うすい浩一議員の本会議(9月26日)一般質問

災害・防災対策

① 区市町村による被災者支援

【質問】

国が掲げる災害ケースマネジメントでは、区市町村は、被災者支援の主体として、被災者の抱える課題を把握するアウトリーチや専門家等と連携した支援などを行うことが想定されている。

都は、令和6年3月の予算特別委員会での区市町村を支援すべきとの質問に対し、弁護士や行政書士会など専門家と連携して、区市町村の取り組みを支援すると答弁があった。

区市町村による被災者支援の一層の推進のために、災害ケースマネジメントの考え方に基づく取り組みを、都が後押ししていくことが重要であると考えるが、見解を伺う。

【総務局長】

区市町村による被災者支援についてであるが、被災者が抱える様々な生活相談に応じ、一人ひとりに寄り添った支援が行えるよう、都は、区市町村の求めに応じて、協定を締結している弁護士会、行政書士会等を含む20団体から、専門家を派遣することとしている。

令和6年度は、新たに、区市町村職員向けの講習会を開催し、他自治体の好事例や専門士業団体が実施している被災者支援の取組などを周知することで、区市町村における専門家等との連携体制の構築などを促進する。

こうした取組を着実に進め、きめ細かい被災者支援の実現につなげていく。

② コンクリート舗装の採用

【質問】

コンクリート舗装は、アスファルト舗装に比べ、耐久性に優れるほか、災害発生時における被害の軽減なども能登半島地震の際に見うけられた。

都内の道路では、地下埋設物が多いため、補修性などの観点からアスファルト舗装が主流であるが、強靭化推進の観点から、例えば、地下埋設物の少ないところではコンクリート舗装の採用を検討すべきと考えるが、見解を伺う。

【建設局長】

コンクリート舗装の採用についてであるが、コンクリート舗装は、施工後、交通開放までに時間を要することなどの課題がある一方、耐久性が高いといった特徴を有している。

これまで、山間部の地下埋設物が少ない箇所や、アスファルト舗装の施工が困難な箇所でコンクリート舗装を採用してきた。

引き続き、山間部におけるトンネルの新設や、急勾配の道路の打ち替え時などにおいて、現場の状況を考慮しながら採用を検討していく。

医療・福祉施策

① 認知症検査に関する研究

【質問】

令和6年5月に厚生労働省の研究班が発表した推計結果によれば、2040年には、認知症になる人は全国で約584万人、また、軽度認知障害の人は約612万人に上るとしている。

朗報として、令和5年12月にアルツハイマー病の新たな抗体医薬レカネマブの販売が開始されたが、投与の対象は早期の方に限定されており、対象になるか診断するためには、原因となるたんぱく質の脳内での蓄積状況を検査する必要がある。現在は、脳のPET検査や脳脊髄液を採取し分析する検査が主流であり、患者にとっては、経済的にも身体的にも負担がある。

そこで、東京都健康長寿医療センターに設置された認知症未来社会創造センターにおいて、認知症の早期診断につながる「血液バイオマーカー」の研究を実施してきたが、進捗状況と今後の取り組みについて伺う。

【福祉局長】

認知症検査に関する研究についてであるが、東京都健康長寿医療センターでは、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドベータについて、脳内での蓄積状況を血液検査で判別できるバイオマーカーの研究開発に取り組んでおり、そのバイオマーカーを検査する試薬について薬事承認を取得している。

今後、広く臨床現場で活用されるよう、医療機器メーカー等とも連携しながら診断精度の向上を図るなど、引き続き研究開発を進め、患者の経済的・身体的負担が少ない認知症検査の実用化につなげていく。

② 認知症の診断後の支援について

【質問】

認知症の検診後の支援も重要である。

都は、現在検討中の都の認知症施策推進計画の中で取り上げるなど、診断後支援をさらに充実していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【福祉局長】

認知症の診断後の支援についてであるが、都は令和6年度、TOKYO認知症施策推進プロジェクトを開始し、検診の対象年齢を拡大するとともに、検診の結果、認知症の疑いと診断された方に対する定期的な連絡や訪問を行う区市町村への支援などに取り組んでいる。現在、認知症施策推進計画の策定に向け、専門家会議において議論を行っており、委員からは、診断後の本人やその家族への心理的支援の必要性や取組の充実等について意見をいただいている。

今後、こうした意見等も踏まえ、計画策定の議論の中で、診断後の支援の推進等について検討を進めていく。

生涯学習

① 東京リカレントナビの一層の充実

【質問】

人生100年時代において、生涯にわたり自己のスキルや知識をアップデートするリカレント教育は、キャリアの継続や生き生きと豊かな人生を送る上で重要な要素と考える。

リカレント教育をさらに推進していくため、学びたいと考える誰もが、数多くの講座から自分の興味や関心度に応じて希望する講座に行き着くよう、都民の学び直しのニーズに応えるポータルサイトとして、東京リカレントナビの一層の拡充を図るべきと考えるが、都の見解を伺う。

【総務局長】

東京リカレントナビについてであるが、都では、都民の学び直しを後押しするため、各局や都内の大学等が提供する多様な教育コンテンツをポータルサイトで紹介しており、カテゴリーや目的等による検索機能などを通じて、利用者が幅広い講座の中から興味・関心に応じて選べるよう工夫してきた。

今後は、個々の学習レベルや希望するテーマで講座をより細かく検索できるよう改善する。加えて、ニーズが高いDXや医療福祉の分野毎に特集ページを設け、何をどの順番で学べばよいか、初学者向けの学びの道筋を示し、お薦め講座を紹介する等、自分に合った講座を探し易くなるようサイトの更なる充実を図っていく。

② リカレント教育の支援

【質問】

リカレント教育の充実に向けて、地域住民のニーズを踏まえ、地域の学びの拠点である大学等を活用することは有効である。足立区では、大学と連携し、区民の生きがい作り等を積極的に進めている。シニア世代の健康にも効果がある、こうした積極的な取り組みに対し、都も必要な支援をしていくべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

リカレント教育についてであるが、東京の高齢化が急速に進む中、シニア世代が生涯を通じ学びを続ける機会を提供することは不可欠である。特に、優れた知識や経験を持つ高齢者に、大学を通じ高度な学習を可能とする事は重要な視点だ。

東京の様々な大学の講座をデジタルのプラットフォームを通じ、高齢者に紹介し、受講に繋げる仕組みを立ち上げた。都立の大学では、シニア世代が本格的な学習や研究を行うコースの充実を進めるとともに、起業を後押しするプログラムも提供している。

今後は、高齢者が身近な地域にある大学で学び直しを進める機会を増やすため、区市町村と協力し、講座や実習の内容のきめ細かな紹介などに力を入れていく。

こうしたリカレント教育の普及を通じ、高齢者がいきいきと暮らす社会の充実を図る。

地域公共交通

① 地域公共交通における専門家活用

【質問】

地域公共交通は専門性が高く、専門家からの助言も有効と考えているが、自治体単独では、専門家の把握や住民との連携方法の習得が困難であるとの声を聞く。

区市町村における専門家の活用について、都が支援すべきと考えるが、見解を伺う。

【東京都技監】

地域公共交通における専門家の活用についてであるが、地域公共交通の導入に当たっては、区市町村が専門家の客観的視点、技術的観点からの助言を受けて、住民等と議論することが効果的である。

都は、都内自治体が設置する地域公共交通活性化協議会等に参画している専門家を、他の自治体へ積極的に紹介、仲介していく。また、区市町村の職員が参加する行政連絡会において、有識者等との意見交換の場を設定し住民との連携方法等に関する知見が深まるよう促していく。

引き続き、区市町村への支援を通じ、地域公共交通の確保に取り組んでいく。

② 地域公共交通の導入に向けた支援について

【質問】

多くの区市町村は、交通空白地域へのコミュニティバスの導入に取り組んでいる。近年は、デマンド交通など新たな交通モードが登場してきており、導入の際には、実証実験により利用者ニーズの把握等を行うことが効果的である。交通モードの検討に当たり、都の補助制度を活用することができれば、区市町村の取り組みの後押しになると考える。

都は、区市町村による実証実験の取り組みを支援していくべきだが、見解を伺う。

【東京都技監】

地域公共交通の導入に向けた支援についてであるが、区市町村が地域公共交通を導入する際は、実証実験を通じて交通モードや運行ルートなどの運用方策について検討することが効果的である。都は、区市町村に対して実証実験も含め、地域公共交通の導入等に係る調査検討費を補助している。

一方で、この補助制度を活用した実証実験の事例が少ないことから、補助対象であることを要綱に明記するとともに、行政連絡会で周知し、活用を促していく。

今後とも、地域公共交通を主体的に担う区市町村の取組を支援していく。

まちづくり

① 中川公園の整備

【質問】

都議会公明党の要請で公園内にある突起状のトップライトが撤去されたが、撤去後の利用については、中川公園が運動公園に位置付けられていることも踏まえ、地元の意向も聞きながら、公園の整備を進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。

【建設局長】

中川公園の整備についてであるが、本公園は、避難場所としての役割を担うとともに、スポーツやレクリエーションの場としても親しまれるなど、地域にとって重要な公園である。

これまで、防災トイレや、子供の遊びや運動に利用される広場の整備、老朽化した施設の改修など、着実に整備を進めてきた。令和6年度は、水再生センターの上部エリアについて、インクルーシブ遊具や非常用照明の整備を進めるとともに、テニスコートの設計に着手する。

今後とも、地元区が設置した協議会において、自治会との意見交換を行うとともに、区や下水道局と連携を図りながら、本公園の整備に取り組んでいく。

② 土づくりの里の覆蓋化(ふくがいか)

【質問】

下水道局の施設、土づくりの里は、覆蓋化完成後、覆蓋上部を隣接する中川公園と一体的に公園として活用することになっているが、覆蓋化事業の完成に向けた都の取り組み状況について、見解を伺う。

【下水道局長】

土づくりの里の覆蓋化についてであるが、土づくりの里は、下水道工事による建設発生土を改良し、地震時の液状化に効果がある埋戻し用の土として再利用する極めて重要な施設である。

施設の再構築に当たっては、早期に上部利用を図るため、施設上部の覆蓋工事を2期に分けて実施し、現在、本体工事に先立つ掘削工事を実施中であり、令和6年度より覆蓋の基礎工事に着手予定である。

第1期工事の令和12年度完了に向け、新たに、民間企業の技術提案を活用し、安全かつ効率的な施工方法となるよう、工夫しながら事業を実施し、覆蓋化事業を着実に推進していく。

③ 綾瀬川における河川整備

【質問】

綾瀬川における六町地区などの整備状況と今後の取り組みについて、都の見解を伺う。

【建設局長】

綾瀬川における河川整備についてであるが、都はこれまで、耐震補強工事を計画的に実施しており、令和6年度、対策延長約11キロメートル全てが完了する。

また、足立区の六町地区においては、区画整理事業に合わせた緩傾斜型堤防の整備を進めており、人々が快適に利用できるよう植栽やベンチを設置する修景工事が令和6年度内に完成する。整備後は、堤防天端(てんば)と川側の遊歩道を開放する。今後、遊歩道などの利用状況を踏まえ、川に親しめる空間整備の方向性について地元の意見を聞くなど、区とも連携を図っていく。

引き続き、安全で魅力的な水辺空間を創出していく。

※天端・・・一番高い部分。

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