東村邦浩議員の本会議(2月21日)代表質問

子育て・教育施策

① 就労等の有無にかかわらない保育所等の利用について

【質問】

乳幼児期の他者とのかかわりが、非認知能力の向上など、子どものよりよい成長につながることを重視し、保護者の就労の有無にかかわらず、希望すれば0歳~2歳の乳幼児が保育を受けることができる仕組みの構築を提案してきた。

これを受け、都が令和5年度から新たな取り組みを開始する予算を計上したことを高く評価する。

実施に当たっては、区市町村と事業の考え方を良く情報共有するとともに、取り組む意向がある保育所等を支援することが必要である。また、利用料については、低所得世帯に加え、第2子以降の無償化を提案するが、都の見解を求める。

【福祉保健局長】

就労等の有無にかかわらない保育所等の利用であるが、都は令和5年度から、他者との関わりの中で、非認知能力の向上など子供の成長が図られるよう、保護者の就労等の有無にかかわらず、保育所等で児童を預かる取り組みを新たに開始する。先般、区市町村に対して本事業の主旨を説明し、積極的に取り組んでいただくようお願いした。

実施に当たっては、保育所等の取り組みを支援するため、運営費のほか開設準備経費等を補助する。また、家庭の経済状況等にかかわらず、より多くの児童が利用できるよう、低所得世帯等を対象に負担を軽減する。

本事業は令和5年度から開始する取り組みであり、保育所等での実施状況や在宅子育て家庭のニーズ等も把握しながら利用料も含め今後の事業の在り方について検討していく。

② 国の出産・子育て応援交付金への対応について

【質問】

国の出産・子育て応援交付金は区市町村負担分もあるが、全ての区市町村で取り組みが進むよう、都として支援すべき。また、支援に当たっては、これまでの区市町村の取り組みを生かせるようにすべきだが、都の見解を伺う。

【福祉保健局長】

国の出産・子育て応援交付金への対応であるが、都は、とうきょうママパパ応援事業で育児パッケージの配布や相談支援等に取り組む区市町村を支援している。

令和5年度は、国の交付金も活用し、子育て家庭への切れ目ない支援を充実させるため、妊娠時、出産後、子供が1歳又は2歳前後の各段階で、相談支援と経済的支援を実施する都独自のスキームを構築する。

より多くの区市町村で取り組みが進むよう、都のスキームに参画する場合は、国の交付金事業に係る区市町村の負担を都が全額支援する。

なお、妊娠時に配布する育児パッケージについては、現在、区市町村が様々な取り組みを行っていることから、今後、事業実施に当たっては、区市町村の意向も確認しながら、支援の在り方を工夫していく。

③ 私立中学校と東京都立大学の授業料負担軽減について

【質問】

今回の支援の予算規模で、私立中学に通う生徒の何割が支援を受けることになるのか。また、令和6年度から実施される東京都立大学の授業料の無償化を年収910万円未満とした理由について、併せて、知事の見解を求める。

【知事】

私立中学校と都立大学の授業料負担軽減についてだが、次世代へ希望を引き継ぐ社会の実現に向けては、少子化対策・子育て支援のため、大胆に教育費の負担軽減を図ることが重要である。

私立中学生については、国が行っていた支援事業が終了したことを踏まえ、厳しい家計状況であっても個性に応じて学校を選択できるよう、都が独自に私立中学生の授業料のうち10万円を助成する。

私立高校生への負担軽減支援を基に、私立中学生の約半数となる3万6千人を対象と見込み40億円を予算案に計上している。

また、高等教育への支援に関する1つの問題提起として、令和6年度から、都立大学の授業料の実質無償化を行う。

具体的には、都立・私立の高校における要件と同額である年収910万円未満の世帯を対象とする。

こうした施策の推進により未来への投資となるチルドレンファースト社会を実現していく。

④ フリースクールに通う子どもへの支援について

【質問】

都は、都議会公明党の要請に応え、令和4年度から、フリースクールに通う不登校児童・生徒の支援ニーズ等を把握するための調査研究を行い、その保護者へ月1万円の協力金を給付している。

都は、この協力金を増額し、協議会などを更に発展・拡充していくべき。今後の取り組みについて都の見解を求める。

【教育長】

フリースクールに通う子供への支援についてだが、都教育委員会は、令和2年度から、区市町村教育委員会、学校、フリースクールの教職員等による協議会を開催し、効果的な事例の共有を図るなどしてきた。

今後、この協議会に、子供の実態に応じて柔軟な指導を行っている不登校特例校の教員の参加を求め、フリースクールに加え、特例校における多様な支援の在り方を、学校等の取り組みに生かせるようにする。

また、令和5年度は、フリースクールに通う子供の支援ニーズ等を把握するための調査研究の協力金を月額2万円に増額し、より多くの保護者から調査への協力が得られるよう取り組んでいく。

⑤ フリースクール等への支援について

【質問】

フリースクール等の運営者からは、活動を充実させるための人材確保や活動スペースの家賃負担に大変苦慮しているとの声が寄せられている。都として直接的な支援を行うべきである。見解を伺う。

【子供政策連携室長】

フリースクール等への支援についてであるが、学齢期の子供を取り巻く様々な課題を背景に、都内における不登校児童・生徒数は増加傾向にあり、子供が自分らしくありのままでいられる居場所を創出していくことが喫緊の課題である。

このため都は、学齢期の子供の育ちに関する推進チームを新たに立ち上げ、フリースクール等に通う子供や運営団体に対するアウトリーチ型のヒアリングに加え、国内外の先進事例調査等を通じてニーズや課題を分析し、実効性ある施策の方向性について多角的に検討していく。

庁内各局とも連携しながら、子供目線に立った政策を企画立案し、誰一人取り残さない視点から、不登校の子供をサポートするための居場所の創出を図っていく。

⑥ 都型放課後等デイサービス事業について

【質問】

障がいを持った子どもの放課後等デイサービスについて、質の高いサービスの提供には、より多くの人の配置や、より優れた人材の確保に見合う人件費の増強が必要。補助額の増額を視野に入れながら、本制度の充実を図るべきだが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

都型放課後等デイサービス事業についてであるが、都は令和4年度から、放課後等デイサービスの質の向上に向け、経験豊富なコア職員の配置など都が定める基準を満たす事業者に運営費等を独自に補助している。

事業開始後も関係者との意見交換を重ね、より多くの事業者の参画を促すため、補助要件であるサービス提供時間を、保護者の送迎の必要に応じて設定できるようにするなど、様々な工夫を行っており、引き続き、説明会や個別相談などを通じて事業者へ強力に働きかけていく。

令和5年度は、コア職員の基準の柔軟化など運用を更に工夫するほか、報酬水準の改善を引き続き国に要求するとともに、事業実施状況の検証や令和6年度報酬改定の動向なども踏まえ、補助の在り方についても検討していく。

⑦ 日本語指導の実態調査について

【質問】

日本語を母語としない子ども達の教育について、都がその実態を把握するとともに、児童・生徒や教員が抱える課題について調査を求めたところだが、その調査により浮き彫りとなった課題について明らかにすべきである。また、こうした調査は継続して行い新たな施策に活かしていくべきだが見解を求める。

【教育長】

日本語指導の実態調査についてであるが、令和4年9月に実施した調査では、都立高校における日本語指導が必要な生徒が、57校66課程に688人在籍していること、14校14課程で令和5年度から「特別の教育課程」を編成する意向であることが分かった。

また、これらの学校においては、日本語の習熟度を測るノウハウや、日本語の指導方法に専門的な知見を有する人材の確保等が求められている。

今後、必要な生徒に対しては、「特別の教育課程」を活用するよう学校に働き掛けるとともに、各学校の実態を把握する調査を継続して実施し、日本語指導の充実を図っていく。

⑧ 日本語を母語としない子どもの教育について

【質問】

日本語指導支援員等の人材の確保と育成を進め、指導が必要な生徒が在籍する全ての学校に人員を配置すべきと求めたが、その対応策を伺う。

【教育長】

都立高校における外国人生徒等の支援についてだが、都立高校に在籍する日本語指導を必要とする生徒に対して、日本語学習や相談支援の体制の充実を図ることが重要である。

このため、都教育委員会は、在京外国人生徒向け入試を行う学校に、NPO等と連携して、日本語指導支援員や通訳、在留資格について相談できる人材等の専門家を派遣する取り組みを、令和4年度は8校で実施している。

令和5年度は、新たに東京学校支援機構と連携し、これらの専門家を、定時制課程も含め、対象の生徒が在籍する全ての都立高校に派遣するとともに、派遣人材に対する学校現場の事前研修を実施し、効果的な支援を行っていく。

⑨ 日本語指導の体制について

【質問】

日本語を母語としない小・中・高の児童生徒たちへ切れ目なく一層充実した教育を行えるよう、日本語教育を推進する専管部署を設置するなど、教育庁の体制を整備・強化することを求めたが、その取り組みについて見解を伺う。

【教育長】

日本語指導の体制についてであるが、都教育委員会は、日本語指導を必要とする児童生徒への教育の充実に向けて、令和5年度、新たに設置するグローバル人材育成部に日本語指導担当部署を設け、日本語指導に関する施策を総合的に検討・推進する。

今後、関係局や区市町村等関係団体と連携を深め、都内公立小中高等学校の全ての段階で日本語指導を一層充実していく。

⑩ 産休・育業代替教員の前倒し任用について

【質問】

令和4年の第4回定例会で、前年度中に把握できる産休・育業については年度当初から代替教員確保が必要と訴え、都は国の動向を踏まえ対応を検討と答弁した。

教員が安心して産休・育業を取得できるよう国の方策にとどまらず、都として意欲的に取り組むべきだが見解を伺う。

【教育長】

産休・育業代替教員の確保についてであるが、産休・育業代替教員の任用は、これまで、産休等の期間に限られており、任用開始時期を合わせて代替教員を確保することに、苦労を要する面があった。

国は、小・中学校において、7月末までの産休等取得に係る教員の代替を、年度当初に限り任用できるとする方針を示したが、都教育委員会は、これにとどまらず、高等学校、特別支援学校を含む全ての公立学校において、年間を通じ、産休等の開始の最大4か月前から代替教員を任用できることとする。

代替教員の着実な確保を図るとともに、産休等を取得する教員との引継ぎをより円滑にできるようにし、安心して出産・育児に専念できる環境を整えていく。

⑪ チャイルド・デス・レビュー(CDR)について

【質問】

CDRは子どもと家族に関わる様々な機関が連携していくことが求められ、非常にデリケートな個人情報を取り扱うため、情報管理にも十分な配慮が必要。とりわけ子どもを亡くした遺族の理解と協力が不可欠。遺族のケア等も併せたCDRの取り組み体制について見解を求める。

【福祉保健局長】

チャイルド・デス・レビューについてであるが、都は令和4年度、国のモデル事業における事例検証の流れや実施体制、海外の制度や運用状況等について調査しており、来月、医療や警察等の関係機関による連絡会議を開催し、連携強化等を図ることとしている。

令和5年度は、国のモデル事業に参画し、関係機関とともに検証等の取り組みを開始する。

実施に当たっては、遺族の理解と協力を得て、死亡した子供の情報を収集することが必要であり、医師や心理士などの専門家の意見も聴きながら、遺族への協力依頼やケア等の在り方について検討していく。

防災対策

① 新耐震基準の住宅の耐震化について

【質問】

現状、一部の区市を除いては新耐震への対応を想定していないため、都民への補助制度が広く普及するよう、区市町村との連携の強化にも取り組むべきと考える。令和5年度予算案での対応について、見解を伺う。

【都市整備局長】

新耐震基準の住宅の耐震化についてであるが、首都直下地震等による被害を軽減するため、昭和56年以前に建築された旧耐震基準の住宅に加え、令和5年度から新たに平成12年以前に建築された新耐震基準の木造住宅も支援の対象とし、診断や設計・改修について旧耐震と同様の助成を開始する。

あわせて、新耐震に対する助成を行っている6区市以外にも取り組みを拡大させるため、区市町村に対し、この助成制度の活用を働きかけていく。

こうした取り組みにより、耐震性が不十分な住宅を令和17年度末までにおおむね解消することを目指していく。

② 建築物における液状化対策について

【質問】

液状化が予想される地域全域で、より広範な面的対策が必要であるアドバイザーの更なる活用の促進や支援、さらに、土地区画整理事業などに合わせた面的対策を急ぐべきだが、見解を伺う。

【都市整備局長】

建築物における液状化対策についてであるが、液状化被害の低減のためには、建て主等が専門家の助言を受け、対策を検討できる仕組みの整備が重要である。

都は、平成25年に窓口を設置し、都民の相談に対応してきたが、令和5年度からは新たに無償で専門家を派遣し、対策を提案できるよう、相談体制の充実を図る。

また、10箇所程度で行う地盤調査等を踏まえ、区市の取り組みを含む現状や課題を把握し、支援の在り方を検討していく。

面的対策については、道路等と宅地との一体的対策を推進する国の補助事業が、都内で活用されていないことから、区と課題を検討していく。

これらの取り組みにより、液状化対策を一層推進していく。

③ 液状化ハザードマップの作成について

【質問】

都は今後、都議会公明党がかねてから主張してきたとおり、建設局が主導し、液状化ハザードマップの作成を急がせるべきだが、見解を伺う。

【東京都技監】

液状化対策についてであるが、被害の具体的なイメージを共有し、都民が対策の必要性を理解する上で液状化ハザードマップは重要である。

国は令和2年度に液状化被害を軽減するため、住民と行政との間のリスクコミュニケーションを促進することを目的に、ハザードマップ作成の手引きを公開した。

既に一部の区市では作成に取り組んでおり、今後は区市町村との協議会の場等を通じて、最新の液状化予測図の土質データ等を提供するなどの技術的支援を行い、国の手引きを踏まえたハザードマップの作成を促していく。

こうした取り組みを通じ、液状化対策を推進していく。

④ 「東京とどまるマンション」のトイレ対策について

※東京とどまるマンション…エレベーターや水道の利用に必要な非常用電源の確保や防災マニュアル策定等の防災対策を講じた「災害による停電時でも、住み慣れた自宅での生活を継続」しやすいマンション

【質問】

「東京とどまるマンション」では発災時に排水管が損傷し、使用できない場合を想定したトイレ対策を強化すべきと考える。都の見解を伺う。

【住宅政策本部長】

東京とどまるマンションのトイレ対策についてだが、災害による停電時にマンションでの生活を継続するためには、ハード、ソフトの両面での対策が重要である。

都は、エレベーターやポンプ等の非常用電源の確保や防災訓練などを行うマンションを登録、公表してきた。

今後、防災訓練等を行っているマンションにアンケート等を行い、このうち東京とどまるマンションに登録するマンションに対して、簡易トイレなど防災備蓄資器材の費用の一部を補助する。また、排水管等ハード面の対策強化について、技術的検証も踏まえ制度改善を検討する。

こうした取り組みを通じ、マンションにおける災害時の生活継続を後押ししていく。

⑤ マンションの地震対策について

【質問】

都は、届出制度の推進と連動して、専門家派遣など検討段階での支援策も活用しながらピロティへの助成事業の実施につなげるべきだが見解を伺う。

【住宅政策本部長】

マンションの地震対策についてであるが、地震による建物の倒壊を防ぐことは、都民の生命と財産を守る上で重要である。

これまで、都は耐震化促進事業により分譲マンションの耐震化に取り組んできたが、費用や合意形成等が課題となり実施が困難なマンションもある。しかし、首都直下地震による建物の倒壊から人命を守ることは急務であり、令和5年度から危険性が高いピロティ階の改修等を支援する。

支援に当たっては、都の届出制度の情報も活用し、対象となるマンションを絞り込み、個別に事業の活用を促すとともに、専門家を無料派遣し、費用対効果や施工の容易さを説明するなど、本事業の利用へつなげ、都市の強靭化に取り組んでいく。

医療・福祉施策

① 新型コロナ5類移行後の都の取り組みについて

【質問】

都民や関係する医療機関などの事業者の不安を払しょくするためにも、新型コロナの感染症法の分類を2類から5類に移行した後の都の取組方針を明らかにすべきだが、知事の見解を伺う。

【知事】

新型コロナ5類移行後の都の取り組みについてであるが、新たなステージへの移行に伴い、何よりも重要なことは、都民の不安や医療現場における混乱を招かないことである。

そのため都は、段階的な移行を進めていくこととしている。高齢者等医療支援型施設の運営などリスクの高い患者を守る取り組みを継続するとともに、発熱患者からの不安に対応するため、相談機能を統合した新たな相談センターを開設する。これらの取り組みを令和5年6月まで確実に実施する。

7月以降の対応については、感染動向や、新型コロナとの共生の基盤となる医療提供体制の状況などを総合的に勘案しながら都民の不安や医療現場の混乱を招かないよう適切に取り組んでいく。

② デジタル技術を活用した在宅医療について

【質問】

都議会公明党は、コロナ対策として、自宅療養者の容体急変に備え、ウェアラブル機器を活用した健康観察を提案し、都も順次導入を図ってきた。今後は更にデジタル機器の活用を進め、過度にマンパワーに頼ることなく在宅医療の充実を図るべきだが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

デジタル技術を活用した在宅医療についてであるが、都はこれまで、地域で在宅療養患者を支える医療・介護関係者が、患者の情報を効果的に共有する多職種連携システムなどの取り組みを推進してきた。

新型コロナの流行下では、多くの自宅療養者の安全・安心を確保するため、オンラインによる健康相談や、ウェアラブル機器を活用した健康観察などを進めてきた。

コロナ禍におけるこうした取り組みが更に広がるよう、令和5年度、デジタル技術を活用し、脈拍や呼吸数等の健康状態を遠隔でモニタリングする取り組みなどを進める地区医師会や、オンラインによる病診連携を推進する医療機関を新たに支援することにより、在宅医療体制の更なる充実を図っていく。

③ 病院のBCP(事業継続計画)について

※BCP…大規模自然災害や感染症の流行などといった事業継続リスクが発生した場合に、事業の中断などの被害を最小限に留め、素早い復旧を実現し、事業を継続する方法について定めた計画のこと

【質問】

今後は都内の全病院でのBCP策定を視野に補助制度の充実を図るべき。加えて今後は大規模な水害に備えた新たな取り組みが必要。東部低地帯や多摩川流域など水没に備えたBCP策定を図るには取り組みの目安が必要で、都自らガイドラインを急ぎ示すべき。併せて見解を伺う。

【福祉保健局長】

病院のBCPについてであるが、都はこれまで、大規模地震等の災害発生時に病院が医療機能を継続できるよう、BCPの作成手順や記載項目を明示したガイドラインを策定するほか、災害拠点病院及び災害拠点連携病院に対して、アドバイザーを活用したBCPの作成や改定を支援してきた。

令和5年度は、支援対象を都内全ての病院に拡大し、新たに対象とする病院に対しては、補助基準額を100万円、補助率を10分の10で支援し、病院の規模や機能に応じたBCPの作成や改定を促していく。

また、台風や豪雨等の水害対策に特化したBCPガイドラインを新たに策定し、多様化する自然災害への備えを充実させ災害時の医療体制の更なる強化を図っていく。

④ 福祉保健局の再編について

【質問】

これまでの福祉保健局は、法に基づく感染症対策や食中毒の予防などの規制行政と、民間事業者の活動を支援する役割の双方を併せ持ち、業務は多岐にわたっている。

良質な医療・福祉サービスを安定して都民に提供できるよう、デジタル化も進めつつ、事業者や担い手に寄り添って、潜在的可能性を引き出し、都民の声にもきめ細かく対応できる両局の執行体制とするべき。都の医療・保健・福祉部門の再編を決断した知事の見解を伺う。

【知事】

福祉保健局の再編についてであるが、3年に渡り積み重ねた知見や経験を踏まえ、更なる感染症危機への万全の備えを行うとともに、福祉分野では、子供・子育て支援や長寿社会への対応など、高度化・複雑化した社会的課題やニーズへの対応が必要である。

こうしたことから、都民の命や健康を守り、持続可能な医療・福祉サービスを実現するため、福祉保健局を、福祉局、保健医療局に再編する。

福祉・保健・医療のあるべき姿を展望し、人材確保に向けた戦略的な取り組みや、デジタル技術を用いたサービス基盤の構築など、強力に推進する体制を整える。

福祉、保健医療の専門性をより高め、都民や事業者のニーズに寄り添い、柔軟かつ機動的に対応できる組織へ変革し、実効性ある施策をスピーディに展開していく。

⑤ 避難所運営支援における関係局の役割について

【質問】

区市町村が開設する避難所の管理運営は、福祉保健局の少子社会対策部が所管しているが、総務局が防災分野全般に亘って調整機能を発揮することが重要である。区市町村の避難所運営支援に係る関係局の役割について、必要な見直しを図っていくべきと考えるが、見解を伺う。

【総務局長】

避難所運営支援における関係局の役割についてだが、災害発生時は、災害対策本部において、救出救助や避難所運営を含む被災者支援等の方針を定め、各局の役割に応じて部門ごとに体制を立上げ対応することになる。

現在は、本部の司令塔となる総務局と、避難所の衛生環境確保や要配慮者対応等、区市町村支援を担任する福祉保健局が相互に連携して被災者対応にあたる。また、総務局が持つ区市町村とのネットワークと、福祉保健局の専門的な知見を活用し、指針の改定等、避難所運営の支援策の充実に取り組んでいる。

今後、より効果的な被災者支援に向け、全体を統括する総務局と、福祉保健局をはじめとする各局がそれぞれの力を発揮できるよう、その役割や連携強化の方策を検討していく。

⑥ 都保健所と市町村との連携強化について

【質問】

保健所内に市町村ごとの担当管理職やリエゾン役(連絡役)を置き、担当市町村と保健所内の各セクションとの調整役を担ってこそ、連携の効果が上がるものと考える。市町村の実情を踏まえた都保健所の連携の強化策について、見解を伺う。

【福祉保健局長】

都保健所と市町村との連携強化についてであるが、感染症の発生時に的確に対応するには、都保健所と住民に身近な市町村とが、平時から協力関係を培い、緊密に連携して取り組むことが重要である。

新型コロナへの対応では、都は、自宅療養者等の情報を市町村と共有し、市町村から生活用品の配布が行われるなど、地域の実情に応じた支援の充実を図っている。

令和5年度は、多摩地域の都保健所のマネジメント体制を強化するため、副所長を配置する。また、都保健所の在り方検討会において、地域ごとの連携・協力体制の構築を主要な論点の1つに位置付けており、市町村や医師会等との円滑な情報共有や連絡調整を行う保健所内の体制整備など、連携強化の方策等について検討を進めていく。

⑦ 粒子線治療について

【質問】

粒子線の1つである陽子線は、照射1回当たりのがん細胞の殺傷効果は重粒子線より低いが、その分、小児がんや脳腫瘍、抗がん剤との併用治療などに優れているとされおり、肝臓がんやすい臓がんなど多くのがんで、重粒子線と治療効果は変わらず、施設規模も小さく、設備費用が重粒子線と比べて半分以下とされている。

粒子線治療をがん診察の連携拠点である駒込病院や多摩総合医療センターなどに早期に導入すべき。

また、導入には専門医や医学物理士、放射線技師、専門看護師などのスタッフの確保と人材育成も欠かせない。粒子線治療の導入とスタッフ確保について、知事の見解を伺う。

【知事】

粒子線治療についてであるが、都は、東京都がん対策推進計画に基づき、患者本位のがん医療の実現に向けた取り組みを進めている令和4年度は、都立病院機構において、最先端のがん治療に関する調査を実施している。

粒子線治療は、がん病巣への集中的な照射が可能であり、体への負担が少なく、仕事や日常生活との両立も可能な治療法である。一方で、治療装置が大規模になるほか、専門医や医学物理士等の確保が必要なことなどもあり現在、都内に治療施設はない。

都は令和5年度、導入する都立病院や治療装置、独法化のメリットを生かした人材の確保・育成策、施設の整備・運営手法などを検討し、関係機関とも意見交換して、粒子線治療施設の整備計画を策定する。

誰もが必要に応じて質の高い医療を受けられる環境整備を一層推進していく。

⑧ がん患者へのアピアランス(外見)ケア支援について

【質問】

都は、令和4年の第4回定例会での都議会公明党の提案に対し、アピアランスケアに取り組む都内自治体や他県へのヒアリング調査等を行い、支援を検討していく方針を示し、令和5年度予算案に支援事業を盛り込んだことを評価する。

がん患者に対するアピアランスケア事業の具体的な支援内容について、見解を伺う。

【福祉保健局長】

がん患者へのアピアランスケア支援についてだが、がん患者が治療を受けながら、その人らしく生活するためには、脱毛や乳房の切除など、治療による外見の変化を補うアピアランスケアが重要である。

このため都は、令和5年度から、がん患者へのウィッグや人工乳房等の購入費用の助成に取り組む区市町村に対し、包括補助による支援を開始する。具体的には、区市町村が患者に助成する費用の2分の1を都が支援することとし、1人2回まで、1回当たりの補助基準額を10万円とする。

今後、多くの区市町村で取り組みが進むよう働きかけ、がん患者が、地域社会において、治療を受けながら自分らしく生活できるよう取り組んでいく。

⑨ 帯状疱疹ワクチンの接種に係る支援について

【質問】

実施を希望する区市町村全てが助成を行えるようにするとともに、都民に帯状疱疹についての予防や治療に関する情報の周知、広報を積極的に行うべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

帯状疱疹ワクチンの接種に係る支援についてであるが、帯状疱疹は、成人の9割以上がウイルスを保有し、加齢等に伴い誰もが発症する可能性があり、今後の高齢化も踏まえ予防に向けた取り組みを強化することが重要である。

このため都は、現在、国が検討しているワクチンの定期接種化までの措置として、令和5年度から独自に、ワクチン接種に取り組む区市町村が負担した接種費用の2分の1を支援する。実施に当たり、帯状疱疹の予防に有効な生ワクチンと不活化ワクチンの2種類のワクチンを対象とするなど、区市町村が被接種者の希望に柔軟に対応できるよう制度を構築する。

さらに、区市町村による事業の実施状況を都のホームページで分かりやすく紹介するなど帯状疱疹の予防等に関する情報発信を強化していく。

⑩ 国民健康保険の納付金算定について

【質問】

都議会公明党が、財政安定化基金のうち特例基金の一部を納付金算定上の調整財源に活用できるよう国要望を行い、令和4年末に活用が可能となった旨、都道府県に通知された。そこで、この通知を踏まえた都の対応について、見解を伺う。

【福祉保健局長】

国民健康保険の納付金算定についてであるが、都道府県は、1人当たり医療費の伸び等を推計して積算した保険給付の必要総額から、国や都の公費を差し引いて、区市町村の納付金総額等を算出するとされている。

都が2月に公表した令和5年度の確定係数の算定では、令和4年11月の仮算定から、医療費の推計を直近の実績を踏まえて補正し、保険給付の総額を算出した。また12月の国通知により、納付金算定上の調整財源として認められていなかった財政安定化基金の財政基盤強化分の残高の一部が活用できることとなり、約36億円の残高のうち約27億円を財源に、納付金総額を減額した。

こうしたことなどから、確定係数における1人当たり納付金額は仮算定時より抑えられたものである。

⑪ 加齢性難聴に対する支援について

【質問】

都は現在、高齢者への補聴器の支給に取り組む区市町村を包括補助で支援しているが、今後は更に支援の強化を図り、加齢性難聴の早期発見と適切な補聴器利用の進展を図るべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

加齢性難聴に対する支援についてであるが、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、加齢に伴う難聴は、治療が困難な反面、補聴器で聞こえを補うことにより、生活の質の改善が可能とされている。

都は、区市町村が高齢者への補聴器支給等事業を地域の実情に応じて柔軟に実施できるよう、包括補助により支援している。この補助実績は、平成30年度の2自治体から、令和4年度は15自治体へと増加しており、さらに令和5年度の実施に向け、複数の自治体が新たに補助申請を検討している。

加齢性難聴は、早期発見、早期対応が重要であることから、今後、区市町村や専門家など関係者の意見も聴きながら、効果的な施策を検討していく。

住宅施策

① 住宅政策の充実と住宅局の設置について

【質問】

都は、令和4年度から重層的な住宅セーフティネットの機能強化に向け、民間住宅部を設置した。

他方、環境局所管である住宅部門の再生可能エネルギーの推進について、より効果的なものとしていくためには、日頃より業界団体と連携している住宅政策本部に移管すべきと考える。

あわせて、体制が強化される住宅政策本部を住宅局に拡充すべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

脱炭素化の推進に伴う住宅部門の局設置であるが、エネルギーの大消費地である東京の責務として、2030年カーボンハーフの実現に向け、多様な主体と協働し、脱炭素社会の基盤を早期に確立することが急務である。

こうした背景のもと、新築住宅等への太陽光発電設備の設置や、断熱・省エネ性能の確保等を義務付ける制度の創設に合わせ、環境局の体制充実を図り、再生可能エネルギーの利用拡大を推進してきた。

令和5年度は、環境局と住宅政策本部の連携を強化し、先行的に取り組む事業者を積極的に後押しするとともに、住宅政策本部の体制も拡充することで、脱炭素化の取り組みを一層促進する。

こうした取り組みにより、より効果的かつ効率的な執行体制の確立に向けた検討を進めていく。

② 都営住宅の断熱性能の向上について

【質問】

都は、住宅のゼロエミッション化に向けて、民間住宅の補助制度を整え、活用の促進に努めている。都営住宅においても、率先して取り組む姿勢が求められており、建替え後の住棟はもとより、既存住棟においても断熱性能を高める取り組みを検討すべきと考えるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅の断熱性能の向上についてであるが、脱炭素化に加えて、居住者の健康確保の観点からも、都営住宅の断熱性能を高めていくことは重要である。

建替え住棟では、今後、基準設計を見直し、複層ガラスの窓の採用や壁の断熱材の増強などにより、断熱性能をこれまでより約3割高いZEH(ゼッチ=ゼロ・エネルギー・ハウス)水準に引き上げていく。

既存住棟では、断熱塗料を含めた建設材料などの技術開発動向を注視するとともに、建物の外壁に断熱材を貼る工法と窓を複層ガラス等に改修した場合の効果やコストを検証し、対策の検討につなげていく。

これらを通じて、住宅の脱炭素化に向けた取り組みを推進していく。

③ 東京ささエール住宅の専用住宅について

【質問】

貸主には物件の所有者に加え、居住支援法人が転貸契約を結び本事業への協力を進める場合もあり、物件を借り上げた居住支援法人への支援の拡充も図るべき。また、登録協力補助を利用した場合、10年間の専用住宅の登録が条件となっており改善すべきだが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

東京ささエール住宅の専用住宅についてであるが、登録戸数の目標を達成していくためには、これまで以上に貸主に寄り添った新たな支援策の構築が必要である。そのため都は、令和5年度から、耐震改修費補助を新設するなど、直接補助のメニューを充実させるとともに、分かりやすくパッケージ化し、貸主への支援を広げる。

また、居住支援法人等が住宅を借り上げ、貸主のリスクを引き受けながら、住宅提供や支援を行う取り組みに対し新たに補助を行う。

こうした取り組みに加えて、登録協力補助の要件である専用住宅の登録期間を10年から2年まで短縮可能とすることなどにより、専用住宅の登録を加速していく。

産業・交通施策

① リスキリングへの支援について

※リスキリング…新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する(させる)こと

【質問】

リスキリングプロジェクトとして、東京の経済を成長させていくためには成長産業への労働移動やキャリアチェンジが不可欠であるとし、産業構造に対応できる幅広い世代の方々のリスキリングの支援を実施することとしているが、その取り組みの進め方について知事の見解を伺う。

【知事】

リスキリングへの支援についてであるが、デジタル化などにより産業構造の転換が進む中、会社で働く方や求職者が新たな知識や技能を身に付け、今後の発展が見込まれる事業分野で活躍できるよう支援することは重要だ。

このため都は、女性をはじめ、若者からシニアまであらゆる世代の方々が成長産業の中で力を発揮できるよう能力開発や就職支援を実施する年間2万人の規模の「リスキリングプロジェクト」を展開する。

従業員の新たなスキルの習得に向け教育の機会を提供する企業にこれまでよりも手厚く経費支援を行う。また、再就職を目指す女性がデジタルの知識を基礎から学ぶプログラムを新たに実施するほか、退職したシニアが新しい仕事を見つけるきっかけにつながる講座の充実を図る。

一人ひとりが主役となり輝くことのできる社会の実現に向け、リスキリングの支援を総合的に展開する。

② 中小企業の人材の確保と定着の支援について

【質問】

令和4年の第3回定例会で都議会公明党は、住まいの確保などを通じて、若手人材の確保と定着につなげる中小企業の取り組みを都として後押しすべきと主張し、検討を進めるとの答弁があった。

若手人材の確保や定着に向けた中小企業の取り組みに対し、令和5年度の都の支援について見解を伺う。

【産業労働局長】

中小企業の人材の確保と定着の支援についてであるが、中小企業が若手の人材を採用しその定着を図る上で、仕事のやりがいや働きやすさを高めるほか、安心で快適な生活を送るための環境をつくることが重要である。

このため都は、令和5年度、中小企業が従業員の生活面での満足度を高める取り組みを計画的に進めることができるよう支援を開始する。

具体的には、仕事と生活の両立を着実に進めるための様々な知識を持つ専門家を会社に派遣し、福利厚生の充実に向けた計画づくりに関し助言を行う。そうした計画に基づき、若手の社員のために住宅を借り上げる場合などにおける経費について、その半額を助成する。

こうした取り組みにより若手人材の確保・定着を促進する。

③ 伊豆・小笠原諸島の海上輸送費補助について

【質問】

新型コロナの感染拡大により、島民生活への影響が広がり、都は海上貨物運賃補助について、50パーセントの補助率を100パーセントに引き上げて支援を実施してきた。

都は、令和5年度も海上貨物運賃補助の引き上げ措置を継続していくべきと考えるが、見解を伺う。

【港湾局長】

伊豆・小笠原諸島の海上輸送費補助についてであるが、都は従来、野菜や魚介類等を対象に2分の1の補助を行ってきたが、新型コロナの拡大以降は、取引価格の低迷等による島内生産者への影響を軽減し、島民生活の安定を図るため暫定的に全額補助とする措置を講じている。

現在、魚介類等の出荷額は回復しつつあるが、一方で原油価格の高騰など島内生産者にとって厳しい状況が続いていることから、令和5年度も全額補助の措置を継続し、生産者の負担軽減を図ることとする。

今後とも、島しょの農漁業者を積極的に支援することで、島の経済の活性化を一層進めていく。

④ 伊豆諸島に係る海上貨物の運賃補助について

【質問】

都は、加工品等に係る海上貨物運賃についても補助するとともに、補助の利用促進に向け、事業者等の支援に取り組んでいくべきと考えるが、見解を伺う。

【港湾局長】

伊豆諸島に係る海上貨物の運賃補助についてであるが、都は令和5年度、国の交付金を活用し、新たな補助事業を実施する。具体的には、加工品や原材料等も含めた全ての生産品の中から、各町村が国の制度に則り、自主的に指定した5品目を限度として補助を行う。事業者負担は原則として2割とするが、令和5年度は原油高騰等の影響を踏まえ全額を補助する。また、申請に伴い必要となる計画策定等の業務について、町村や事業者が円滑に準備を進められるようきめ細かに支援する。

こうした取り組みを通じ、多様な生産者が積極的に本土に出荷できる環境を整え、更なる産業振興につなげていく。

⑤ 羽田空港アクセス線西山手ルートについて

【質問】

1日も早く羽田空港アクセス線西山手ルートを完成させるために、都は積極的に取り組むべきである。また、中央特快と青梅特快を新宿駅経由で羽田空港まで延伸し、「エアポートライナー」として乗換えなしで羽田空港まで行けるようにすべきであるが、知事の見解を伺う。

【知事】

羽田空港アクセス線西山手ルートについてであるが、国際都市東京の玄関口としての羽田空港の機能を最大限に発揮させるためには、鉄道によるアクセスの充実を図ることが重要である。

御指摘のあった西山手ルートについては、中央線や埼京線など既存の路線と接続することで、多摩方面も含めた広範囲にわたる空港アクセス利便性の向上が期待される。

くわえて、多摩地域と都心部とのアクセス利便性を高める中央線の輸送力増強等により更なる効果も期待される。

2029年度の運行開始を目指している東山手ルートの進捗状況等を勘案しながら、都としては、西山手ルートの事業スキームの具体化に向けて、国やJR東日本等との協議調整を積極的に進めるなど空港アクセス利便性の向上に取り組み、東京の国際競争力の更なる強化につなげていく。

⑥ 高速道路の本線料金所の早期撤廃について

【質問】

令和4年度にETC専用化する料金所を増やし、全ての料金所でETC専用化を加速化すべきである。そして、渋滞の要因となっている永福料金所を始めとする都内7か所の本線料金所の撤去を1日も早く実現すべきであるが、知事の見解を伺う。

【知事】

高速道路の本線料金所の早期撤廃についてであるが、料金所のETC専用化については、私自ら国土交通大臣に要望したことが実を結び、圏央道とその内側の料金所を対象に、2025年度までに概成する予定である。

高速道路会社は、ETC普及促進の一環として、クレジットカードがなくてもETCを利用しやすくするため、来月から、ETCパーソナルカードの利用限度額の引上げ等を行うこととした。

また、ETC専用料金所において、ETCを搭載せず誤進入した車に対し、国は、料金を確実に徴収する一環として、運転者に加え、使用者にも請求することが可能となる法改正案を提出したところである。

都としては、国や高速道路会社に対し、料金所のETC専用化を早期に実施するよう強く働きかけ、永福料金所などの本線料金所のできる限り早期の撤廃に向けて取り組んでいく。

⑦ 東京たま未来メッセの活用について

【質問】

東京たま未来メッセにおいて、東京ビッグサイトで毎年行われている産業交流展のような新たな顧客獲得や企業の成長につながる取り組みの実施や国際的なイベント等の開催により、多摩地域の産業活性化につなげていくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

東京たま未来メッセの活用についてであるが、多摩地域の経済の活性化に向け、東京たま未来メッセにおいて、中小企業の取引の拡大に繋がる展示会や技術力の向上に役立つMICEを開催することは重要である。

都は令和6年1月、同メッセにおいて、多摩地域で最大級の展示会を開催し、中小企業の販路開拓を支援する。

具体的には、都内や近隣県の中小企業同士が商談を行い大企業とも取引を始める契機となる場を設ける。

また、スタートアップが消費者ニーズを技術開発に活かせるよう、来場者がそのサービス内容等を体験できる機会を作る。さらに地元自治体等と連携し企業の技術力向上に役立つ国際的なシンポジウムの開催を後押しする。

これらにより多摩地域の産業振興を進めていく。

⑧ 団体旅行への支援について

【質問】

3年にわたり苦しんできた観光事業者の経営を後押しするためには、観光需要の回復に併せ、切れ目ない支援が必要。

観光バスを利用する団体旅行の需要が徐々に回復してきている今こそ、切れ目なく支援をしていくことが必要であり、今後もこうした事業は継続して実施するべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

団体旅行への支援についてであるが、東京の観光産業の回復を後押しする上で、旅行地での消費などを地域に効果的な形でもたらす団体旅行の数を増やすことは必要である。

これまで都は、団体による旅行を企画する事業者に対し、観光客同士が密になることの無いようバスの確保を行う場合、その経費の一部に助成を行ってきた。これにより、感染症への対応を徹底し、旅行者が安心して団体旅行を行う環境づくりと観光による消費の活性化などを実現してきた。

こうした支援が、観光産業に優れた影響を及ぼすことを踏まえ、令和5年度、団体旅行の利用を増やす取り組みを継続し、事業者を着実に後押ししていく。

スポーツ施策

① オリパラのレガシーの展示施設について

【質問】

大会の記憶や記録を未来に引き継ぐため、わが党が主張してきた、東京大会のアーカイブ資産やボランティアの映像等を活用し、都が大会を成功に導いた取り組みを体感できるような展示を、交通至便で人の集まる都有施設で行うべきである。都の見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

レガシー関連の展示施設についてであるが、都は、令和4年に策定した活用方針に基づき、将来、江戸東京博物館での常設展示を予定しているが、現在休館中のため、その間、東京スポーツスクエアで展示を行う。

その際、再生金属で作成したメダルの解説やボランティアの映像等で、大会の意義を伝えていく。また、競技体験の機会を提供するとともに、来場者への案内等でボランティアの方にも参画いただく予定である。

なお、来場が困難な方にもアーカイブ資産をご覧いただけるよう、デジタルアーカイブを構築し、先行して段階的にウェブで公開する。

これらの取り組みを通じ、大会の経験が次の時代に繋がるよう、魅力ある展示に努めていく。

② 五輪談合事件について

【質問】

逮捕者を出した大会運営局にも都の幹部職員を派遣しており、責任を重く受け止めるべき。責任を明らかにしていく上でも、談合が認定された場合、損害賠償請求を行うよう清算法人に求め、都としても公費の返還を求めるべき。今後の調査について、知事の見解を伺う。

【知事】

東京2020大会についてであるが、2020大会のような国際大会には、都民・国民の信頼が何よりも重要である。談合事件は、その信頼を損なうものであり都は、その重大性に鑑み速やかに調査チームを設置した。

現在、外部有識者のもとで、調査の範囲を拡大し、会計監査人との意見交換も含め、第三者の専門家の見地から調査を深掘りしている。必要に応じ、都職員以外からの聞き取りも検討する。捜査の状況にもよるが、調査結果は可能な限り、速やかに取りまとめていただく。

なお、談合による排除措置命令等に基づき、清算法人に対して、損害賠償請求等の適切な対応を行うよう、強く働きかけていく。

その上で、対象となる公費について、清算法人に対して返還を求めていく。

③ 世界陸上について

【質問】

都は世界陸上開催に向け、日本陸連が設立する大会運営組織の準備会議へ、3回にわたり参加している。大会運営組織の設立後も引き続き関与していくなら、東京2020大会での運営手法とは明確に異なる一線を引くべき。

そのためには五輪談合事件の総括を示し、①運営組織には政治家や利益相反となる者を入れない。②民間との契約についても原則公開にする。③リスクアプローチの監査手法を導入するなどの3条件を満たすことによって、信頼回復することが大前提である。都が大会を支援する意義と併せて見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

2025年の世界陸上についてであるが、大会を公正で信頼されるものにすることが不可欠である。談合調査チームの調査結果を受け、ガバナンス・コンプライアンスを徹底した大会運営組織を設立していく。

大会運営組織においては、2020大会の経験を踏まえ慎重に役員等の選任を行い、その理由やプロセスを公開するとともに、企業からの出向の在り方を見直し、利益相反問題を確実に防止していかなければならない。

また、情報は原則公開とし、民間との契約等で例外扱いとなるものも第三者により公正性を確保する等新たな仕組みや、リスクを想定した効果的な監査も必要である。

こうした考え方に基づき都民の信頼を回復した上で、スポーツや健康への意識を高め、東京の魅力も発信するなど、大会の開催意義を広く還元できるよう取り組む。

④ デフリンピック大会について

※デフリンピック…耳の聞こえない選手のための国際的なスポーツ大会

【質問】

都は、2025年のデフリンピック大会に向けて、関係者と改めて課題を共有し、当事者団体や関係団体との連携を密接にしつつ、効率良くスタートダッシュを図っていくべきと考える。見解を求める。

【生活文化スポーツ局長】

2025年デフリンピック大会についてであるが、大会成功には、関係者との連携協力が不可欠であるため、先日、全日本ろうあ連盟とともに、関係者で調整協議する場として、大会準備連携会議を開催し、重要事項の準備スケジュールを共有した。

また、大会に必要となる国際手話人材については、令和5年度より育成講座の受講費用を支援し、160人程度を育成する。デフ競技団体がない競技については、全日本ろうあ連盟がJOC加盟の競技団体に大会の出場資格がある選手の有無を調査し、都もこれらの競技団体に協力を依頼している。

大会運営実務は都スポーツ文化事業団が担い、デフ競技団体等と連携し、大会準備を着実に推進していく。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進

① DX推進に向けた職員の意識改革について

【質問】

DXそのものの意義について、本庁から事業所に至るまで都庁津々浦々に浸透させ、全職員を東京デジタルアカデミーで学ばせるなど意識改革を促進させるべきと考えるが、知事の見解を求める。

【知事】

DX推進に向けた職員の意識改革についてであるが、デジタルトランスフォーメーションとは、デジタルを梃子に仕事の仕方を大転換することであるDとXが合わさってこそ、都民サービスの飛躍的な向上につながる。

デジタル化が進みつつある中、次なるステップは、DXのX、トランスフォーメーションの更なる深化である。

各局にCIO補佐官を導入し、都民目線でサービスをデザインするという意識変革を徹底し、全庁の連携の下で、取組を強力に推進する。

そして、全職員のデジタルアカデミーを通じた学びにより、DXのマインドを都政の隅々に根付かせ都民ニーズに応える質の高いサービスを実現していく。

② 都政への人工衛星の活用について

【質問】

都民が利便性を実感できるデジタルサービスを提供するためには、人工衛星のような最先端技術を都政に積極的に取り入れていく必要があると考えるが、宮坂副知事の見解を求める。

【宮坂副知事】

都政への人工衛星の活用についてであるが、宇宙では、民間衛星を使った通信や観測サービスが始まるなど、科学技術の進歩は目を見張るものがある。通信の確保は都民生活の基盤であり、つながる東京の実現に向け、都は令和5年度、衛星を活用し、山間部や船舶等、不感地域での可能性を検証する。

また、宇宙からの目で新たな課題に向き合うことも重要である。地表や海面の変化の観測データを、土砂災害の早期検知や環境保全等に活かすことが考えられ、全庁的なプロジェクトチームにより、専門家の知見も得ながら、都政の様々な分野での活用を見出す。

最先端技術を積極的に取り入れ、真に都民に役立つサービス創出に向け、果敢に取り組んでいく。

更生保護施設の建替え補助

【質問】

都には現状、建替えに関する補助制度が存在していないため、都議会公明党は、具体的に都が運営費補助に加えて施設整備費について支援すべきと求めてきた。

国は令和5年度から補助額を増額すると聞いているが、都においても更生保護施設の建替えに関する補助制度の新設に踏み出すべき。見解を伺う。

【福祉保健局長】

更生保護施設の建替え補助についてであるが、国は、更生保護施設の新築・増築・改築等の整備事業に補助しており、都は東京都再犯防止推進計画において更生保護施設を、帰るべき住居のない刑務所出所者等の主要な受け皿と位置付け、運営費の一部を補助している。

令和4年第3回定例会で更生保護施設の建替えに関する補助制度新設を求める請願が採択されたことから、建替工事を行った更生保護施設が所在する14県に対し、県独自の補助金の交付状況等について照会するとともに、都内の施設の運営や建設年次等の状況を調査した。

建替えに関する都の補助制度の在り方については、調査結果や国の令和5年度における補助内容も踏まえて検討していく。

新たな動物保護拠点の整備

【質問】

令和5年度予算案には、新施設の基本計画策定のための予算が盛り込まれた。新施設の基本計画では、保護施設としての機能や、都民から親しまれる動物との共生拠点にふさわしい施設内容などを明らかにすべきと考えるが、知事の見解を求める。

【知事】

動物愛護相談センターの整備についてであるが、動物愛護相談センターは、人と動物との調和のとれた共生社会の実現に向け、普及啓発や動物譲渡など、都が行う取組の中核を担う施設である。

都は令和4年度、センターを、利便性等も考慮し、都民に開かれ、より親しみやすく、身近な施設とするため、機能や施設像について検討する会議を設置し、専門家等から、保護した動物の飼養環境の向上や、獣医系大学との連携、ボランティア等との協働、効果的な情報発信などの意見を頂いた。

令和5年度は、こうした意見も参考にしながら、新たなセンターの基本計画を策定することとしており、その中で、動物との共生を推進する拠点としての機能を明らかにしていく。

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