去る6月18日、府中市選出の鈴木錦治議員がご逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。
都議会公明党を代表し、知事提出の全議案に賛成し、共産党提案の議員提出議案第9号に反対の立場から討論を行います。
初めに、令和5年度一般会計補正予算について申し上げます。
エネルギー価格や生活必需品の値上がりが続くなど、物価高騰等の影響は長期化しており、都民の暮らしや中小企業の経営は深刻な影響を受けております。
都議会公明党は4月、知事に対し、補正予算に盛り込むべき対策について緊急要望を行いました。
都は、我が党の要望に応え、都民生活や東京の経済を下支えするための対策など、総額2200億円を超える補正予算を編成しました。
LPガスを利用する家庭や、特別高圧の電力を利用する中小企業への負担軽減。医療機関、高齢者や障害者施設、保育所等に対する支援の拡充など、都議会公明党が求めてきた対策が随所に盛り込まれたことを高く評価するものです。
今後も機を逸することなく、苦境に立たされている方々への支援を着実に進めていくよう改めて求めます。
次に、高校授業料の無償化についてです。
都議会公明党は現在、年収制限により、授業料を一旦納付しなければならないという、経済的負担を解消するため、2024年度からの開始を見据え、都立・私立高校の授業料の所得制限を撤廃した実質無償化の実現を知事に求めました。これに対し、知事は、「誰もが個性と能力に応じて希望する教育を受けられる環境を整えられるよう努め、子育て世帯のおかれている状況を注視していく」との考えを示しました。子育て支援策は、子供の成長に合わせて高まる家計の負担に応じたものでなければなりません。所得制限を撤廃した授業料の実質無償化の実現を改めて強く求めます。
次に、保育士の確保対策についてです。
保育士不足が懸念される中、先の代表質問において、わが党は、人材の確保・定着に向けた職場環境の改善や処遇改善、保育士就学資金貸付制度の年収制限の撤廃、月額上限の拡大などを都に求め、前向きな答弁を得たところです。保育人材の確保に向け、制度の改善等に迅速に取り組むことを改めて強く求めます。
次に、風水害対策についてです。
都議会公明党はこれまで、豪雨災害発生時、警戒レベル4までにやむを得ず避難できなかった方の最後の砦として、高速道路高架部を活用した避難について訴えてきました。
これを受け都が東部低地帯の5区等と協定を締結したことを評価するものです。
安全避難のためのルール作りや民間バスを活用した避難者の退避など、実効性のある避難の実現を強く求めます。
また中小河川の水害対策については、調節池等の整備や河川カメラの設置などのハード対策と、都民への情報発信などのソフト対策を速やかに強化すべきと訴え、都からは調節池の前倒しの事業化や、河川カメラの追加設置、洪水予報河川の指定拡大などの答弁を得ました。気候変動の影響により風水害による被害は激甚化しています。都民の安全を確保するため、対策の更なる強化を求めます。
次にマンションの防災対策についてです。
都民のおよそ半分の世帯が暮らすマンションの防災対策については、発災後のトイレやエレベーターの復旧等に向けた関係者間の連携など、多岐に渡る課題があります。こうした課題を解決するため、局横断的な検討を進めることを知事に求めました。
これに対し知事は、マンション特有の構造上の課題への対応や地域コミュニティと一体となった自助・共助の強化など、具体的な施策の検討を進めていく考えを明らかにしました。災害はいつ起きてもおかしくありません。対策の強化に向けた迅速な対応を強く求めます。
続いて粒子線治療についてです。
都議会公明党は、かねてから重点政策のチャレンジ8において、都立病院への粒子線治療の導入を掲げてまいりました。第一回定例会において、都は、わが党の要請を踏まえ、粒子線治療施設の整備計画を策定すると表明したところであり、その策定に向けた取り組みについて知事に答弁を求めました。これに対し知事は、今年度改訂予定のがん対策推進計画と合わせて、都立病院の粒子線治療施設の整備計画を策定し、最適な導入機器や具体的な整備地を盛り込んでいくことを明らかにしました。引き続き、粒子線治療の導入に向け、着実に取り組んでいくことを求めるものです。
次に中小企業の人材確保と奨学金返還支援についてです。都議会公明党の提案で実現した、人手不足の建設業等の人材確保の為、中小企業に就職した新卒社員に3年間、最大150万円の奨学金の返済を都が支援する事業について、対象要件を更に拡大すべきと提案しました。これに対し都は「入社後一定の期間、生産や営業の仕事を行う方や、20代の若手も対象に含める工夫を行う」と答弁しました。転職者なども見据えながら、支援の対象がより幅広いものとなるよう強く求めます。
次に、観光振興を図るための宿泊税の見直しについてです。
近年、海外からの富裕層の来日を見越して、高額な宿泊料金のホテルが次々と建設されています。高額な宿泊料金を支払う富裕層については、定率課税方式を導入し、1泊1万5千円以下の宿泊料金については宿泊税を免除するなど、宿泊税の見直しを行うよう知事に求めました。これに対し知事は、宿泊税をめぐる状況が変化しているとの認識を示した上で、宿泊税の見直しについて検討を深めていく考えを明らかにしました。見直しに向けた速やかな検討を改めて強く求めます。
次に、パートナーシップ宣誓制度についてです。
昨年、都が導入した宣誓制度は、着実に利用が進み、性的マイノリティの方の困りごとの軽減に役立っていると伺っておりますが、事実婚の方々も様々な困難に直面していることから本制度の対象に加えるよう訴えるものです。すでに、いくつかの自治体がパートナーシップ制度に事実婚を加えています。今後の都の積極的な取り組みを強く求めます。
次に、東京2020大会の不正事件について申し上げます。
都議会公明党は、当初より、組織委員会の組織体制の課題を指摘してきましたが、実際に汚職と談合事件が起きたことは誠に遺憾であり、組織委員会に幹部職員を派遣していた都もその責任を免れることはできません。
先の代表質問において、わが党は、今後、国際スポーツ大会において、都が必要な関与を行うためには、五輪談合事件を厳しく総括し、組織委員会のガバナンスについて課題を分析すべきことを訴え、調査チームの有識者からの総括について、潮田副知事に答弁を求めました。
これに対し、潮田副知事は、組織の相互けん制による不正の発生防止機能が十分に機能しなかったとの認識が示されたほか、知見の不足により事業者を適切に統制できなかったことや、利益相反を防ぐ人材配置や利害関係者との接触ルールを定めていなかったことが有識者から指摘されたことを明らかにしました。
2025年の世界陸上の開催に向けて、都が運営組織の設立後も引き続き関与していくならば、東京2020大会での運営手法とは明確に異なる一線を引くよう、改めて強く求めるものです。
最後に、共産党提案の議員提出議案第9号について申し上げます。
本議案では、都立看護専門学校の授業料、入学金等の無償化を提案しています。都立看護専門学校の設立の目的は、看護士の養成と都内看護士の充足です。その為、現在は、修学支援制度により看護学生の支援をしています。
この制度は、将来、都内で看護業務に従事した場合に、返還を免除される制度です。従って、この制度を活用して、都立看護専門学校の授業料、入学金等の負担をカバーすることができます。
今後、修学支援制度については、条件の緩和を検討すべきと要望しておきます。
都議会公明党は、地域に根差したネットワークの力をさらに強化し、現場の声に真摯に耳を傾けながら、東京の経済と都民生活を全力で守っていくことをお誓い申し上げ、討論を終わります。