エネルギー施策
① 都有施設での太陽光発電の導入について
【質問】
都は、2024年度までに2万キロワットの太陽光発電設備の設置を目標に取組を進めている。今後は、その先も見据え、技術の進展を踏まえながら、屋上だけでなく、建築物壁面や窓などにも導入拡大を検討すべきと考えるが、見解を伺う。
【環境局長】
都有施設での太陽光発電の導入についてであるが、2030年カーボンハーフの実現に向け、都自らが率先して最大限の再エネ設備を設置することは重要である。
都は、2024年度までに2万キロワットの太陽光発電設備を都有施設に設置する目標を掲げ、全庁的な推進体制のもと、2022年度までに約1万キロワット設置した。2024年度は、目標達成に向け取組を更に加速する。
また、新技術である建材一体型太陽光パネルや、次世代型ソーラーセルなどを壁面等へ設置できる施設やその条件などについて検証し、更なる導入拡大に繋げていく。
こうした都有施設への率先的な取組により、都内での再エネ導入拡大をけん引していく。
② 太陽光パネルのリサイクル推進について
【質問】
2030年代半ば以降に見込まれる太陽光パネルの排出量の増加に合わせて、リサイクルできる施設の数を増やすとともに、高度なリサイクルを推進する必要があると考えるが、今後のパネルリサイクルの取組について、都の見解を求める。
【環境局長】
太陽光パネルのリサイクルについてであるが、将来の本格廃棄を見据え、環境負荷が少なく効率的に処理できる体制を着実に整備していくことが重要である。
都は令和5年度、太陽光パネルの総重量の8割以上を再生利用等できる施設として、首都圏の6施設を指定した。
また、これらの施設で処理されるパネルのリサイクル費用について補助を実施し、令和5年度は8件支援した。
令和6年度は、リサイクル施設の追加指定に向け、令和6年7月から公募を開始する。さらに補助の対象を拡大し、協議会等を通じて積極的に周知を図り、一層の活用を促す。
こうした取組を通じて、パネルのリサイクルルートを充実し、資源循環の流れを確立していく。
③ 住宅用蓄電池のリサイクルルートの確立について
【質問】
今後、再エネを最大限有効利用するため、住宅用蓄電池の普及も更に進むと見込まれる。蓄電池には、多量のレアメタルを含むものも多く、貴重な資源となる。
蓄電池についても、太陽光パネルと同様にリサイクルルートを確立すべきと考えるが、都の見解を求める。
【環境局長】
住宅用蓄電池のリサイクルについてであるが、将来的な廃棄量の増加に備え、効率的なリサイクルルートを整えていくことが重要である。
現在はメーカーが個別に回収しているが、業界団体は、今後、ユーザーの利便性や回収の効率性を重視し、業界として回収スキームを構築する計画である。
都は、こうした取組を含め、蓄電池の出荷や排出の実態等を調査した上で、関係事業者で構成する協議会において、循環利用の促進に向けた議論を行った。
今後は、蓄電池の業界団体との意見交換を行うとともに、都民に対しても、導入補助などの機会を捉え広く普及啓発を行い、蓄電池のリサイクルを促進していく。
水素戦略
① 再生可能エネルギーで生み出したグリーン水素の普及拡大について
【質問】
脱炭素の取組では、グリーン水素を活用し、化石燃料の削減を図ることも大変重要である。グリーン水素の製造・活用について、これまで都議会公明党は、本会議等で質疑を重ねてきた。
都は、令和6年度、都有地を活用し、自らもグリーン水素の製造設備を導入予定としており評価する。また都議会公明党の提案により、福島県のグリーン水素を都内の水素ステーションで、都営バス等に活用する取組は、震災と原発事故からの復興に向けて取り組む、福島県への支援としても大変大きな意義を感じる。こうしたグリーン水素の活用を継続していくべきである。
今後の都内でのグリーン水素の活用拡大について、知事の決意を伺う。
【知事】
グリーン水素の普及拡大についてであるが、再生可能エネルギーで生み出したグリーン水素は脱炭素化の切り札であり、東京でのゼロエミッション実現に向けて、その普及が不可欠である。
3年前の東京2020大会では、福島県内で製造された水素で聖火を灯すなど、水素社会の先駆けとなる取組を世界に発信した。今後、都内水素ステーションでの継続的な活用など福島県産水素の利用拡大を進め、グリーン水素の社会実装に繋げていく。
また、需要を喚起する取組も重要だ。都は令和6年度、グリーン水素を率先して利用する事業者を認証する国内初の制度を開始した。現在準備を進めている水素取引所の仕組みと併せ、意欲ある事業者の取組を後押ししていく。
こうした新たな取組を果敢に推し進め、水素が広く活用される社会を創り上げていく。
② 水素ステーションの整備拡大について
【質問】
グリーン水素の普及拡大の取組を本格的なものにするために、水素そのものの需要を喚起することが重要である。例えば、長距離バスやトラックなどは脱炭素化の為に水素が有用である。今後、水素活用が想定される、運送業界やバス業界で活用しやすいよう、物流拠点の近くや、バス拠点のそばに、水素ステーションを設置しその活用を促す等、更なる取組が必要である。
水素ステーションの整備拡大に向けて新たな取組が必要と考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
水素ステーションの整備についてであるが、燃料電池車の活用が多く見込まれる地域において、水素ステーションの整備を図ることは重要である。
これまで都は、施設を開設する事業者に対し、設備の導入費や運営費への助成を行ってきた。
今後、国や物流事業者、車両メーカー等の関係者により設置した検討会において、効果的な水素ステーション整備について議論を深めていく。具体的には、商用車などの水素需要が見込まれるエリアを中心に、既存ステーションの一層の活用とともに、新規の誘致や整備を重点的に進める方策を検討する。
これらにより水素ステーションの整備を促進する。
③ 都営バスにおける燃料電池バスの更なる導入拡大について
【質問】
水素の需要拡大においては、都も自ら主体的に取り組む必要がある。とりわけ、水素の需要量が多い、国内最大の燃料電池バスを導入する都営バスの役割は、大変大きいと考える。
今後の水素需要喚起には、都営バスにおける燃料電池バスの更なる導入拡大が必要であると考えるが、見解を伺う。
【交通局長】
燃料電池バスの更なる導入拡大についてであるが、交通局では、環境負荷低減のため、燃料電池バスを国内バス事業者で最大の75両導入しており、令和6年度末までに80両とする計画である。
更なる拡大に向けては、有明営業所に、国内初となるバス営業所内への水素ステーションを整備し、令和7年4月に開所する予定であり、次期経営計画の策定においても車両導入計画の検討を進めている。
近隣ステーションとの連携等を通じ、臨海地域における燃料電池バスの普及拡大につなげるなど、ゼロエミッション東京の実現に向け、都営交通として先導的な役割を果たしていく。
繊維の水平リサイクル
【質問】
世界では環境意識の高まりから、衣類においてもフランスを中心に、再生繊維の活用が求められ始めている。特に、化石燃料由来のポリエステルについてはその取組が重要であり、衣類、繊維に含まれるポリエステルを回収し、再び繊維にする(水平リサイクル)取組の量産に向けた最大の課題は、循環型サイクルの体制構築とコストである。
都は、令和3年度から、革新的技術を持つ事業者と連携し、様々な実証に取組んでいるが、これまで実証してきた革新的技術やビジネスモデルを活かし、衣類・繊維をはじめ、様々なプラスチックの資源循環の取組を更に進化し、推進していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【環境局長】
プラスチックの資源循環についてであるが、持続可能な資源利用に向け、リデュース・リユースを徹底した上で水平リサイクルを進めることが重要である。
都はこれまで、意欲的な事業者と連携し、ポリエステル製の衣類やオフィスの廃プラスチック等を原材料と同等の品質の樹脂に再生する取組の実装を後押ししてきた。
令和6年度は、こうしたビジネスモデルの広域展開を目指す事業者に対し、CO2削減に資する高度なリサイクルに係る経費を支援し、プラスチック資源循環を促進する。
加えて、サーキュラーエコノミー推進センターにおいて、情報発信や事業者間のマッチング等、多面的な支援を実施し、循環経済への移行を加速していく。
東部低地帯の大規模水害時の広域避難の実効性確保
【質問】
0メートル地帯が広がる東部低地帯については、葛飾区をはじめ、江東5区を中心に大規模水害の発生が予想される場合、広域避難が呼びかけられている。広域避難の実効性を高めるためには、避難先の確保や、関係機関の連携等とともに、東部低地帯に暮らす約260万人の都民一人ひとりが、自分のリスクを正確に認識し、いざという時の避難行動につなげることが重要であり、都議会公明党はこれまで、本会議等でこれらの点について確認してきた。
都は国、警視庁や消防庁、関係自治体、鉄道各社等が参加する検討会を立ち上げ、広域避難の具体的な検討を進めていると聞いている。
今後は避難先の確保に加え、関係機関との検討を踏まえた広域避難の実効性を更に確保していく取組が必要であると考えるが、見解を伺う。
【総務局長】
広域避難の実効性の向上についてであるが、大規模水害時に広域避難が円滑に実施されるためには、必要な避難先施設の確保と、関係機関による避難手順などの確認が重要である。
都は、避難先として都有施設を活用することに加え、国や企業、大学等14団体と施設利用の協定を締結した。また、国と共同で広域避難対策の検討会を設置し、関係機関ごとの役割を時系列で定めたタイムラインを令和6年3月に策定した。
今後、避難先施設の確保を更に進め、国、区警察、消防等との図上訓練も重ねて、タイムラインを検証し、区が策定する広域避難計画のモデルを作成する。
これらの取組により広域避難の実効性を高めていく。
街づくり施策
① 青砥橋のバリアフリー化について
【質問】
葛飾区の青砥橋は、地域住民が京成青砥駅へのアクセスや買い物などで日常的に活用する橋だが、河川堤防が高く、約3階分の高さまで長いスロープを上らなければならず、高齢者等には大変使いにくい橋となっている。
青砥橋は、日常の生活道路で地域の皆様からエレベーターの設置が強く望まれており、早急な整備が必要と考えるが、青砥橋のバリアフリー化について、都の見解を伺う。
【建設局長】
青砥橋のバリアフリー化についてであるが、高齢者や障害者など全ての人が安全で円滑に移動するためには、橋梁を含めた道路のバリアフリー化を進めていくことが重要である。
都は、令和4年5月に「都道における既設道路橋のバリアフリー化に関する整備方針」を策定し、優先的に整備を検討する橋梁を6橋、選定した。
このうち青砥橋については、現在、エレベーター等の設置に向けて、地元区と維持管理などの調整を行うとともに、設計に必要な測量を実施している。
今後、地質調査を進めるなど、青砥橋のバリアフリー化を推進していく。
② 都立公園のトイレの洋式化について
【質問】
都立水元公園の和式トイレの洋式化を早急に進めるべきと考えるが、都立公園のトイレの洋式化について、都の見解を求める。
【建設局長】
都立公園のトイレの洋式化についてであるが、都立公園を訪れる全ての方が快適に利用できるトイレを整備することは重要である。
都は現在、生活様式の変化に応じて、公園を利用する高齢者、障害者などにも配慮し、洋式化への改修等を進めており、これまでに都立公園全体で約8割の洋式化が完了している。
水元公園では、現在、77基のトイレが洋式化されており、残る58基についても令和7年度までの2箇年で改修工事を行うこととしている。
他の都立公園においても改修工事等を進め、令和8年度末までの洋式化完了に向け、着実に取り組んでいく。
③ 鉄道立体化について
【質問】
都は、京成高砂駅から江戸川駅付近までを連続立体化する計画で、本事業により、京成高砂駅の踏切の解消など、地域の利便性は大きく向上する。
京成高砂駅から江戸川駅付近の鉄道立体化に向けた現在の状況について伺う。
【建設局長】
京成本線の京成高砂駅から江戸川駅付近の鉄道立体化に向けた取組についてであるが、
本区間では、補助第143号線など都市計画道路が3か所で交差することになるほか、開かずの踏切2か所を含む13か所の踏切があり、鉄道立体化による踏切解消が必要である。
都は令和4年度に国から新規着工準備採択を受け、現在、構造形式や施工方法の検討を進めているほか、地元区と車両基地の移転など、鉄道立体化の計画と周辺のまちづくりに関する課題を確認している。
今後とも、地元区や鉄道事業者と連携しながら、鉄道立体化に向けて積極的に取り組んでいく。
④ グリーンスローモビリティについて
【質問】
葛飾区では令和5年度から、グリーンスローモビリティの実証事業が行われている。8人乗りの低速の電気自動車を区が提供し、駅、スーパー、病院などを結び、決められたコースを決められた時間に周遊する。葛飾区の本事業のポイントは、運転手や運行管理など、運営の中心を地元自治会や地域住民が、自らボランティアで担っていることであり、ボランティア運営の為、運賃は無料である。地域内でのラスト1マイルの日常の足として有効な取組の1つであるとともに、地元ドライバーは地域貢献できることに喜びを感じており、高齢者の生きがいの創出にも寄与している。
こうした取組は、バスやタクシー会社が運行するデマンド交通とも違い、地域の住民が運営主体であること等から、公共交通には位置付けられていないが、グリーンスローモビリティについては、地域が主体的に取り組むこうしたケースも地域公共交通の1つとし、支援の在り方を検討すべきと考える。都の見解を伺う。
【東京都技監】
グリーンスローモビリティについてであるが、小型で低速の電気自動車であるグリーンスローモビリティ、いわゆるグリスロは、高低差や狭隘道路などに対して有効なモビリティである。
都は、事業の継続性の観点から、道路運送法に基づき、有償で乗合事業を行う区市町村に対して補助を実施しており、グリスロを活用した場合も令和4年度から対象としている。
区市町村と連携しながら、持続可能な地域公共交通の実現に向けて、課題を確認するとともに、支援の在り方を検討していく。