】
地震や風水害など、いざという時に備えて、地域住民が助け合える関係を持つことは重要であり、都は、令和6年度、町会と分譲マンションの合同防災訓練をきっかけに地域のつながりの構築や強化を進める事業を開始した。
18の町会と25のマンションから申請があり、防災訓練を実施した町会等からは、普段顔を見かけない方とも訓練できて有意義だった、マンションとつながりができてよかったとの声があった。
今後は、町会と分譲マンション以外の集合住宅との連携について検討し、より多くの地域で住民の関係強化が進むよう、事業のさらなる活用を図っていく。
② 災害用トイレ対策に係る区市町村支援
【質問】
都議会公明党は、令和6年第3回定例会の代表質問で、都や基礎自治体が災害に備え、様々な種類のトイレ対策を計画的に取り組むことの重要性を指摘し、各自治体が地域特性に応じて災害用トイレの確保に取り組んでいけるよう都の支援を求めた。これに対し都は、計画を令和6年度内に取りまとめ、発災時にも衛生的なトイレを安心して利用できるよう、区市町村の取り組みを支援していくと答弁したが、災害用トイレの確保に向けた区市町村支援の検討状況について、都の見解を伺う。
【総務局長】
大規模災害時には、ライフラインの被害に伴うトイレの衛生環境の悪化により、健康への影響が懸念されるため、災害用トイレを適切に確保することは重要である。
このため、都は現在、災害時のトイレ環境の向上に向けた計画策定を進めている。本計画は区市町村がトイレ確保を進める指針となるため、地域の実情に応じて必要となるトイレの量や種類について調査を行った。
この結果などを踏まえ、被害想定や発災直後、復旧期などそれぞれの段階に応じて、区市町村が実効性のあるトイレ環境の確保に取り組めるよう、更に検討を進めていく。
③ 木造密集地域の不燃化の推進
【質問】
都は、防災都市づくり推進計画に基づき、整備地域において不燃化を推進し、整備地域の不燃領域率は、不燃化特区制度の取り組みなどにより改善されてきた。しかし、都内にはまだ約8,600ヘクタールもの木密地域があり、震災時における建物の延焼や倒壊などの被害が懸念されることから、さらに不燃化を促進していくことが重要である。
防災都市づくり推進計画基本方針の改定に当たっては、令和7年度に終了予定の不燃化特区制度の継続をはじめ、木密地域における不燃化の取り組みを強化すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【東京都技監】
都は、不燃化特区制度等を活用し、老朽建築物の建替えや除却を支援することなどにより、木密地域の防災性を着実に向上させてきた。
首都直下地震の切迫性が指摘される中、都民の生命と財産を守るためには、「燃えない・燃え広がらない」まちづくりを更に強化していく必要がある。
そのため、不燃化特区制度の活用の在り方や、整備地域外の木密地域における支援など、不燃化促進に向けた方策を検討している。
この結果を、令和6年度末に改定する防災都市づくり推進計画の基本方針に反映し、木密地域の解消を加速していく。
④ 既存住宅の液状化対策の工法認定の促進
【質問】
都が令和4年5月に公表した被害想定では、液状化による建物被害が都内で約1万1千件生じることが示されている。液状化対策を進めるには、こうした既存住宅への取り組みが重要だが、現在では既存住宅への有効性が認められる技術認定工法がなく、都民が安心して対策に踏み切ることができない状況である。
令和6年第1回定例会での都議会公明党の代表質問に対して、都は、既存住宅の液状化対策を推進するため、工法認定の取得に向けた事業者などへの支援を実施していくと答弁し、令和6年11月、技術などを有する業界団体等とコンソーシアムを設立したが、コンソーシアムを活用しながら都民が安心して使える工法を確立し、既存住宅の液状化対策を推進すべきと考える。都の見解を伺う。
【東京都技監】
既存住宅の場合、工事スペースや施工方法に制約があることから、有効な工法を確立し、活用促進を図ることが重要である。
このため、都は、令和6年12月から事業者に対して、工法の有効性を検証するための費用や、第三者機関の認定取得に必要な手数料への助成を新たに開始した。
今後、既存住宅向けの工法を有するコンソーシアムの構成員に対し、認定の取得を促していく。
また、認定された工法をコンソーシアムを通じて広く周知し、工法の普及を図るなど、既存住宅の液状化対策を推進していく。
産業労働政策
① 録音や録画などによるカスタマーハラスメントの防止対策
【質問】
令和6年第3回定例会で、全国初となるカスハラ防止条例が制定された。
カスハラ対策は、加害者と被害者の両者を発生させないことが大前提だが、発生した場合には、丁寧に事実確認をすることが必要であり、その際に役立つのが録音・録画による記録の保全である。
介護や訪問看護など、カスハラに直面した際に頼る人がいない現場においても効果的な対策が進むよう促すとともに、経営体力の乏しい中小の様々な形態の事業者が録音や録画などによる防止対策を現場に導入する際の支援も講じるべきだが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
訪問介護や看護など、複数人で顧客対応することが難しい現場を含め、あらゆる現場で防止対策が進むよう後押しすることは重要である。
都は、条例を解説する指針及び団体向け共通マニュアルにおいて、現場従事者が1人である場合に効果がある対策を示すとともに、録音や録画の重要性も啓発する。
また、正しい知識のもとで防止対策が進むよう、条例に基づく適切な対応策と併せて設備等を導入した中小の事業者へのインセンティブも検討していく。
これらにより、規模や経営形態を問わず様々な現場に広く防止条例が浸透するよう促していく。
② 出張型の就労相談支援
【質問】
昨今の物価高を受け、身近な場所での就労相談を必要とする潜在的なニーズが、急激に高まっている。
今後、例えば都営住宅の集会所や団地周辺の施設などを活用して、気軽に利用できる出張型の就労相談事業を幅広く展開し、望ましい就労を通じて生活力の強化を図ろうとする都民を、男女を問わず積極的に応援していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
安定した就労を実現して生活力を向上させたい方が、より負担の少ない方法で就職活動ができるよう支援することは必要である。
都は、再就職を目指す女性等を対象に、自宅でのオンラインによるサポートや、地元企業との交流会などを実施している。また、令和6年度、ひとり親などの女性を対象に、生活相談等を組み合わせた出張型の就労支援を都内各所で展開している。
今後、こうした取り組みを踏まえ、都営住宅や地域の集会所などで、男女問わず就労に課題を抱える様々な方が、支援を受けられる効果的な方策を検討していく。
③ 路線バスの運転士不足への対応
【質問】
近年、運転手不足を背景としたバス路線の廃止や運行回数の削減といった事例が顕在化している。大型二種免許保有者の確保、増加に向けては、賃金増加や労働時間の短縮など労働条件の改善、多様な勤務体系や女性専用の休憩施設などの整備、スキルアップによるメリットなどキャリア形成の見える化などが重要であり、都としても、運転士の確保に向けた運輸業界の取り組みを積極的に支援する施策については、迅速に取り組むべきと考える。都の見解を伺う。
【東京都技監】
バス事業においては、運転士不足が深刻化しており、多角的な対策を早急に検討していくことが重要である。
都はこれまで、事業を取り巻く様々な課題や対策の方向性について、国との意見交換を重ねてきており、さきの政府提案要求では、バス運転士の労働力確保や負担軽減に向けた支援の充実を新たに要求した。
事業者が参画する連絡会議等においても、パートタイムの運転士の活用拡大や、キャッシュレス化などDXを活用した運転士への支援について意見交換を実施した。
引き続き、国や事業者と緊密に連携し、運転士確保に向けた対策を検討するなど、積極的に取り組んでいく。
④ 都営バス乗務員確保の取り組み強化
【質問】
都営バスの運転手は、50代以上の職員が約半数に及び、今後10年余りで退職してしまう見込みであり、採用も、令和6年の選考において応募者数が2年前と比べて4割ほど落ち込んでおり、今後、都営バスにおいても大幅な減便に直面することが懸念される。
都営バスは、多くの都民が身近に利用できる社会インフラであり、運転手の確保に努め、東京の公営交通としてできる限りの輸送サービスを提供していくことが重要である。都営バスの乗務員確保の取り組みを更に強化していくべきと考えるが、見解を伺う。
【交通局長】
都営バスは地域の身近な公共交通機関であり、今後も重要な役割を担っていく必要があると認識している。
交通局では、これまで、大型二種免許の未取得者を対象とした養成型選考の導入や、採用時の年齢要件の緩和等に取り組んできたが、近年応募者が大幅に減少しており、乗務員の確保が急速に困難となってきている。
このため、養成型選考による採用数の拡大や、短時間勤務の導入による交通局OB等の活用、働きやすい職場環境の整備等、応募者の裾野拡大や離職防止に向けて、人材確保策を強化していくとともに、関係局や業界団体等と連携して国に更なる支援を働きかけていく。
⑤ 貸切バスに対する燃料費支援
【質問】
都では、都議会公明党の強い要望を受けて、中小貨物運送事業者、乗合バス事業者及び中小タクシー事業者に対する燃料費の支援を行っているが、貸切バス事業者については、依然として対象外である。観光、児童生徒や企業従業員の送迎など多くの役割を担い、都民生活と密接に関わっている貸切バスについても燃料費支援が必要と考えるが、都の見解を伺う。
【東京都技監】
貸切バスは、福祉施設・病院への送迎や、観光やイベント等の経済活動など、都民生活の様々な場面において利用されている。
現在取り組んでいる燃料費支援については、都民生活において果たす役割や価格転嫁の困難性等を踏まえ、貨物運送事業者、路線定期運行バス事業者及びタクシー事業者を対象として実施しているところである。
今後の運輸事業者への支援に当たっては、燃料価格の動向や都民生活との関わり等を踏まえ、貸切バスについても必要な対応を検討していく。
快適なまちづくり
① エスカレーターの安全利用
【質問】
都内では、エスカレーターの左側に立ち、右側を歩く習慣があるが、ケガや障がいなどにより左側に立てず、右側に立つことでエスカレーターを安全に利用できる方がいる。都議会公明党が視察した愛知県名古屋市では、エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例が施行され、エスカレーターの利用者は右側か左側かを問わず、エスカレーターのステップに立ち止まらなければならないとし、また、エスカレーターの管理者等は、利用者に対して、立ち止まった状態でエスカレーターを利用する様、周知しなければならないとして、成果をあげている。
都としても安全・安心な東京の実現に向け、エスカレーターの安全利用に関する条例の策定を検討するとともに、対策を講じるべきだが、都の見解を伺う。
【生活文化スポーツ局長】
エスカレーターの安全利用についてであるが、靴紐がステップの隙間に挟まれたり、ベルトの引き込み口にキャリーバッグが巻き込まれたりする事故の情報が寄せられたため、都は、消費者注意情報として、ホームページ等で、事例紹介や注意喚起を行ってきた。
また、エスカレーターの上を歩行すると、バランスを崩しやすく、他の利用者と接触する恐れもあり、エスカレーターの安全利用について、消費者に一層呼びかけることが必要である。
今後、東京都商品等安全対策協議会の場などにおいて有識者や事業者、都民の意見等を聴き、実効性のある対策について、関係各局とも連携しながら検討していく。
② 財源確保でホームドア整備の加速を
【質問】
ホームドアやエレベーターの整備など鉄道駅のバリアフリー化は、高齢者や障がい者だけでなく、全ての利用者にとって安全・安心の観点から重要である。知事もホームドアは都民の命を守る重要な設備であるとして、令和6年8月に整備の加速に向けた官民連携の協議会を設置し、検討を開始した。
ホームドアの早期整備には、技術的な課題への取り組みとともに、財源の確保が重要であり、都の関与のみならず、鉄道事業を所管する国にも協力を得ながら進めていくことが必要である。ホームドアの整備加速に向けて、都はより踏み込んだ支援をすべきと考えるが、見解を伺う。
【東京都技監】
ホームドアは、駅利用者の転落を防止し、かけがえのない人の命を守る重要な施設である。その整備には、官民が連携し、課題の解決に取り組むことが不可欠である
協議会では、通路幅の基準の運用等に対する国の考え方や対応事例を共有し、公有地の施工ヤードの活用について、区市への協力依頼、事業者への情報提供の開始を報告した。補助制度については、計画の見通しが立てやすくなることから、都による直接補助の要望があった。
引き続き、優先整備の考え方を踏まえた補助の重点化や、工期とコストの縮減につながる対策などを検討し、ホームドア整備の更なる加速を実現していく。
安全対策
① 闇バイトへの対策としての防犯設備補助の実施を
【質問】
現在、闇バイトによる事件が相次いで発生し、社会に大きな不安と衝撃を与えている。都は地域の防犯力を高めるために、地域団体への防犯カメラ等の設置及び管理費用の補助事業を実施しているが、地域の安全安心を向上させるためにも、個人住宅などへの防犯カメラやモニター付きインターホンなど防犯設備の補助を実施すべきと考える。見解を求める。
【生活文化スポーツ局生活安全担当局長】
若者が闇バイトに巻き込まれないよう、都は特設サイト等で危険性を呼びかけてきた。最近の加害者の低年齢化をふまえ、令和6年10月からは新たに中学・高校を通じて啓発しており、12月には保護者層へ働き掛けることとしている。
一方、被害を未然に防ぐため、一部の区市では、住まいへの防犯カメラの設置などを支援している。都においても、自宅でできる防犯対策として、相手を確認できるカメラ付きインターホンの設置などをホームページで紹介している。
今後、区市町村とも連携し、住民による防犯対策を支援する方策を検討していく。
② 公道カート及び電動キックボードの取締り強化
【質問】
外国人観光客の増加とともに公道カートの利用者が増加し、信号無視などの交通ルール違反や衝突事故、複数台が隊列を組むことによって生じる騒音や、一般ドライバーへの走行への影響もあって多くの苦情があがっている。また、特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボードについては、交通ルールを無視した無謀な運転や、歩道走行における安全対策を守らない事例が多く見受けられ、規制強化や安全対策を求める声が多数寄せられている。
公道カート及び特定小型原動機付自転車について、取締りや安全対策を強化すべきと考えるが、見解を伺う。
【警視総監】
警視庁では、関係事業者に対し、安全指導や利用者の安全な利用に向けた申し入れを行うとともに、いわゆる公道カートについては、関係機関が行う事業者に対する立入調査への協力、特定小型原動機付自転車については利用者に対する安全教育やSNSを活用した情報発信を行うなど安全対策に取り組んでいる。
また、これらの車両も含め、悪質・危険な違反行為に対しては、厳正な取締りを実施しており、引き続き、交通ルールを守って安全に利用されるよう、これらの取り組みを推進していく。今後も、安全で円滑な道路交通環境を確保するため、各種対策を一層推進していく。
都営住宅における移動販売の拡大
【質問】
都議会公明党が提案し、充実を求めてきた移動販売が好評であり、コミュニティの活性化など、買い物難民対策の枠組みを超えた大きな成果に繋がっている。今後、都は、都営住宅内の移動販売について、取り組みの好事例を様々な自治会に積極的に周知するとともに、より多くの区市町村と事業連携を進めて、移動販売の更なる拡大を図るべきと考えるが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
移動販売サービスは、居住者の日常生活の利便性向上や地域コミュニティの活性化を図る上で重要である。
都は令和6年度、移動販売を実施している団地自治会や事業者を対象として、区市町を通じたアンケート調査や3団地での現地取材を初めて行った。
今後、居住者や地域の方の交流の場となっている好事例や利用者の声を取りまとめ、令和6年内にホームページ等で広く発信するとともに、区市町村の関係者会議等で周知する。また、地元自治体と連携して団地自治会や事業者にこれらの情報を提供し、取り組みの工夫・改善につなげていく。こうした取り組みにより、更なる充実を図っていく。
デフリンピックを機とした共生社会の構築
【質問】
令和7年、開催されるデフリンピックの機を捉え、全ての障がいのさらなる理解促進や障がいのある方々の生活に役立つ環境づくりなど、共生社会構築に向けた取り組みをさらに進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。
【福祉局長】
都は、令和6年度、障害への理解促進を図るため、ファミリー層や若者が集まる商業施設で、デフアスリートを招いた啓発イベントを開催し、多くの方に来場いただいた。
また、視覚や聴覚に障害のある方にとって役立つ行政サービスの情報や、日常生活の困りごとを解決する工夫を紹介するAIチャットボットを令和6年11月開設した。
今後、令和6年度開催したイベントの効果を検証して会場やプログラムを工夫するほか、チャットボットに寄せられた利用者の投稿を随時反映させる等、令和7年開催されるデフリンピックに向け、障害への理解促進と障害者に必要な情報発信が一層進むよう積極的に取り組んでいく。
スポーツ施策
① 世界陸上とデフリンピックの子供たちの観戦支援
【質問】
令和7年都内で実施される世界陸上とデフリンピックは、スポーツを通じて世界の平和を願い、多様性を認め合う社会への機運を高める意味で、青少年の健全育成につながる効果などが大きく期待されている。都は子供たちに対し、適切に両大会の競技観戦への環境を整え、安全に効果的な推進を図るべきである。加えて、都は、能登半島地震などの被災地の子供たちに対しても、両大会への観戦機会を積極的に提供していくべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
世界陸上は、トップアスリートの熱戦を間近で見ることができる絶好の機会であり、デフリンピックは、障害のある無しにかかわらず、互いに尊重し合う共生社会づくりに貢献するものである。
両大会を観戦することは、またとない経験であり、子供たちが学び成長する貴重な機会となる。
世界陸上では、子供たちが保護者と一緒に観戦できるよう検討する。デフリンピックでは、教育関係者と連携し、観戦する競技や移動の方法などを調整していく。また、被災地の子供たちにも観戦機会を提供する。
未来を担う子供たちにとってスポーツの魅力や可能性を体感できる大会となるよう着実に準備を進めていく。
② 世界陸上の運営とデフリンピックの収入確保への支援
【質問】
令和7年度の都予算に対する生活文化スポーツ局による予算要求では、世界陸上とデフリンピックの大会の運営経費が含まれていない。世界陸上は、チケット収入や協賛金収入をある程度期待できるが、デフリンピックはチケット収入やスポンサー収入も世界陸上ほど集まらない可能性もあり、都による積極的な収入確保への支援が必要である。
透明性を担保しつつ、大会後に追加の都負担が発生することのないよう、運営原資の確保に明確な目途をもてる計画的な予算立てを図るべきであるが、見解を伺う。
【生活文化スポーツ局長】
世界陸上とデフリンピックの運営についてであるが、いずれの大会も、多くの方々の理解や協力を得ながら大会を作り上げていくことが重要である。
世界陸上では、大会の重要なパートナーとなるスポンサー募集について、世界陸上財団が公募・入札による直接販売方式を採用し、透明性の高い取り組みを行っている。
デフリンピックでは、様々な方の参画を得ながら、円滑な大会運営に向けた準備を進めており、個人や企業などから寄附・協賛を受け付けている。
都としても、国に必要な支援を要望するとともに、予算面も含め、大会運営組織の準備が進むようサポートし適切に管理していく。
芸術文化施策
① 東京の芸術文化の拠点整備の加速を
【質問】
芸術と文化の薫る東京の魅力を高めていくためにも、文化戦略を着実に具現化し、ますます芸術文化振興を推進していかねばならない。そのために重要な課題の1つが、東京の芸術文化の要となる拠点の整備であり、都議会公明党は令和4年の予算特別委員会でも要望した。
首都東京にふさわしい、国内外に向けた東京の芸術文化の発信と創造の拠点整備を、加速度を増して検討していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【生活文化スポーツ局長】
東京の芸術文化の拠点についてであるが、東京のアートの多様な魅力を国内外に発信するためには、人材や情報が集積し交流により新たな創造を生み出す機能を備えた拠点が必要である。このため東京文化戦略2030では最先端のショーケースやイノベーション創出の場となる交流発信拠点の構築を掲げている。
拠点形成に向けて、アーティストへの支援や、ビジネスなどの異分野との連携など、将来導入する機能へとつながる事業を進めていく。
令和6年度は、有識者等へのヒアリングも行っており、東京芸術文化評議会等での議論も踏まえ、今後の方向性を検討していく。
② 聴覚障がい者が芸術文化を楽しめる取り組み
【質問】
都議会公明党は、令和6年の予算特別委員会総括質疑で、聴覚障がい者が芸術文化を楽しめる取り組みや芸術文化団体の情報保障の推進について質問した。東京2025デフリンピック大会の開催まで1年を切り、共生社会の構築に向けてさらなる取り組みを進めていかねばならない。障がいのある方も分け隔てなく芸術文化に親しみ楽しめる環境を作るために、民間によるアクセシビリティの向上の取り組みを一層進め、障がいのある方の鑑賞の機会を充実すべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
障害の有無に関わらず、誰もが芸術文化に親しめる環境を整えることは重要である。
都はこれまで、都立文化施設等において、手話通訳や音声ガイド等鑑賞をサポートするための様々な取り組みを行ってきた。令和6年度は、この取り組みを民間に広げるための助成制度を創設し、多くの公演等で活用されている。
芸術文化は人々に喜びや感動をもたらすものであり豊かな生活の源泉でもある。
令和7年はデフリンピック開催の年であり、ろう者と聴者が協働して制作する舞台などのアートプロジェクトも展開する。鑑賞のサポートを実施する公演の情報も発信し、より多くの方に、東京の芸術文化に触れていただけるよう、アクセシビリティの向上を推し進めていく。
洋上風力発電導入の効果
【質問】
知事は、COP29において、伊豆諸島の海域でギガワット級の浮体式洋上風力発電の導入を目指していくと発言したが、エネルギーの大消費地である東京で、大規模な脱炭素電源を確保することは極めて重要である。
これを導入する効果について、知事の見解を求める。
【知事】
洋上風力発電は、国においても再生可能エネルギーの基幹エネルギー化に向けた切り札と位置付けられており、エネルギーの大消費地である都が、導入を進めていくことは重要である。
現在、国際的には、水深が浅い海域での着床式の導入が進んでいるが、浮体式という新たな技術を活用することで、伊豆諸島のような水深が深い海域での導入が可能となった。
伊豆諸島の海域は、日本屈指の好風況であり、1ギガワットの洋上風力の導入により、約90万世帯の年間使用電力量に値する発電量を見込んでいる。
こうした大規模設備の建設や管理に必要な人材の育成に加え、新たな雇用の創出にも繋げていく。
今後とも、ゼロエミッション東京の実現に向けて、地元自治体等と連携しながら、洋上風力の導入に全力で取り組んでいく。