医療・福祉政策
① AYA世代(40歳未満)のがん患者の在宅療養支援について
【質問】
40歳未満のがん患者の場合、介護保険制度は適用されず、全て実費となることから、家族にとって経済的にも身体的にも負担になっているとの課題がある。
都は、令和5年の第4回定例会において、区市町村によるAYA世代のがん患者の在宅療養支援の取組を支援すべきという都議会公明党の提案に対して、都としての支援策を検討していく方針を示し、令和6年度予算で、その支援策を盛り込んだことを評価する。
その具体的な支援内容を伺う。
【保健医療局長】
都は、AYA世代がん患者の療養生活の充実を図るため、令和6年度新たに、介護保険制度の対象とならない40歳未満のがん患者に対し、在宅サービス等の費用の助成に取り組む区市町村を、包括補助で支援する。
具体的には、主治医の意見書やケアプランの作成費用、訪問介護などの居宅サービスの利用料、福祉用具の貸与や購入の経費を対象に、区市町村が患者に助成する費用の2分の1を都が支援する。
※包括補助とは、いくつかのメニューから区市町村が選択して実施されるものであるため、メニューにあっても区市町村が選択しなければ実施されない。
② AYA世代のがん患者を支援する区市町村の拡大について
【質問】
AYA世代がん患者の支援は、包括補助により支援するとのことだが、多くの区市町村で実施できるよう、活用しやすい仕組みとするなど、AYA世代のがん患者の在宅療養支援に取り組む区市町村の拡大を図っていくべきと考えるが、今後どのように進めていくのか伺う。
【保健医療局長】
都は、区市町村の人口規模に応じて、補助額の上限を設定している包括補助において、補助メニューの1つであるAYA世代がん患者の在宅療養支援が、より多くの区市町村で活用されるよう、上限を超過する場合でも補助できる取扱いとしていく。
また、令和6年4月に開催予定の区市町村に対する補助事業の説明会で、先行自治体の好事例を横展開するなど、今後、区市町村に対し、様々な機会を通じて、積極的に本事業の活用を働きかけていく。
③ 都立大久保病院の女性医療センターについて
【質問】
都議会公明党は、令和4年第4回定例会で、女性特有の疾患にワンストップで対応できる医療体制の構築を求め、知事より、都立大久保病院に女性特有の疾患の早期発見や相談などに応じる女性医療センターを設けていくとの答弁があった。そして、令和5年7月に開設され、令和6年1月には、同センターに女性泌尿器外来を新設したと聞いている。
大久保病院の女性医療センターの現在の取組状況と今後の展開について伺う。
【保健医療局長】
都立大久保病院の女性医療センターでは、女性特有の疾患の早期発見、早期治療等に向けて、プライバシーへの配慮など女性が安心して受診できる環境の下、婦人科や乳腺外科、整形外科等が連携して治療する体制を構築するとともに、痛みのないMRI乳がん検診等も行っている。
令和6年1月には、女性泌尿器外来を新設し、加齢や出産を機に増加する排尿トラブル等への専門的治療を開始しており、幅広い世代の女性のQOL向上に向けて、女性医療の充実に努めていく。
④ 多摩メディカルキャンパスでの女性医療の充実について
【質問】
令和7年4月に、精密検査機能に重点的に取り組む施設を開設するとの報告を受けている。
都議会公明党はこれまで、微小な病変でも発見できる検査装置の導入や、女性専用エリアなど、女性が受診しやすい環境づくりを進め、女性医療を充実していくことを求めてきたが、その後の進捗状況について見解を求める。
【保健医療局長】
令和7年4月に、がん検診センターの精密検査部門を統合し、多摩総合医療センターの別館として新設する施設では、内視鏡検査等の体制を拡充するほか、女性特有のがんも含め、短時間で高精度な検査が可能となる半導体PET―CTの導入等を予定している。
また、婦人科や乳腺外科の患者が受診しやすい環境となるよう、問診から、超音波やマンモグラフィなどによる検査、診察まで完結できる、女性専用のエリアを設けることとしている。
現在、建物工事を進めており、着実に整備を推進していく。
⑤ 都立病院における不妊治療について
【質問】
都議会公明党は、令和4年4月の不妊治療の保険適用拡大により、不妊治療や治療に関する相談の必要性が高まることから、都民に身近な都立病院で、こうしたニーズに的確に対応すべきであると求めてきた。これを受けて、都立病院で不妊治療の相談窓口が開設された。また、今後取り組むべき不妊治療について具体的な議論を進めているとの答弁を得ていたが、実施に向けて、都の見解を求める。
【保健医療局長】
都立病院では、望む人誰もが子供を産み育てられる社会の実現に寄与するため、求められる役割や、都立5病院の不妊治療相談窓口での相談内容等も踏まえながら、不妊治療の取組の方向性を整理した。
具体的には、周産期医療や女性医療に強みがある都立大塚病院において、体外受精や顕微授精等の生殖補助医療に取り組むとともに、地域の医療機関では対応が困難な内科疾患等を有する合併症患者にも対応していく。
令和6年度は、培養室等の整備に向けた設計を行うなど、不妊治療に対する取組を着実に進めていく。
女性施策
① 働く女性の応援拠点について
都内事業所の管理職に占める女性の割合は、年々緩やかに上昇しているものの、家庭との両立が困難との理由などから、男性との差は依然として大きく、女性活躍実現への行政の粘り強い取り組みが求められている。
働く女性のキャリアアップや家庭との両立などの課題について、これまで積み重ねてきた男女平等参画の取組や、困難な問題を抱える女性への支援の状況にも配慮しながら、幅広く支援すべきであるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
女性が職場で活躍し、様々な業務やマネジメントにおいて十分に力を発揮するための後押しは重要である。
このため都は、令和6年度、女性社員等に対し、職場に係る相談対応を行う拠点「はたらく女性スクエア」を青山に開設する。これにより、業務の中で生じる課題や悩みを効果的に解決できるよう、女性の管理職や社員等を対象とする労働相談や、年6回のセミナー開催を行う。また、専門家の窓口相談も行い、平日と土曜日に夜間まで対応する。
さらに、このスクエアと同じ建物内の東京ウィメンズプラザとも協力し、女性の仕事と家庭の両立に向けたサポートを行うほか、女性福祉等の関係機関と共に女性の就業支援を進める。
② 女性デジタル人材の育成について
【質問】
女性が高度なデジタルスキルを習得し、専門性を高めて、正社員で活躍することは、所得の向上や柔軟な働き方の実現につながるため、女性デジタル人材の育成に取り組むことは重要である。
都議会公明党からの提案を受け、都は令和5年度から女性ITエンジニア育成事業を実施しているが、IT業界での経験がない方でも即戦力として活躍できるように訓練をより充実させることや、受講者がモチベーションを維持できるようサポートを手厚くしていくことも重要である。
令和6年度、女性がデジタルスキルを習得し、ITエンジニアとして活躍できるよう、支援を充実していくべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
我が国で、未だ十分に生かし切れていない女性の力を最先端の産業分野で発揮することは重要だ。企業の最前線の現場で非正規の仕事に就く女性がデジタルの技術を身に付け、新たな職場で存分に腕を振るう後押しを進めたい。
非正規で働く女性が、情報システムのプログラミング作業の様子に触れ、ITの知識や技能を学ぶ意欲を高め、それに続くeラーニングで訓練を積み重ねスキルを習得する支援を進めている。
受講生には専門家が付き、その力を着実に伸ばし、就職活動をスムーズに進めるサポートを行い、希望に応じた会社の紹介も行っている。
今後は、こうした取組を大幅に充実するほか、受講生が会場に集まり実践的な訓練を行う工夫や、先輩の女性技術者と交流しデジタルの仕事の魅力を実感できる機会の提供を行う。
これにより、働く女性が新たな分野で活躍する支援を進める。
障がい者への支援強化
① 強度行動障害に対応できるグループホームの整備促進について
【質問】
令和5年度に実施した厚生委員会の視察を通じて、重度障害者を受け入れるグループホームの重要性を再認識した。中でも、他害行為などを伴う強度行動障害を有する方を受け入れていくことは喫緊の課題である。
そこで、強度行動障害の特性に応じた環境整備を進めていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【福祉局長】
都は、令和6年度からの障害者・障害児地域生活支援3か年プランにおいて、強度行動障害も含めたグループホームでの重度障害者の利用者数を1,000人増やす目標を新たに設定した。
令和6年度は、重度障害者に対応するグループホームを整備する場合に、補助基準額を1.5倍とするほか、民間事業者への特別助成の補助率を社会福祉法人並みに引き上げる。
こうした取組を通じて、重度障害者を受け入れるグループホームの整備を強力に促進していく。
② 強度行動障害に対応できるグループホームへの支援について
【質問】
強度行動障害を有する方の受入れを更に進めるためには、都議会公明党が実施を求めてきた実態調査の結果も踏まえ、支援者養成研修の規模や対象を拡充するなど、正しい理解を広げながら、取組を強力に推し進めていくべきであるが、都の見解を伺う。
【福祉局長】
都が令和5年に実施した調査では、グループホームや生活介護事業所において、強度行動障害を有する方の受入れを進めていくためには、障害特性に応じた人員配置や職員の対応力の向上が必要であることが分かった。
都は令和6年度、強度行動障害を有する方の受入促進に向け、人員体制の強化を行う事業所への補助を充実するとともに、支援者養成研修の対象に、障害福祉サービス事業所等と連携して支援を行う特別支援学校の教員を加え、研修の規模も拡充する。また、支援困難事例に対して助言等を行うアドバイザーを発達障害者支援センターに新たに配置し、事業所を支援していく。
③ デジタルの力を活用した障がい者の支援について
【質問】
令和3年、都議会公明党は、障がい者が移動時に困ったときに、デジタルを活用して手助けする方をマッチングする取組を提案した。例えば、聴覚障がい者は、見た目では障がいがあることが分からず、店舗スタッフが声をかけて初めてサポートが必要であることを知り、円滑なコミュニケーションができないことが多い。このような困り事を解決するため、デジタルの力を効果的に活用し、障がいの有無に関わらず、やりたいことがスムーズにできる社会を実現することが重要である。
そこで、令和7年開催のデフリンピックも見据え、デジタルを活用し、障がい者のまち中での活動をサポートする取組を進めていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【デジタルサービス局長】
都は、令和6年度、スマート東京先行実施エリアである西新宿において、アプリ等を活用し、障害者の方がまちで直面する困りごとの解決に向けたスマートサービスを提供する事業を開始する。
具体的には、店舗等に近づくと、希望するサポート内容がスタッフに自動で伝わる仕組みや、アプリを通じて必要な連絡ができるなど、適切なサポートにつながるサービス等を検討している。障害者団体等の意見を聞きながら、今後、都庁や飲食店、宿泊施設等での導入に向けて、施設管理者・テナントなど関係者と調整を進めていく。
デフリンピックに向けた取組とも連携し、障害者が安心してまちなかで活動できるよう、デジタルの力を活用した支援を進めていく。
④ チャットボット等を活用した情報発信について
【質問】
障がい者が安心して活動できるように、障がい者が困ったときにスマートフォン等を活用し、チャットボット等で速やかに回答が得られる仕組みを構築すべきと考えるが、都の見解を求める。
【福祉局長】
これまで、障害当事者等が抱えている生活上の悩みごと等については、都や区市町村の窓口のほか、電話で対応してきた。
令和6年度は、障害者が時間や場所に限らず必要な情報を入手できるよう、行政サービスの情報や、例えば視覚障害者の薬の管理方法など、日常生活の困りごとを乗り越えるための工夫などを、AIチャットボットにより入手できる事業を実施する。
実施に当たっては、実践的な内容となるよう、視覚障害者や聴覚障害者が有する生活の知恵やノウハウを収集し、日常生活における場面ごとに分類、発信するなど、障害者の生活の質の向上に向け、取り組んでいく。
防災対策
① 液状化対策について
【質問】
首都直下地震が切迫する中、液状化被害を抑制するためのさらなる予防的対策を促進することは、極めて重要である。
能登半島地震における面的な被害発生を受け、対策の更なる推進に向けて、戸建て住宅など個別対策だけでなく、これまで、都議会公明党が繰り返し要望してきた、区画整理事業などに合わせた面的な液状化対策の更なる支援を急ぐべきと考えるが、都の見解を伺う。
【都市整備局長】
首都直下地震等における被害想定では、都内でも広範囲で液状化の被害が示されており、能登半島地震を踏まえ、液状化対策を進めていくことが重要と再認識した。
土地区画整理事業などに合わせた面的対策については、令和5年度、国や区市へのヒアリングを行ったところ、国の補助制度は3,000平米以上かつ家屋が10戸以上の区域など、対象が限定的であることや、住民や自治体の工事費負担が大きいことなどの課題が明らかになった。
今後、国に補助制度の改善を求めていくとともに、有識者の意見も聴きながら、東京の地域特性に適合した対策工法や、まちづくりを契機とした面的事業における対策の検討を加速していく。
② 区市町村との災害時における道路情報の共有について
【質問】
能登半島地震では、道路が複数箇所で寸断され、辛うじて通れる道路では渋滞が発生するなど、厳しい交通状況となった。救出救助活動等の支障となり、その後、復旧、復興ににも大きな影響を及ぼしている。
道路の被害状況を把握することは、復旧の優先度を判断するためにも有効であり、区市町村との災害時における道路情報の共有は極めて重要である。災害時における道路情報の共有について、都の取組を伺う。
【総務局長】
大規模災害時には、迅速な救出救助等のため、道路状況を把握することが重要である。
このため都は、道路が被災した場合、その情報が都の災害情報システムを通じて、都と区市町村等の間で相互に共有される仕組みを構築している。
このシステムでは、道路の通行の可否や建物の損壊状況など、様々な情報を地図上に重ね合わせて表示することにより、道路の被災情報を視覚的に把握することが可能となる。
③ 被災者への情報提供について
【質問】
能登半島地震では、道路のみならず、水道も寸断され、被災者は状況が分からないまま、水道すら使用できない不便な避難生活を余儀なくされた。被災者の避難に役立つ情報についても積極的に情報収集し、適切に情報提供していくことが重要である。
災害時に被災者が少しでも安心して快適に過ごせるよう、水道をはじめとするライフラインなどの情報を提供していくべきと考えるが、都の取組を伺う。
【総務局長】
都は、都民が最寄りの避難所の位置などを一目で確認できるよう、東京都防災マップで発信している。また、発災時には、水道をはじめとするライフラインの状況について、ホームページやSNS等で発信することとしている。
現在、避難所における水道利用の可否情報など、避難生活に重要な情報の発信を一層充実させる観点から防災マップの改修を進めている。
今後とも、被災者への分かりやすい情報提供に努めていく。
④ 下水道の震災対策について
【質問】
江戸川区では、都が公表している都心南部直下地震の被害想定において、震度6強以上が予測されているエリアが約8割を占めており、甚大な被害が見込まれていることから、地震発生後の下水道の機能確保には地元住民も大きな関心を寄せている。
下水道局では、下水道管や水再生センター、ポンプ所で耐震化を進めていると聞いているが、下水道の震災対策を着実に進めるべきと考える。江戸川区内の整備状況と今後の取組を伺う。
【下水道局長】
下水道局では、震災時の下水道機能を確保するため、避難所等からの排水を受け入れる下水道管の耐震化を進めるとともに、水再生センター等では、揚水機能などの最低限の下水道機能に加え、流入渠(きょ)等を対象に拡大し、耐震化を推進している。
これまでに江戸川区では、下水道管は避難所や災害拠点病院等の耐震化を概成するなど310か所の施設で実施した。また、水再生センター等は、区内の全7施設のうち東小松川ポンプ所など2施設で対策が完了している。
令和6年度は、引き続き、下水道管や小松川ポンプ所等の耐震化を進め、更なる震災対策の強化に取り組んでいく。
⑤ 下水道施設の耐水化について
【質問】
江戸川区は、荒川、江戸川と東京湾に囲まれ、7割が海面より低いゼロメートル地帯であり、荒川の溢水など、大規模水害時の対応も必要である。水害により、下水道施設のポンプの運転が停止してしまうと、汚水や雨水の処理ができなくなってしまうおそれがあり、万が一の水害からポンプを守る耐水化の取組が重要である。
一方で、東京都豪雨対策基本方針によれば、津波だけでなく、今後は高潮や河川の氾濫に対応するため、耐水化をレベルアップしていくとされている。
長年、高潮に対応した耐水化を求めてきた都議会公明党としても、この取組は重要であり、速やかに対策を進めていくべきと考えるが、下水道施設の耐水化のレベルアップについて、江戸川区における今後の取組を伺う。
【下水道局長】
目標を超える降雨や複合災害等により、水害が発生した場合でも、揚水機能などを確保することは重要である。
このため、高潮や外水氾濫等のうち、最大となる浸水深に対し、防水扉や止水板等により耐水化をレベルアップしていく。
江戸川区においては、篠崎ポンプ所で、必要な対策の検討を進めており、令和6年度は、この検討結果を踏まえ、換気口の高さや防水扉の構造の検討など、実施設計に着手する。
今後も、下水道施設の耐水化を推進し、強靭で持続可能な都市・東京の実現に貢献していく。
⑥ 篠崎公園の高台化について
【質問】
都議会公明党は、これまで防災拠点である篠崎公園の高台化を強く求め、いよいよ実現に向けて動き出した。篠崎公園の江戸川沿いにおける高台化に向けた取組状況について伺う。
【東京都技監】
都は、東部低地帯において、水害時の避難動線が確保できるよう、篠崎公園の高台化に向けて段階的な整備に取り組んでいる。
国等と連携して事業を進めている江戸川沿いの区域では、高台化に伴い、公園施設の移設が必要となるため、都は令和4年度から準備工事を行っている。また高台化後の公園の整備イメージを近隣住民等に示し、意見を聴くため、令和5年夏にオープンハウスを開催した。令和6年1月からは、国による盛土工事も始まっている。
令和6年度は、こどもや保護者の意見を反映した遊具広場などを整備するとともに、公園の設計を進めていく。
⑦ 補助第286号線の橋梁整備について
【質問】
高台化が進みつつある篠崎公園には、都県を結ぶ橋梁の補助第286号線が計画されている。千葉県側には大洲防災公園があり、補助第286号線は都県の防災上極めて重要な橋であり、早期整備に取り組むべきと考える。
補助第286号線の橋梁整備の取組状況について見解を伺う。
【東京都技監】
補助第286号線の橋梁は、江戸川で隔てられた地域を結ぶことにより、都県境の道路ネットワークを形成し、慢性的な交通渋滞の解消に資する重要な都市基盤施設である。また、洪水や地震など災害時のリダンダンシーを確保し、広域避難路や緊急物資輸送路となるなど、防災性の向上に寄与する。
本橋梁の計画については、高規格堤防や沿道のまちづくりとの整合を図るため、国など関係機関との調整を進めてきた。また、道路構造等に関して、千葉県や地元区と意見交換を継続して行ってきている。
引き続き、共同事業者となる千葉県などと連携し、橋梁整備に向けて取り組んでいく。
※リダンダンシー・・・自然災害等による障害発生時に、一部の区間の途絶や、一部施設の破壊が全体の機能不全につながらないよう、あらかじめ予備の手段が用意されているような状態
⑧ 避難ルートとなる中川堤防上部通路の連続化について
【質問】
中川の左岸堤防上を高台の葛西南部地域まで移動できるようにするためには、清砂大橋など4か所で、分断されている道路を連続化することが必要である。
都議会公明党は、令和4年第1回定例会や令和5年の決算特別委員会において、その取組状況について、都の答弁を求め、ようやく令和6年から工事に着手したと聞いている。
そこで、避難ルートの確保に向けた中川堤防上部の通路の連続化における進捗状況と今後の取組について伺う。
【東京都技監】
水害から都民の命と暮らしを守るためには、避難の実効性を高める取組を推進していくことが重要である。
中川では、横断する橋梁等により、堤防上部の通路が4箇所で分断されている。このため、災害時に通路を使って地盤が高い地域へ避難できるよう、堤防の耐震補強工事に合わせた通路の連続化に取り組んでいる。
令和6年2月には、清砂大橋と葛西橋上流部で、耐震補強工事に着手し、この中で橋梁と堤防上部をつなぐ通路を整備する。令和6年度は、葛西橋下流部でも工事に着手し、残る2箇所でも、順次、設計や工事を実施していく。
今後とも、地元区等と連携して着実に整備を進め、地域の安全性を高めていく。