大松あきら議員の本会議(9月29日)一般質問

文化振興

 芸術文化による共生社会の構築への取り組みについて

【質問】

都は6月、「だれもが文化でつながる国際会議」を開催した。この国際会議で得られた知見を生かし、芸術文化による共生社会の構築への取り組みを更に進めていくべきであるが、知事の見解を伺う。

【知事】

芸術文化は、人々に喜びや感動をもたらすとともに心と心を通わせ、あらゆる人々をつなぐ大きな力を持っている。

東京2020大会を通じて得られた多様な価値や一人ひとりの個性を認め合える社会への歩みは、都の貴重な財産となった。こうしたレガシーを芸術文化においても継続・発展させるため、この夏、共生社会の実現を目指し「だれもが文化でつながる国際会議」を開催した。

世界各国の第一人者が集まり、テクノロジーを活用した障がい者への鑑賞サポート等、様々な先進事例を共有した。さらに、認知症の方の創作体験や、家に居ながら美術館のアートを鑑賞できる分身ロボットの展示など、優れた技術や取り組みを発信することができた。

今後、東京がネットワークの中心となって芸術文化による共生社会の実現に向けた取り組みを世界に広げ、東京をダイバーシティ・インクルージョンを先導する都市へと発展させていく。

 映画人材の育成支援について

【質問】

都は、更に優れた映画人を輩出し、世界の文化都市・東京の存在感を高めるために、映画の振興に向けて、人材育成事業を充実していくべきだが、都の見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

映画の振興のためには、監督やプロデューサー等の創造活動を支援し、育成を図ることが重要である。都は、ベルリン国際映画祭と提携し、世界で活躍できる映画人材の育成事業タレンツ・トーキョーを実施している。

この事業に参加した早川千絵監督は、本年のカンヌ国際映画祭で新人監督賞の特別表彰を受けた。また、他の修了生もヴェネチア国際映画祭でノミネートされるなど、世界で評価される人材が輩出され、これまで積み重ねてきた育成事業の成果が表れてきている。

今後は国際映画祭に派遣し、人脈を広げるための支援など、若手の映画人材が世界で活躍できる取組を進め、東京のプレゼンスを高める映画の振興につなげていく。

教育

 教員の海外派遣研修について

【質問】

次年度以降、感染状況などを見極めながら渡航を再開し、現在、実施されているオンライン研修も内容や方法を工夫しながら、今後、現地での研修に生かしていくべきである。都教育委員会の見解を求める。

【教育長】

コロナ禍において、海外への派遣研修の代替として、昨年度からは、オンラインを活用し、海外の大学の教員からリアルタイムで講義を受講する研修や、オンデマンドによる研修を実施している。

また、今年度は昨年度の取り組みに加え、オンラインによる現地校の授業視察や、現地教育機関から受講者への講義内容に関する指導・助言等の機会を設ける等、研修内容の充実も図っている。

今後は、渡航の再開も見据えながら、従来の海外渡航による体験的な研修に、これまで蓄積したオンライン研修のノウハウも取り入れ、研修の効果を一層高めていく。

 児童・生徒の国際交流の推進について

【質問】

都内公立学校における児童・生徒の国際交流を一層推進していけるよう、都教育委員会が支援を充実させていくべきだが、見解を伺う。

【教育長】

広い視野や国際感覚、多様な人々と協働する力を身に付け、グローバルに活躍する人材を育成するためには、体験的な国際交流を推進していくことが重要である。

都教育委員会は、これまで10の国や地域と教育に関する覚書を締結し、交流校の開拓等を行うとともに、今年度都立学校72校を推進校に指定し、語学研修や留学生の受入等、各学校の取り組みを支援している。

また、都内の公立学校に対しては、国際交流コンシェルジュによるワンストップサービスを通じ、在京大使館との交流等、体験活動を支援している。

こうした取り組みにより、学校の相互訪問や国際交流活動等を支援し、児童・生徒の交流を一層推進していく。

 全国大会等の出場に係る支援について

【質問】

都教育委員会は選手の旅費などの一部を補助していますが、今後は、都立学校の運動部員が全国大会などに出場する場合、補佐する生徒にも支援を広げるべきである。都教育委員会の見解を求める。

【教育長】

運動部活動の生徒が全国大会等に出場した際、練習で培った力を十分に発揮できるようにするために、安全管理や技術指導等を行う顧問教諭に加え、遠征先での選手のコンディション管理、練習相手、競技用具の準備等、総合的に選手をサポートする生徒が重要な役割を果たしている場合があると認識している。

このため、全国大会等で選手が身体的・精神的に最高の状態を維持できる環境を整えられるよう、選手を補佐する生徒への支援の在り方についても検討していく。

人権

 職場での性的マイノリティの方への理解促進について

【質問】

事業者や従業員が多様な性について正確な知識を得られるよう、啓発動画などをスマートフォンなどで手軽に視聴できるようにするべきである。また、職場の環境づくりに関して専門家が現場に赴くなどして、相談に応じられるような支援が必要である。都の見解を求める。

【産業労働局長】

誰もが働きやすい職場を実現する上で、事業者や従業員が性的マイノリティの方に関する正しい知識を得て理解を広げることは重要である。

都では、職場での性自認及び性的指向に関する課題について、労働相談を行うほか、事業者向けのセミナーを開催している。

今後は、職場における性的マイノリティの方々への理解を効果的に広げるため、人事担当者や従業員向けのオンラインによるセミナーを実施するほか、事業者に専門家を派遣し、会社の状況に応じた助言を行っていく。

こうした取り組みを通じて、誰もが働きやすい職場づくりを支援していく。

 性的マイノリティの方々の相談について

【質問】

性的マイノリティの方への心理面のサポートは極めて重要であり、都は現在、SNSを活用した相談事業を行っている。大変評判は良いが、繋がりにくいという声が寄せられている。SNSの相談事業の体制を拡充すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【総務局長】

当事者の中には、周囲の無関心・偏見等の中で、学校、職場など様々な場面で困難に直面しているにも関わらず、誰にも相談できず、一人で悩みを抱えている方々も少なくないと認識している。

このため、都では、当事者の方々の悩みや不安の解消につながるよう、電話とSNSによる専門相談を実施している。このうち、SNSによる相談については、令和2年度に週2回で開始し、令和3年度からは週3回に拡充したが、時間帯によっては、待ち時間が生じているケースもある。

今後は、一人でも多くの方の相談を受けられるよう、現在の受付状況や相談体制を検証し、混雑する時間帯を予め周知するなど、様々な工夫を凝らしていく。

 ヘイトスピーチへの取り組みについて

【質問】

ヘイトスピーチは断じて許されない。この気風をつくっていく啓発に更に取り組み、繰り返されるヘイトスピーチの解消を目指していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【総務局長】

誰もが認め合う共生社会を実現するためには、東京に集う全ての人々の人権が尊重されることが重要である。

都では、人権尊重条例に基づき、都民等からの申出を受け、本邦外出身者に対する不当な差別的言動、いわゆるヘイトスピーチと認められる表現活動の概要を公表している。また、啓発冊子、動画、SNSやデジタルサイネージ等を活用した広報活動により、広く都民への意識啓発に取り組んでいる。

引き続き、国や区市町村とも連携しながら適切に制度運用を図るとともに、様々な媒体を通じて、ヘイトスピーチは決して許されるものではないというメッセージを発信するなど、ヘイトスピーチの解消に向け取り組んでいく。

大規模水害対策

 広域避難対策の更なる推進について

【質問】

広域避難先となる場所、そして運営を担う要員の確保を関係区市町村と連携し、計画的かつ速やかに進め、その見通しを明らかにするべきと考えるが、都の見解を伺う。

【総務局長】

いつ起こるとも知れない大規模風水害に備え、広域避難先施設や開設運営要員の確保など、避難体制の具体化を迅速かつ着実に進めていくことは極めて重要である。

このため都は、広域避難先として現時点で、国や民間の6施設と協定を締結するとともに、オリンピックセンターを想定した開設運営マニュアルを取りまとめた。

今後は、関係区と連携し、広域避難先の更なる確保に向け、大学の施設や収容キャパシティのあるホール等への働きかけを強化していく。また、区の職員に加え、都職員の派遣や民間事業者の協力等により運営要員を確保するなど、開設運営体制の更なる具体化を図っていく。

こうした取り組みを通じて、大規模風水害時における広域避難対策の実効性を一層向上させていく。

 水害時の都立施設の更なる活用について

【質問】

大規模水害の発生が切迫し、広域避難が始まった時点で、一人でも多くの避難者の安全を確保できるよう、広域避難所として活用する都立施設を増やし、その運営ルールを具体化していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【総務局長】

大規模風水害時の広域避難先の確保に当たっては、国や民間の施設に協力を働きかけるとともに、都立施設を積極的に活用していく必要がある。

このため都は、浸水想定区域外にある大規模施設を中心に、利用可能な都立施設については活用を原則とし、各施設管理者等と活用に向け調整を進めている。

今後は、関係区と緊密に連携を図りながら、各施設の広域避難先としての開設運営マニュアルの整備を進めていく。また、国・民間施設による避難先の確保の状況なども踏まえ、必要に応じて、中小規模の都立施設についても広域避難先としての活用を検討していく。

こうした取り組みを通じて、大規模風水害時の広域避難先の確保を着実に進めていく。

羽村大橋の整備

【質問】

道路幅が狭く、羽村市側の奥多摩街道との交差点で、朝夕のラッシュ時に慢性的な渋滞が発生している。

羽村大橋の上流側部分の整備を早期に進めるとともに、奥多摩街道との交差点部分を改良し、渋滞の解消を急ぐべき。都の見解を伺う。

【東京都技監】

羽村大橋は、羽村市川崎とあきる野市草花を結ぶ多摩川を渡る橋梁であり、地域住民の生活や産業の振興に欠かすことのできない重要な社会基盤である。

現在の橋梁は幅員が狭く、周辺の開発の進捗に伴う交通量の増加により、頻繁に渋滞が発生している。

このため、既設橋梁の上流側へ橋梁を増設することとし、これまで設計作業を進めてきた。

現在、工事用搬入路の確保に向け、地元市と調整を進めながら河川管理者や交通管理者との協議などを実施しており、引き続き、関係機関の理解と協力を得ながら、工事着手に向けて取り組んでいく。

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