都議会公明党を代表し、知事提出の全議案に賛成の立場から討論を行います。
はじめに、令和2年度一般会計補正予算案について申し上げます。
我が党は、新型コロナ対策のさらなる強化を図るため、8月31日、知事に新たな補正予算編成を求める緊急要望を行いました。
要望に応え知事は、コロナ対策としては今回で9回目の補正予算を編成し、高齢者・障がい者施設などにおけるPCR検査等への支援や、無利子・無保証料の制度融資目標額の引き上げなど、我が党が申し入れてきた施策が随所に盛り込まれました。同時に、財政調整基金の取り崩しを極力抑制するなど、財政運営にも配慮された補正予算であり、評価するものであります。
次に個別の事項について申し上げます。
まず、感染防止対策についてであリます。
PCR検査について我が党は、特に重症化リスクが高く、クラスター化しやすい高齢者施設や障がい者施設などの職員や入所者に対し、公費による定期的なPCR検査の実施を求めてきました。
我が党の代表質問において、施策の実施に当たっては、保健所に負担をかけずに各施設が検査を実施できるよう支援するとともに、陽性者が発生した場合、施設運営に支障が出ないように対策を講じるべきであり、さらに、事業の対象となっていない地域密着型特養や認知症グループホームについても、区市町村とも連携して対象とすべきことを訴えました。
これに対し知事は、民間検査機関を紹介し、保健所の負担軽減に配慮すること、陽性者が判明した場合に備え、情報提供や、広域的な支援体制の構築を行うことを明らかにするとともに、小規模特養や重度障がい者の通所施設等についても、都が必要な経費を全額補助することを明らかにしました。
また、家族が感染した場合に備え、在宅の要介護者を迅速に受け入れる体制を整備することが必要であり、整備に当たっては、区市町村との連携が不可欠であることから、財政支援だけでなく都の積極的な支援の必要性を指摘しました。
これに対し都は、区市町村に1,000万円を上限に全額を支援するとともに、モデル事例の共有や、複数の自治体が共同で実施する場合の調整などを行うことを明らかにしました。
こうした重層的な取組により、感染防止対策に万全を期していただくことを改めて強く求めます。
「東京iCDC」については、インフルエンザとの同時流行に備え、専門家ボードが優先的に検討する分野と、そのための体制を明確にした上で、迅速に対応すべきことを指摘し、知事は専門家ボードからの提言を踏まえ、速やかに施策の具体化を進めることを明らかにしました。
また、高齢者へのインフルエンザワクチン補助と同様に、肺炎球菌ワクチンの予防接種補助を求めたことに対し知事は、接種率の更なる向上を図る取組が必要であるとの積極的な認識を示しました。
都内の複数の保健所では、国のアプリ「COCOA」の通知を受けた都民からの相談に追われ、他の業務に支障が出ています。我が党はワンストップのコールセンター設置の必要性を指摘し、これに対し都は、関係機関と調整した上で、10月中には開設する予定であることを明らかにしました。
この他、多摩地域の保健所能力を検証し、保健所のあり方を検討すべきこと、保健所業務の負担軽減に向けた陽性者の輸送業務の委託化などを提案し、いずれも都からは前向きな答弁を得ました。
我が党の様々な提案が着実に実現につながるよう、しっかりと取り組んでいただくことを強く求めます。
中小企業や小規模事業者の資金繰り支援では、我が党の緊急要望を受けて無利子・無保証料の融資の目標額を引上げたことは的確な対応として評価するものであります。しかしながら事業者を取り巻く状況は深刻です。来年3月まで融資期間を継続すべきことを求めたところであり、これに対し都は、更なる継続を含め必要な支援を行う考えを明らかにしました。柔軟な対応を改めて強く求めます。
新型コロナウイルス感染症対策条例改正案については、条例改正の目的や趣旨について、都民・事業者の更なる理解促進を図る必要性を指摘しました。
これに対し知事は、様々な機会を通じて、わかりやすく発信を行う考えを明らかにしましたが、引き続き、適切な情報発信に努めていただくことを強く求めるものであります。
次に、デジタル・ファースト条例について申し上げます。
我が党は、これまで都庁の申請手続きの98%に及ぶ169項目について、早急にデジタル化を進めていくことを強く求め、我が党の求めに応じ、構造改革プロジェクトがスタートしました。先の代表質問では、都民サービスを飛躍的に向上させるため、さらに取組を加速させ、一刻も早く行政手続きのデジタル化を実現すべきことを求めました。
これに対し知事は、都政のクオリティ・オブ・サービスの飛躍的な向上に向け、全庁一体となって取り組む考えを明らかにしました。強力な推進を強く要望いたします。
このほか、都営住宅の申し込み手続きのオンライン化や工事関係書類の電子化などを求めました。
これに対し都は、いずれも前向きに取り組む考えを明らかにしましたが、迅速に進めていただくよう強く求めるものであります。
次に、防災対策について申し上げます。
代表質問において、海抜ゼロメートルの東部低地帯にとって喫緊の課題である高台まちづくりについて、本年1月に設置した「災害に強い首都『東京』の形成に向けた連絡会議」で速やかに議論を進め、事業化をすべきことを提案しました。これに対し知事は、年内にも具体的な方策を取りまとめる考えを明らかにしました。速やかな事業化に向けて、国や地元区とも連携しながら、しっかりと取り組むべきことを強く求めます。
次に、障がい者福祉施策、子育て支援策について申し上げます。
特別支援学校において人工呼吸器を使用する子どもの保護者付き添いをなくし、看護師による管理に移行すべきことなどを指摘し、都からはいずれも前向きな答弁を得たところであります。
多胎児支援については、我が党の提案により、双子ベビーカーを折りたたまずに都バスに乗車できる取組が9月14日から試行的に開始されたことを高く評価するとともに、これまでの取組と今後の周知について確認しました。
このほか、多胎児を育てる家庭への支援や、保育人材の確保に向けた宿舎借り上げ事業の継続について提案し、都からは前向きな答弁を得たところであります。今後とも、子育て支援策の充実に向けた取組を全力で進めていただくよう強く求めます。
次いで、小中高一貫教育校の設置について申し上げます。知事は本会議初日の所信表明において、令和4年度に公立として全国で初めて小中高一貫教育校の設置を発表しました。この問題は、猪瀬知事の時代に一度検討されましたが、反対の声もあり、その後、再度検討することになりました。
反対の声としては、小中校一貫教育校は、小学生のうちから優秀な生徒だけを選抜するというエリート教育を行うことにつながり、多くの生徒、子供たちに教育の機会を平等に提供することを目的とする公立学校にはなじまない、ということでありました。
さらに小中高一貫教育校は既に私学において実施されているものであります。したがって今回の小中高一貫教育校の設置については慎重に検討すべきであると申し上げておきます。
今後、都税収入の減少が予想されるなかでも財源を確保し、施策が後退するようなことがあってはなりません。
新型コロナウイルス感染症対策の補正予算において今回初めて、都は1,473憶円の起債を発行致しました。補正予算の総額は1兆6,358億円で、うち制度融資の預託金は5,393憶円であります。この預託金は3年から5年で返還されます。起債の償還期限が5年から10年であることを考えれば、今後の補正予算の編成においては、こういった預託金の返還状況を鑑みて起債を発行し、財源に充当すべきであると申し上げておきます。
議会運営についても私たち都議会公明党は、「議員報酬の2割削減」「政務活動費の月10万円減額」「費用弁償の廃止」「20台あった庁有車を7台に大幅に削減」などの“身を切る改革”を推進し、この4年間での削減総額は約27億円となりました。今後も議会改革を進めていく決意です。
都議会公明党は、感染拡大防止と経済社会活動の両立を図るため、現場の声にしっかりと耳を傾け、都民や事業者のいのちと暮らしを守るという強い決意の下、全力を尽くしていくことをお誓いし、討論を終わります。