都議会公明党を代表し、知事提出の全議案に賛成し、議員提出の議案第1号から第4号までに反対の立場から討論を行います。
はじめに、令和7年度一般会計当初予算について申し上げます。
前年度と比べて7,050億円増の9兆1,580億円となった令和7年度当初予算では、保育料の第一子無償化やアフォーダブル住宅の供給促進、シルバーパスの利用者負担軽減など、都議会公明党の提案が幅広い分野で盛り込まれており、評価いたします。
また、基金を未来への投資財源として戦略的に活用する一方、事業評価による見直しの徹底により、過去最高となる1,303億円の財源確保のほか、都債残高を着実に減少させるなど、中長期を見据えた財政対応力の堅持にも努めています。
先の代表質問や予算特別委員会で都議会公明党が指摘したとおり、新公会計制度を更に活用することで、事業の見直しを一層進めていくことや更なる基金の積立などにより、財政基盤を着実に強化していくことを求めるものです。
次に、子供・教育施策についてです。
都議会公明党が推進してきた受験生チャレンジ支援貸付制度では、不登校であった生徒らが通学するサポート校において、制度活用ができずにいたことから、要件緩和を求め、都はサポート校での支援実態を踏まえ、進学支援を実施する全てのサポート校に貸付対象を拡大する考えを明らかにしました。また、近年の大学受験料等の高騰を踏まえ、受験料の貸付料を12万円に、学習塾代は30万円に上限額を増額することを決めました。都議会公明党の要請に応えた取組を評価するとともに、今後とも子供たちに寄り添ったきめ細かい支援を求めます。
次に、地域医療の確保についてです。
都議会公明党の強い要請に応え、都は国の診療報酬への上乗せとも言える民間病院への支援に踏み出すことから、都政史上初となるこの支援金支給の決断について、知事に見解を求めました。これに対し知事は、診療報酬では物価等の地域差が十分に加味されていないことなどを踏まえ、緊急的かつ臨時的に全ての民間病院を対象として支援し、誰もが安心して必要な地域医療を受けられるように支援していく考えを示しました。この画期的な取組を高く評価するとともに、今後さらなる物価高騰が続く場合には、令和8年度も継続して実施することを求めます。
次に、福祉・高齢者施策についてです。
都議会公明党がシルバーパスを抜本的に見直すべきとこれまで重ねて提案してきたことを踏まえ、来年度予算案ではICカード化と利用者負担額の20,510円から12,000円への軽減が盛り込まれました。知事の決断を評価するとともに、高齢者の社会参画の一層の促進のため、今後、多摩都市モノレールやコミュニティバスへの対象拡大を求めます。
次に、産業労働施策についてです。
現役世帯の年収を増やしていくため、都議会公明党は、中小企業が生産性を向上させ、賃上げを行えるよう、都の思い切った財政支援や公労使の合意形成を知事のリーダーシップで進めていくことを求めました。これに対し知事は、中小企業がDX活用等の支援による成果を賃上げにつなげた場合に設備投資への補助率を5分の4に引き上げることや、リスキリングに向けた休暇制度などを設けた際に新たな奨励金による後押しを行うとともに、公労使会議など様々な場で意見交換を行い、賃上げに向け着実に歩みを進める考えを明らかにしました。働く都民の誰もが、年収の増加を実感できる支援を求めます。
次に、住宅施策についてです。
都議会公明党の提案に応え、7年度予算案では民間活力を活用した、ファンドによるアフォーダブル住宅供給の取組が盛り込まれました。しかし、都が想定している市場家賃の8割程度では、子育て世帯などにとってまだ高すぎるため、市場家賃の6割程度への引下げを求めました。これに対し知事は、今後の事業提案の審査に当たって家賃の引下げ幅に応じたファンドの出資利回りの設定などにより、低廉な住宅を提供していく考えを明らかにしました。子育て世帯や若者などが安心して暮らせるよう、スピード感をもって取り組むことを求めます。
また、都内マンション価格の高騰対策として、都施行再開発事業でのマンション投機抑制の取組について見解を求め、都は申込制限といった実効性のある対策を再開発事業の特定建設者に要請していく考えを明らかにしました。
また、タワーマンションの空室課税等が神戸市で検討されていることを踏まえ、都としても対策を幅広く検討するよう求めました。これに対し都は、現在実施中の実態調査の結果を活用しながら、住宅政策審議会等において学識経験者の意見を聞いていく考えを示しました。実効性のある対策を講じていくことを強く求めます。
次に、防災施策についてです。
都議会公明党の提案を踏まえて今般延長された不燃化特区制度について、地域によっては十分な幅員の道路に接していないなどの事情で対策が進みにくいといった課題があることから、取組強化について見解を求め、都は地域の実情に応じた支援の拡充を図るとともに、防災生活道路などへの支援に当たり、国と合わせて補助率を最大で3/4とするなど、区市の負担を軽減する考えを明らかにしました。
また、木造戸建住宅耐震化推進のため、介護や生活支援が必要な高齢者等に対する踏み込んだ支援策の強化を求めたのに対し、都は要介護者等の負担低減に向け、国と区市町村を合わせた補助限度額を拡充し、補助率を最大で10/10とする他、都費の増額分についても、区市町村負担がなくても活用可能としました。現場に即した効果的な対策により、防災力を一層高めていくことを求めます。
次に、交通施策についてです。
都議会公明党の政策目標チャレンジ8の一つであるホームドア設置促進に向け、都の補助制度拡充などへの見解を求めました。これに対し都は、事業者に直接補助する制度を創設し、特別支援学校の最寄駅では補助上限を拡充する考えを明らかにしました。引き続き、事業者の取組を積極的に支援していくことを求めます。
次に、治安向上に向けた取組についてです。
都議会公明党の第四回定例会での提案に応えて7年度予算案に盛り込まれた防犯カメラや防犯フィルムなどの購入経費の緊急補助について、戸建てや集合住宅、賃貸など居住形態に関わらず、防犯対策に取り組めるよう制度設計することを求め、都は、居住形態に応じた効果的な対策を幅広く補助対象とする考えを示しました。きめ細やかな制度とすることで、多くの都民の防犯の取組を後押しすることを求めます。
次に、物価高騰対策についてです。
都議会公明党は全ての都民を対象にした物価高騰対策をこれまで重ねて求めており、都が今回、東京都公式アプリを活用したキャンペーンにより、15歳以上の全都民に一人当たり7,000ポイント支給することから、そもそもスマホを持っていない方も参加できる手立てを講じることを求めました。これに対し都は、区市町村補助による購入経費助成の取組を検討していく考えを明らかにしました。先の予算特別委員会では、4月以降に区市町村と連携し迅速に支援していくとの答弁がありましたが、改めて、速やかな支援の実施を強く求めます。
都議会自民党の政治資金収支報告書の不記載事案について、都議会公明党は速やかな政治倫理審査会の設置を実現するための条例整備を提案し、議会の過半数の賛同を得て委員会が設置され、検討が開始されています。より良い条例の制定を目指す中で必要な知見を得るべく、有識者などの参考人招致を実現すべきと主張しており、条例の早期の施行を目指すとともに、都民目線に適い、かつ、整合性のとれた再発防止体制の確立を進める決意です。
議員提出の情報コミュニケーション条例が関係者のご努力により全会一致で制定されることとなりました。デフリンピックの東京開催の機を捉え、都としても障害者の意思疎通等の施策推進に一層取り組むことを求めます。
最後に、共産党提出の議案は、都庁当局と財源の協議を行い、財源の見通しを得るのが責任ある政治態度でありますが、そうした痕跡や各会派の賛同を得ようとする努力の跡も全く見られません。こうした無責任な提案には到底賛同することはできません。
都議会公明党は、今後とも現場第一主義で、都民の命と暮らしを守り抜く決意で全力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、討論を終わります。