加藤雅之議員の本会議(12月11日)一般質問

防災対策

① 災害時における外国人旅行者への対応について

【質問】

外国人旅行者の中には、地震のない国から来ている方も多く、東京で大規模地震に遭遇した場合、言葉の壁もあり、不安や恐怖でパニックに陥ってしまうことも懸念される。

国際都市東京の責務として、大規模地震時でも外国人旅行者が混乱をきたさないよう、正確な情報を届け、安全な場所等へ誘導すべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

災害時における外国人旅行者への対応についてだが、都内を訪れる外国人旅行者は増加しており、令和5年は過去最高を記録した。いつ起こるとも知れない首都直下地震等に備え、外国人旅行者が災害時にも落ち着いて行動し、安全を確保できるよう対策を講じておくことは重要である。

このため都は、発災時に外国人旅行者が必要とする情報を、東京都防災X(旧ツイッター)や多言語に対応した防災ホームページ、防災アプリで発信することとしている。

今後、空港やターミナル駅等との連携を更に強化し、都の災害情報を発信するSNS等の認知度を高める。また、区市や鉄道事業者等と共同で、サイネージ(看板・標識)やAI通訳機による多言語での誘導訓練を実施する。

こうした取り組みにより、災害時における外国人旅行者の安全・安心の確保に努めていく。

② 高齢者等の住宅耐震化を促す取り組み強化について

【質問】

都内には旧耐震基準の住宅が多く存在し、私の地元の墨田区内の木造戸建住宅の耐震化率は、2020年度末で44.2パーセントである。

これらの住宅所有者は、比較的高齢者が多く、中には介護等が必要な方もおり、普及啓発とともに、財政的な支援をより充実させることが必要である。

様々な事情を抱える高齢者等に住宅耐震化を促していくために、これまで以上に創意工夫をしながら取り組みを強化すべきと考えるが、見解を伺う。

【東京都技監】

高齢者等に耐震化を促す取り組みについてであるが、高齢者の状況は様々であり、耐震化を促進するには、改修費等の支援とともに、きめ細かい対応が重要である。

このため、区市町村と連携して個別訪問や相談会を実施し、耐震化の必要性や補助制度等を個々の実情に応じて説明してきた。

令和6年度は新たに、耐震化を改めて自分事として捉えられるよう、被災者の体験を直接伝える機会を設けるとともに、高齢者が参加しやすくなるよう出前講座を開催し、参加者の疑問に丁寧に答えるなど、工夫を凝らしてきた。

今後、更なる住宅の耐震化に向け、高齢者等に対する効果的な普及啓発や支援の在り方などを検討していく。

③ 白鬚(しらひげ)東防災拠点の医療センター機能の強化について

【質問】

白鬚東防災拠点は、都が公表する地域危険度の高い墨田区北部エリアの木造住宅密集地域に隣接している。

私は令和5年の第3回定例会一般質問で、総合危険度5が多い一帯に緊急医療救護所が未指定であることを指摘し、同拠点内にある東京都リハビリテーション病院の活用、協力を求めた。

東京都リハビリテーション病院は、築35年が経過し、令和7年は改修に向けた検討が行われると聞いている。

設立の基本構想時に掲げた災害時の医療センターとしての機能が発揮されるよう、更なる取り組みを進めていくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【保健医療局長】

東京都リハビリテーション病院についてであるが、本病院は、都のリハビリテーション医療の中核を担うとともに、墨田区地域防災計画に定める医療救護活動を行う災害医療支援病院に位置付けられており、事業継続計画を策定するほか、医師や看護師等の宿舎を整備するなど、災害時の医療提供体制の確保に努めている。

また、都は令和6年度、中・長期的な病院のあり方を検討する委員会を設置し、公的医療機関として担うべき役割や機能など、災害時の対応も含めて議論している。

こうした検討も踏まえ、今後の建物改修を見据え、災害時の医療救護活動における病院機能の強化に向けて取り組んでいく。

④ 災害時における医療人材の応援体制について

【質問】

災害時は、支援期間が長期化すると多数の看護職員が必要となる。都内には多くの潜在看護師等がいると聞いており、その活用が必要と考える。

そこで災害時、区市町村が設置する医療救護所で、潜在看護師等を活用し、医療救護活動に従事できるよう体制を構築すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【保健医療局長】

災害時における潜在看護師等の活用についてであるが、災害時には、多数の傷病者が発生するとともに、避難生活が長期化すると医療ニーズも変化するため、より多くの看護職員が、それぞれのスキルに応じて医療救護活動に従事することが重要である。

地元医師会の医師や看護師等を中心に運営される医療救護所について、設置者である区市町村から、看護職員の確保が課題との意見を聞いている。

こうした状況も踏まえ、有事の際に、身近な地域で医療救護活動に従事可能な看護職員の裾野を拡大するため、区市町村と連携しながら、今後、潜在看護師等の活用に向けた方策について検討していく。

⑤ 白鬚(しらひげ)東防災船着場におけるスロープ改築の取り組みについて

【質問】

災害時には傷病者や物資等を円滑に運ぶため、輸送路の多重化を図ることが重要であり、水上ルートの確保は重要である。

白鬚東防災船着場にアクセスするスロープは、歩行者や車いす用であり、車両が通行できない構造である。

物資輸送等を考えると、車両が通行できるようスロープを改築するべきと考える。

そこで、都の防災備蓄倉庫に一番近い船着場であることから、早急に改築を行うべきと考えるが、見解を伺う。

【建設局長】

白鬚東防災船着場におけるスロープ改築の取り組みについてであるが、災害時に船舶による被災者の避難や緊急物資の輸送などを迅速に行うためには、これまで整備した船着場をより有効に利用できるようにすることが重要である。

そのため、都が管理する船着場において、車両によるアクセスを可能とするスロープの整備等を順次進めている。白鬚東防災船着場においては、令和6年度、既存スロープを改築する設計を進めており、今後、防潮堤の耐震対策に合わせて工事を行っていく予定である。

今後とも、防災船着場の機能向上に取り組み、災害対応力の強化に努めていく。

中小企業のDXアドバイザーの体制拡充支援

【質問】

先日私は、都のDX推進支援事業を利用した地元の中小企業を視察した。そこでは、専門のアドバイザーが現地を訪問して調査、診断し、事業者の課題を明確にして支援方針を決め、事業者に適したデジタル機器を導入。社員の作業状況の把握などを電子化して効率化を図り、生産性の向上をトータルに支援し事業者に喜ばれていた。

今では、低額で汎用性の高いデジタルツールもあることから、より多くの中小企業がDXを継続的に使いこなせるよう、アドバイザーの体制も拡充していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

中小企業のDXに向けた支援についてであるが、中小企業が生産性を高め、競争力を向上させるためには、デジタル技術を活用し、業務の改善や生産体制の効率化を進めることが重要である。

このため都は、DXに向けた取り組みへの着手を促すため、その必要性を広く周知するほか、専門家が中小企業を巡回し、現場の事業活動の状況を把握するとともに、事務作業の効率化に必要なデジタルツールの提案を行っている。また、この提案などに基づき、汎用性の高いクラウドサービスを利用する際の経費等を助成している。

今後も多くの中小企業がデジタル化に取り組めるよう、支援体制の拡充を検討し、更なる利用の促進を図る。

都立高校における多文化共生の推進

【質問】

都立小山台高校では、外国籍など多様な生徒に対し、大学教員や弁護士、NPO団体、地域住民、家庭が連携して生徒の学びを支援し、多文化共生の伝統を築いてきたと聞いている。

都は、新設する在京外国人等設置校をダイバーシティ校にするとした。この推進校をはじめとして日本語指導を行う学校では、小山台高校等で積み重ねられてきた理念を引き継ぎ、日本語指導が必要な生徒の支援を中心的に担うとともに、国籍を問わず、多様な生徒が共に学ぶ環境の特徴を生かして多文化共生の学校づくりを推進すべきと考える。

都立高校における多文化共生の推進について、都教育委員会の今後の取り組みについて見解を求める。

【教育長】

都立高校における多文化共生の推進についてであるが、グローバル社会が進展する中で、将来の東京を担う人材が、異なる文化や価値観を理解することは重要である。

都教育委員会は、令和7年度の在京外国人等の生徒の受入枠を設ける都立高校を、現在の8校から更に4校増やす。新たな4校では、多様な生徒が共に学ぶ環境を作り、語学力の育成に加え、異文化や多様性への理解を深める指導を先進的に行うことを検討する。また、これによる成果と様々な都立高校での優れた実績を、全校で共有する取り組みに力を入れる。

これらにより、日本と外国との架け橋となる人材の育成を進めていく。

文化芸術振興

① 若手芸術家の舞台稽古場等の整備について

【質問】

令和5年の第3回定例会一般質問等で、若手芸術家が舞台の稽古場探しで困っている問題を取り上げ、芸術活動の場を増やすよう訴えてきた。

これに対し都は、都営住宅の空き施設をアトリエに活用したことは評価する。

そこで今後は、これまでも指摘してきたように、支援対象を更に広げ、稽古場等を整備すべきである。見解を求める。

【生活文化スポーツ局長】

劇団が使用する稽古場等の確保についてであるが、都は、アトリエ等を持つことが難しい若手アーティストを支援するため、手の届きやすい料金で創作場所を提供するスタートボックス事業を令和5年度から開始した。

これまで約40名が作品制作や活動リサーチのために利用し、アーティスト同士、また、地域住民との交流も生まれている。

舞台芸術分野においても、小規模な劇団を中心に創作や練習を行う場所への高いニーズがあり、今後、都の遊休施設を活用するなど、アトリエに加え、稽古場の整備も検討していく。

② 江戸東京博物館のリニューアルについて

【質問】

現在リニューアル工事を行っている江戸東京博物館は、2026年の春にオープン予定と伺っている。

以前の同博物館は、両国付近のにぎわいを再現したジオラマ模型等を配置するなど、江戸時代にタイムスリップしたような感覚になる工夫があった。

今後は、江戸時代への没入感がさらに味わえるデジタル技術の導入なども検討すべきと考える。

また、以前は建物の3階にある広大な吹抜け空間があまり活用されていなかったようだが、今後はより活用していくべきと考える。併せて見解を求める。

【生活文化スポーツ局長】

江戸東京博物館のリニューアルについてであるが、江戸東京の歴史と文化を国内外に発信するための中心的な拠点として、魅力を高めていくことは重要である。

より一層、来館者を引きつける施設とするため、リニューアルオープンに当たっては、デジタル技術を活用し子供や外国人観光客等が江戸の歴史と文化を楽しみながら学べる機会を提供するほか、3階のオープンスペースなどにおいても賑わいを創出することとしている。

令和8年春に向け、準備を着実に進め、東京のアイコンとして何度も訪れたくなる博物館を目指していく。

まちづくり

① 都道のベンチ設置拡大について

【質問】

地域の高齢者の方から、散歩中に一休みするベンチをもっと設置してほしいとの声が多くある。

東京2020大会のレガシーを受け継ぎ、高齢者や障がい者にとって優しいまちづくりを進めていくためにも、まずは都道において、積極的にベンチの設置を進めていくべきと考えるが、都の見解を求める。

【建設局長】

歩道上のベンチについてであるが、高齢者や障害者など全ての人が安全で快適に利用できる歩行空間を創出することは重要である。

歩道にベンチを設置する場合、車椅子のすれ違いが可能な有効幅員の確保に加え、ごみが捨てられることがないなど、適切な管理が必要である。

これらを踏まえ、病院等の周辺で休憩スペースを確保する必要がある箇所や歩行者利便増進道路、いわゆる「ほこみち制度」の活用が可能な箇所等で、地元等との合意形成を図ることができる場合に、必要に応じて検討していく。

今後とも、誰もが利用しやすい道路空間の整備に取り組んでいく。

② 歩道へのベンチの設置について

【質問】

23区では、歩道へのベンチ設置を事業として取り組むのは10区にとどまると聞いている。

都は、区がベンチを設置するための補助制度を設けており、今後の高齢社会の進展を踏まえ、全ての区がベンチを積極的に設置できるよう働きかけていくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【福祉局長】

道路へのベンチの設置についてであるが、都は、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルにおいて、高齢者や障害者等が道路を歩行中に休憩や交流ができるよう、歩行者の通行や交通の支障とならない箇所等に、必要に応じベンチを設けることを整備基準に定めており、設置を推進している。

また、こうした基準に適合したベンチの設置に取り組む区市町村を包括補助により支援している。

今後、設置拡大に向けた区市町村の取り組みが進むよう、連絡会等で整備事例を紹介するなど、一層の周知を図っていく。

③ 東部伊勢崎線鐘ヶ淵踏切の鉄道立体化について

【質問】

東武伊勢崎線鐘ヶ淵駅周辺地区は、補助120号線の整備が進むとともに、長年、地元の皆様と取り組んできた東武伊勢崎線が鉄道立体化の事業候補区間に位置づけられ、次へのステップに向け都による調査が進行中である。

東武伊勢崎線鐘ケ淵駅付近の鉄道立体化に向けた今後の取り組みについて、見解を伺う。

【建設局長】

東武伊勢崎線鐘ケ淵駅付近の鉄道立体化に向けた取り組みについてであるが、本区間には、都が事業を進めている補助第120号線との交差部に開かずの踏切があり、交通渋滞や地域分断の解消等が課題となっている。

都は、令和4年に鉄道立体化の事業候補区間に位置付け、現在、事業範囲や構造形式などの検討を進めている。

また、本区間は荒川に近接していることから、国が進める高規格堤防の整備計画と整合を図る必要があり、河川管理者と意見交換を行っている。

今後とも、地元区や鉄道事業者等と連携し、鉄道立体化の可能性について着実に検討を進めていく。

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