物価上昇・燃料高騰対策
【質問】
都は我が党の要望を受け、第2回定例会において、国の臨時交付金を活用し、物価高騰、燃料高騰対策をして、LPガス家庭や事業者、さらに燃料高騰で経営が圧迫されている医療機関や福祉施設などに対しても支援策を実施した。
来月にも策定される国の物価上昇、燃料高騰に対する経済対策の動向を見極め、地方への交付金が盛り込まれたあかつきには、速やかに補正予算を編成するなど、都においても、物価上昇、燃料高騰への対策を講じていくべきと考えるが、知事の見解を求める。
【知事】
経済対策についてであるが、物価高騰等の影響が長期化し、先行きが不透明な状況である一方、企業収益は緩やかに改善するなど、明るい兆しも見え始めている。
こうした状況のもと、経済の好循環を生み出していくためには、コスト上昇に伴う適正な価格の設定や、物価上昇も踏まえた賃上げ等を進めていくことが重要である。
当初予算においても、従業員の賃上げに取り組む中小企業に対する奨励金の支給など、都民生活・東京の経済を下支えする重層的な対策を講じている。
また、先の定例会における補正予算では、国の臨時交付金を全額活用し、医療機関等に加え、家庭用LPガスへの支援など、対策の強化を図った。
これらの取組を着実に実施するとともに、国が10月に策定する経済対策の動向を見極めつつ、都民生活と東京の経済をしっかりと守り抜いていく。
インフルエンザ対策
【質問】
新型コロナ感染が高い水準で推移する中での都のインフルエンザ対策の取組について見解を求める。
【保健医療局長】
インフルエンザ対策についてであるが、定点当たりの患者報告数は、注意報基準の10人を超え今後4週間以内に大きな流行となる可能性もある。
基本的な感染対策は新型コロナと同様に換気や手洗い等であり、都はホームページやSNS等で周知している。
また、ワクチン接種について、特に定期接種の対象となる高齢者等に、新型コロナワクチンとの同時接種も含め、かかりつけ医などへの早期の相談を呼び掛けている。
あわせて国に対しては、今後も需要の増加が見込まれる治療薬等の安定供給やインフルエンザワクチンの供給の前倒しのほか、新型コロナワクチンとの同時接種も可能なことについて広く周知するよう、要望していく。
子育て・若者・教育施策
① 子供の性被害への対応について
【質問】
今般の子供に対する性加害問題は世界からも注目されている。子供の最善の利益という観点から、子供の目線に立って、都庁各局が連携しながら、都として為すべきことを即座に実行すべきと考えるが、知事の見解を求める。
【知事】
子供の性被害への対応についてであるが、子供に対する性犯罪・性暴力は、被害者の心身に甚大な影響を及ぼし、かつ、その人権を著しく侵害する極めて卑劣で悪質な行為である。断じて許すことはできない。
都は、「東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センター」において、24時間365日体制で、電話相談を受け付けており、病院・警察等への付添いや精神的ケア等を行っている。
今般の事案を受け、ワンストップ支援センターに新たな専用電話相談窓口を設置するなど、子供や保護者が相談しやすい体制の充実を図る。
また、学校を通じて全ての保護者と児童生徒に対して、相談窓口の案内を行う。さらに、子供が性犯罪等から自分を守れるように生命(いのち)の安全教育の充実を図るなど、成長・発達段階に応じ正しい知識を伝えていく。
子供の目線に徹底して立ち、実効性のある取組を都庁一丸となって推進し、全ての子供の人権が守られる社会の実現に向けて全力で取り組んでいく。
② 高校授業料の実質無償化について
【質問】
子育て支援の政策実現のための手法として、直接的に現金を支給する方法は課題もある。今回の都の018サポート事業の1人当たり6万円を支給する根拠は、都においては他の道府県より中学、高校生の教育費にお金がかかるという統計データに基づくものである。そうであるならば、思い切って都立・私立を問わず高校授業料の所得制限を撤廃した上で、実質無償化すべきであるが、知事の見解を求める。
【知事】
高校授業料の実質無償化についてであるが、家庭の経済状況によって子供たちの将来が閉ざされることがないよう、都は、独自の特別奨学金により、年収約910万円未満世帯に対し、高等学校の授業料を実質無償化している。
授業料支援については、施策目的と所得制限の考え方など検討課題がある。
今後とも、誰もが個性と能力に応じて希望する教育を受けられる環境を整えられるよう努めていくとともに、子育て世帯の置かれている状況を注視し、議論を深めていく。
③ 子供の意見を施策に反映する取組について
【質問】
都議会公明党が原案を作成し、2021年3月に成立した東京都こども基本条例の基本理念を実践するためには、当事者である子供の意見を聞くことが不可欠である。
東京都こども基本条例に込められた理念を形にして実践していくことが重要であり、子供が主体的に参画する機会を創出し、当事者である子供の意見を施策に積極的に取り入れていくべきと考えるが、見解を求める。
【子供政策連携室長】
子供の意見を施策に反映する取組についてであるが、都はこれまで、アンケートやヒアリング、出前授業など、多様な手法で子供との対話を実施してきた。今後は、これらの取組に加えて、子供が社会の一員として主体的に意見表明し、参画できる環境の整備を進めていく。
具体的には、子供に関する施策について、当事者である子供が自ら議論し都に提案することを通じて、政策形成の過程に参加する仕組みの構築を図っていく。また、企業やNPO等が子供からアイディアを募り、地域課題の解決に向けて実践・具体化する枠組みも検討する。
これらを通じ、官民一体となって子供の社会参画の機会を創出し東京都こども基本条例の理念を実践していく。
④ 教育における教員の重要性について
【質問】
新たに採用された貴重な新規採用教員が年度途中で病休や離職してしまうケースが目立ち、近年の課題である教員不足に拍車をかけている。そこで、新規採用教員数が教育者として活躍する人材に成長するためには、例えばインターンシップや副担任制度などの体制構築が必要であり、新規採用教員数と同じ人数の教員加配をするなど、教員を十分確保し、育て、支える取組を強化すべきである。教育における教員の重要性について、知事の見解を求める。
【知事】
教育における教員の重要性についてであるが、次代を担う子供たちの豊かな学びと健やかな成長のために、学校教育の中核である教員がやりがいをもっていきいきと働ける環境を確保することは、都の重要な使命である。
このため、教育委員会では、教員が教員としての職務に専念し、質の高い教育を実践できるよう、業務の負担軽減を図るとともに、安心して働き続けられるよう、サポート体制を強化している。
子供たちが将来への希望を持って自ら伸び、育つ教育の実現に向け、教育委員会と連携し、保護者や地域の理解も得ながら一人ひとりの教員が力を発揮できる環境を更に整えていく。
⑤ 新規採用教員への支援体制について
【質問】
都は新規採用教員への支援体制の構築をさらに進めるべきと考えるが、見解を求める。
【教育長】
新規採用教員への支援についてであるが、都教育委員会では、新規採用教員が円滑に職務に取り組めるよう、指導教員を中心に学校全体で支援するとともに、定年退職した管理職等が、学級経営等をサポートする取組を進めている。
また、小学校の全ての新規採用教員約1,800名に対し日頃の悩みなどを相談しやすいよう、臨床心理士等によるアウトリーチ型の相談事業を令和5年度から実施している。相談者からは、人に話すことで自分の悩みが明確になった、改善のきっかけをつかめた等の声が寄せられている。
新規採用教員が安心して職務に取り組める職場環境を更に整えていく。
⑥ 教員のメンタルヘルス対策について
【質問】
課題の一歩前進に向けて3点の提案をする。①教職の特殊性を理解し、メンタルヘルスの分野での専門性にたけた産業医などの確保、育成と活用の促進。②都も実施している相談体制で得た経験値を活用し、専門家が分析して、教員の職場環境の改善にフィードバックさせる。③再発の抑制につながる職場復帰支援など。都は、教員のメンタル面での健康被害の原因分析と効果的な手法の確立に取り組み、成果の具体化を図るべきと考えるが、見解を求める。
【教育長】
教員のメンタルヘルス対策についてであるが、都教育委員会では、精神科医等による相談、病気休職者への職場復帰支援等の様々な取組を進めてきた。
令和4年度からは、臨床心理士等が小中学校を訪問し、全教員と面談するアウトリーチ型相談事業を実施している。令和5年度からは対象者を拡大し、小学校で病気休職から復帰した全教員に面談を行っており、面談結果を分析し、職場の改善点等について各学校等に助言している。
今後、不調の原因分析と合わせ、復職の過程も含め、有効な対策を検討するとともに、産業医等の専門家の一層の活用を図ることで、教員が安心して働ける環境づくりを推進していく。
⑦ 知的障害児教育の充実について
【質問】
特別支援教育では、障害や発達の状態に応じて、様々な困難を克服するために必要な知識、技能、習慣や態度などを養う自立活動という取組が実践されている。しかし、特別支援教育の現場に立つことを初めから視野に入れて教職課程を選択する学生が少ないといわれている中にあって、自立活動については、急速に高まる社会的ニーズに履修科目の整備が追いつかないためか、その指導方法を本格的に学んでいる学生は、さらに少ないといわれている。都教育委員会は、自立活動についての専門性を高めた教員の確保・育成を急ぐべきと考えるが、見解を求める。
【教育長】
知的障害の児童・生徒への教育の充実についてだが、小・中学校の特別支援学級では、コミュニケーション力を育成するなど自立活動の指導を行っており、都教育委員会は、特別支援学級の教員を対象に、ソーシャルスキルトレーニングの手法等を学ぶ研修を実施している。
今後、特別支援学級設置校の校長等と連携し、研修修了者が研修内容を他の教員に伝達することを通して、多くの教員の自立活動の専門性を高めていく。
都は、特別支援学級の教員定数について、いわゆる標準法に基づき算出した学級数分に、1人を加えた配置を行っているが、更なる充実に向けて、国への要望に当たっては、自立活動の重要性等も踏まえ、働きかけていく。
⑧ 都立学校における空調設備の整備について
【質問】
都議会公明党の強い働きかけを受けて都が整備を進めた結果、現在では都立学校の全ての普通教室や体育館において空調設備の設置が実現したが、早期に空調設備が設置された普通教室は老朽化が進んでいる。都は、既に設置された普通教室の空調設備の改修についても、早急に取り組むべきと考えるが、特別教室及び武道場等の整備の進捗状況と併せて、見解を求める。
【教育長】
都立学校の空調設備の整備についてであるが、都立学校では、全ての普通教室や体育館で空調設備の整備が完了している。
現在、特別教室や武道場等の空調設備について順次整備を進めており、特別教室については令和8年度までに、武道場等については令和9年度までに、全校で整備が完了する予定である。
また、普通教室の老朽化した空調設備の改修に当たっては、学習活動を継続しながら工事が進められるよう、代替教室の確保や仮設校舎の設置の必要性、室外機置場等のスペースの確保など、学校との間で様々な調整を行っているところである。こうした調整を進め、令和6年度以降、普通教室の空調設備の改修を加速化していく。
⑨ フリースクール等への支援について
【質問】
都内の公立小中学校の不登校の子供は、2021年度調査によると過去最高となっており、不登校対策は喫緊の課題。そこで、近年ニーズが高まっているのが学校教育とは異なる学びの場であるフリースクールであるが、人員や場所の確保など様々な苦労に直面している。全ての子ども達に学びの場を提供するためには、財政支援など、既存の枠組みを超えて、新たな対策を打ち出すべきだが、見解を求める。
【子供政策連携室長】
フリースクール等への支援についてであるが、都は、これまで支援が行き届かなかった政策課題に真正面から向き合い、学校外の学び・居場所に対するアウトリーチ型のヒアリングに加え、フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業を実施している。
これらの調査実績等を踏まえ、学校生活に馴染めず生きづらさを抱える子供を支えるため、保護者へのサポートのあり方について検討を深めていく。また、学校外の現場の声に耳を傾けながら、子供目線に立って、フリースクール等に求められる役割を後押しする方策のあり方について検討する。さらに、一人ひとりの子供の個性や強みを育む学びについて議論を深めていく。
防災対策
① TOKYO強靭化プロジェクトについて
【質問】
都が令和4年12月に立ち上げたTOKYO強靭化プロジェクトの策定に際し、令和4年の第2回定例会の都議会公明党の代表質問で、公表後もその具体的な進捗を監督し、推進を図ることを求め、知事からもしっかりと取り組む旨の答弁があった。
都民の安全・安心を確保するため、「TOKYO強靭化プロジェクト」を推進し、2040年代に向けた災害への備えを一層強化していくことが重要である。知事の見解を求める。
【知事】
TOKYO強靭化プロジェクトについてであるが、激甚化・頻発化する風水害や、いつ起きてもおかしくない大規模地震、火山噴火など、様々な脅威に対し、備えよ常に、の精神で都民の命と暮らしを守ることが都政に課せられた使命である。
そのためには、施策を不断に見直し、国や関係自治体等とも連携しながら、リスクへの備えを強化していかなければならない。
そこで、プロジェクトに掲げた2040年代の目指すべき姿に向けて、新たに2030年における目標を定めるとともに、気候変動の影響、さらには国の動向なども踏まえ、ハード・ソフトの両面から施策を強化し、年度内にプロジェクトのアップグレードを図る。
関東大震災から今年で100年。このプロジェクトを梃子に、次なる100年も安心できる強靭で持続可能な東京を創り上げていく。
② 気候変動を見据えた中小河川整備について
【質問】
都内中小河川の洪水対策における現在の目標では不十分である。今後は、整備目標について1.1倍の降水量に対応できるように、区部85ミリ、多摩部75ミリに引き上げ、激甚化する豪雨に対応可能な体制構築をするべきだ。
都議会公明党はこれまでも、地下調節池の整備前倒しを主張しているが、さらに、調整池の地下河川化を目指すべきだ。豪雨の更なる激甚化や被害の拡大が懸念される中、都民の生命と財産を守るために中小河川における対策を一層強化推進すべきであるが、見解を求める。
【東京都技監】
気候変動を見据えた中小河川の整備についてであるが、水害から都民の命と暮らしを守るには、気候変動の影響を踏まえ、洪水対策を強化していくことが重要である。
都は、令和4年6月より有識者等の委員会を開催し、気候変動の影響により1.1倍に増加する降雨量に対応するため、目標整備水準を引き上げ、増加分は主に調節池整備で対応することを検討している。さらに、地下調節池を延伸して洪水を海へ流す地下河川や、複数の調節池をトンネルで連結するネットワーク化等の新たな整備手法を検討し、年内に取りまとめていく。
水害に強い都市東京実現に向け、中小河川の洪水対策を一層推進していく。
③ 盛土の安全性確保について
【質問】
都議会公明党はこれまで、盛土による災害防止に向け、都独自の対策を打ち出すべきと提言してきた。新制度の運用に当たっては、都は条例を制定し、盛土の安全性を確実に確保すべきと考えるが、見解を求める。
【都市整備局長】
盛土の安全性確保についてであるが、盛土による災害を防止するためには、新たに施行された盛土規制法の実効性を高めていくことが重要である。
このため都は、専門家の意見を聴きながら、これまでの宅地造成等規制法に基づく制度運用実績も踏まえ、新法の規定に基づく制度の強化について検討してきた。
これを受け、条例の新設により、工事完了時に目視できない工程を確認する中間検査において、対象規模を500平米超に引き下げることや、擁壁の鉄筋の組立状況を含め7項目を追加することなどについて、今般、都民からの意見募集を開始した。今後、令和6年7月を目途に新法に基づく制度に移行し、都民の安全を確保していく。
医療・福祉施策
① 認知症施策の推進について
【質問】
公明党が一貫して制定を訴え、超党派の合意による議員立法で、令和5年6月、認知症基本法が成立し、都道府県や市町村は、計画の策定が努力義務とされている。都は、認知症の人や家族の意見も聴くとともに、共生社会実現へ向けて、都の認知症施策推進計画を策定するなど、認知症施策を更に進めていくべきと考えるが、見解を求める。
【福祉局長】
認知症施策の推進についてであるが、令和5年6月に成立した認知症基本法では、都道府県は、国が策定する認知症施策推進基本計画を基本とするとともに、都道府県の実情に即した推進計画を策定するよう、また、計画案の作成に当たり認知症の人及び家族等の意見を聴くよう努めることとされている。
都は、東京都認知症施策推進会議の委員として家族会の代表に参画いただくとともに、会議の場で認知症の方に自らの体験等をお話しいただくなど、当事者の声を反映した認知症施策を進めている。
今後、認知症の方や家族の声も聴きながら、共生社会実現に向け、総合的、体系的に施策の充実を図っていく。
② 認知症の早期診断について
【質問】
アルツハイマー病の進行を緩やかにする効果を証明した薬として国内初となるレカネマブの投与の対象は、早期段階の患者に限られることからも、より一層、都は、認知症の早期診断につながるよう、都が実施している認知症検診推進事業の充実を図るなど、健康長寿医療センターとも連携し、取組を進めるべきと考えるが、見解を求める。
【福祉局長】
認知症の早期診断についてであるが、認知症は、早く気付いて治療を開始すれば、進行を遅らせたり、病状を改善させたりすることが可能な場合があり、早期の受診や治療に向けた取組が重要である。
そのため都は、高齢者に認知症のチェックリストを掲載したパンフレット等を送付し、検診を希望する方に問診・認知機能検査を行い、専門機関等につなぐ区市町村の取組を支援している。
今後、新たな認知症疾患修飾薬の実用化の状況や、健康長寿医療センターが取り組んでいる認知症研究の成果等も踏まえながら、早期診断・早期対応を推進していく。
③ 養護老人ホームについて
【質問】
措置される高齢者数は年々減っており、都内の養護老人ホームの多くは定員割れが常態化している。都内の養護老人ホームは築年数が古く、老朽化が進んでいる施設が多いにもかかわらず、財政的に改修や改築を行うことが難しく、結果として、措置対象者の入居を阻んでいるとも言われている。このままでは養護老人ホームは事業継続が困難になる。養護老人ホームが今後も安定的に運営を継続できるよう、都としても対応していく必要があると考えるが、見解を求める。
【福祉局長】
養護老人ホームについてであるが、養護老人ホームは、虐待や社会生活への適応が困難な高齢者の受け皿として重要な役割を担っており、区市町村が設定する措置費により運営されている。
都は、国が介護保険施設職員の処遇改善を図った際には、養護老人ホームも同様の改善が行われるよう区市町村に周知している。加えて、施設が職員の増配置等に対応できるよう都独自の補助を行うほか、介護保険法に基づく指定を受けた施設にのみ改築等の補助も行っている。
今後、施設の安定的な運営継続に向け、引き続き措置費の改定を区市町村に働きかけるとともに、老朽化した施設の改修、改築等の課題を整理し適切に対応していく。
④ 高齢者の社会参加の促進について
【質問】
都が実施しているシルバーパス事業は社会参加に不可欠なものであり、より一層活用してもらえるよう、地域や社会で活躍できる環境を整えることが必要である。都は、これまでもシルバーパスをはじめ様々な施策を行ってきたところだが、高齢者の8割を占める元気高齢者の社会参加の促進に向け、更に取組を充実すべきと考えるが、見解を求める。
【福祉局長】
高齢者の社会参加の促進についてであるが、人生100年時代において、高齢期をいきいきと過ごすためには、一人ひとりが、介護予防・フレイル予防に取り組むとともに、自らの希望に応じた仕事や学び、趣味、地域活動ができる機会を確保することが重要である。
このため都は、高齢者自らが行う文化・教養活動の区市町村等を通じた支援や、社会参加を目的としたシルバーパス事業を実施している。また、高齢者やこれから高齢期を迎える方を様々な社会参加活動につなげるオンライン上の仕組みの構築を着実に進めている。
今後、こうした取組を更に進め、高齢者の社会参加促進に取り組んでいく。
⑤ シルバー人材センターについて
【質問】
60歳から74歳までの就職希望者のうち、約54%が仕事を探しても見つかっていないとの民間調査の結果も出ている。
こうした状況を踏まえ、シルバー人材センターが地域においてその役割を十分に果たすとともに、時代の変化に応じて働く意欲のある高齢者のニーズにも対応できるよう、幅広い就労機会の提供に取り組むべきと考えるが、知事の見解を求める。
【知事】
シルバー人材センターについてであるが、長寿社会が進み、働き手として活躍する期間が延びる中、会社の定年を迎えた後も、意欲を持ち経験を生かし新たな仕事に取り組む高齢者をしっかりと後押しすることは大切だ。
東京の各地域にあるシルバー人材センターは、高齢者に負担の少ない仕事を用意し、社会とのつながりや生きがいを提供する役割を担ってきた。
一方で、これからは、高齢者が現役時代に培った力を発揮し収入の確保に役立つ安定した仕事へのニーズに応えることも必要となる。
今後は、シルバー人材センターとそのサポートを進める東京しごと財団が協力しながら民間からの仕事の発注の意向等を踏まえ、より多くの就業の機会を確保し、高齢者の働く意欲にきめ細かく応えていく。
⑥ 強度行動障害のある人が過ごせる障害者グループホームの設置促進について
【質問】
強度行動障害のあるお子さんを抱えている親御さんからは、預け先がなくて困っているとの切実な声が届いており、対策は喫緊の課題である。都は令和3年度から5年度までにグループホームの定員を2,500人増とする目標に対し、4年度末には2,175人増まで確保できたとのことだが、強度行動障害のある人が穏やかに過ごせるためのグループホームを増やしていくべきと考える。都の見解を求める。
【福祉局長】
障害者グループホームの設置促進についてであるが、強度行動障害を有する方など重度の障害者であっても、障害者本人が希望する地域で居住の場を確保することは重要である。
このため都は、障害者グループホームを整備する事業者の負担を軽減する特別助成や都有地の減額貸付等を行うとともに、身体や行動の特性上、特別な支援を必要とする重度障害者を受け入れ、国の配置基準以上に手厚く職員を配置する事業者に対し補助を実施している。
強度行動障害を有する方など、重度の障害者が地域で安心して暮らせるよう、障害者グループホームの更なる設置促進に向け、取り組んでいく。
⑦ 強度行動障害を有する方への支援員の養成について
【質問】
入所施設や通所施設などにおいて、強度行動障害の方を支援する支援員の専門性が必要である。強度行動障害支援者養成研修については、特別支援学校の教職員等にも対象を拡大すべき。また、支援力育成派遣事業の対象をグループホームに拡大するなど、幅広い施設で、障害者の特性や状況に合わせた支援をする体制を更に充実すべき。併せて見解を求める。
【福祉局長】
強度行動障害を有する方への支援についてであるが、強度行動障害を有する方が安定した日常生活を送るためには、障害特性を踏まえた適切な支援が必要である。
このため都は、障害福祉サービス事業所等の職員向けに、強度行動障害の特性や支援方法を学ぶ研修を実施しており、令和5年度から定員を2倍に拡充した。
また、利用者の重度化や強度行動障害等への対応力向上のため、専門職等を各施設に派遣する支援力育成派遣事業では、令和5年度から、障害者支援施設に加え生活介護事業所を派遣先の対象とした。
今後、各事業の対象の拡大を検討するなど、強度行動障害を有する方への支援の充実を図っていく。
⑧ 増大する救急需要への対応について
【質問】
増大する救急需要への対応について、救急体制の強化及び救急相談センターの体制強化が必要であると考えるが、消防庁の見解を求める。
【消防総監】
増大する救急需要への対応についてであるが、令和5年の救急出場件数は、過去最多を記録した令和4年を上回るペースで推移しており、救急体制及び救急相談センターの強化が重要である。
このため、交代要員を動員し救急隊を増強するとともに、救急出場のひっ迫状況を「救急車ひっ迫アラート」として新たに発信し、救急車の適時適切な利用を訴えている。また、救急相談センターについては、各種メディア等を活用した広報や、相談員及び回線を増強するなど、利用促進及び充実強化を図っている。
今後、デイタイム救急隊を含む救急隊の計画的な増強や救急相談センターの体制強化を検討するなど救急需要に的確に対応していく。
⑨ 看護師等修学資金について
【質問】
看護師等就学資金制度では、月5万円の貸付の場合、都が指定した施設で5年勤務すれば全額免除されるが、指定以外の都内施設に勤務した場合は2万5千円しか免除されない制度である。都内で働く看護師を増やすためにも、都内のどの病院、施設でも5年間従事した場合、5万円まで返還免除できるよう要件を緩和すべき。見解を求める。
【保健医療局長】
看護師等修学資金についてであるが、都は、看護職員の確保と質の向上のため、都内で看護業務に従事しようとする学生に修学資金を貸与しており、これまで、ニーズに応じて貸与金額を4種類から選択できるよう改めるとともに、卒業後就業する施設種別等に応じた返還免除要件の見直しなどを行ってきた。
今後、生産年齢人口の減少や、高齢化の急速な進展を見据え、介護保険施設や在宅療養等における医療ニーズの増大・多様化等の状況にも留意しながら、都内の看護職員の一層の確保に向け、看護師等修学資金制度の在り方について検討していく。
⑩ 粒子線治療施設の最短の供用開始について
【質問】
都議会公明党は、重点政策のチャレンジ8に粒子線治療の導入を掲げ、都と議論を重ねてきた。こうした議論が実り、知事からは、都立病院の粒子線治療施設の整備計画を策定し、最適な導入機器や具体的な整備地を盛り込んでいく旨の答弁があった。東京では1年に1,000名の粒子線治療患者が見込まれていることから、一日も早い整備が都民の命を守ることにつながる。最短の供用開始を計画すべきだ。都立病院の粒子線治療施設整備計画の策定状況と今後の進め方について、見解を求める。
【保健医療局長】
粒子線治療施設の整備計画についてであるが、都は、計画の策定に向けて、令和5年5月から有識者にヒアリングを行い、学会、患者団体、医師会などに属する19名から意見を伺ったほか、先行施設の運営状況や収支状況等を調査し、20施設から回答をいただいた。
現在、これらの調査結果を踏まえ、がん患者の診療実績が豊富で集学的治療を提供できる都立病院への粒子線治療施設の早期導入に向け、装置の種類や必要面積、整備手法などの検討を進めている。
今後、年内に素案を公表し、パブリックコメントを実施の上、令和5年度改定予定のがん対策推進計画と併せて、導入機器や整備地等を定めた整備計画を策定していく。
⑪ 市販薬の監視指導について
【質問】
オーバードーズとは、薬を過剰に摂取することを意味する。近年、市販薬をオーバードーズする若い世代が増加し、救急搬送されるなど社会問題化している。都も濫用等のおそれのある市販薬の監視強化を図るべきと考えるが、見解を求める。
【保健医療局長】
市販薬の監視指導についてであるが、近年、総合感冒薬等の不適正な使用を目的とした複数購入や、用法・用量を超えた多量服薬等の実態が報告されていることから、国は令和5年4月、濫用等のおそれのある医薬品の範囲を拡大した。
また、薬局等が濫用等のおそれのある医薬品を販売するに当たっては、原則1人1包装とするなど販売方法が厳格化されており、都は特別区や保健所設置市と連携し販売方法について重点的に監視指導を実施している。
今後更に、医薬品が適正に販売されるよう、都が率先して、監視指導を強化していく。
⑫ 市販薬の乱用防止対策について
【質問】
オーバードーズに陥ってしまう若者に対しての普及啓発と薬物乱用対策を更に進めるべきと考えるが、見解を求める。
【保健医療局長】
市販薬の乱用防止対策についてであるが、都は、平成30年度に改定した薬物乱用対策推進計画に基づき、関係機関や地域団体と連携した啓発活動、規制や取締り、相談支援体制の充実など、総合的な薬物乱用防止対策に取り組んでいる。市販薬の乱用防止については、過剰摂取の危険性等をホームページやSNS等で広く都民に周知するほか、地域のイベントなどで活用できるリーフレットを作成し、配布している。
今後、市販薬のオーバードーズが社会問題化していることも踏まえ、令和5年度改定予定の薬物乱用対策推進計画の内容を検討するなど、薬物乱用防止対策の取組を一層推進していく。
産業施策
① 公共工事の発注の在り方について
【質問】
働き方改革により、1日の実作業時間が平均で4時間23分となり、現在の8時間から建設工事の積算の単価を実態に見合ったものにするとともに、工期についても、1日当たりの施工量の減少に伴い、実態に見合ったものに改善していく必要がある。併せて、見解を求める。
【財務局長】
公共工事の発注の在り方についてであるが、建設業の働き方改革を進めていくためには、作業前の指示や後片付け等、実作業以外についても就業時間に含めるなど、現場の実態により即した工事の積算や工期の設定を行うことは重要である。
国は、時間外労働の抑制に向けて、令和5年4月に一部の工種における標準歩掛を見直しており、都においても10月から同様の歩掛等の改定を行い、積算及び工期にも反映させていくこととしている。
引き続き、国の動向を注視し、適正な工事価格の積算及び適切な工期の設定に努め、建設業における働き方改革を後押ししていく。
② 工事におけるデジタル技術の活用について
【質問】
現場においては、写真の撮影と整理など、施工管理に多大な時間を要するという声がある。そこで、例えば必要な写真についてその都度、現場作業員にウェブカメラを取り付け、入手したデータを都で保存するなど、デジタル技術を活用すべきと考えるが、見解を求める。
【財務局長】
工事におけるデジタル技術の活用についてであるが、建設業の働き方改革を推進していくには、デジタル技術により工事現場の生産性を高め、受注者の負担軽減を図ることが重要である。
このため、都は、インターネット上で工事関係書類の提出等を行う情報共有システムを活用している。
さらに、ウェアラブルカメラ等を活用し、工事の各種確認行為をリモートで行う遠隔臨場について、令和2年度から取組を進めており、導入効果の検証や課題の整理などを行っている。
今後は、遠隔臨場の実施件数の拡大などの取組を推進し、建設業の働き方改革を後押ししていく。
③ 資材高騰、燃料高騰について
【質問】
契約時と着工時が一定期間空くような工事について、契約金額と着工時の金額が大きく乖離する場合には、着工時の金額で契約変更を行うべきだが、見解を求める。
【財務局長】
工事における物価高騰への対応についてであるが、都は、契約後の賃金又は物価水準の急激な変動により契約金額が不適当となった場合に変更を行う制度として、インフレスライド条項を工事請負標準契約書に整備している。
令和5年1月には、工期内に賃金水準の変更がなくとも、残工事費が既存契約から1パーセント以上変動した場合には何度でもインフレスライドの請求ができるよう運用を改善し、現下の急激な物価高騰への対応を図っている。
今後、資材価格の急激な高騰に対応する単品スライド条項と合わせ、事業者への周知を丁寧に行い、制度を適切に活用できるよう、発注者としての責務を果たしていく。
④ 工事現場の気温上昇対策について
【質問】
気温上昇により、作業が行えない現場が出ている。しかし、受注者判断で中止した場合、工期延伸や延伸に伴う経費についての申し出をしづらいのが現状である。そこで都が、一定の基準で熱中症アラートを発令し、作業中止を指示し、工期延伸や延伸に伴う経費をみるようにすべきと考えるが、見解を求める。
【財務局長】
工事現場の気温上昇対策についてであるが、現場の環境や工事の進捗具合、作業の内容等により状況がそれぞれ異なることから、熱中症対策はその状況を踏まえた対応が必要である。
このため、毎年受注者に対し、計画的な予防対策等の徹底を求めるとともに、工期への影響が見込まれる場合、延伸の協議が可能である旨を周知している。
対策費用については、当初工事費への計上に加え、追加対策及び工期延伸に伴う経費についても、設計変更により対応している。
引き続き、熱中症対策の取組を推進するほか、工期の延伸、追加費用等について協議しやすい環境づくりに向け、受注者の理解が進むよう更なる制度の周知に努める。
⑤ 中小企業の人材の確保と定着の支援について
【質問】
都議会公明党の求めに応じ、都が令和5年度から、若手人材の確保や定着に向けた中小企業の取組を支援する助成事業を開始したが、人手不足感が特に強まっている宿泊や飲食の業界をはじめ、より多くの中小企業に活用されるよう、取組を強化すべきと考えるが、見解を求める。
【産業労働局長】
中小企業の人材の確保と定着の支援についてであるが、中小企業が若手の人材を採用しその定着を図るため、社員の安心で快適な生活をサポートする取組に対し、適切な支援を行うことは重要である。
このため都は、令和5年度より、中小企業が福利厚生の充実に向けた計画をつくり、若手社員のために住宅を借り上げる場合などに必要となる経費への支援を開始した。
この取組について、ウェブの広告やSNSを活用し幅広く宣伝を行い、中小のものづくりやサービス業の会社から利用の申込みを受けている。今後、観光関連の業種など人材の確保が特に大きな課題となっている会社に対し、観光財団等と協力し支援内容の周知を強化する。
⑥ 被災地支援について
【質問】
令和5年第1回定例会の経済・港湾委員会で都議会公明党は、中央卸売市場において、市場業者による適切な評価を通じて、いまだ需要回復に至っていない被災地産品の消費拡大に取り組むべきと主張した。そして、令和5年7月に、豊洲市場の水産仲卸団体の尽力により、福島県水産物を中心とする常磐物を販売、PRする事業、夢一楽座をスタートした。
都では、この事業に対して全面的にバックアップをしているとのことだが、より多くの方々にご利用いただき、被災地産品を普及拡大していくため、今後、都は本事業をさらに活性化させていくべきと考える。見解を求める。
【中央卸売市場長】
被災地支援についてであるが、市場業者が有する豊富な商品知識や経験に基づき、産地から入荷した商品を正しく評価して市場取引を行うことは、被災地産品の普及拡大にも大変効果的である。
そこで都は、豊洲市場の水産仲卸業者の団体が、令和5年7月から、都が設営した市場内の店舗で「常磐もの」等を販売する取組に対し、事業運営に要する経費の一部を補助するなどの支援を講じている。
今後、この取組のより一層の活性化を促すため、豊洲地域で開催される都主催のイベントとの連携を図るとともに、実効性ある広報を継続して行うなど、被災地産品の消費普及拡大に向けてサポートしていく。
⑦ 被災地応援ツアーによる消費喚起について
【質問】
我が党の提案で実施されている被災地応援ツアーを活用した水産物への風評の払拭を速やかに進めるべきと考えるが、知事の見解を求める。
【知事】
被災地応援ツアーによる消費喚起についてであるが、被災地応援ツアーは、東日本大震災による復興を支援するため、平成23年度から開始し、これまで都内から多くの旅行者が福島県を観光で訪れ地域の消費の活性化などを後押ししてきた。
地元経済の重要な柱である水産業に係る風評の懸念を払拭するため、都内で魚介類の消費を喚起する取組に加え、東京の消費の力を福島でも生かすことが重要だ。被災地応援ツアーの仕組みに工夫を凝らし、福島県での様々な消費を高め、水産物を使った料理や土産物の購入に結び付けていく。
都内での取組と同じ期間に、この応援ツアーで、福島県に宿泊や日帰りで訪れる方には、助成額に1,000円の上乗せを行う。これに合わせ、福島と東京が協力し、水産品が安全で安心であることをPRし、被災地の復興支援につなげていく。
⑧ 農業の新たな担い手の確保について
【質問】
市街化区域内を含め、都内で新たに農業を始めようとする方が、安心して営農を開始できるよう、しっかりと支援すべきであると考えるが、見解を求める。
【産業労働局長】
農業の新たな担い手の確保についてであるが、東京農業の担い手を増やすため、新たに農業を始めた方に対するきめ細かな支援は重要である。
これまで都は、農業を始めて間もない時期の生活を支えるため資金面から支援を行うほか、農業施設の整備や機械の購入に必要な経費に助成を行ってきた。また、生産した野菜などを直売所や小売店などに納品する販路開拓のサポートも行っている。国では市街化区域内で就農を開始した方への支援を見直すこととしている。
都は、国に対し働きかけるなど、こうした方が安心して営農を継続できるよう、適切なサポートを行う。これらにより、東京の農業振興を着実に進める。
⑨ 農業経営の充実に向けた支援について
【質問】
多摩地域でも普及指導員の増員を図るほか、GAP認証で付加価値が高まった農産物についての消費者の購買意欲の増進などの点で支援の充実を図るべきであるが、見解を求める。
※GAP…農業生産工程管理のことで、食品の安全性向上や環境保全等に資する取り組みのこと。農水省のガイドラインに基づき、都でも認証制度を設けている。
【産業労働局長】
農業経営の充実に向けた支援についてであるが、東京の農業者が最新の技術を取り入れ、効率的な生産を行い経営力の向上を実現することは重要である。
これまで都は、普及指導員による巡回指導や講習会を通じ、最新の栽培技術や生産方法に関する知識やノウハウの提供を行ってきた。また、GAPのルールに則って安全で安心な農作物を作り消費者の信頼を確保できるよう、その認証取得に必要な経費への支援も実施している。
今後は、普及指導において、区部や多摩のそれぞれの特色に応じた支援の充実に向け工夫を行う。また、GAPのルールに則り生産する農業者がオンラインの商談会に出展し販路開拓を図る取組の拡充を行う。
⑩ イベントを通じた東京農業の魅力発信について
【質問】
JA東京中央会が主催する農業祭の関連行事が、令和5年度も東京味わいフェスタの期間にあわせ開催されると聞いている。これらのイベントの連携の効果を、今後より一層安定的かつ一体的に盛り上げていくため、新たな工夫を凝らすべきであるが、見解を求める。
【産業労働局長】
イベントを通じた東京農業の魅力発信についてだが、東京の農業振興を図るため、イベントを通じ都内産の農産物を味わう機会を提供し、農業と食への関心を高めることは重要である。
これまで都は、東京産農産物を使った料理などを提供する「東京味わいフェスタ」を開催し、令和4年度は、同じエリアの中で、農業者団体が主催するイベントとも連携し、農業の優れた魅力を幅広く発信した。
令和5年度は、それぞれのイベントをより一体的に行うため、各会場をスタンプラリー等により回遊して結び付ける工夫を行い、今後、農業者団体とのより効果的で安定的な連携につなげる。
環境施策
① 衣類の3Rについて
※3R…ゴミを減らすためにゴミそのものを減らす「Reduce(リデュース)」、ゴミとして捨てずに何回も繰り返し使う「Reuse(リユース)」、ゴミをもう一度資源として再利用する「Recycle(リサイクル)」のこと。
【質問】
都はゼロエミッション東京の実現に向けて衣類の3Rの取組を促進するべきと考える。知事の見解を求める。
【知事】
衣類の3Rについてであるが、ゼロエミッション東京の実現に向けては、衣類を始めとした様々な製品の3Rを推進し、持続可能な形で資源を利用する社会へと変革していくことが重要である。
現在、多くの古着は、一般ごみとして廃棄されるか分別回収されても焼却処分されている。
このため、回収ルートの更なる拡大等に取り組む区市町村に対し、財政面から支援している。
今後、技術面からの支援も行うことで、効果的なリユースとリサイクルを促していく。
加えて、繊維の水平リサイクル等の技術開発に向け先進的な技術を持つ事業者の取組を後押しし、高度な再資源化の実装を図っていく。
これらにより、衣類の3Rに向けた機運を高め、サーキュラーエコノミーの実現を推進していく。
② スタートアップにおける官民協働の推進について
※スタートアップ…一般的には起業や新規事業の立ち上げを意味する言葉だが、特に革新的なアイデアで短期的に成長する企業を指す。
【質問】
都政が抱える様々な課題を解決し、都民サービスのさらなる向上につなげるためには、自由な発想や革新的な技術を持つスタートアップの力を最大限活用し、都政の現場で実践していくことが必要である。具体の取組の積み重ねこそが重要であり、スタートアップ・国際金融都市戦略室が、スタートアップと都政現場との橋渡し役を積極的に果たしていくべきである。官民協働推進に向けた都の見解を求める。
【スタートアップ・国際金融都市戦略室長】
官民協働の推進についてであるが、都は、令和5年度、官民協働の推進に向けた2つの取組を新たに開始する。1つは、事業所等での業務の困りごとをスタートアップに提示し、現場での対話を通じて解決につなげる取組であり、現在、課題の洗い出しを各局と連携して進めている。もう1つは、スタートアップから自由な発想で事業を提案してもらい、各局との対話を経て、サービス等の試験的導入につなげる取組であり、9月から募集を開始している。各局との緊密な連携の下、都政現場が抱えるニーズと、スタートアップの優れた技術やサービスを効果的に組み合わせることで、都民サービスの向上とスタートアップの成長につなげていく。
③ EV等で使う蓄電池の再利用について
※EV…「Electric Vehicle」の略で、電気自動車のこと。
【質問】
今後EVの普及に伴い、使用済みバッテリーも増えていくことから、こうしたリユースの取組を広げていくべきと考えるが、見解を求める。
【産業労働局長】
EV等で使う蓄電池の再利用についてであるが、蓄電池の普及を図る上で、EV等で使ったものを再利用する取組は効果的である。
現在、国の有識者会議ではEV等の蓄電池を再利用する仕組み作りを検討しているほか、そうした蓄電池の使用の度合いに応じEV以外に活用する事業者も出ている。
都では、蓄電池を事業所に設置する場合や電力ネットワークの安定に役立つ大規模なものを導入する際の支援において、再利用の蓄電池も対象としている。
今後、蓄電池の再利用に関する重要性や都の支援の対象であることをウェブにより分かりやすく発信するとともに、EV等の普及に合わせた活用の促進を図る。
④ 福島県で生産したグリーン水素について
※グリーン水素…水を風力・水力・太陽光などの再生可能エネルギーで電気分解し生成された水素のこと。利用時と製造過程の両方で二酸化炭素の排出がなく、脱炭素の取り組みを促進するエネルギーとして注目されている。
【質問】
福島県等との協定に則って、福島県産のグリーン水素について都内での需要を拡大し、更に活用すべきと考えるが、見解を求める。
【産業労働局長】
福島県で生産したグリーン水素についてであるが、東京のゼロエミッションの実現に向け、福島県で生産した水素の活用を進めることは重要である。
これまで都は、福島県で作ったグリーン水素に関し、東京2020大会等の選手村や、大会関係者の乗る車両のエネルギーとして使うことによりPRを実施した。
令和5年度、都は、国の研究機関のほか、福島県や東京都環境公社と協力し、福島から水素を都内へ運ぶ方法等に関し相談を進める。また、そうした水素を利用する都内の事業者の掘り起こしを実施する。
これらにより、福島県で生産したグリーン水素の普及を推進していく。
⑤ グリーン水素の実用化に向けた取組について
【質問】
次世代のエネルギーとして期待されるグリーン水素の製造から活用までの各段階の課題を解決し、実装化を進める必要があると考えるが、見解を求める。
【産業労働局長】
グリーン水素の実用化に向けた取組についてであるが、東京で脱炭素化を進める上で、再生可能エネルギーにより水素を生産し活用する具体的な取組を図ることは重要である。
都は、プラントメーカーの提案に基づき、工場などの敷地の中で、水素の生産から活用まで一体的に行う民間への支援を8月より開始した。
また、都有地において、都がグリーン水素を最先端の技術を用い、生産する取組に関し、現場の状況を調べプラントの設計を進める。
これらにより、グリーン水素の普及拡大を推進していく。
都政の課題
① 火葬について
【質問】
都民の誰もが安心して火葬場を利用できるよう、都・23区・民間事業者で、まずは課題の共有と意見交換等を開始した上で、火葬に関する現状と今後の在り方などについて議論する検討会を設置すべきと考えるが、見解を求める。
【保健医療局長】
火葬についてであるが、今後、高齢化による死亡者数の増加が予測される中、都民の火葬についての不安を払拭し、地域の実情に応じて、将来にわたる安定した火葬体制を確保することは重要である。
都内では区部において、民間事業者が経営する火葬場が多数を占めており、他の自治体とは異なる状況にある。
こうしたことから、都においても火葬に関する情報や課題を共有していく必要があり、区との情報共有や火葬場の実態把握など、今後、関係者間で意見交換等を始めていく。
② 海の政策について
【質問】
東京は、日本のEEZ(排他的経済水域)の約4割が存在する世界有数の海洋都市である。都の調査では、日本未記録の生物や鉱物が確認され、生物多様性やレアメタルの可能性に期待が高まる。政策の強化にあたり、壮大な可能性と魅力がある東京の海を積極的に活かすべき。見解を求める。
【政策企画局長】
海に関する政策についてであるが、東京の発展と魅力の創出にあたり、東京の広大な海域から生み出される経済・産業をはじめ生物多様性の恵みなど豊かな自然環境を活用していくことは重要である。
これまでも都は、「未来の東京」戦略において、デジタルを活用した東京港の機能強化や島しょの自然を生かした多様なツーリズムなどの施策を展開してきた。
また、令和5年7月の「重点政策方針」でも国際競争力の強化に向け、そのポテンシャルを活かすことを示した。
今後、東京産水産物のブランド化による水産業の振興や東京港におけるブルーカーボンを活用した脱炭素化の推進など、海を活かし、東京のプレゼンス向上や持続的発展につなげていく。
③ いちょう並木の保全について
【質問】
いちょう並木は、外苑の中で特に大切で守るべきものであり、将来においても保全していくべきものである。「いちょう並木が枯れるのでは」と心配する声や「いちょう並木を残してほしい」との声が届いている。こうした不安を払拭するため、都は責任ある関わり方を採るべきであるが、見解を求める。
【都市整備局長】
いちょう並木の保全についてであるが、4列のいちょう並木は、神宮外苑の象徴であり、都はその保全に万全を期すよう、これまでも事業者に要請してきた。
事業者は、4列のいちょう並木を全て保存すると言っており、そのため、イチョウの根の調査を実施するとともに、今後、調査結果や樹木医の意見を踏まえ、新野球場棟のセットバックなど必要な施設計画の見直しを行い環境影響評価審議会に報告するとしている。
都は事業者に対し、いちょう並木を確実に保全し、風格ある都市景観を将来に引き継ぐため、審議会の意見も踏まえしっかり対応するよう、引き続き強く求めていく。
④ 宝くじの活性化について
【質問】
宝くじは、地方財政資金の調達を目的とするもので、その発売元は地方自治体である。全国の宝くじの売上回復に繋げるためにも、まずは都が発売するブロックくじの賞金設定を柔軟に見直し、活性化を図っていくべきと考えるが、見解を求める。
【財務局長】
宝くじについてであるが、宝くじは、地方自治体の貴重な収入源の1つでもあり売上確保に向けた取組は重要である。
そのためには、関係法令を踏まえつつ、社会経済情勢の変化や価値観の多様化等に合わせて、魅力あるくじを提供していくことが不可欠である。
こうした観点から、令和6年度の都のブロックくじにおいて、購入者のニーズをくみ取りつつ、関係機関とも調整を行いながら、より当たりやすさを重視したくじや、1等賞金を高額化したくじの販売など、賞金体系のバリエーションの拡充を検討していく。