都議会公明党を代表し、令和3年度一般会計補正予算をはじめ、知事提出及び議員提出議案の全議案に賛成する立場から討論を行います。
最初に、ロシアによるウクライナへの軍事進攻は、2度の世界大戦を経験した国際社会が、多大な犠牲の上に作り上げてきた今日の世界平和の国際秩序を根幹から揺るがすものであり、厳しく糾弾されるべき暴挙であります。また、ロシアのプーチン大統領は、核抑止部隊に対して「特別警戒」を命令しました。核兵器使用につながる一連の行動は、唯一の被爆国である我が国として、絶対に許すことができないものであります。
よって、今定例会に提出されている「ウクライナからのロシア軍の即時撤退と速やかな平和の実現に関する決議」は直ちに可決し、都議会の断固とした意思を明確に示すべきと考え、共同提案者となりました。
次に、第107号議案、令和3年度東京都一般会計補正予算(第18号)、第112号議案、令和3年度東京都一般会計補正予算(第19号)について申し上げます。
令和3年度最終補正予算では、条例の規定により、財政調整基金の義務積立を行うとともに、予算の執行過程における歳出の精査などにより、特定目的基金の残高確保へとつなげた結果、令和3年度末の基金残高は1兆5,505億円、うち財政調整基金残高は3,521億円となる見込みです。
しかしながら、コロナ禍での基金活用の実績を踏まえれば、この基金残高では、現状では財政面の備えが弱いと言わざるを得ません。中長期を見据えながら、有事への備えなどの観点から、基金の残高確保に努めるなど、持続可能な財政運営に向けた取組を進めるよう求めます。
次に、第36号議案、東京都組織条例の一部を改正する条例に関し、生活文化スポーツ局の設置について申し上げます。
都民安全推進本部が新たに設置される生活文化スポーツ局に統合されることから、芸術や文化、教育やスポーツなど多角的な観点から若者施策が一層推進されることを望みます。
関連して、令和3年4月に施行された東京都こども基本条例では、子供施策を総合的に推進することを都の責務と定めています。都議会公明党は、その推進体制として、こども局の設置を求めてきましたが、児童虐待への対応など、事業局が長年培ってきたノウハウをすぐに切り離すことは難しい側面もあることから、政策企画局に「子供政策連携室」を設けることは現時点では妥当な対応であると考えます。今後とも、「こども局」の設置に向けて、積極的に検討を進めるべきことを求めます。
また、都議会公明党は、「未来の東京」戦略に位置付けた住宅政策を進めるため、住宅政策本部を「住宅局」へと強化するべきと求めてきましたが、今般、住宅政策本部の中に民間住宅部門と企画部門が新設されることは、一歩前進であると評価します。すまいの安定や住環境の改善こそ、すべての福祉施策の根幹であります。都営住宅をはじめ、各種公的住宅の適切な戸数と質の確保、住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティネット住宅制度の更なる充実など、誰もが安心して居住できる骨太な住宅政策を進めるべきことを改めて強く要望します。
次に、幼稚園教諭等の処遇改善に係る都独自補助の増額補正についてです。
国は、本年2月から、私学助成を受ける私立幼稚園に対して、教員等の収入引き上げを目的とする「幼稚園の教育体制支援事業」を開始いたしました。しかし、国事業は学校法人立の幼稚園のみが対象で、個人立や宗教法人立等の幼稚園が対象外となっていたことから、それらの園を対象に都独自で国と同様の支援を実施することを高く評価します。
執行にあたっては、多様な園の運営を尊重しながらも教諭の処遇改善の実効性を確保するとともに、補助金の申請や審査に当たっては現場の事務負担に十分配慮することを求めます。
次に、新型コロナ感染で大きな打撃を受けている観光関連事業者への支援についてです。
都議会公明党は、地元企業などから受注する団体旅行を主に取り扱っているような小規模事業者にとって大変厳しい状況が長期化していることから、都が「新たなGO TOトラベル事業」の制度を構築するにあたっては、小規模事業者にも効果が行き渡るよう施策を展開するべきだと要望しました。また、感染拡大が収束をみずに当該事業を実施できない場合には、都としては、「新たなGO TOトラベル事業」に代わるような都独自の支援策を実施し、観光関連事業者を支援するべきです。
次に、第90号議案から第94号議案までの工事請負契約案件についてです。これらは、都営住宅工事、都立高校の改修工事など、都民生活を守るセーフティネットの維持、防災対策の推進の観点から、必要不可欠な工事であり、着実な実施を強く求めます。また、都営住宅工事にあたっては、居住者が快適に暮らせるよう、利用者の声にしっかりと耳を傾け、都民ニーズに沿った工事となるよう求めます。
最後に、議員報酬の2割削減については継続すべきです。
都議会公明党は、今後の予算審議等を通じ、都民の命や暮らし、安全・安心を守り、誰一人取り残すことのない持続可能な都市の実現に向けて全力を尽くしていくことをお誓いし、討論を終わります。