医療、健康施策
① 摂食障害の方への治療支援体制の強化について
【質問】
摂食障害を患っている都内のある成人の方は、しばしば救急搬送される状況だったが、救急病院で栄養が補給されると体調が良くなるため帰宅し、また症状が悪化することを繰り返していた。
この方は、都が令和6年7月に初めて摂食障害支援拠点病院に指定した松沢病院にしっかりサポートされ、入院治療を開始することができた。
都は、拠点病院を中心に、都内の摂食障害の治療支援体制の整備を進めていくとしているが、地域からの受入体制の強化を図っていくべきだが、都の見解を求める。
【保健医療局長】
都立病院での摂食障害への対応についてであるが、摂食障害は、精神面と身体面の両面からの治療が必要であり、早期に必要な治療や支援を受けられるようにすることが重要である。
都内唯一の摂食障害支援拠点病院である松沢病院では、患者や家族への専門的な相談や治療を行っているほか、身体的治療の緊急度が高い場合には、広尾病院で総合診療科を中心に積極的に患者を受け入れるなど、都立病院の有する医療機能を生かしながら対応している。
今後、松沢病院では、症例検討会や協議会で、都内の医療関係者等と議論を重ね、患者が早期に適切な治療・支援を受けられる体制の強化に向け取り組みを進めていく。
② 認知症ケアの質の向上について
【質問】
認知症の行動、心理状況を最新の介護DXの積極的な活用により、早めに予測して適切なケアを行うことが重要である。これを進める取り組みとして、「認知症高齢者東京アプローチ」が大学研究者からの提案で、都で実施された。
この研究事業の成果と、今後の活用方策について、都の見解を求める。
【福祉局長】
認知症ケアの質の向上についてであるが、大学と連携して令和5年度まで実施した研究事業では、介護施設等の約700人の認知症高齢者のバイタルデータ等をAIで分析し、興奮や妄想などの行動・心理症状であるBPSDの予兆を探知する実証実験を行った。
この結果、BPSDについて、種類によって発症に周期性がある等のデータが得られた。こうした知見やデータは、国の研究事業において、介護職員の負担軽減を目的とした認知症対応型AIアプリの開発につながり、BPSDの予測精度向上や予防策の介護職員への助言等に活用されている。
今後も、BPSDの軽減など、認知症ケアの更なる質の向上に取り組んでいく。
東京港のコンテナターミナルにおける交通混雑の解消
【質問】
世界的に国際海上コンテナ輸送が活発化する中、東京港でも取り扱い貨物量の増加が続いており、季節や時間帯によって一部のコンテナターミナル周辺で発生するトラックの混雑は、東京港の長年の課題となっている。
ターミナル周辺の交通混雑は、莫大な経済的損失をもたらすことに加え、港湾や物流の現場で担い手不足が深刻化する中では、物流の停滞を招く恐れがある。
物流の担い手不足が懸念される中で、コンテナ物流の円滑化について、知事の見解を伺う。
【知事】
東京港における物流円滑化についてであるが、世界最大規模の都市圏を背後に有する東京港は、国内のコンテナ貨物の4分の1を取り扱っており、国際物流網の一翼を担う重要な社会インフラとしての役割を果たしている。
今後ますますドライバー不足が深刻化する中で、国民生活を支えるサプライチェーンを守り抜くには、コンテナふ頭の運営を一層効率化し、ターミナル周辺の交通混雑を解消することが、従前よりも増して、重要となっている。
このため、都は、今後策定する東京港の経営戦略の中で、交通混雑の解消を最重要課題のうちの1つとして位置付け、港湾物流の現場で働く方々が快適に働けるよう、コンテナ物流の円滑化に全力で取り組んでいく。
まちづくり
① 区と連携した地下鉄8号線沿線のまちづくりについて
【質問】
私は都議となって以来、一貫して、本会議一般質問や予算特別委員会等で、地下鉄8号線の実現に向けて課題などを提示し実現を訴えてきた。
2022年3月に鉄道事業の許可がなされ、2024年11月5日には、2030年代半ばの開業を目指して、ついに工事に着手した。
私の地元江東区では、この事業の着実な推進を図るとともに、整備効果を江東区の発展に最大限結びつけるため、地域の方々と沿線の地域の将来像を共有し、一体となってまちづくりを進めていくとしている。
そこで、江東区が推進する地下鉄8号線の延伸に合わせた沿線まちづくりに対して、積極的に協力をすべきと考えるが、見解を伺う。
【東京都技監】
地下鉄8号線沿線のまちづくりについてであるが、地下鉄8号線は、臨海部と区部東部の観光拠点等とのアクセス利便性の向上など、東京を先導するベイエリアの発展への寄与が期待される路線である。
現在、沿線では、地元区により、水辺に囲まれた回遊の拠点形成や交流・にぎわいの創出を目指したまちづくりなどが検討されている。
都は、新線の整備効果を最大限に発揮するためにも、駅周辺の地域特性を踏まえたまちづくりに関する技術的助言を行うなど、区と連携して都市づくりを推進していく。
子供と保護者双方に寄り添った実効性ある取り組みを展開することで、子供の育ちをサポートしていく。
② 豊洲4丁目のまちづくりについて
【質問】
都営豊洲4丁目アパートは、2022年秋に建て替えが終了し、以前の住棟を除却した後に約1ヘクタールの都有地が創出された。
豊洲駅前になるこの場所は、現在、人が入れないように金網フェンスで3分割されており、そのうちの1つの約4,000平米は、工事に伴い、隣接する豊洲小学校の校庭、幼稚園の園庭として使用されることになっているが、残る創出用地の用途は未決定である。
この用地については、緑化、防災機能を持った公園・公開空地として、都民が憩い、利用できるように活用するなどを視野に入れながら、江東区と連携してまちづくりを進めるべきと提案するが、都の見解を伺う。
【東京都技監】
豊洲4丁目のまちづくりについてであるが、東京ベイeSGまちづくり戦略では、当地区周辺は、親水性が高く、連続性のあるオープンスペースなど、多様な人々が集い、生活・交流するにぎわいのあるまちを目指すこととしている。
地下鉄8号線の延伸を契機に、地元ではまちづくりの機運が高まっており、都営住宅の創出用地についても安心安全な公園や緑あふれる空間の整備など、地域の声を聴きながら取り組んでほしいとの要望も出されている。
都としては、地下鉄8号線の開業も見据えて、御提案も含め、今後、地元区と協力して、公有地と民有地が連携した計画的なまちづくりに取り組んでいく。
③ ベイエリアでの移動の利便性の確保について
【質問】
タワーマンションなどで多くの人々が暮らす新しいまち、東京臨海部を走る都営バス05-2の路線は、沿線には有明アリーナや大きな商業施設、人気の民間施設などがあり、イベント開催時などには住民がバスに乗れない事態が続いている。私は、公営企業委員会等でバスの増便を訴え続け、その結果、増便され現在に至っている。
しかし、臨海部の新しいまちに多くの人々が不定期に集う交通を、バスだけで解決することはできない。イベント開催などで予想される多くの人々に対応するために、JRや地下鉄、「ゆりかもめ」の駅などへの整備誘導や、主催者によるピストンバスの用意などの対応が必要である。
都は、事業者を含めた関係者で構成する新たな対策協議会を立ち上げるなど、発展するベイエリアにおいて、移動の利便性が確保されたまちづくりを進めていくべきと考えるが、見解を伺う。
【東京都技監】
ベイエリアのまちづくりについてであるが、東京ベイeSGまちづくり戦略では、交通利便性の向上を契機として発展する都市空間の創出を目指している。
都はこれまで、ベイエリアにおける交通需要の増加に対応し、地域の発展を支える公共交通機関として地下鉄8号線の整備やBRT(バス高速輸送システム)の運行を推進するなど、当該地域ならではの地区内交通の充実に取り組んできた。
今後、イベント開催時における交通混雑の実態を把握し、必要な対策を関係者へ働き掛け、協議ができるように取り組むとともに、引き続き、地元区などと連携しながら、様々な交通ネットワークの充実により、スムーズな移動を実現し、ベイエリアのまちづくりを進めていく。
④ 新豊洲駅前の東京BRT停留所設置について
※BRT「バス・ラビット・トランジット」…通常の路線バスより早く乗りやすい交通機関
【質問】
東京BRT晴海・豊洲ルートにおいて、豊洲駅と豊洲市場前の間にある新豊洲駅に、新たなBRTの停留所を設置すれば、都営バスに乗れない事態の解消につながると考える。
停留所の設置について、都の見解を伺う。
【東京都技監】
新豊洲駅前の東京BRT停留所についてであるが、新豊洲駅周辺は、高層マンション等が建設されており、住民の数が大幅に増加している。今後も低未利用地の土地活用により、更なる人口増加等が見込まれるため、交通需要に適切に対応していくことが重要である。
BRTの新たな停留所の設置には、停留所間隔や速達性の検証を行うとともに、将来の土地利用の変化や、周辺住民の交通利便性の向上等を見据えた検討が必要である。
今後、運行事業者や地元区と連携し、地域住民の足の確保に向け、停留所の設置について検討を進めていく。
⑤ 地下鉄8号線延伸で新設される駅の名称に対する要望について
【質問】
地域住民や江東区から、延伸により新設される駅の名称決定に際し、地域の声を反映して欲しいとの要望や、半蔵門線の錦糸町駅、押上駅との直通運転を実施して欲しいとの声がある。
都は、これらの地域要望を、江東区と共に東京メトロに対して働き掛けていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【東京都技監】
地下鉄8号線に関わる東京メトロに対する要望についてであるが、駅名の決定や運行計画の策定は、基本的に各鉄道事業者が行うものであり、東京メトロからは、駅名称については決定プロセスを含め今後検討することや、運行計画については現段階で未定であると聞いている。
一方、地元区から東京メトロに対し、駅の名称に地域の声を反映すること、地下鉄8号線と半蔵門線の直通運転などについて要望していることは承知している。
都としては、こうした地元の意向などを総合的に勘案しながら、2030年代半ばの開業を目指し、鉄道事業者や地元区と連携して取り組んでいく。
ユース・プラザ事業に代わる新たな計画について
【質問】
都のユース・プラザは、区部と多摩地域に設置されており、江東区の都立夢の島公園内にある東京スポーツ文化館BumB(ぶんぶ)は、スポーツや武道、演劇や音楽、文化など、合宿をしながら研さんできる社会教育施設として、約半世紀にわたり活用されてきた。
そして10月に都教育委員会は、現在のユース・プラザ事業に代わり、新たな事業構想案を発表し、子ども、若者の自立、発達に向けた社会を共につくる施設として、今後、具体的な検討を進めて基本計画を策定していくとしている。
新たな事業内容については、日本語を母語としない子供が都内で増加していることなどからも、学校や地域の垣根を越え支援していくことが必要と考える。
多様な子供・若者が、互いに理解し合い、協働していく社会の実現に向けて、具体的な体験活動等も実施していくべきであるが、隣接するアーチェリー場の活用と併せて、都の見解を求める。
【教育長】
ユース・プラザに係る新たな事業展開についてだが、東京の社会状況が急速に変わり、様々な困難を抱える子供や若者は増えている。そうした子供等が同世代と交流を深め円滑に社会に出るための後押しは重要である。
都教育委員会は都内2カ所にユース・プラザを設け、青少年が自立し社会性を身に付ける支援を行ってきた。不登校や日本語を母語としない子供等が増える中、ユース・プラザについて、幅広い交流や体験を通じ、社会参画をサポートする役割を担うよう見直すこととした。
今後、区部では周辺にスポーツ施設が多くある状況を踏まえて構想をとりまとめた上、子供や若者の意見も反映し、新たな事業展開の具体化を進める。
災害、防災対策等
① 防災船の建造について
【質問】
都は、災害時の対応力を一層強化するため、水上からの支援に力を発揮する防災船を建造することとしている。
この防災船の発注には不調もあったと聞いているが、南海トラフ地震や首都直下地震の切迫性が指摘されている今、防災船の建造は急務である。
そこで、現在の進捗状況について、見解を伺う。
【建設局長】
防災船建造の進捗状況についてであるが、いつ起きてもおかしくない大地震等に備えて、発災時の河川管理施設の保全や、医療救護班等の移送に活用する防災船の建造は重要である。
先行して建造する2隻のうち、大型船については、令和6年7月に契約し、船内機器を手配するとともに、船体の構造計算を実施し、順次、国による船舶安全法に基づく製造検査等への対応を行っている。
また、小型船については、令和6年内の契約に向け現在手続を進めており、これら防災船の令和7年度の完成に向け、着実に取り組んでいく。
② 面的な液状化対策の推進について
【質問】
東日本大震災の際に、私の地元江東区では、道路などインフラ関係を中心に、都内で最も広い範囲で液状化被害が発生した。
災害時に強い安全・安心な東京の実現に向け、面的な液状化対策の推進が必要と考えるが、都の見解を伺う。
【東京都技監】
液状化対策についてであるが、首都直下地震等における被害想定では、東部低地帯など広範囲で液状化の被害が示されており、能登半島地震を踏まえ、改めて液状化対策の推進が重要と認識した。
公共施設と宅地の一体的な液状化対策、いわゆる面的液状化対策については、これまで、自治体をはじめ民間事業者等にもヒアリングを行い、住民や自治体の費用負担が大きいことに加え、工事に時間を要することなどの課題があることを確認してきた。
これらの課題解決に向け、令和6年12月に有識者会議を設置し、より詳細に具体的な対策工法などの検討に取り組み、液状化対策を推進していく。
豊住橋の改良工事の進捗に向けた今後の対応について
【質問】
豊住橋は現在、勾配の解消など改良工事が計画されているが、入札の不調が相次いだため工事進展が大きく遅れており、着工と完了が待ち望まれている。
豊住橋の改良工事の進捗に向けた、都のこれまでの取り組み状況と、工事着手時期などを含めた今後の対応について、見解を求める。
【建設局長】
四ツ目通りにおける豊住橋の改良についてであるが、豊住橋は大正15年の完成以来、広域的な交通や地域の交流を支える重要な橋梁であり、周辺の地盤沈下に伴い生じた道路の勾配の改善等を目的に事業を進めている。
これまで、狭隘(きょうあい)な現場に適した施工方法を選定するなどの工夫を行ってきたが、さらに施工計画や発注規模を見直し、年度内に仮設工事に着手する予定である。
今後は、これまでの対策に加え、厳しい施工条件を積算価格に反映できる見積積算方式の活用などの取り組みにより、順次工事を発注し、事業の早期完了に向け、着実に取り組んでいく。