子育て支援
① 幼児教育・保育の充実について
【質問】
都が令和5年度、非認知能力(社会性)の育成に役立つ集団保育を、保護者の就労の有無にかかわらず、希望に応じて提供することを評価する。
都議会公明党の粘り強い取り組みが実り、幼児教育、保育の分野での歴史的な転換点ともいえる今回の新規事業に結びついたものと考える。
「乳幼児期の子育ち」を、「こども未来アクション」のリーディングプロジェクトに位置付けた知事に、非認知能力の育成に向けた今後の取り組みについて見解を求める。
【知事】
幼児教育・保育の充実についてであるが、時代の変化はますます激しく、不確実性が増す中、既存の価値観やロールモデルに頼るのではなく、新しい価値を創造していくことが求められている。
AI化の進展などにより、今後、仕事の内容も大きく変化を遂げる中で、自己肯定感や社会性といった非認知能力をいかに育み、子供たちが自らの力で未来を切り拓く力を伸ばしていくかが重要になってくる。
お話の「見守る保育」のように、乳幼児期から子供同士が自然に交わることは、子供の主体性・共感性を高め、生涯にわたる人格形成の土台となっていく。
こうした思いから、乳幼児の非認知能力の醸成に資するプログラムを策定する。また、保護者の就労等の有無にかかわらず、幼稚園・保育所等で乳幼児を定期的に受け入れる仕組みを創出していく。
これらの取り組みを展開していくことで、全ての乳幼児の「伸びる・育つ」を応援していく。
② 待機児童数が多い地域での取り組みについて
【質問】
この新規事業は、待機児童数の多い地域の子どもにも提供されるべき内容で、都はどの地域でも推進が可能となるよう支援すべき。加えて、多くの関係者が先進的事例に触れて自らの実践の場で工夫できるよう丁寧に推進を図るべき。併せて都の見解を伺う。
【福祉保健局長】
乳幼児の多様な他者との関わりについてであるが、子供たちが、他者との関わりの中で、非認知能力の向上など、健やかな成長を図られるよう、都は令和5年度から保護者の就労等の有無にかかわらず、保育所等で児童を預かる取り組みを開始する。
本事業では、保育所等が空き定員だけでなく、余裕スペースも活用して児童を受け入れられるよう改修費等も補助するほか、先進的な実践事例を分かりやすく具体的に紹介するなど、より効果的な取り組みに向け支援する。
今後、保育所等がそれぞれの状況に応じて、できるだけ多くの子供に他者と関わる機会を提供できるよう、区市町村と連携して事業を推進していく。
スポーツ振興
① デフアスリートの支援について
【質問】
都は今後、大会の気運向上に向けて、障がいを乗り越えて競技に挑むアスリートの活躍を支援していくべきと考えるが、都の積極的な支援について、見解を伺う。
【生活文化スポーツ局長】
デフアスリートの支援についてであるが、聴覚障害者のスポーツを含め、パラスポーツの裾野拡大と関心向上のためには、アスリートが国際大会で活躍できるよう、競技力を向上させることが重要である。
都はこれまで、国際大会に出場が期待される東京ゆかりのパラリンピック競技のアスリートに対し、海外遠征費や競技用具の購入費等、競技活動の支援を実施しており、令和4年度からデフリンピック競技等のアスリートも対象に加えた。令和5年度は支援するデフアスリートの規模を拡大するほか、支えるスタッフへの支援も充実していく。
こうした取り組みを通じ、引き続き、競技力向上を含め、デフスポーツの振興を図っていく。
② 働き盛り世代等の健康に関する情報収集と施策への活用について
【質問】
都は、運動能力や健康状態の推移を記録するPHR(パーソナルヘルスレポート)の推進を図る、国やヘルスケア団体と連携し、働き盛り世代や元気高齢者などを対象に、スポーツや運動の中長期的な施策を検討すべきと考えるが、見解を求める。
【生活文化スポーツ局長】
働き盛り世代等の健康に関する情報の収集と施策への活用についてであるが、これらの世代に向けた施策の展開に当たっては、運動傾向や体力等の現状を把握し、正確なデータの蓄積を図っていくことが重要である。
また、都民一人一人にとっても、自身の体力等を測定し、自分に合った運動方法などを知ることは、健康への関心を高め、スポーツに親しむきっかけづくりとなる。
こうしたことから、都が主催するスポーツイベント等において、都民が身近なところで体力測定を行う機会を提供するとともに、地域のスポーツ資源であるフィットネスクラブ等との連携も図りながら、蓄積されたデータを分析し、今後の施策に反映していく。
③ アーバン・フィットネス事業の拡充について
【質問】
アーバン・フィットネス事業の効果を、更に広げていくため、都が主体となるだけでなく、区市町村も主体となって実施できるよう、都はノウハウの提供や費用などの点で支援するべきと考えるが、見解を求める。
【生活文化スポーツ局長】
アーバン・フィットネス事業の拡充についてであるが、都は、令和3年度から、主に働き盛り世代の継続的な運動実施に繋げることを目的として、オフィス街等でフィットネスマシンの体験や健康状態の測定等を行うアーバン・フィットネス推進事業を開始した。
令和4年度は、開催場所の拡充に加え、体験メニューを増やすなど内容を充実させ、多くの都民に参加いただいた。
今後は、更に多くの都民がより身近な地域でも参加できるよう、区市町村に対して、都がこれまで蓄積したノウハウを提供するとともに、補助制度による支援などを通じて、区市町村の取り組みを後押ししていく。
都立舎人公園のプレイグラウンドの早期改善について
【質問】
都立舎人公園内のサッカー利用では、陸上競技場のフィールドでの試合のほかに、プレイグランドでキッズのサッカーが営まれているが、公式試合にはやや狭く、水はけに難がある。早期の改善を期待するものであり、都技監の見解を伺う。
【東京都技監】
舎人公園のプレイグラウンドについてであるが、本施設は、少年サッカーをはじめ、フットサルやグラウンドゴルフ等多くの都民に利用されている。
現在、グラウンドの表層の全面改修や排水施設の増設、老朽化したフェンスの張替えを進めており、加えて、少年サッカーの公式試合の基準に適合するよう施設を拡張し、令和5年の夏頃に整備が完了する。
これにより水はけが改善されると共に、少年サッカーの公式試合が開催可能となる等、より利便性が向上する。
引き続き、多くの都民が身近にスポーツに親しめる環境の整備に取り組んでいく。
技能習得
① 中小企業の人材育成に向けた支援について
【質問】
都は、リスキリングに取り組む中小企業への支援を強化し、特に、非正規従業員向けの訓練機会の確保について支援を手厚くするべきであるが、見解を伺う。
※リスキリング…新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する(させる)こと
【産業労働局長】
中小企業の人材育成に向けた支援についてであるが、中小企業が事業の継続と発展を図る上で、非正規雇用を含めた従業員の能力を高めるリスキリングを進めることは重要である。
これまで都は、中小企業が民間の教育機関を活用して従業員のスキルアップに取り組む場合の経費の一部を助成している。都は令和5年度、中小企業が従業員に対して、より高度な内容の研修を民間の教育機関に派遣して行うことができるよう、助成の充実を図る。また、民間が提供するカリキュラムを受講する従業員のうち、非正規雇用の割合を増やす場合には、助成金に上乗せを行う。
これらにより、中小企業における人材育成を後押ししていく。
② 奨学金返還の負担軽減に向けた取り組みについて
【質問】
都議会公明党の提案に応え、都が開始した奨学金返済支援事業は、奨学金返済の負担が軽減される若者だけではなく、企業にとっても若手技術者の確保につなげられる意義の大きい取り組みである。効果をPRしていくべきであり、成果を踏まえた今後の展開について、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
奨学金返還の負担軽減に向けた取り組みについてであるが、中小の建設、IT、ものづくり分野の企業が、学生を将来の技術面の中核人材として採用し定着を図るため、奨学金の返還の負担を減らす支援は重要である。
これまで都は、このサポートを利用する会社の魅力を紹介し、支援内容に関し新聞やSNS等の媒体でPRを行うとともに、業界団体等を通じ情報提供を実施した。
また、大学のキャリアセンターやハローワークと連携し、こうした中小企業への就職を目指す学生や卒業生の若者を増やす周知活動を行っている。これにより、現在20名を超える方の就職の内定を実現している。
今後、こうした支援により就職を実現した方の紹介を行うなど、事業を利用する学生を増やす工夫を進める。
障がい福祉
① 発達障がい児に関わる教職員への支援について
【質問】
発達障がい児の支援に取り組む都の福祉部門は、子ども一人ひとりの障がい特性に応じた適切な支援の取り組みが都内で広がるよう、区市町村や学校と連携しながら、学校現場での質の高い支援の推進に積極的に協力していくべきだが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
発達障害児に関わる教職員への支援についてであるが、発達障害は自閉症や学習障害など障害特性が様々であるため、支援に関わる者が、発達障害に関する知識や障害特性に応じた支援方法を身に付けることが重要である。
都は、発達障害者支援センター等で、保健、医療、福祉の各分野の職員や教職員を対象に、発達障害に関する基礎知識の習得研修や、現場で中核を担う専門人材の養成研修を実施している。
今後、区市町村の教育部門の会議において、研修内容やスケジュール等を直接説明し、周知することで、発達障害児に関わる教職員の更なる受講を促すなど、教育現場における取り組みを支援していく。
② 若年者の精神相談について
【質問】
足立区の若者向けワンストップ相談センターSODAのように、若者が気軽に相談でき、必要な場合には専門の医療機関による治療につながり、就労支援まで一貫して取り組める事例は都内でもあまり見られておらず、多くの区市町村で活用を広げていくべき。都の令和5年度の取り組みについて、見解を伺う。
【福祉保健局長】
若年者の精神相談についてであるが、精神疾患を最も発症しやすいのは10代から20代の若年者とされており、症状が軽く済み、早期に回復するには、できるだけ早く精神的な不調に気付き、正しい対処や治療を受けることが有効である。このため都は、相談支援体制の整備や、早期発見・早期支援に向けた仕組みづくりなどを行う区市町村を支援している。
都内では、専門窓口の設置により、若年者の心の悩みに関する様々な相談に、精神科医や精神保健福祉士などの専門家が身近な地域で対応する独自の取り組みが行われている。
今後、こうした取り組みを包括補助で支援するとともに、他の区市町村にも広がるよう、効果的な周知方法について検討していく。
住宅政策
① 都営住宅の間取りの見直しについて
【質問】
都営住宅の住戸について、長年住み続けた結果、単身となった人が多い団地で、そのまま建替えを実施すると、新築後も単身高齢者しか住めない1人用の間取りが多い団地となる。
事業計画をこれから練る団地では、単身高齢者の介護ニーズへの対応はもとより、従来からの単身者向けの間取りだけでなく、1人でも2人でも住めるような新たな間取りを考案し、建替え後の世帯構成の改善を図るべきと考えるが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
都営住宅の間取りの見直しについてであるが、都営住宅の建替えに当たっては、居住者の高齢化や単身化に伴うニーズのほか、様々な世帯構成の入居希望者にも的確に対応できる住戸の供給が重要である。
これまで都は、段差解消やエレベーター設置等のバリアフリー化や、あっせん基準の緩和等に取り組んできた。
今後は、高齢単身居住者の介護のために来訪した親族等が滞在できるスペースを備え、2人世帯でも入居可能な間取りや広さを有する単身者向け住戸の導入を検討する。
こうした検討を建設コストも勘案しながら進め、新たに建替計画を策定する団地での試行を目指していく。
② 都営住宅の建替え時の工夫について
【質問】
建替え後に、周辺の街並みが変わり、入居希望者の年齢や世帯構成が変化することも考えられることから、隣り合う2つの単身用住戸を1つの子育て向け住戸に作り変えることができるよう、間取りを変更できる構造にするべきと考えるが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
都営住宅の建替え時の工夫についてであるが、都営住宅は建替え後、長期にわたり管理運営していくことから、将来の周辺環境の変化などにも対応できるよう柔軟に間取りを変更できる住戸の供給が重要である。
現在建設している住戸は、1人世帯向けの1DKや2人世帯向けの2DKについて、隣接する2戸の間の壁を撤去し、1つの住戸として使用できるよう改修が可能な構造としている。
今後、新たに導入を目指す単身者向け住戸についても同様に隣接の住戸と合わせて、3DKなどに改修可能な構造としていく。
③ 結婚予定者への都営住宅の提供について
【質問】
結婚を考え始めたカップルが時期を逃さず応募できるよう毎月募集とするべきである。加えて、現在の期限付き入居制度と同様に、末子が18歳世代に到達するまでは居住を可能とし、安心して子育てに取り組めるよう配慮すべきであるが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
結婚予定者への都営住宅の提供についてであるが、結婚される方々が、将来の出産・子育ても見据え、安心して居住できる環境を整備していくことは重要である。
都は、これまで結婚予定者を含めた若年夫婦等が、都営住宅に優先的に入居申込みができる取り組みを進めてきた。
令和5年4月からは結婚予定者のみを対象に優先申込枠を新設し、交通利便性の高い住宅を年間250戸、毎月募集する。10年間の定期使用住宅として提供し、子供を安心して産み育てられるよう、末子の高校修了期まで入居期間を確保する。
これにより結婚の時機に合わせた申込みを可能とするとともに、子育て中も安定的に住まいを提供することで結婚される方々の居住を支援していく。
④ 都営住宅の自治会支援の拡充について
【質問】
都営住宅の自治会が、外国人居住者へのゴミ出しなどの生活ルールの周知や、生活習慣の違いから生ずるトラブルでご苦労が重なっている。
都営団地の自治会が希望する場合には、通訳端末を自治会に配布して、自治会運営の円滑化を支援するべき。見解を伺う。
【住宅政策本部長】
都営住宅の自治会支援の拡充についてであるが、都営住宅では、外国人を含め、居住者が住まい方のルールなどを守り、自治会等に協力しながら、コミュニティの維持を図っていくことが必要である。
これまで都では、東京都住宅供給公社を通じて、住まい方のルールを周知するチラシを配布するほか、全ての窓口センターに通訳端末を配備し、外国人居住者からの相談に対応してきた。
現在、ウクライナ避難民の方が居住する団地の自治会に貸与している通訳端末は好評を得ており、自治会が外国人居住者に対応する際、通訳端末は有効と考えられる。
今後、自治会の意向を確認し、貸与を検討する。