災害対策
① 上沼部排水樋門の改善について
【質問】
令和4年第1回定例会で、浸水被害のあった上沼部排水樋門の改善を求め、都も努力するとの答弁であった。
上沼部排水樋門の具体的な改善について、答弁を求める。
【下水道局長】
上沼部排水樋門における改善対策としては、豪雨時における樋門操作時の安全を確保するため、堤防から河川に張り出した操作盤につながる通路の転落防止柵のかさ上げなどを実施した。
また、樋門の操作や維持管理を委託している大田区や世田谷区と、定期的に樋門の操作や情報連絡訓練を実施している。
さらに、多摩川の水位が計画高水位まで上昇しても、雨水を排水できるよう、既設のポンプゲートの能力を増強するとともに、区役所からも遠方操作が行える機器を整備するため、令和5年度から工事に着手する。
② 時間降雨75ミリに対応できる下水道管整備について
【質問】
沼部排水樋管に新たな排水ポンプを設置する、もしくは、土地の高低差を利用し集めた雨水の一部を分岐させ、矢口ポンプ所につながる新たな下水道管を設置すべきと考えるが、見解を求める。
【下水道局長】
下水道局では、令和4年3月に下水道浸水対策計画2022を策定し、目標整備水準を1時間50ミリ降雨から75ミリ降雨へとレベルアップし、区部全域を対象に一定の条件のもとで流出解析シミュレーションを実施した。
その結果、沼部排水樋門の流域については、床上相当の浸水がまとまって発生していないことから、1時間75ミリ降雨に対しても一定の雨水排除能力を備えていることが確認されている。
今後も、樋門の操作管理などを適切に行うとともに、地元区とも連携を図り、浸水被害の軽減に努めていく。
新空港線(蒲蒲線)
【質問】
新空港線、蒲蒲線は、単にJR蒲田駅と京急蒲田駅間の約800メートルをつなぐ路線ではなく、国際競争力に資する答申198号の6路線に位置づけられ、特に新宿や池袋など、東京の西側から羽田空港に乗り入れることができる東京都としても大変重要な路線である。
現在、大田区鉄道沿線まちづくり構想の策定に向けた取り組みが精力的に進められており、地元は新空港線の整備に向け、ますます盛り上がりを示している。
事業化に向けた区などの熱心な取り組みに対して、都はどのように関与していくのか伺う。
【都市整備局長】
新空港線は、国の答申において、東急東横線等との相互直通運転を通じ、国際競争力強化の拠点である新宿や東京都北西部等と羽田空港とのアクセス利便性が向上するとの効果が示されている。
令和4年10月、本路線の整備主体となる第三セクターが大田区と鉄道事業者により設立され、都市鉄道利便増進事業の採択に向けた調整など、事業化に向けた取り組みが進められている。
都としては、技術的観点から適宜助言を行うなど、引き続き、事業化に向けた関係者による協議、調整を支援していく。
医療提供体制
① 医療機関の差額ベッド代の相談件数について
【質問】
病院の特別療養環境室について、国の通知では、同意書による同意がない場合、患者本人の治療上の必要により入室させる場合、病棟管理の必要性等から特別室に入室させた場合等は、料金を求めてはならないとされている。
都の患者の声相談窓口に寄せられる過去5年間の医療費に関する相談件数と、そのうち、差額ベッド代に関する相談件数を伺う。
【福祉保健局長】
患者の声相談窓口に寄せられた、直近5年間の医療費に関する相談件数は、年平均で約700件である。
このうち、特別療養環境室の料金、いわゆる差額ベッド代に関する相談件数は、平成29年度が132件、平成30年度が155件、令和元年度が191件、令和2年度が246件、令和3年度が239件である。
② 患者に求めてはならない差額ベッド代の請求に関する都の取り組みについて
【質問】
現実的には、まだまだ患者の希望によらない差額ベッド代が請求されている事例がある。
令和4年の第1回定例会で、厚生労働省の通知に基づく医療機関の差額ベッド代に関する都の対応について質問したが、その後の都の取り組みについて伺う。
【福祉保健局長】
都は、特別療養環境室の料金を患者に求めてはならない場合として、患者の同意がない場合や、治療上の必要がある場合などの具体例をホームページに掲載しているほか、相談者からの相談内容等を記載した文書により、医療機関等に改めて周知している。
また、特別療養環境室の料金に関する相談が患者の声相談窓口に寄せられた場合は、問題解決に向け相談者に必要な助言を行うとともに、当該医療機関等へ適宜情報提供するなど、患者、都民と医療機関等との信頼関係が構築されるよう支援している。
③ 患者の声相談窓口の認知度について
【質問】
患者の声相談窓口は、大変重要な事業である。長年取り組んでいる事業であると思うが、1.7パーセントとはあまりにも認知度が低すぎる。患者の声相談窓口は、何年前から取り組んでいる事業か伺う。
【福祉保健局長】
患者の声相談窓口は、22年前である平成13年5月に設置している。
④ 患者の声相談窓口の認知度アップに向けた都の取り組みについて
【質問】
相談等の施策は、開設して終わりではなく、その上で都民の皆さんが利用されるのが大変重要であると考える。そのためには、都民の認知度を上げる必要がある。
これまでの患者の声相談窓口の認知度アップに向けた都の取り組みについて、見解を求める。
【福祉保健局長】
都はこれまで、患者の声相談窓口の役割や相談の流れなどを記載したパンフレットを作成し、都内全ての病院や保健所等へ重ねて配布するとともに、ホームページにも同様の内容を掲載し、よくある相談事例等も紹介するなど、都民に周知してきた。
⑤ 患者の声相談窓口の一層の周知について
【質問】
消防庁相談センター♯7119事業は、ポスター等による広報活動に加え、TⅤer(ティーバー)やユーチューブ、マグネットシール等で認知度向上の取り組みをしている。
患者の声相談窓口でも、認知度を上げるため普及啓発の取り組みを一層進めてもらうことを要望するが、見解を求める。
【福祉保健局長】
患者の声相談窓口の認知度向上に向け、都は今後、区市町村にもホームページでの情報発信を強く働きかけるとともに、毎年9月の「世界患者安全の日」などに合わせて、より多くの方に窓口を知っていただけるよう、効果的な普及啓発を行っていく。
さらに、多くの方が使用しているSNSなど様々な媒体を活用し、工夫を凝らしながら積極的な広報に取り組むことで、患者の声相談窓口の一層の周知を図っていく。
難病への対応
① 指定難病患者への新たな登録者証の発行のメリットについて
【質問】
令和6年4月から1年ごとの更新が必要な受給者証とは別に、症状の程度に関係なく、全ての指定難病患者を対象にした終身有効な登録者証が発行され、登録者証は、医療費助成の対象とならない軽症の指定難病患者も持つことができる。
この登録者証が発行されることで、難病患者にはどのようなメリットがあるか伺う。
【福祉保健局長】
今回の法改正により、全ての指定難病患者に新たに登録者証が発行されるため、医師の診断書がなくても、区市町村の障害福祉サービスやハローワーク等の就労支援サービスが円滑に受けられるようになる。
また、登録者証を発行する際に、医療費助成を申請していない軽症の難病患者等の情報も指定難病データベースに登録されることとなる。
これにより、症状が抑えられている時期のデータや、軽症から重症化に至るデータが蓄積され、難病研究の促進や治療方法の開発に資することが期待されている。
② 難病医療法の改正に係る難病患者への周知について
【質問】
国の難病医療法の改正であるが、都としても、漏れなく難病患者に法改正を伝えることが重要となる。
今後、広報についてどのように取り組む予定か、見解を伺う。
【福祉保健局長】
今回の改正内容を難病患者へ効果的に伝えるには、主治医を通じて患者に周知するなど、日頃から患者の診療を行う医療機関の協力を得ることが重要である。
このため都は、令和5年度、改正内容についてのリーフレットを作成し、都内約6,200か所の難病指定医療機関へ配付するとともに、東京都医師会等の関係機関を通じて周知する。
加えて、医療費助成の対象者へ毎年送付する更新手続の案内や難病ポータルサイトに改正内容を記載するなどあらゆる機会を活用し、丁寧に周知していく。
人権施策
① 性的マイノリティへの配慮と自殺対策について
【質問】
当事者の方々から、自殺対策や孤立・孤独対策における各自治体の計画に性的マイノリティへの配慮を盛り込むよう強い要請を受けた。
性的マイノリティ施策を進める都で、自殺対策にも性的マイノリティへの対応を明記して取り組んでいくべきだが、現在の状況を伺う。
【福祉保健局長】
自殺の背景には、生活困窮や家庭問題、性的マイノリティなど様々な要因があることから、都は、3月末に公表予定の次期東京都自殺総合対策計画で、生きることの包括的な支援として、幅広い分野で自殺対策を強化する。
性的マイノリティの方については、社会や地域の無理解や偏見などによって自殺念慮を抱える場合もあることから、多様な性に関する都民の理解に向けた普及啓発や性自認及び性的指向に係る専門相談の取り組みを、次期計画に明記し、具体的な対策を進めていく。
あわせて、インターネットの検索連動型広告で、性的マイノリティの方が抱える悩みに関するキーワード等を充実させ、相談窓口等の情報が着実に届くようにすることで、必要な支援につなげていく。
② 性的マイノリティ施策に関する基本計画の精査について
【質問】
都議会公明党は、令和4年の予算特別委員会で、パートナーシップ制度の創設に合わせて、配偶者の記述がある条例、規則を精査し、必要な対応を図るよう提案した。
全庁で様々な全体計画・個別計画等があるが、それぞれについて、性的マイノリティの観点から精査を行い、対策を明記していく必要があると思うが、知事の見解を伺う。
【知事】
性的マイノリティ当事者の方々は、生活上で様々な困りごとに直面しており、都政の各分野においてその軽減を図っていくことは重要である。
都では、令和元年度、性的マイノリティ施策の今後の方向性を明らかにした「性自認及び性的指向に関する基本計画」を策定した。また、基本計画を踏まえ、各分野の個別計画においても当事者に寄り添った施策を盛り込むなど、必要な取り組みを進めてきた。
現在、基本計画の改定に向け検討を行っており、改定を契機に、性的マイノリティ施策の推進を図る観点から、全庁横断の会議を活用して、各局の施策を点検し、発展させていく。
地域における共生社会の推進
① 町会・自治会の課題について
【質問】
町会・自治会は、加入者の減少等が課題となっている。そこでまず、町会・自治会が抱えるこれらの課題解決に向けた都の認識と取り組みについて伺う。
【生活文化スポーツ局長】
町会・自治会の活性化を図るためには、地域における多様な主体と連携し、外部の視点を取り入れた活動を行うことも有効である。
そのため都は、ITやスポーツ等の得意分野を持つ人に、町会・自治会活動の一部を手伝ってもらう事業として「まちの腕きき掲示板」を開始した。
さらに、令和4年度からは、町会・自治会の事業を企業やNPO、大学等と協働して実施できるよう、区市町村やつながり創生財団と連携し新たな支援「町会・自治会応援キャラバン」を展開している。
② 町会・自治会応援キャラバンについて
【質問】
私の地元大田区も「まちの腕きき掲示板」や「町会・自治会応援キャラバン」を実施すると聞いているが、どれだけ多くの人に関心を持ってもらえるかが鍵だと考える。
そこで、これまでの取り組みの中で見えてきた課題、また、それを踏まえた今後の展開について伺う。
【生活文化スポーツ局長】
参加した町会・自治会からは、新たな視点での取り組みに繋がり、非会員の方々も活動に関心を寄せるようになった等の声がある一方、地元企業は都の事業のことを知らないため、もっと周知すべきとの意見もあり、まず本事業に関する認知度を高めていく必要がある。
そのため、令和5年度は、つながり創生財団が地域の企業やNPO、大学等を訪問し、事業の趣旨を丁寧に説明して協力を得る団体の掘り起こしを行っていく。
あわせて、事業の成果を地域に広く周知し、町会・自治会と企業や団体が交流するイベントも開催し、多くの協働につなげていく。
③ 町会・自治会の防災活動の応援について
【質問】
町会、自治会活動は、地域の共生社会の担い手との側面がある一方で、防災、減災の観点からも大変重要な組織であると認識している。
とりわけ災害時には若い方々の力が必要となるため、町会・自治会が日頃行う防災訓練等に若い世代や非会員への参加促進が求められる。
そこで、キャラバンを使って町会・自治会の防災活動を応援すべきと考えるが、見解を伺う。
【生活文化スポーツ局長】
町会・自治会からは、防災訓練に若い方々の参加が少ないといった相談を多く受けていた。
令和4年度のキャラバン事業では、学習支援を行っている地域のNPO等との協働を促し、新たな工夫が加わったことで、例えば家族で楽しめる防災イベントが開催され、子育て世代が多数参加するといった事例も出てきた。
令和5年度は、参加する町会・自治会にこうした事例も提案し、地域の特色に応じてNPO、商店街等、多様な団体との連携による防災活動の活性化を図っていく。
④ 「東京都防災アプリ」の利用による防災意識の向上について
【質問】
「東京都防災アプリ」は、風水害に備えて防災行動を整理できるマイ・タイムラインや地域の危険度を知るマップなど、防災を身近に感じる機能が搭載されており、自助の取り組みに役立つものと考える。
そこで、都民の防災意識を高めるため、更に利用してもらえるよう工夫を凝らすべきと考えるが、見解を伺う。
【総務局長】
東京都防災アプリは、これまで防災情報の拡充や検索のしやすさなど、都民が気軽に利用できるよう改良を重ねてきた。
また、アプリの活用を促進するため、リーフレットの配布や、SNSでのPR動画の配信など、積極的な広報活動に取り組んできた。
令和5年度は、命を守るために必要な最新の知識を盛り込んでリニューアルする「東京防災」、「東京くらし防災」のデジタル版を搭載するなど、アプリの更なる充実を図っていく。
あわせて、セミナーや訓練等、様々な機会を通じて、アプリの魅力を紹介することで普及拡大に繋げていく。
医療・福祉施策
① 保護者の就労の有無にかかわらない保育所等の受け入れについて
【質問】
都は、令和5年度から新たな取り組みとして、保護者の就労の有無にかかわらず、子どもを保育所等に受け入れる仕組みを創設する案を発表した。
この取り組みは、対象を原則0~2歳とし、乳幼児期からの他者との関わり合いが子どものよりよい成長につながることを重視した施策である。
受入れ対象施設を保育所等としておりますが、幼稚園や小規模保育事業等も対象となるのか、見解を伺う。
【福祉保健局長】
本事業は、より多くの子供に他者と関わる機会を提供できるよう、認可保育所のほか、幼稚園や小規模保育事業など、多様な場所で実施する。
今後、生活文化スポーツ局をはじめとする関係各局や区市町村と連携して取り組んでいく。
② 多様な他者との関わりの機会創出事業の周知について
【質問】
今回の新事業では、これまでの受け入れの、原則対象外である0~2歳児を対象としているため、幼稚園では新たな仕組みづくりが必要となる。
3歳以上の子どもを主に受け入れている幼稚園をはじめ、より多くの施設で事業を実施していただけるよう周知していくことが必要と考えるが、見解を求める。
【福祉保健局長】
都は令和5年1月、待機児童対策協議会の場を活用し、区市町村に事業の概要を説明した。
今後、速やかに実施要綱等を発出し、本事業の活用を働きかけるとともに、幼稚園や保育所等の事業者への周知を依頼していく。
あわせて、事業者が本制度の詳細を理解し、円滑に実施できるよう、補助要件等をQ&Aに取りまとめ、都のホームページ等で周知していく。
③ アレルギー疾患医療連携を進めるための検討状況について
【質問】
専門的医療を提供する拠点病院等と、症状が安定した場合の医療を提供する地域の医療機関が連携し、患者を支える体制が必要。
令和2年度に実施した医療実態調査を踏まえ、都は令和4年度、アレルギー疾患医療連携を進めるための検討をしているが、その状況について伺う。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
都は令和4年度、アレルギー疾患の専門的な医療を提供する拠点病院等や、日常的な医療を担う診療所等の医師、患者団体の代表などにヒアリングし、アレルギー疾患に関する医療連携の手法について検討した。
その結果、拠点病院等が、地域で適切な医療を受けられる診療所等を患者に紹介できる環境の整備や、医療機関同士が患者の治療内容の情報を共有するための仕組みづくりなどが必要であることが明らかになった。
④ アレルギー疾患医療連携体制の整備について
【質問】
都はどのように、地域の医療機関と拠点病院等の医療連携体制を整備するのか、見解を求める。
【福祉保健局健康危機管理担当局長】
都は令和5年度、2か所の拠点病院等と連携先となる診療所等を選定し、アレルギー疾患医療連携事業を実施する。
具体的には、診療所等が実施可能な検査や治療内容等の情報を拠点病院等に提供するとともに、「東京都アレルギー情報ナビ」に掲載する。あわせて、診療所等の医師に、連携手法についての研修を実施し、患者の症状に応じた適切な連携先を選択できる環境を整えるとともに、患者が自身のアレルギー情報や治療内容等を記録できる手帳を作成し、医師に提示できるようにする。
これらの取り組みを着実に推進し、アレルギー疾患の医療連携体制を整備していく。