都政運営
① ウクライナからの避難者への支援について
【質問】
ウクライナから日本に避難してくる方々の中には、頼る人も住む家もない方もいらっしゃる可能性がある。そうした方々に都営住宅等を提供すべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
今回のロシアによる、力で現状を変えようとする一方的なウクライナへの侵攻は、決して許されるものではない。
また、国際社会、民主主義への挑戦であるという観点からも、国際社会の連帯が重要であり、都もその一員として、揺るぎない対応が求められる。
ウクライナ情勢の悪化に伴い、避難民受入れなどの人道的な支援について、明確な方針を打ち出すよう国に対し、緊急要望も行ったところである。
ウクライナから避難を余儀なくされた方々を受け入れようとする国の姿勢には賛同するものであり、都としてどういう形が最も有効か精査をしており、国から都営住宅等の提供について要請があった場合には、国と連携し、都としてウクライナの方々を支援していく。
② ウクライナ危機の状況下における中小企業支援について
【質問】
ウクライナ危機にあって、都内事業者が厳しい経営環境を乗り越えていくためにも、都として、中小企業にとって血液とも呼べる資金繰り支援を強化するとともに、経営面からのサポートを強化すべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
ロシアのウクライナ侵攻により資源の安定供給への懸念が広がり、原油では米国のWTIが1バレル130ドルを超えるなど様々な価格の更なる上昇が危惧される。
コロナ禍で懸命に努力を続けてきた都内中小企業の経営環境に一層の厳しさが加わる中、金融と経営の両面から、迅速に支援策を展開する必要がある。
このため、中小企業の経営の命綱となる資金繰りを支える新たな融資メニューを創設する。この融資制度により、低廉なコストで資金を調達して売上げなどに影響が出る中でも事業が継続できるよう後押しをする。
また、幅広く様々な業種の中小企業が省エネ対策を通じたコスト削減に効果的に取り組み、経営力を高めるための専門家の助言や、機器の導入への助成を行う。
さらに、ロシアの会社との取引が困難となった中小企業が販売や仕入の新たなルートを作ることができるよう、助言やマッチング支援を行う。
今後も、都内経済への影響の長期化なども見据え切れ目ない支援を、スピード感を持って、全力で進めていく。
③ 金融支援について
【質問】
コロナ禍においては、我が党の要望を受け実現された緊急融資が多くの企業の事業継続につながり、支援の好事例として高く評価している。現在の経済情勢を踏まえると、大胆な金融支援策を迅速に講じることが必要と考えるが、見解を伺う。
【産業労働局長】
今回のウクライナ情勢により、原油や穀物などの価格の高騰のほか、ロシアの企業との取引停止など、事業者の経営に様々な影響が生じることが懸念される。
このため都は、こうした状況のもと売上に影響の出る中小企業の資金繰りを支援するため、制度融資に新たなメニューを創設する。
このメニューでは、1億円を限度額として、低利融資を行うとともに、借入れの際に必要となる信用保証料について、小規模事業者に対しては4分の3、その他の事業者には3分の2の補助を行う。
現在、早急に支援を始めることができるよう、3月中旬からの受付開始を目途に準備を進めている。
④ 中小企業の海外取引への支援について
【質問】
ロシアの金融機関が国際的な決済システムから排除されることで、取引先への送金などの決済が困難となるなど、今後、ロシアの企業との取引を行う都内中小企業に及ぼす影響が懸念される。
都は、こうした状況を踏まえ、都内中小企業が新たな販売先や仕入先を確保できるよう支援すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
都は、ロシアの企業との決済の停止などにより、販売や仕入れが困難となる中小企業に対して緊急的な対策を実施する。
具体的には、今月から海外取引や貿易実務の専門家による特別相談を開始し、新たな取引先を探すために必要な相談や手続等についてアドバイスを行う。
また、外国のビジネス事情に精通した民間人材を活用し、海外の新たな販売や仕入のルートを作るためのマッチングや、越境ECへの出品の支援を通じて取引先の開拓に繋げていく。
こうした取組により、ロシアの企業との取引が困難となった中小企業に対して適切にサポートを行う。
財政運営・情報施策
①都民の城(仮称)の改修工事費について
【質問】
事業再開後、仮称都民の城改修基本計画で提示した136億円の費用を仮にそのまま同額でも、設計・改修工事費は賄えるのか、財務局の見解を伺う。
【財務局長】
仮称都民の城改修基本計画でお示しした約136億円については、その後の基本設計、実施設計において精査することとしており、昨年10月に完了した基本設計において、概算工事費は、約134億円と試算されている。
なお、現在、仮称都民の城は、酸素・医療提供ステーションとして活用していることなどから、実施設計の予算を計上していない。
② 都民の城(仮称)の供用期間について
【質問】
供用期間3年間のために、都民の税金136億円を投入していくことは、税金の無駄遣いではないかと考えるが、財務局の見解を伺う。
【財務局長】
仮称都民の城については、改修基本計画の中で、令和11年をターゲットとして、周辺都有地とともに一体的に活用していくことを目指し、それまでの期間の活用を想定していた。
しかしながら、現在、新型コロナウイルス感染症への対応の中で、当初想定されていなかった酸素・医療提供ステーションとして建物を利用していることなどから、改修基本計画の策定時点より改修スケジュールが大幅に遅れている。
仮称都民の城については、現在設置している神宮前五丁目地区まちづくりに向けた有識者会議でも議論されており、都としては、この有識者会議で出される提言を受け、今後の対応を検討していく。
③ 社会生活におけるデジタル化について
【質問】
来年度予算の施策展開として、社会の隅々までデジタル化を浸透させるとしている。一部の通信キャリアが多摩地域に5Gアンテナを設置しているが、西多摩には設置していない。民間から来た宮坂副知事だからこそ、知見を活用し整備を進められると考えるが見解を伺う。
【宮坂副知事】
私が就任以来取り組んでいる、スマート東京の実現に向けては、その前提となるのが5GやWi-Fi、光回線など通信基盤の構築である。
そのため特に、5Gネットワークの早期構築については、通信事業者のトップとのサミットなど様々な機会を捉え、直接要請してきた。また、都自らも多摩地域の約6,500件を含む1万5千件以上の都有アセットを、アンテナ基地局の候補地として公開しており、約100件が既に稼働し、更に約300件が稼働に向けて調整中である。今後、基地局設置に係る技術的支援の規模を拡充するなど更なるスピードアップを図っていく。
来年度はさらに、都内の隅々まで高速インターネットが安定的につながる環境の構築を目指し、新たに西多摩地域などの通信困難地域における実測調査を本格化し、通信事業者へ整備拡充を具体的に働きかけていく。
今後、こうした取組を私が先頭に立って、通信事業者とビジョンを共有し、総合的かつスピード感を持って展開することで、いつでも、誰でも、どこでも、つながる東京を実現していく。
④ デジタル予算の成果の検証について
【質問】
デジタル予算の成果は、目に見えないものが多く、失敗をしても一般の人にはわかりづらい。そこで、財務局は、デジタル化の予算の成果をどのような形で検証していくのか、財務局長の見解を求める。
【財務局長】
令和4年度予算編成では、政策評価と事業評価を一体的に実施し、評価制度を更にブラッシュアップした。具体的には、成果指標を設定し、外部有識者の意見も踏まえながら、課題や実績等の検証を行い、更なる施策の見直しなどへとつなげた。また、新たにホームページ上で、検索しやすく視覚的にもわかりやすい形で、評価結果を公表している。
こうした評価制度を一層有効に活用することで、デジタル化に関する予算も含め、より成果重視の視点から評価を行い、施策の実効性・効率性の向上を図っていく。
⑤ 第三者のチェックを行う制度の構築について
【質問】
外部識者の意見も踏まえながら検証を行っているとのことだが内輪での検証である。デジタル化は重要な政策であり、監査委員監査のほかに包括外部監査を導入しているように、システム監査など専門家による第三者のチェックを行う制度を構築すべきだが、見解を求める。
【財務局長】
都はこれまで、デジタル化に関して、都外部の専門的知見を活かしつつ検証している。
具体的には、各局の予算要求の際に、デジタルサービス局が、民間の知見も活用し、情報システムについて、技術的な見地から、経費の適正性や費用対効果の妥当性等のチェックを行うとともに、財務局では評価制度の一環として、第三者の視点も踏まえた検証を行うなど、予算編成に反映している。また、監査委員監査において、行政監査の一環として、専門家からの支援なども活用して、システム監査を実施した。
こうした取組も踏まえ、デジタル化に関する評価に当たって、第三者の意見を反映する仕組みの充実について、関係局と連携して検討していく。
新型コロナ対策
① 入院調整の依頼件数に対する入院できない人の状況について
【質問】
第6波において、入院調整の依頼件数に対して、入院できない人が多数いるが、高齢者の割合など、その状況について、伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
都は、入院調整本部を設置し、保健所からの要請に応じて、患者の重症度や療養の状況等を踏まえ、優先度を考慮しながら、受入先となる医療機関を調整している。
3月2日の状況では、保健所から296人分の依頼があり、このうち入院決定が116人、依頼の取下げが50人、その日に決定に至らなかった方が130人である。この130人の方は、施設で介護を受けている方を含め、70代以上が82パーセントを占めており、翌日以降に入院調整などを行っている。
なお、施設に入所されている患者は、自らの生活環境をできる限り変えずに療養できることも重要であり、都は高齢者施設への往診などの取組を進めている。
② クラスターが発生した高齢者施設への医療支援について
【質問】
施設への往診などの取組を行っているとのことだが、入所されている方が施設内で安心して療養できるようにするため、クラスターが発生した施設に対する医療支援を強力に進めることが重要と考えるが、取組について伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
今般のオミクロン株の流行において、5名以上の陽性者が発生した高齢者施設は250を超えているなど、施設内の感染が広がっている。
そのため都は、広域的に往診等を行う医療機関と連携し、これまでに延べ73の施設に往診等を実施した。
また、先月から、特別養護老人ホーム等への地区医師会の医療支援チームによる往診等を開始し、延べ7施設に実施するとともに、往診での中和抗体薬の投与や酸素濃縮装置の貸出しなどの取組を行っている。
あわせて、高齢者施設での追加接種を重点的に進めており、3月中旬には約9割の施設で完了する見込みである。
③ 高齢者用の臨時の医療施設の機能強化について
【質問】
高齢者用の臨時の医療施設をまず50床で運用開始しているが、その機能を強化すべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
重症化リスクの高い高齢者の感染拡大に適切に対応するため、都は、荒川区内の病院跡地を活用して、高齢者等医療支援型施設を開設し、国や運営を担う医療法人と連携して、理学療法士や管理栄養士を配置するなど、高齢者が安心して療養できる環境を整備している。
現在、運用している50床の9割が稼働しており、医療人材の確保に引き続き努め、人工透析患者の受入病床も含め、順次拡大していく。
また、多数の陽性者が発生した高齢者施設への往診や救急隊からの受入れなどに柔軟に対応することで、高齢者等医療支援型施設の機能を強化していく。
④ 発熱外来公表について
【質問】
2月4日の知事への緊急要望で、診察・検査が可能な発熱外来の対応をしている医療機関を全て公表するよう要望。感染者が連日、多数出ている中で、症状が出た人がまずアクセスしたいのが、こうした医療機関の情報。分かりやすく公表すべきだが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
都は昨年9月、公表に同意した診療・検査医療機関のリストをホームページで公表し、10月にはこれらの医療機関情報をマップ化して掲載した。
今般の感染急拡大に伴い、公表した一部の医療機関へ患者が集中したため、本年2月25日から全ての診療・検査医療機関の情報を公表した。
公表に当たっては、かかりつけ患者のみ対応する医療機関もあるため、その旨を明示するなど工夫し、現在、4,228機関を掲載している。
また、絞込み検索機能の充実やスマートフォン用画面の新設などを行い、マップの操作性向上を図っていく。
⑤ 中小企業等の感染症対策の支援について
【質問】
都は、本年3月末まで本事業の申請受付を行うこととしているが、厳しい状況にある中小企業をサポートしていくためにも、4月以降もこの助成金を延長して実施すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
都は、感染拡大防止と経済社会活動の両立を図るため業界ごとのガイドラインに沿って中小企業が換気設備の導入や消毒液の購入などを行う場合、必要となる経費に助成を行ってきた。
今年1月からは、本事業を既に活用した企業も再度の利用を可能とするほか、消耗品の購入助成について、複数の会社のグループだけでなく、1社でも申請できるよう見直しを行った。また、コロナ対策リーダーを配置する店舗への助成額の引上げも加え、3月末まで申請を受け付けている。
現在までに2万4千件を超える取組を支援しており、今後、感染状況の推移を踏まえながら、中小企業が厳しい経営環境に対応できるよう、事業の進め方を検討していく。
⑥ 協力金の審査の円滑化について
【質問】
申請してから相当な時間を要した後に、不支給の結果を受けたのでは事業者も手の打ちようが無くなってしまう。事業者が次の資金繰りの準備など経営上の選択肢を幅広く取れるよう、少しでも早く審査を行い、その結果を伝えることが重要であると考えるが、見解を伺う。
【産業労働局長】
都は、協力金に係る審査を円滑に進めることができるよう、民間の力を活用し、最大で約2,300名が書類等のチェックを行う体制を構築し対応を行ってきた。
審査に当たっては、業務を受託した事業者が担当者に研修を行い、制度やチェックのポイントについての十分な理解のもと、実務を迅速に行うこととしている。
今後は、申請者が協力金の支給対象となることの確認や、それを証明する書類の提出依頼に係る電話連絡等を専門に行う人員を柔軟に増やすことにより、事業者への連絡に要する期間の短縮を図っていく。
こうした工夫を積み重ねることで、審査の円滑化を図り、申請者からの要望に応えていく。
医療・福祉
① 高校生等医療費助成について
【質問】
高校3年生世代までの医療費無償化について、先の代表質問での知事答弁、評価する。その後、令和5年度から3年間、都が10分の10で区市町村を支援することを表明された。今後、全ての区市町村で早期に実施することができるよう、取組を進めるべきだが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
高校生相当年齢を対象とする高校生等医療費助成制度については、事業の実施主体である区市町村から、早期に都の考え方を示すべきとの意見もあり、先週、都として基本的な枠組みを示した。
具体的には、年齢的に接続する義務教育就学児の医療費助成を参考に、都と区市町村の負担は2分の1とし、所得制限や一部自己負担の仕組みも導入する考えである。ただし、全ての区市町村で早期に実施されるよう、令和5年度からの3年間、都の負担を10分の10として区市町村を支援することとしている。
今後、この基本的な枠組みについて区市町村長の会議等で説明するとともに、区市町村のシステム改修経費の内容など、実施に当たっての具体的な課題も含め、区市町村と意見交換を行うなど、丁寧に調整を進めていく。
② 受験生チャレンジ支援貸付事業について
【質問】
一挙に5倍もの対象拡大を図る受験生チャレンジ支援貸付事業にあっては、この際、包括補助の一構成要素という位置付けではなく、別枠での区市町村への事務経費補助とすべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
来年度、受験生チャレンジ支援貸付事業の収入要件の見直しに伴い、申請の大幅な増加が見込まれるため、受付窓口となる区市町村の負担も大きくなることが想定される。
そのため都は、区市町村の窓口経費に対する補助について、体制整備に係る基礎基準額を引き上げるとともに、貸付件数に応じた加算区分を見直すことにより、補助内容を拡充する。
あわせて、これまでの包括補助から単独の補助事業とすることとし、必要な経費を確保している。
③医療的ケア児の通学費支援について
【質問】
令和3年第4回定例会において、保護者が負担している福祉タクシーを利用した際の通学費について支援を求めたが、今後の取組について伺う。
【教育長】
現在、医療的ケアの内容などについて、保護者から学校への引継ぎが完了するまでの間は、保護者の付添いによる通学をお願いしている。
来年度からは、専用通学車両に乗車できるようになるまでの間、福祉タクシー等を利用した場合についても、通学費の支援対象とすることで、医療的ケア児の通学手段の適切な確保と、保護者負担の軽減を図っていく。
④ ケアリーバーへの支援強化について
【質問】
家賃補助の期間を1年ではなく3年に延長すべき。また、退所後3年以内のケアリーバーにも使えるようにすべきだが、見解を伺う。
※ケアリーバー
児童養護施設などで暮らす若者たちの大半が高校卒業とともに施設や里親のもとを離れ、独立することを求められる。このような若者はケアリーバーと呼ばれる。
【福祉保健局長】
都は来年度から、施設退所者等へのアフターケアを強化するため、18歳で措置解除となった方にアパート等を借り上げる施設等に、必要な経費を支援することとしており、なるべく早期に自立を図るため、支援対象期間を1年としている。
事業の実施に当たり、ケアリーバーが自立後に離職するなど困難な状況に陥った場合に対応できるよう、今後の状況も踏まえながら、柔軟な運用を検討していく。
⑤ 保険適用対象疾患の範囲拡大について
【質問】
今年4月の診療報酬改定では、4年ぶりに、重粒子線治療を含む粒子線治療の保険適用の対象となる疾患の範囲が拡大されたが、具体的内容について見解を求める。
【病院経営本部長】
令和4年度診療報酬改定に向けた先進医療の保険導入等の議論を経て、重粒子線治療の保険適用の対象となる疾患には、新たに手術による根治的な治療法が困難な、肝細胞癌、肝内胆管癌、局所進行性膵癌、局所大腸癌、局所進行性子宮頸部腺癌の5つの疾患が加えられた。
保険が適用されることにより、高額療養費制度の利用も可能となるため、患者の経済的負担が大きく軽減されることに加え、患者の治療の選択肢が広がると認識している。
⑥ 最先端がん治療の方向性に関する検討について
【質問】
先の定例会で知事は、重粒子線治療の事業採算性等の検証を含め、最新のがん対策について検討していく、としている。来年度、具体的にどのように検討を進めていくのか見解を求める。
【病院経営本部長】
独法化後の東京都立病院機構に継承される調査検討に当たり、重粒子線治療については他府県の状況や、診療報酬改定等を踏まえた患者数の推計、必要な施設規模等を考慮して採算性の検証を行うとともに、専門人材の必要数、施設の立地等についても検討していく。さらに、がん治療における手術療法、薬物療法、放射線療法の3つの療法及び現在研究中の最先端がん治療について、低侵襲性や生存率の低い疾患への対応などの観点からも検証していく。
こうした検証に取り組むことで、患者の視点に立ちながら、最先端がん治療の方向性を検討していく。
⑦ ドクターヘリの運航開始に当たっての知事の決意について
【質問】
我が党は、重大事故や脳疾患など、1分1秒を争う場合に有効性を発揮するドクターヘリの導入について提案し、知事の英断で、いよいよドクターヘリの運航開始が目前に迫っている。ドクターヘリの運航開始に当たり、知事の決意を伺う。
【知事】
重篤な患者に一刻も早く、適切な医療を提供できる救急医療体制を構築することが重要である。
このため都は、短時間での離陸など機動力が高い小型ヘリを活用したドクターヘリを導入し、救急医療の効率的な提供を実現することとし、本年3月31日から運航を開始する。
今後とも、近隣県と連携を図りながら、都民の安全・安心の確保に向け、救急医療体制の機能強化に取り組んでいく。
⑧ ドクターヘリの概要について
【質問】
ドクターヘリの運航開始により、都民の安全安心が確保されるものとして期待している。改めて、都がドクターヘリ導入に取り組んできたことなど、ドクターヘリの概要について、伺う。
【福祉保健局長】
ドクターヘリは、医師がヘリコプターに搭乗して速やかに患者の元に行き、現場や機内で必要な治療を行いながら医療機関に搬送するものである。
都は、ドクターヘリの基地病院に杏林大学医学部付属病院を選定するほか、協力病院に東京医科大学八王子医療センターと都立多摩総合医療センターを選定し、医師・看護師が常駐して迅速に出動できるよう、多摩航空センターに発進基地を整備した。
また、救急車と合流し、患者を引き継ぐランデブーポイントを99か所確保し、現在、様々な場面を想定した訓練を重ねている。
今後とも、ドクターヘリの有用性が高まるよう、基地病院、運航会社、自衛隊、消防機関などの連携を密にして取り組んでいく。
⑨ 多様な搬送手段への取組について
【質問】
東京消防庁は、東京2020大会開催中、民間団体と協定を締結し船舶による傷病者搬送体制を強化した。多様な搬送の手段として、このような取組を今後も積極的に進めていくべきだが、見解を伺う。
【消防総監】
災害等により多数の傷病者が発生し、救急車が不足する場合や陸路が寸断された場合に、迅速に医療機関へ搬送するためには、搬送体制の多様化が重要である。
このため東京消防庁では、東京2020大会開催期間中の災害に備え、医師等の医療従事者が同乗する民間船舶を有する団体と初めて協定を締結し、傷病者の搬送体制を強化した。
開催期間中、搬送実績は無かったが、事前訓練等を通じて、民間船舶による搬送について課題も見えたものの価値のある知見を得ることができた。
今後も、震災等の大規模災害の発生に備え、民間団体や関係各機関と連携するなど、傷病者の搬送体制の充実強化に努めていく。
⑩ 国民健康保険について
【質問】
今年2月の都の国保運協で公表された確定係数での算定結果では、1人当たり保険料の伸びは前年度比6.2パーセントとなり、仮係数と比較して約3パーセント伸びが抑えられたが、令和3年第4回定例会での質疑も踏まえ、確定係数における算定をどう行ったか、伺う。
【福祉保健局長】
国民健康保険制度では、都道府県は、1人当たり医療費の伸び等を推計し、保険給付の必要総額から国や都の公費を差し引いて、区市町村の納付金総額等を算出することとされている。
都が先月公表した確定係数の算定では、昨年11月の仮算定から、1人当たり医療費の推計を、直近の実績を踏まえて補正し、給付費総額を算出した。
また、診療報酬改定分としてマイナス0.94パーセントを反映したほか、国からは、1人当たり介護納付金と後期高齢者支援金が減額になることが示された。
こうしたことなどから、仮算定から納付金総額は約83億円減少し、1人当たり保険料額は前年度比6.2パーセントの伸びとなったものである。
環境施策
① 都有施設のゼロエミッション化に向けた率先行動について
【質問】
カーボンハーフという高い目標の実現に向けては、都庁自らが、強い意志を持って率先して実践すべきである。既存施設を含め、都有施設の再エネ・省エネ化を徹底的に進めるべきだが、知事の決意を伺う。
【知事】
2030年カーボンハーフを実現するためには、多くのエネルギーを消費する都自身が、「隗より始めよ」の意識の下で、温室効果ガス削減などの取組を一層強化していくことが重要である。
このため、都は、昨年3月に策定した「ゼロエミッション都庁行動計画」において、再エネ電気の利用促進や省エネ・再エネ設備等の率先導入を掲げるとともに、今般、太陽光発電設備の設置目標の大幅な引き上げや、とちょう電力プランの更なる対象拡大を図るなど都有施設のゼロエミッション化を推し進めていく。
「TIMETOACT」、都庁自身が今こそ行動を加速させる時であり、強い危機感を持ち、全庁を挙げて脱炭素行動を進め、都民、企業、行政等あらゆる主体の取組をけん引していく。
② カーボンハーフ実現のための都有施設の率先行動について
【質問】
都有施設のゼロエミビル化達成のため、高いレベルの標準仕様を最新技術の提案を取り入れ早期に定めるべき。最新技術の導入は費用も掛かるが、省エネ・再エネ東京仕様の改定等、都の取組を伺うとともに、改定の狙いを各局に徹底するべきと考えるが見解を伺う。
【財務局長】
都有施設の新築・改築等の際には、標準的に導入する技術を定めた省エネ・再エネ東京仕様を適用し、再生可能エネルギーの利用や省エネルギー化に取り組んできた
ゼロエミッションビル達成のためには、さらなる環境負荷低減を図る必要があることから、東京仕様を見直し、より省エネ化が見込める新たな技術などを反映するとともに、策定中の主要施設10か年維持更新計画においても、環境対策に係る費用を見込んでいく。
改定した東京仕様の活用を各局へ徹底し、一層の省エネルギー化と多様な再生可能エネルギーの利用の推進を図り、都有施設のゼロエミッションビル化に取り組んでいく。
③ 燃料電池バスの導入拡大について
【質問】
都は、燃料電池バスの更なる導入拡大に向け、これまで以上に事業者の意欲を高める工夫を講じていくべきだと考えるが、都の見解を伺う。
【環境局長】
都はこれまで、バス事業者に対し導入費用を軽減する支援を行ってきたが、車両価格が高いことや営業所の周囲に水素ステーションがないなどの課題もあり、更なる導入を逡巡する事業者も多い。
このため、都は来年度新たに、バス事業者等が5年で5台以上の導入計画を提出する場合や、営業所等に水素ステーションを整備する場合、国と合わせて約8千万円の従来の補助に、都単独で最大2千万円を上乗せし、バス導入経費の自己負担分をおおむねゼロにする。
また、バス対応水素ステーションの整備促進のため、補助上限額を引き上げ、自己負担をなくすことで、事業者の導入意欲を更に高めていく。
こうした施策を一気に推し進め、燃料電池バスの大幅な導入を図り、運輸部門の脱炭素化を推進していく。
人権
① パートナーシップ宣誓制度について
【質問】
制度の開始に向けて、当事者の声をできるだけ反映すべきである。そこで、今回の素案策定にあたり、性的マイノリティ当事者の思いをどのように制度に込め、この制度構築により、どのような都市を目指していくのか、知事の見解を伺う。
【知事】
インクルーシブシティ東京の実現に向け、性的マイノリティの方々が、自分らしく暮らせる環境づくりにつながるよう素案策定に当たって、様々な観点から検討を行った。
まず、対象者については、近隣県からの通勤・通学者が多いという東京の実態を踏まえ都民のみならず、在勤、在学の方も対象とした。
また、意図せず性自認や性的指向を知られてしまう、いわゆるアウティングへの対策に万全を期すため、当事者のデジタル環境が整っていない場合などを除き、手続をオンラインで完結する仕組みを全国で初めて導入する。
加えて、証明書発行後も、メール等により、都の施策に関する情報提供を行うとともに、生活上の困りごとを伺うなど、つながりを持ち続けられる制度とする。
現在実施しているパブリックコメント等を踏まえ、本年秋の運用開始に向け、制度を構築し、誰もが自分らしく生きられる共生社会の実現を目指していく。
② 都職員の待遇改善について
【質問】
パートナー関係にある性的マイノリティの都職員に対する待遇改善について見解を伺う。
【総務局長】
都職員が性自認及び性的指向にかかわらず活躍できるよう、職場環境を整備することは重要である。
そのため、都は、パートナー関係にある性的マイノリティの職員に対する福利厚生制度等の適用に関して、国や他団体の状況等を注視しつつ、根拠となる法令との整合性について整理を進めてきた。
今後、今回策定した「東京都パートナーシップ宣誓制度」の素案も踏まえ、地方公務員法に基づく国や他団体との均衡の原則や、福利厚生制度の目的・趣旨を考慮しつつ、受理証明書の活用を含め、具体的な見直しを検討していく。
③ 都の行政サービスへの制度適用について
【質問】
都職員の福利厚生だけでなく、都営住宅の入居をはじめ、都の様々な行政サービスについても、この制度が適用されるよう十分な配慮が必要である。都の取組について見解を伺う。
【総務局長】
パートナーシップ宣誓制度の目的の1つである、性的マイノリティ当事者の困りごとの軽減など、暮らしやすい環境づくりにつなげるためには、都の行政サービスにおいて、受理証明書の活用を図っていくことが重要である。
このため、当事者からのニーズが高い、住宅や医療等の分野を始めとした行政サービスについて、国の法令により対象者が規定されているもの等を除き、幅広く証明書が活用できるよう検討している。
これまで各局とは、それぞれの所管事業における受理証明書の活用や、実施に当たっての課題整理など、検討を進めている。
今後も引き続き、各局と精力的に調整を図っていく。
④都 営住宅におけるパートナーシップ宣誓制度の活用について
【質問】
公表中の「東京都パートナーシップ宣誓制度」素案では、都が提供する都民向けサービス事業について、受理証明書を保有する方が活用できるよう検討するとしているが、とりわけ、都営住宅への入居に関して活用を図るべきだが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
パートナーシップ宣誓制度導入の趣旨を踏まえ、都営住宅への入居に当たっても、受理証明書が活用できるようにすることが必要である。
このため、都は現在、同様の制度を導入している他の自治体における公営住宅への入居資格の確認方法等について、調査を行っている。
今後、こうした調査の結果やパートナーシップ宣誓制度構築の検討状況を踏まえ、関係局と連携を図りながらパートナー関係にある性的マイノリティの方々が証明書を活用して、都営住宅への入居が可能となるよう、管理制度等における取扱いについて検討を進めていく。
⑤ 政策連携団体職員の待遇改善について
【質問】
都の職員とあわせて、性的マイノリティのパートナーである政策連携団体の職員の待遇改善についても進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。
【総務局長】
都庁グループの一員である政策連携団体においても、多様な性に関する職員の理解を促進し、性的マイノリティの当事者を含めた職員一人ひとりの人権が尊重されることが重要である。
このため、都は政策連携団体に対してパートナーシップ宣誓制度の意義等について十分な周知を行い、職員の意識向上を図るとともに、都における福利厚生制度の見直しの状況も踏まえながら、団体の制度整備を促していく。
スポーツ施策
① パラアスリートへの支援について
【質問】
大会の成果が実感される今、それを今後のパラスポーツの振興につなげていくためにも、東京ゆかりの選手が世界の舞台で活躍し続けることが重要である。大会後も、選手強化の手を緩めることの無いようしっかりと支援をしていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【オリンピック・パラリンピック準備局長】
東京2020大会後も一層パラスポーツを盛り上げていくためには、世界を目指すアスリートの活躍を支援していくことは重要である。
都はこれまで、国際大会への出場が期待される東京ゆかりの選手に対して、競技用具等の購入・修繕費に加え、海外遠征費等、選手の競技力向上に資する活動に対して支援を実施してきた。
来年度はこれに加え、パラスポーツにおいて必要不可欠な、ガイドランナーや競技アシスタントなど、選手を支えるスタッフに対しても、国内外の大会参加等に伴う経費を支援する。
こうした取組を通じて、国際大会で活躍する東京ゆかりの選手の競技力向上を後押ししていく。
② スポーツを通じた被災地支援について
【質問】
復興オリンピック・パラリンピックのレガシーを着実に残していくためにも、今後、スポーツを通じた被災地支援にどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺う。
【オリンピック・パラリンピック準備局長】
都は、東日本大震災直後から、スポーツの持つ力で被災地の復興を後押ししてきた。具体的には、被災地の子供たちを東京に招待し、東京の子供たちと交流試合を行うスポーツ交流事業や、東京マラソン10キロの部への被災県高校生の招待など、様々な事業を実施してきた。
来年度からは、被災県と連携し、復興の進む東北をフィールドに、都民と被災県の方々が、現地でスポーツ交流をする事業を展開する。
また、大会1周年の機会を捉えて実施する記念事業に被災地の子どもたちを招待し、大会の感動や記憶を共有することなどにより、今後も、都と被災地との交流を一層深め、その絆を未来に継承していく。
共生社会
① 動物愛護相談センターの整備に向けた取組について
【質問】
令和4年度予算案に、新たなセンター整備に向けて、具体的な検討を進めるための経費を盛り込んだ。新たなセンターを早期に実現すべきであり、また、シェルター機能のついた施設を実現する必要がある。センター整備の実現に向けた取組について、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
都は、人と動物との調和のとれた共生社会を実現するため、普及啓発や動物譲渡の取組などを進めており、動物愛護相談センターはその中核を担う施設である。
センターの整備に当たっては、必要な機能の確保や利便性、業務の効率性などを勘案するほか、より親しみやすく、身近なものとして、動物愛護の取組を都民とともに推進するための施設とすることが重要である。
来年度は、ボランティアや獣医学の専門家等で構成する委員会を新たに設置し、施設像や機能を具体的に検討することとしており、検討結果はセンターを動物との共生を推進する拠点として整備するために活用していく。
② 動物の不適正飼育に対する取組について
【質問】
動物の虐待を防いでいく方策として、動物の緊急一時保護、所有権の一時的な停止を可能とすることも必要ではないか。動物の不適正な飼育を早期に解決するため、どのように取り組むのか、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
現在、不適正な飼養管理が行われている動物を自治体が保護できる法の規定がなく、飼い主が所有権を放棄する必要があるため、都は昨年5月、九都県市首脳会議を通じ、必要な法整備を行うことを国に要望した。
また、不適正な飼養に関する情報を最初に探知することが多い区市町村にリーフレットを配布し、早期発見への協力を依頼するとともに、解決が困難な事例について情報交換している。
今後、動物の不適正な飼養を早期に解決できるよう、区市町村とともに事例を検証し、関係機関の円滑な情報共有について検討していく。
③ 獣医学の専門家との連携について
【質問】
虐待を受けて保護されることも多い保護施設においては、シェルターメディスンという新しい専門分野の考え方を積極的に取り入れていくことが必要。都の動物施策にこうした獣医学の専門家の知見を取り入れ、十分な連携を図っていく必要があるが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
引取・収容した動物の飼養管理に当たっては、動物福祉を考慮する必要があることから、動物愛護相談センターでは、獣医系大学の専門家に助言いただき、適切な健康管理や問題行動への対応などを行っている。
また、大学から講師の派遣を受け、災害時における動物の救護等についてのシンポジウムを開催している。
今後とも、獣医学の専門家と連携し、その知見を踏まえながら動物愛護施策を推進していく。