財政運営
【質問】
国から必要な財源を引き出すとともに、これまで着実に培ってきた都債の発行余力の有効活用や、決算剰余金、不用額の精査、事業評価の取組の更なる強化も含め、中長期的な視点に立った戦略的な財政運営が不可欠であると考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
財政運営についてであるが、最新のGDPは、1年ぶりのプラス成長となったものの、新型コロナウイルス感染症による落ち込みを回復するには至っておらず、都財政を取り巻く環境は今後厳しさを増すことが想定される。
一方で、新型コロナウイルス感染症は、再び、急速に拡大しており、都民の命や暮らしを守るための対策が待った無しの状況である。
こうした中、医療提供体制の強化など、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すとともに、東京の発展を更に進めていくためには、国際金融都市の実現に向けた取組や、AIやIoTを活用した新時代を創る産業などの成長が見込まれる分野に、限られた財源を重点的、効率的に配分することが求められている。
このため、基金や都債などこれまで着実に培ってきた都財政の対応力を最大限発揮していく。また、決算剰余金の活用や、予算執行段階での歳出の精査を行うとともに、国に対しては、都の実情を踏まえた確実な財政支援を力強く求めていくなど様々な手立てにより、財源の確保に努めていく。
さらには、事業評価の取組を一層強化し、施策の効率性、実効性を向上させるなど、中長期的な視点に立って戦略的かつ持続可能な財政運営に努め、都に課せられた使命を確実に果たしていく。
構造改革
【質問】
DXの取組を進める中で、リカレント教育の充実やデジタルデバイド対策、人中心のまちづくりなど、SDGsの視点も踏まえ長期戦略の中で具体化を図るべき。また、取組を加速させるため、組織体制の見直し、民間の力の活用も必要と考える。知事の見解を伺う。
※DX…デジタルトランスフォーメーション
【知事】
構造改革についてであるが、戦後最大と言われる危機を乗り越え、東京が選ばれる都市となるためには、新型コロナウイルスとの闘いの中で浮き彫りとなった構造的な課題に対し、スピード感を持って改革を推進していかなければならない。
このため、各界の有識者からなる会議を立ち上げ、ポスト・コロナを見据え、東京が持続可能な都市として発展していくために何をなすべきか大胆な視点と発想に立った議論を重ねていただいた。
有識者会議からは、デジタルトランスフォーメーションを推進力として、産業構造の変化に対応したリカレント教育を充実していくことや、デジタルデバイドで取り残される人を生まないきめ細かなサポートが必要であること、さらには、人間中心の都市への再構築を進めることなど、多岐にわたる提言をいただいた。
これらはいずれも、重要な視点であり、私が目指す多様性と包摂性に溢れた「人が輝く東京」を創り上げるために不可欠な要素である。
いただいた提言をしっかりと受け止め、都政のDXを強力に推進するため、仮称デジタル局設置の検討を進めるとともに、民間企業等、様々な主体との連携、協働による効果的な政策を練り上げ、戦略をバージョンアップし、長期戦略として結実させていく。
新型コロナウイルス感染症対策
① 新型コロナ感染症に係る年末年始の相談・診療体制について
【質問】
都は10月末に発熱相談センターを立ち上げた。感染者が増えている中、この体制については、年末年始もしっかりと維持していくことが重要である。これまでの対応状況や年末年始の見通し、それに対する体制について、知事の見解を伺う。
【知事】
新型コロナウイルス感染症に係る年末年始の相談・診療体制についてであるが、都は、発熱した方でかかりつけ医のいない方へ医療機関の紹介などを行う「発熱相談センター」を本年10月30日に開設した。
センター開設後の相談件数の増加を踏まえ、休日等における回線数を最大15から30に増やすなど、体制を強化した。今後、年末年始の時期には、相談件数が更に増えることが予想されるため、回線数を最大50に増やすこととしている。
また、地域において適切に診療や検査を受けられるよう、3,200か所を超える都内の医療機関を「診療・検査医療機関」として指定しており、今回、年末年始に診療を継続いただける場合の協力金を補正予算案に計上している。
都民の皆様の安心を確保するため、医療機関の協力も得ながら、年末年始に向けて相談・診療体制の更なる強化を図っていく。
② 高齢者施設等における感染対策について
【質問】
特別養護老人ホームや障がい者支援施設の職員や利用者への定期的なPCR検査への補助について、第三回定例会で補正予算が成立した。現状の取組状況の説明を求めるとともに、来年度も高齢者、障がい者施設に対しての感染防止の支援策を講じるべきだが、見解を求める。
【福祉保健局長】
高齢者施設等における感染対策についてであるが、都は、感染症に罹患すると重症化しやすい高齢者や障がい者が入所する施設の感染対策を支援するため、新規入所者や職員への定期的な検査費等の補助を開始した。
本事業の対象期間は、補正予算が成立した10月8日から年度末までであり、施設が速やかに補助を活用できるよう、関係団体を通じた周知等を行い、多くの施設から申請に向けた問合せを頂いている。現在、交付申請を受け付けており、申請後に取組内容等に変更が生じた場合でも柔軟に対応することとしている。
高齢者施設等でのクラスターの発生を防ぐため、こうした取組により積極的な検査を支援するとともに、今後も新型コロナウイルス感染症の流行状況を踏まえ、施設における感染拡大防止に万全を期していく。
③ 都立・公社病院におけるコロナ病床と重症患者への対応について
【質問】
都立・公社病院は引き続き、率先してコロナ病床の増床とともに重症患者の対応も積極的に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。
【病院経営本部長】
都立・公社病院のコロナ病床についてであるが、現在都は、都内医療機関に対し3,000床の病床確保を要請している。都立・公社病院の病床数は都内全体の約6%であるが、感染症医療を行政的医療として位置付け14病院全てで800床を確保し、患者を受け入れるとともに、新たに開設する専用医療施設のほか、今後の感染拡大状況に応じて更なる増床も実施する。また、重症患者にも対応するため、各病院の役割や機能に応じて25床を確保しているが、最大50床程度の確保を見据え準備を進めていく。今後も感染拡大の動向に応じ病床確保に努めるとともに、感染症医療以外の行政的医療や一般医療等も含め、他の医療機関では対応困難な患者を受け入れることで、民間病院等の負担軽減を図るなど都民が必要とする医療を受けられるよう対応していく。
④ 重症病床とそれを支える医療スタッフの確保等について
【質問】
医療崩壊を防ぐためには、民間を含む都内病院全体での重症病床の増床が急務の課題である。あわせて、そのためには専従の医療スタッフの増員が不可欠である。重症病床の増員を支える専門医療スタッフの確保・育成を急ピッチで進めるべきだが、知事の見解を伺う。
【知事】
重症病床とそれを支える医療スタッフの確保等についてであるが、今まさに正念場を迎えている新型コロナウイルス感染症対策において、私は、「死亡者を出さない」、「重症者を出さない」、「医療提供体制の崩壊を防ぐ」この3つの柱を軸として、様々な危機に対する対策を全力で講じている。
都内では、感染の急速な拡大により、特に重症化リスクの高い高齢者において、新規陽性者数が増加し、重症者数も高い水準で推移するなど、予断を許さない状況にある。
都知事として、都民の皆さんの命を守るために、医療機関のひっ迫を回避しながら重症者を確実に受け入れるための病床と医療スタッフを確保し、適切な医療を提供する体制を構築することが最重要の課題と認識している。
このため都は、大学病院等の医療機関から、病床の状況や課題等の把握を行い、先週には、重症者の増加に対応するため重症者用病床200床の確保を要請しており、今後、300床の確保を視野に入れた受入体制の強化を進めていく。
また、こうした医療機関が重症患者等を確実に受け入れられるよう、今定例会において、医師や看護師等の配置を含めた病床確保の補助を重症者を受け入れるICUについては1日当たり約30万円から約43万円に引き上げるほか、医療機関への支援を年度末まで延長するための補正予算案を提案している。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大をなんとしても食い止めるため、あらゆる対策を講じていく。
⑤ 感染症対策を担う人材の確保について
【質問】
業務経験を通じて身に付けた感染症対策の知識・技能を都が積極的に評価・認証して、モチベーションや社会的ステイタスの向上に結び付け、人員の確保を図るべきと考えるが、見解を求める。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
感染症対策を担う人材の確保についてであるが、都は、業務負担が増大している保健所の支援を行うため、本年7月に保健所支援拠点を設置し、9月には感染症対策業務に従事する職員をトレーサーとして8名採用した。さらに、先月には感染者の急増に備え、看護師等9名、事務職員39名、合計48名を増員した。
これらのトレーサーは、関係機関と連携した専門的な研修を受講した上で、保健所支援拠点や都保健所において積極的疫学調査の支援等の業務に従事している。
また、トレーサーとして、一定期間業務に従事し、様々な場面で感染症対策を担うレベルに達していると認められる看護師等を、感染症対策支援員として認証する予定であり、今後とも、感染症対策に積極的に取り組んでいく。
⑥ 新型コロナ対策における先進技術の活用について
【質問】
専門家の活用によって先進技術の効果を評価する場を整えるなど、先進技術の活用で室内感染の防止を図る取組の進展を導くべきだが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
新型コロナ対策における先進技術の活用についてだが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を効果的に進めていく上で、お話しのような先進技術の活用を含め、科学的知見に基づいた対策を講じることは有効である。都は、本年10月に東京iCDCを立ち上げ、疫学・公衆衛生や検査・診断、リスクコミュニケーションなど幅広い分野の専門家の方々に参画いただく「専門家ボード」を設置し、専門家の知見を生かした取組を進めている。
今後、様々な先進技術の動向に注視しながら、室内感染対策など民間で開発された技術の有効性に関して専門家が検証を行う場などについて、東京iCDCで検討するなど、科学的知見に基づいた感染防止対策を講じていく。
⑦ 室内感染防止対策に対する補助について
【質問】
iCDCによる先進技術を評価する場が実現された際には、その内容を業界ごとのガイドラインに記載された内容と同様に受け止め、産業労働局が推進する店舗や事業所などの室内感染防止対策向けの補助事業の対象に加えていくべきと考えるが、見解を求める。
【産業労働局長】
中小企業の感染防止対策への支援についてであるが、中小企業がコロナ禍の中でも事業を継続できるよう、各業界の感染症防止ガイドラインに沿った自主的な取組を後押しすることは重要である。
都は今年6月から、中小企業がガイドラインに沿った感染防止対策に必要となる設備等の導入を行う場合、その経費の3分の2を助成している。さらに、冬場を迎えて、感染防止に有効な換気設備の工事について、助成限度額を2倍に引き上げるなど、制度のより一層の充実を図ったところである。
今後、感染防止対策の実効性をより高めるため、東京ⅰCDCが有効性を認めた設備等の導入に対する支援についても検討する。こうした取組により、中小企業の事業活動を着実に支援していく。
⑧ 高齢者への肺炎球菌ワクチンの接種について
【質問】
我が党の代表質問で肺炎球菌ワクチンについての補助を検討するべきとの質問に対し、知事は今後、接種率の更なる向上を図る取組が必要であるとの認識を示したが、その後の検討状況を知事に伺う。
【知事】
高齢者への肺炎球菌ワクチンの接種についてであるが、肺炎による高齢者の死亡率は高く、日常的に生じる肺炎のうち4分の1から3分の1は、肺炎球菌感染症が原因と考えられている。
このため国は、平成26年に、高齢者の肺炎球菌感染症を定期予防接種を行う疾病に位置付け、65歳となる方などを対象として、接種が行われているが、例年、都内における接種率は約3割に留まっている。
こうした現状も踏まえ、都は、更なる接種率の向上を図るため、実施主体である区市町村の状況も把握しながら、現在、定期予防接種の対象者への新たな支援策の検討を進めている。
⑨ インフルエンザワクチンの供給について
【質問】
ワクチンは、都民に行き渡る十分な量が確保されているのか、総量が十分であるならば、都はワクチン偏在解消のための円滑な流通に向けて、これまで以上に医療機関と区市町村と情報共有と連携を図るべきだが、見解を伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
インフルエンザワクチンの供給についてであるが、国は、本年度のワクチン供給予定量を6,644万人分相当としており、記録のある平成8年以降最大だった昨年度の使用量と比べて約2割多くなっている。
都道府県別の供給量の目安として、都には約714万人分が供給される見込みであり、希望する都民が十分に接種を受けられる量と考えている。また、都は、ワクチンの地域偏在による現場での不足を防ぐため、区市町村や医師会を通じて各医療機関の需給状況を随時把握し、流通を担う医薬品卸売販売業の団体と共有することで確実な調達につなげることとしている。
今後、本格的な冬の到来に向けて、希望する都民が安心してインフルエンザワクチンを接種できるよう、関係機関と連携して円滑な供給に万全を期していく。
⑩ 携帯電話等の位置情報などを活用した感染症対策について
【質問】
iCDCにおいて、例えばこうした位置情報を活用して、クラスターの発生予防などの対策に生かしていくべきと考えるが、見解を求める。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
携帯電話等の位置情報などを活用した感染症対策についてであるが、国内で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されて以降、ICTを活用した様々な感染症対策のためのツールが開発されている。
こうしたツールの活用に当たっては、技術の有用性はもとより、個人情報保護の厳格性や関係機関間の役割分担などの効率性等を、総合的に評価することが必要である。
今後、東京iCDCを活用するなど、最新テクノロジーの開発動向や国の動きなどを注視しながら、感染症対策において効果が期待できる技術の活用策等を検討していく。
※東京iCDC…東京感染症対策センター
⑪ 多摩地域におけるアセット開放の取組について
【質問】
多摩地域における都保有アセット(財産)の開放を積極的に推進するとともに、市町村が保有する行政財産についても開放を後押しすべきと考えるが、見解を伺う。
【戦略政策情報推進本部長】
多摩地域におけるアセット開放についてであるが、21世紀の基幹ともいうべき公共インフラは電波の道であり、高速モバイルインターネット網である5Gネットワークの構築は多摩地域においても重要である。
この構築を後押しするために、多摩地域において約6,300件の都が保有するアセットを積極的に開放している。これに加え、今後、政策連携団体が保有するアセットの掘り起こしなど、更なる開放へ向けた検討を進めていく。また、現在アセット開放や基地局設置ワンストップ窓口の取組について、ノウハウや知見のマニュアル化を進めている。マニュアルは、通信事業者側のニーズも組み込むことでより実践的なものにしていく。今後、都区市町村IT推進協議会などの場を通じて、本マニュアルを周知することで、市町村の取組を促していく。
⑫ 新型コロナに関する差別解消への取組について
【質問】
新型コロナウイルス感染症を理由とした不当な差別や偏見、誹謗中傷から感染者本人や医療関係者等を守るために、新型コロナ対策条例を改正し、都の責務としてコロナ差別の解消や「都民及び事業者の責務」の啓発など必要な取組を推進すべきであるが、見解を求める。
【総務局長】
新型コロナに関する差別解消への取組についてだが、コロナ禍において、感染者や医療従事者等を誹謗中傷する事例が後を絶たない。こうした差別は決して許されるものではなく、解消に向けた普及啓発は重要である。
都は現在、啓発チラシ等各種広報媒体を活用し、都民に対して人権に配慮した冷静な行動をとるよう促すとともに、今月の人権週間キャンペーンではコロナ差別解消を含めた啓発活動を進めている。また人権プラザにおいて、新型コロナに関連した不当な差別等についての相談に応じるとともに、弁護士による法律相談を実施している。今後、国会におけるコロナ差別解消に向けた法制化の動向を注視しつつ、感染症に対する正しい理解の促進や適切な相談対応などを行うことにより、感染者や医療従事者等の人権が守られるよう全力で取り組んでいく。
教育施策
① プロフェッショナル人材事業について
都は、中小企業の経営支援としての「プロ人材」の確保に向けた取組を検討すべきである。都の見解を求める。
【産業労働局長】
中小企業の人材確保に向けた支援についてであるが、労働力人口の減少やデジタル技術の進展を見据え、中小企業においては、業務のIT化を推進する人材に加えポストコロナ時代の新規事業の立上げを担う人材等を確保し、生産性や競争力の向上を図ることが重要である。
これまで都は、人材確保相談窓口において、人手不足の中小企業に対し採用活動等への助言を行うほか、セミナーを開催し、人材活用のノウハウ等を提供してきた。
今後、中小企業の経営を人材面から支えていくため、相談窓口機能の強化を検討していく。具体的には、専門人材や経営の中核人材等の採用ノウハウを持つアドバイザーを新たに配置し、民間事業者やハローワークが行う就職マッチングにつなげるなど、経営に資する多様な人材の確保に向けた支援を強化していく。
② 都立大学等におけるリカレント教育について
【質問】
現役世代の方が働きながら大学などで専門的な知識等を身に付けるリカレント教育の重要性が高まっている。こうした取組を東京都立大学等において、積極的に展開すべきと考えるが、都の見解を伺う。
【総務局長】
都立大学等におけるリカレント教育についてであるがデジタル技術の進展や雇用の流動化など、社会構造の大きな変化に対応するためには、働きながら知識やスキルを常にアップデートできる環境の整備が重要である。
都立大学及び産業技術大学院大学では、マーケティングや財務分析など、経営に関する知識を身に付けるための講座や、ICTやものづくり分野の最新動向を学ぶ勉強会など、現役世代へのリカレント教育を実施している。
また、立地の良い都心での平日夜間・土曜日の開講やオンライン配信、関心のある科目のみを選択し履修できる仕組みなど、社会人にも学びやすい環境を整えている
今後は、社会からのニーズが高く実際のビジネスの場でも活用できる、AIやデータサイエンスなどの講座の新設を検討するなど、現役世代の学びを支援していく。
③ 都認可以外の通信制高校における授業料負担軽減について
【質問】
都は、第三回定例会において、「都認可以外の通信制高校の状況の調査結果等を踏まえ、新たな仕組みについて検討を進めている。」と答弁した。都が実施した調査の結果を明らかにするとともに、新たな仕組みの検討状況について、伺う。
【生活文化局長】
都認可以外の通信制高校における授業料負担軽減についてであるが、全国にある都認可以外の通信制高校85校に対し調査を行い、その結果、63校に約14,500人の都民の生徒が在籍していることや、その保護者が支払っている年間の平均授業料額が約24万円であり、都認可の通信制高校の補助の上限額と近い水準であること等がわかった。
また、都の負担軽減額の算定に必要となる、生徒個別の授業料額や就学支援金額の確定時期が、当年度の末頃になる学校がある等の課題についても明らかになっている。
引き続き、これらの調査結果等も十分に踏まえながら、新たな仕組みの構築に向け、検討を進めていく。
④ GIGAスクール構想の取組状況について
【質問】
都内の小中学校における「GIGAスクール構想」について、取組状況を伺うとともに、残る課題を早期に解決していくべきと考える。見解を求める。
【生活文化局長】
都内の私立小中学校における国のGIGAスクール構想の取組状況についてであるが、 国は、私立小中学校における1人1台端末、校内通信環境の整備に係る経費への補助を行っており、都は各学校に対して補助事業の活用を促してきた。
国は、今年度末までに整備を完了するとしているが、私立学校への補助は、設置者の費用負担が生じるため、設置者の状況によっては、対応が難しい学校もある。
都は、これまで、電子黒板やタブレット等の教育用端末の整備に関する費用など、私立学校のICT教育環境整備に対して幅広い支援を行ってきた。
今後は国に対して支援の継続を働きかけるとともに、引き続き学校現場の状況を踏まえながら、私立学校のICT教育環境整備が進むよう積極的に取り組んでいく。
【教育長】
GIGAスクール構想の実現に向けた取組状況等だが、各区市町村教育委員会においては、基本性能や携帯性、通信回線の有無などの観点から、導入に適した端末を選定し、小中学校における1人1台端末と校内の通信環境の一体的な整備を今年度中に完了予定である。
このため、都教育委員会では、教員の利活用のスキルを向上させ、授業におけるICT活用の定着を目的として、ICT支援員の配置支援を行うとともに、教員向けに学習支援ソフトの具体的な活用方法などの研修を積極的に行っている。さらに、ICTを活用した家庭学習の推進に向け、国に対し家庭での通信費負担に対する支援を要望している。
引き続き、都教育委員会は、子供たちの学びの充実に向け、ICTが効果的に活用されるよう取り組んでいく
⑤ 高校段階における1人1台端末を活用した学びについて
【質問】
都教育委員会は、小中学校から一貫した高校段階においても、学習に必要な機能を備えた1人1台端末を活用した学びが可能となるよう例えば「東京都版・都立高校GIGAスクール構想」のような、具体的な検討を進めるべきと考えるが、知事の所見を伺う。
【知事】
高校段階における1人1台端末を活用した学びについてであるが、Society5.0時代に生きる子供たちは、ICTを存分に活用して、膨大な情報から何が重要かを判断する力や、自ら問いを立ててその課題解決を目指す力、他者と協働して新たな価値を創造する力などを身に付けていく必要がある。
高校段階においては、義務教育段階での学びを踏まえ、複数の情報から多面的・多角的な考察を行う学習や学校の授業にとどまらず、海外の学生とオンラインでつながり、双方向で探究型の学習を行うなど、より高度で多様な学習の場面でICTを効果的に活用していくことになる。
そのため、端末には、マルチタスクに対応する高い性能を備えるとともに、教えやすさ、学びやすさにも配慮が必要である。
今後、変化の激しい社会で必要となる資質や能力を備えた人材の育成に向け、高校段階の学びにふさわしい、1人1台端末の整備に向け、仕様や整備方法等について着実に検討を進めていく。
福祉施策
① 産後支援への一時預かり事業等の活用について
【質問】
現在、保育ママや小規模保育室などは、待機児童の解消が進んだことから定員割れの状況となっているところもあり、こうした保育事業者による一時預かり等の事業を、産後の子育て家庭を支援するために活用していくべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
産後支援への一時預かり事業等の活用についてだが、都はこれまで、育児疲れによる保護者の心理的・身体的負担の軽減等のため、専用のスペースを確保するほか、空きスペースを活用して、子供を一時的に預かる認可保育所や小規模保育事業所等を支援してきた。
また、今年度から、ベビーシッター利用支援事業の助成対象を、日常生活上の様々な事情による一時的な保育を必要とする保護者にも拡大した。
産後の子育て家庭は育児に係る負担が大きく、安心して子育てができるようにするためには、支援を更に充実させることが必要であり、今後、お話しの産後ケア事業と併せて一時預かり事業等の活用が一層進むよう、区市町村に対して積極的に働きかけていく。
② 産後の支援について
【質問】
産後の支援を進める上で、担い手を確保することも重要である。中野区では、産後の母子支援に産後ドゥーラが活躍している。こうした専門性を有する人材の育成に取り組む区市町村を支援していくべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
産後の支援についてであるが、都は、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握して、継続した支援を行う区市町村を支援しており、今年度から、産後ケアの取組を更に促進するため、区市町村の負担分を全額補助するとともに、産後ドゥーラやベビーシッターなど、家事・育児を支援するサポーターを派遣する取組等を充実した、とうきょうママパパ応援事業を実施している。
また、産後の身体的・心理的負担を抱えている母親に寄り添い、きめ細かな対応ができるよう、サポーターに対する研修の実施など人材育成も支援しており、今後とも、より多く自治体が産後の支援体制の整備に取り組むよう積極的に働きかけていく。
③ 医療的ケア児の保護者付添い期間の短縮について
【質問】
医療的ケア児のケアを学校に引き継ぐための保護者による付添い期間は、長期間にわたる傾向があり、負担軽減を求める声が寄せられている。医療的ケア児のケアの引継ぎに係る保護者付添い期間を一層短縮化していくことが必要と考えるが、都の見解を伺う。
【教育長】
都立特別支援学校の医療的ケア児の保護者付添いだが医療的ケア児は、生活リズムや季節等により体調が変化しやすく、ケアの内容は障がいの状態等によって個々に異なることから、入学後、学校看護師に対処方法の引継ぎを行うまでの間、保護者に付添いを依頼している。
具体的には、一人ひとりの状況に応じて健康観察を行い、ケアの手順や体制等に関する実施手順書を作成している。特に人工呼吸器など、高度なケアが必要な児童・生徒の場合には、体調変化を詳細に把握し、対応する必要があり、付添い期間が長くなるケースが生じている。
今後、都教育委員会は、学校生活における児童・生徒の自立と保護者の負担軽減を図るため、医療的ケア児の安全を確保しながら、医療的ケアの引継ぎ方法の工夫など、ケアの実施体制の充実について検討していく。
環境施策
① 再生可能エネルギーの都の率先利用について
【質問】
RE100を目指す民間企業や都民の再エネ利用を牽引するため、今年度実施している特別支援学校等の再エネ電力100パーセント化の取組を更に身近な都有施設である都立高校にも広げるなど、都の取組を進めていくべきと考える。都の見解を求める。
【環境局長】
再生可能エネルギーの都の率先利用についてであるが、電力の大消費地である東京において、その電力消費量の1パーセント以上を占める都が、再生可能エネルギー基幹電源化に向け、率先的に再エネの利用拡大に取り組んでいくことは重要である。このため都は、2030年までに都有施設で使用する電力の再エネ100パーセント化を目指し、現在、都内の卒FIT電気を含む再エネ100パーセント電力を特別支援学校等の都有施設で活用する、とちょう電力プランなどに取り組んでいる。
今後、この対象を都立学校等へ拡充することや、島しょ地域において防災性向上の観点から、再エネ設備を新たに設置し、都有施設で活用していくことを検討する。こうした取組を通じて、RE100を目指す企業の後押しもしながら都内における再エネ利用の拡大を牽引していく。
② 食品ロス削減の今後の取組について
【質問】
都は、新型コロナウイルス感染拡大により、食を取り巻く状況が変化する中においても、着実に食品ロス削減の対策を推進すべきと考えるが、今後の取組について見解を求める。
【環境局長】
食品ロス削減の今後の取組についてであるが、都はこれまで関係団体等で構成する食品ロス削減パートナーシップ会議で議論を重ね、事業者との連携事業や様々なキャンペーン等により取組を推進してきた。
先月、同会議から新しい生活様式への転換などコロナ禍の状況変化にも対応した取組や、廃棄量が多い外食産業等が、業種・業態に応じた効果的な優良事例を共有化し、新たな投資を伴わず食品ロス削減を目指す取組を促進すべき等の提言を受けた。都は本提言を踏まえ、年度内を目途に削減推進計画を策定し施策の具体化を図る。
また、テイクアウトの利用等による自宅での食事の機会の増加を捉え、時期を逸することなく、区市町村等と連携したオンラインセミナーやウェブでの情報発信など、感染防止にも配慮した普及啓発に積極的に取り組む。
③ PM2.5ついて
【質問】
これまでの行政による規制だけでは限界があり、都民や事業者とともに、機運を醸成し、自主的な取組を促すことも重要である。また、PM2.5等の削減は都だけで対応できるものでなく、近隣自治体と連携し、取組を一層強化する必要がある。知事の見解を求める。
【知事】
PM2.5ついてであるが、東京を世界から選ばれる都市とするためには、世界的に関心の高い大気汚染指標であるPM2.5の濃度を更に低減していく必要がある。
都は、これまで、ディーゼル車規制や工場等からの排出ガス規制などにより、PM2.5やその原因物質の削減など大気環境の改善に取り組んできた。
その結果、令和元年度に都内にある全ての大気環境測定局で初めて国の定める環境基準、1立方メートル当たり15マイクログラム以下を達成した。
今後は、世界で最も厳しいWHOの指針、10マイクログラム以下を新たな目標とし、この目標を実現するために、更に取組を加速・深化させていく。
そのため、ゼロエミッションビークルの普及促進に加え、工場等からの排出削減を促すとともに、最新技術を活用したモニタリング体制を構築していく。
また、都民や事業者の機運醸成に向け、「クリアスカイ促進事業」等に取り組み、行動変容を促していくほか、九都県市で連携した広域的な施策を推進し、東京の大気環境の更なる改善を実現していく。
防災対策
① 大規模水害時の排水計画の検討状況について
【質問】
排水計画の現在の具体的な検討状況と今後の取組について伺う。
【建設局長】
排水計画の検討状況と今後の取組についてであるが、東部低地帯において、大規模水害時に早期に復旧、復興を図るためには、速やかな排水により浸水を解消することが重要である。
このため、都は、国や関係局で構成する「大規模水害時の排水作業準備計画検討委員会」を設置して検討を進めており、現在、排水機場などの耐水性や排水能力を精査し、浸水するエリアや深さ、継続時間等のシミュレーションを実施している。
今後、こうした結果を踏まえ、想定される浸水エリアを、排水作業を考慮して河川や地形により分割し、必要となるポンプ車の配置や後方支援拠点からのアクセスルートなどを検討していく。引き続き、国や関係機関と連携して、排水計画策定に向けた取組を推進していく。
② 荒川第一調節池での事前放流による治水機能の強化について
【質問】
荒川第二・第三調節池が完成するまでの間、上流域のダムだけでなく、既存の荒川第一調節池についても、利水容量の一部の事前放流を行うことで、治水機能を増強していくことが重要である。国と連携をとりながら取り組むべきと考えるが、都の見解を伺う。
【建設局長】
荒川第一調節池の活用についてであるが、激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、調節池などの整備とともに、既存施設の有効活用を図ることも重要である。
本調節池は、荒川の洪水調節や水道への利水を目的として国が整備し、平成16年に完成した総容量約5千万立方メートルの調節池であり、そのうち1,060万立方メートルが利水目的で活用されている。
大雨が予想される場合には、この利水容量を事前放流できるよう、関係の利水者等とも調整しつつ、必要な検討を行っていくと、国から聞いている。
今後、こうした検討経過も注視しながら、荒川の安全性の早期向上に向け、引き続き国や地元区等関係機関と連携して取り組む。
住宅政策
① 東京ささエール住宅の居住の質の向上について
【質問】
都は、今後、東京ささエール住宅に入居する要配慮者に向け、一歩進んだ居住支援の実現に取り組み、東京ささエール住宅における居住の質の向上を図っていくべきと考えるが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
東京ささエール住宅の質の向上についてであるが、住宅確保要配慮者の居住の安定をより確かにするためには、個々の要配慮者の状況に応じたきめ細かい居住支援を行うことが必要であり、特に高齢者については、見守り等の安否確認に加え、生きがいの発見や孤立の防止という視点も重要である。
都は、これまでも居住支援法人や不動産団体との意見交換を通じ、要配慮者の多様なニーズの把握に努めており、さらに現在、必要としている支援について、都独自に入居者等に対する調査を実施している。
今後、東京ささエール住宅の居住の質の向上に向け、区市町村等との連携を一層深めるとともに、先の調査結果や地域での支援事例も踏まえ、要配慮者がいきいきと暮らせる居住支援の在り方について幅広く検討していく
② 都営住宅募集における窓口の設置について
【質問】
都は現在、新型コロナ対策として、都営住宅の窓口審査を郵送対応に切り替えている。直接面会して相談したい方は、渋谷にあるJKKに出向くことになるが、多摩地域の高齢者や障がい者には配慮が必要である。窓口を多摩エリアにも設けるべきと考えるが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
都営住宅募集における窓口の設置についてであるが、都営住宅の募集において、都民サービス向上の観点から、その手続きの改善を図っていくことは重要である。
現在、感染症対策における臨時対応として、資格審査や入居説明会などの入居手続き等を対面から郵送に切り替え、問合せや質問等は電話でも受け付けている。
また、昨年の台風第19号における都営住宅の一時提供に際しては、東京都住宅供給公社の立川窓口センターで多摩地域の被災者の入居手続き等を行った。
今後、コロナ後の新たな生活様式への対応も踏まえ、入居手続き等の郵送対応の原則化と併せ、対面での対応を希望する方の負担軽減を図るため、来年度から、立川に臨時窓口を設置し、都民サービスの向上に努めていく。
③ 都営住宅募集の入居までの期間短縮について
【質問】
都営住宅の定期募集において、募集から入居までの期間の短縮を図る工夫を行うべきと考えるが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
都営住宅募集の入居までの期間短縮についてであるが都営住宅では、申込み受付後、当選者等の資格審査を行い、入居説明会等を経て入居となる。
この中で都は、真に住宅に困窮する低額所得者に都営住宅を的確に提供できるよう、入居収入基準や住宅困窮度などの資格審査を対面で行っている。
その対象件数は、2月と8月のポイント方式等による募集でそれぞれ約1,200件、5月と11月の抽せん方式でそれぞれ約2,500件であり、これらを公正かつ厳正に審査するため、一定期間を要している。
今後、資格審査や入居説明会等における郵送対応の原則化、審査書類の削減・簡素化、さらに募集のオンライン化など、手続きの効率化・迅速化を順次進め、募集から入居までの期間短縮に取り組んでいく。
都民の暮らしを守る施策
① 高齢者講習の混雑緩和対策について
【質問】
都議会公明党は、75歳以上の高齢者講習の2時間への短縮、認知症検査については、病院検査による診断書提出も可能とすべきと考える。
これまで、各教習所が高齢者講習の受講人員枠を拡大できるよう努めると答弁してきたがその状況と、今後も、更なる高齢者講習の混雑緩和対策に取り組むべきである。警視庁の見解を求める。
【警視総監】
高齢者講習の混雑緩和対策についてであるが、警視庁では、教習所における高齢者講習の実施枠拡大を図るため、教習所で行っていた認知機能検査を警察施設において実施する取組を進め、本年4月からは、全ての対象者に対する認知機能検査を警察施設で実施できる体制を整えた。
本年は、「コロナ禍」により、各教習所が約1か月半閉鎖を余儀なくされたが、業務を再開した6月から10月までの高齢者講習の受入れ人員は、前年と比べ1か月平均で約1,200人増加させることができた。
また、高齢運転者の運転免許制度については、本年6月に成立した改正道路交通法に基づき、国において認知機能検査及び高齢者講習の合理化・効率化が検討されていると承知している。
警視庁としては、高齢運転者の免許更新が円滑に進むよう、引き続き関係機関への働き掛けを行っていく。
② 調布市内陥没について
【質問】
改めて都は、国土交通省と高速道路株式会社に対し、詳細な地中調査と原因究明、それらの結果についての地域住民の皆様への丁寧な説明、そして地上の家屋への対応について、強く要請すべきである。都の見解を伺う。
【建設局長】
地表面陥没に対する今後の取組についてであるが、今回の地表面陥没と外環工事との因果関係は不明であるが、国など事業者が有識者委員会に意見を伺いながら原因究明などを行っている。
具体的には、陥没箇所周辺において地盤状況などを確認するための調査や重点的な監視が実施されている。さらに、地盤調査中に空洞が確認されたことを受けて、調査範囲を拡大し、10メートル程度の深さまでの地盤状況を把握する物理探査などが行われる。また、住民などの声を受けて、希望者に対し、建物等の損傷状況等を確認する家屋調査が実施される予定である。
都は、引き続き、事業者に対し、早急な原因究明と、住民の不安の払しょくに向けた丁寧な説明や対応など、住民の安全・安心の確保に向けた取組を求めていく。
③ 人と動物との共生社会の推進について
【質問】
この先も殺処分ゼロを持続するためには、民間とも力を合わせ、都民に開かれたテーマパークのような拠点施設が必要である。動物愛護相談センター整備に向け推進会議を設置するなど、その機能や候補地について具体的に検討を始めるべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
人と動物との共生社会の推進についてであるが、私は、「2020年に向けた実行プラン」で誰もが優しさを感じられるまちの実現を目指し、動物の殺処分をゼロとすることを目標に掲げ、平成30年度に達成し、その後も継続している。
人と動物との調和のとれた共生社会を実現するためには、引き続き、区市町村や関係団体等と連携して、普及啓発や動物譲渡の取組などを一層進めていくことが必要であり、動物愛護相談センターは、そうした取組の中核を担う施設である。
現在、東京都動物愛護管理審議会において、今年度末の動物愛護管理推進計画の改定に向け、今後の施策の方向性について審議を行っており、その中で、動物愛護相談センターの在り方についても議論を行っている。
センターの整備に当たっては、必要な機能の確保や利便性、業務の効率性等を勘案することはもとより、都民の理解を得ながら、より親しみやすく、身近なものとして、動物愛護の取組を都民とともに推進するための施設としたいと考えている。
今後、様々な御意見を伺いながら検討を進めていく。
④ 同性パートナーシップ制度の導入について
【質問】
同性パートナーシップ制度導入に向けて検討委員会を立ち上げるなどして、具体的に検討に入るべきと考えるが、知事の見解を求める。
【知事】
同性パートナーシップ制度の導入についてであるが、同性パートナーシップ制度は、婚姻関係の在り方そのものに関わるものであり、広く国民の理解を得ていくべき課題と認識している。
都においては、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いの解消のため、昨年12月に「基本計画」を策定し、性的マイノリティの方々に対して、都庁の各局でどのような配慮が必要なのか、個別具体的に検討し、必要な取組を推進している。
引き続き、国内外の動向や社会情勢の変化等を踏まえつつ、広く都民や当事者の意見を把握するため、実態調査の実施を検討するなどして、当事者のニーズに即した施策を展開していく。
今後とも、当事者の方々に寄り添う取組を強化することにより、誰もがいきいきと生活できるダイバーシティ東京を実現していく。
⑤ 都立病院・公社病院の独法化の必要性について
【質問】
コロナ禍を乗り越えようとしている現在、ウィズコロナのこの時期に、あえて独法化を進める必要性について如何に考えているのか、都の見解を伺う。
【病院経営本部長】
独法化を進める必要性についてであるが、都立病院は、これまで新型コロナウイルス感染症の感染状況に応じて、率先して取り組んできた中で、いくつかの課題に直面した。
具体的には、患者受入体制の強化に必要な医療機器の整備について、補正予算の議決をいただいた後に契約手続を行うため、導入まで時間がかかった事例があった。また、人材確保の面では、コロナ対応の強化に向けて、会計年度任用職員である医師の勤務日数を、本人の状況に応じて柔軟に増やすことが困難であった。加えて、コロナの受入体制を作るために院内から人材を確保したが、診療科によっては、その後の人員を機動的に確保できず、地域からの新規患者の受入れの制限や手術の繰り延べをせざるを得なかった病院があった。
独法化後は、中期計画の範囲内で弾力的な予算執行や柔軟な人材確保が可能となることから、緊急事態にも機動的に対応できる体制を構築していく。
⑥ 公的医療機関としての感染症医療の提供について
【質問】
公的医療機関として、感染症医療について常に都民本位の医療を提供できるのか、都の見解を伺う。
【病院経営本部長】
感染症医療の提供についてであるが、都立病院・公社病院の感染症医療をはじめとした行政的医療を担う役割は、独法化後も変わるものではない。このため感染症発生時には、東京iCDCを指令塔とした都が実施する感染症対策を踏まえながら、一層機動的に対応していく。具体的には、緊急時において、例えば状況に応じて、専門医や看護師等の人材を迅速に確保し重症患者等の受入れを強化する。また平時においても、地域ニーズを踏まえ、保健所等とも連携しながら、専門人材を民間の介護施設等に派遣し、地域の感染症対応力向上に貢献する。こうした取組を法人に確実に実施させるため、法人の根本原則である定款や中期目標に都が対応を指示する旨を明記すべきと考えており、独法化後も、都民の生命と健康を守る役割を果たし続けていく。
⑦ 自殺対策について
【質問】
都は、電話相談とSNS相談の時間帯や回線数、相談員を増やして対応し、民間団体の相談事業も支援している。今後もこれらの取組を継続すべき。また、都は、自殺の危険を示すサインに気付き、適切な対応を取れる体制を強化すべきだが、併せて見解を伺う。
【福祉保健局長】
自殺対策についてであるが、コロナ禍において都民の心理的不安が増大する中、都はこれまで、電話やSNS相談の体制を強化するとともに、民間団体が実施する相談体制の拡充を支援してきた。
また、地域や職場、教育など様々な場で、周囲の人々がゲートキーパーとして、困難を抱えている人の自殺のサインに気付き、支援につなぐことが重要であることを関係機関に周知している。さらに、区市町村連絡会で、保健所と地域の大学が連携した大学職員向け研修の実施等の好事例を紹介するなど、地域の取組が進むよう支援している。引き続き、これまでの相談内容を検証しながら、悩みを抱える方を社会全体で支える取組や相談事業の拡充、普及啓発の強化などの検討を進め、区市町村や関係機関と連携した施策の強化を図っていく。
オリンピック・パラリンピック
① 延期に伴う大会経費について
【質問】
これまで以上に、厳しい審査、チェックを行う仕組みを作り、真に必要な執行であることを明らかにしなければ、都民の理解を得ることはできない。追加経費を含め、大会経費の執行に当たり、都としてどのように対応していくのか、知事の見解を伺う。
【知事】
大会の延期に伴う経費についてであるが、史上初の延期という困難な状況において、大会を成功させるためには、組織委員会、国、東京都の3者が、それぞれの役割を果たしながら、一体となって取り組む必要がある。今回の合意に際しては、こうした基本的な考え方を3者が共有した上で、主張すべきことは主張して協議を行ってきた。
まず、大会運営の主体である組織委員会は、大会の簡素化による経費削減と追加収入の確保を図るなど、可能な限りの努力を行ってきており、その中で、「大枠の合意」に基づく経費を負担することとしている。
また、国は、「大枠の合意」に基づく経費を引き続き負担するとともに、新型コロナウイルス感染症対策関連の経費について、2分の1の負担を基本としつつ、大会の感染症対策の中心的機能を果たすものについては、全額を負担することとしている。さらに、国の役割として、関連する諸施策についても負担することとなっている。
都は、開催都市として、「大枠の合意」やこれまでの関係者間での取り決めに基づく経費、新型コロナウイルス感染症対策関連の経費の一部を負担することとした。
これらをもとに、新型コロナウイルス感染症対策関連の経費960億円、それを除く追加経費1,710億円に係る3者の負担額について明らかにしたところである。
経費の執行に当たっては、共同実施事業管理委員会の下に、新型コロナウイルス感染症対策に関する新たな体制を整えて、確認や精査を行っていく。
また、組織委員会のキャッシュフローについて、継続的に確認するとともに、収入・支出両面における月次での確認を、より厳密に行っていく仕組みを検討していく。
今後とも、都民・国民の理解が得られるよう、組織委員会、国と連携し、大会経費の適切な執行に取り組んでいく。
② 大会時のコロナ対策について
【質問】
大会時に海外から来訪する選手、観客の対策を講じると共に、迎え入れるホストタウンや事前キャンプ受入自治体での対策も不可欠である。こうした点について、新型コロナウイルス感染症対策を講じていくべきと考えるが、所見を伺う。
【オリンピック・パラリンピック準備局長】
大会時のコロナ対策についてであるが、国、都、組織委員会等で構成する調整会議における中間整理では、選手の水際対策の徹底、移動ルール、選手村等での対策に加え、感染症対策センターの設置等により、迅速な対応を一元的に行うこととしている。
海外からの観客については、入出国時等の適切な防疫措置のほか、競技会場等における体調不良者発生時の対応について、検討を進めていくこととしている。また、ホストタウン等については、それぞれの受入自治体において、選手の移動や宿泊など場面ごとの対策を定めたマニュアルを作成することとしている。都としては、国による更なる支援を求めているところである。
今後とも、調整会議の議論を踏まえ、関係者と協力し安全・安心な大会に向けた準備を着実に進めていく。