感染状況
【質問】
今こそ都の危機管理能力を最大限に発揮して、制御不能な感染状況を打破する手立てと、災害級で機能不全に陥っている医療提供体制の再構築をすべきであるが、知事の見解を伺う。
【知事】
現在の感染状況の打破と医療提供体制の再構築についてであるが、都は、これまでに経験したことのない爆発的な感染拡大が進行していることから、災害時ともいえる現在の状況を「医療非常事態」と位置付けた。
その上で、新型コロナウイルス感染症対策本部のもと、都立・公社病院、宿泊・自宅療養、酸素ステーション、療養調整等の医療体制の課題解決に向け、全庁を挙げて対応するための「医療非常事態対応体制」を構築した。
医療提供体制については、医療を必要とする方に症状に応じて適切に提供するため、東京都新型コロナウイルス感染症医療アドバイザーからの提案や、保健所、東京都医師会及び医療機関との意見交換を踏まえ、「緊急時の体制」へ移行した。
「緊急時の体制」においては、患者の症状に応じた入院及び転院を一層推進するための「医療機関の役割の明確化」、看護及び医療体制を強化した施設の設置等による「宿泊療養施設の重点化」、入院待機者へのフォロー体制強化等による「自宅療養者のフォローアップ体制の拡充」を柱に、これらの取組を相互に連携して進めることとしている。
大切な都民の命と健康を守るため、貴重な医療資源を最大限活用し、対策に万策を期していく。
ワクチン
① 都の大規模接種会場の対象者について
【質問】
区市町村のワクチン接種の状況を見守りつつ、大規模接種会場で優先順位を定めて、フォローしていくことについて、広くエッセンシャルワーカーなどの優先接種すべき方々に、速やかに対応するよう要請してきた。現在の取組状況について、伺う。
【福祉保健局長】
都の大規模接種会場の対象者についてであるが、東京の都市活動や都民生活を支える方で、人と直接接する機会が多く、感染リスクが高い方を対象に、住所地や年齢を問わず優先的に接種を進めることは重要である。
そのため、都の大規模接種会場では、警察・消防職員、学校教職員などに接種を進めてきた。今回、御会派の御要望も踏まえ、これらの方々に引き続き、廃棄物処理業・清掃業などの環境衛生関連サービス、飲食業、トラックやバス、ハイヤー・タクシーなどの運送業に従事する方々を順次対象に加え、接種を開始している。
こうした取組により、都民の生活基盤を維持する方々のワクチン接種を加速させ、安全・安心な都市活動につなげていく。
② 若者ワクチン接種センターの設置について
【質問】
活動的な若い世代にワクチン接種を行っていくべき。ワクチン接種に対する正しい知識の普及啓発を図り、事前予約がなくても、接種できるよう大規模接種会場を設置すべき。
1回目の接種後に自動的に2回目の接種予約ができるようにすべき。併せて知事の見解を伺う。
【知事】
若者ワクチン接種センターの設置についてであるが、新型コロナの感染拡大を抑えるためには、若い世代、とりわけ行動範囲が広く活動的な20代や30代に対するワクチン接種は極めて重要である。
都はこれまで、青山学院大学、一橋大学、東京都立大学と連携し、大学生に対する接種会場を設置するとともに、都の大規模接種会場において、専修学校、各種学校の学生に対する接種を行ってきた。
一方、デルタ株による急激な感染が拡大する中にあって、これまでの対策の枠を超えた更なる対応が必要である。
今回、都は、御党からの重ねての御要望を受け、20代、30代の若者が多く集まる渋谷駅に近い勤労福祉会館を活用し、渋谷に来る若者が、事前予約がなくてもワクチンを接種できる都独自の接種会場を、今月下旬に設置することとした。
この会場の運営に当たっては、1回目の接種の際に、2回目の予約を完了させるとともに、御指摘を踏まえ、若者に対してワクチン接種に関する正しい知識を啓発し、若者の接種が着実に進むようしっかりと取り組んでいく。
③ ワクチンの配分について
【質問】
集団接種の実施主体である区市町村の焦りや早期の接種を待ち望む都民の不安を解消するべく、今回の追加配分の考え方を明らかにすべき。有効な対策を実施できるよう、国に対し追加の配分を求めるなど、取組の強化を図るべきだが、併せて見解を伺う。
【福祉保健局長】
ワクチンの配分についてであるが、ワクチンは、2週間分を1クールとして、7月中旬の第10クール以降、区市町村分と東京都分に分けて国から配分されている。直近の第12クールまでは、おおむね1,000箱程度であった区市町村分が、第13クール以降、半分以下に削減されることとなった。
そのため、都は、区市町村の接種計画に支障を来さないよう、大規模接種センターの接種計画を見直し、都に割り当てられたワクチンの約3分の2を区市町村分として、できる限り早期に配布していく。
今後、都は、区市町村の接種状況等を的確に把握し、国が第14クール以降に追加配分する予定のワクチンの確保に向け、国に強く働きかけるなど、区市町村での接種が円滑に進むよう支援していく。
④ アストラゼネカ社のワクチンについて
【質問】
アストラゼネカ社のワクチン接種を進めていくに当たり、その効果と安全性について、都民に分かりやすい情報提供と周知に取り組むべきと考えるが、接種の目的と方法や内容と併せ、見解を伺う。
【福祉保健局長】
アストラゼネカ社のワクチンについてであるが、都は、ファイザー社やモデルナ社のワクチンにアレルギーがある方、海外でアストラゼネカ社の1回目接種を行い、2回目を希望する方、40歳以上で希望する方を対象に、来月1日から、都庁北展望室で接種を実施する。
アストラゼネカ社のワクチンは、他のワクチンと比べ、対象年齢や接種間隔、効果等に違いがあるほか、ごく稀に血栓症等を発症する例が海外で報告されている。
そのため、効果や安全性等について、引き続きワクチンポータルサイトで最新の情報を迅速かつ分かりやすく発信していく。また、接種時には、医師による対象年齢等の確認を徹底するとともに、副反応相談の案内も確実に行うなど、必要な配慮を行っていく。
相談体制
【質問】
発熱相談センターについては、「センターに相談したいが電話がつながらない」といった声が多く寄せられている。センターに相談すべき方々が適切に利用できるよう人員を増やすなど更なる工夫を行い、センター運営の充実を図っていくべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
発熱相談センターについてであるが、発熱相談センターでは、かかりつけ医のいない、発熱などの症状を呈した方に、医療機関の紹介などを行っている。
感染者の増加に伴い、症状を訴える方からの相談が増加しているほか、症状のない方からの感染不安に関する相談なども多く寄せられている。
このため、回線と相談員を増強するとともに、医療機関を迅速に案内できるよう、地図を用いた検索機能を強化し、併せて、症状のない方には、新型コロナコールセンターを利用していただくよう、様々な広報媒体を使って周知を図っている。
引き続き、より多くの方に適切に発熱相談センターを利用していただけるよう対応していく。
医療体制
① 新規陽性者等への対応について
【質問】
陽性と判明した後、保健所から連絡が来るまでに2日から3日かかるケースが出ている現状があり、どのように過ごしたら良いかとの不安の声が少なくない。こうした状況を改善し、陽性者本人や家族が少しでも不安解消につながる対策を講じていくべきだが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
新規陽性者等への対応についてであるが、現在、保健所から本人への連絡に時間を要していることから、都は、医師が発生届を記入する際は、酸素飽和度、ワクチン接種歴、重症化リスクとなる疾患などを漏れなく記入するよう、東京都医師会を通じて8月17日に依頼した。保健所が、発生届の情報から重症化リスクや入院適否を容易に判断することにより、迅速かつ的確な対応を目指す。また、保健所から連絡が来るまでの間、安心して自宅で生活できるよう、自宅療養者向けハンドブックを案内するチラシや、今回改訂する、同居家族がいる場合の自宅での過ごし方や体調管理のポイントを記載したリーフレットを、検査を受けた方に配布する。
こうした情報を通じて、陽性者本人や家族の不安を解消するとともに、重症化リスクへの迅速な対応を行っていく。
② 保健所への支援について
【質問】
煩雑な保健所の業務をできるだけ簡素化し、マンパワーを増やして、陽性者を速やかに宿泊療養や入院調整できる体制を取るべきだが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
保健所への支援についてであるが、都は、宿泊調整や自宅療養者の健康観察、夜間の入院調整など保健所の業務を支援している。具体的には、保健所に代わって患者等への宿泊療養施設の説明や問合せへの対応を行うほか、自宅療養者を支援する自宅療養者フォローアップセンターや、夜間に自宅療養者等の容体が急変した場合に、入院先の調整を行う窓口を設置している。
また、保健所業務の支援を担う保健師等をトレーサーとして採用し、都保健所等に配置するとともに、保健所設置区市に対しては、看護師の雇上げ経費等を補助し、保健所の業務負担の軽減を支援している。
今後も、陽性者が速やかに適切な支援を受けることができるよう、保健所への支援を充実させていく。
③ 自宅療養者への診療について
【質問】
東京では自宅療養者も急増し、2万人を超えている。急変して残念ながら自宅で命を落とすケースも出ている。往診の専門医や訪問看護、薬剤師とも連携した診療体制を拡充するべきだが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
自宅療養者への診療についてであるが、都は、本年4月から、東京都医師会や各地区医師会、夜間休日に往診等を行っている事業者と連携し、体調が悪化した自宅療養者に対し、電話・オンライン診療や往診を実施している。
現在の感染状況を踏まえ、今月からは、この各地区医師会による取組に、広域的に在宅医療を実施している医療機関が新たに参画したところであり、今後も地域の実情に応じて本事業に参画する医療機関を拡充していく。
東京都薬剤師会に対しても、時間外や休日・夜間の調剤対応等について協力を依頼しており、さらに、東京都訪問看護ステーション協会と連携し、在宅でのケアが必要な自宅療養者への医療支援体制の強化を図っていく。
④ 都立・公社病院の搬送困難事例への取り組みについて
【質問】
都は緊急搬送時に受入れ先が見つからず、救急隊からの要請があった場合に、必ず受け入れる病床を都立・公社病院の11の総合病院に常時36床を確保し、14日から運用している。そこでまず搬送困難事例への取組状況について所見を求める。
【病院経営本部長】
都立・公社の搬送困難事例への取組についてであるが、救急隊からの搬送困難なコロナ患者の受入要請に応じるため都立・公社病院では、対応にあたる宿日直の医師を増員するなど救急患者の受入体制を強化している。
11の総合病院に常時36床を確保し、受入病院については、東京消防庁と病院で調整しながら重症度や地域性を踏まえ決定する。患者の受入れ後は、重症・中等症患者については、そのまま入院させ、軽症者については、翌日宿泊療養施設等へ搬送することとしている。
こうした取組により、運用開始後3日間で、都立・公社病院では民間病院が受け入れることができなかった搬送困難事例73件を受け入れている。
今後とも自宅療養者等が急変時に適切な医療が受けられるよう全力で取り組んでいく。
⑤ 入院待機ステーションについて
【質問】
現状の自宅療養者等の爆発的な増加により、民間の入院待機ステーションの増設は急務と考える。加えて、都立・公社病院においても「搬送困難対応入院ステーション」とは別に、酸素ステーションを新たに設置して、受入数の増加に対応すべき。併せて見解を伺う。
【福祉保健局長】
入院待機ステーションについてであるが、感染が急拡大する中、無症状・軽症者として自宅療養・宿泊療養中に状態が悪化し、入院調整本部等を通じて医療機関への入院を依頼する事例が増加している。
日々の医療機関の受入病床数には限りがあるため、入院調整本部が、入院可能な病院を探索するものの、結果として入院先が決まらない場合がある。
そのため、都は、入院先の病院が決定するまでの間、安全・安心にお過ごしいただけるよう、酸素濃縮器等を備えた入院待機ステーションを確保することとした。
先月、東京都医師会及び民間病院の協力の下、葛飾区内に設置し、受入れを開始しており、今後、八王子市内にも設置する予定である。
⑥ 宿泊療養施設について
【質問】
宿泊療養施設の宴会場など広い施設に医師・看護師を派遣して仮設の酸素ステーションを設置し、宿泊療養者や自宅療養者の急増急変に当たるべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
宿泊療養施設についてであるが、都の宿泊療養施設では、公衆衛生医師等の指導の下、感染防止対策や入所者の健康管理を行う看護師を配置しており、入所者の急変に対応している。
感染が急拡大し、宿泊療養施設への入所者が増加する中で、状態が急変し、医療機関へ緊急搬送する事例が増加しているとともに、搬送先医療機関の調整に時間を要する事例も増えている。
そのため、都は、入所者の容体急変時、継続的に酸素を投与できるよう、酸素濃縮器を多数配備するとともに、夜間にも医師が往診し、安全・安心に長時間待機できる、医療機能を強化した「往診型宿泊療養施設」の整備を進めていく。
⑦ 酸素ステーションについて
【質問】
この度、都は、都有施設を利用した大規模な酸素ステーションを設置すると発表したが、遅きに失したと言わざるを得ない。今後の取組について、見解を伺う。
【福祉保健局長】
酸素ステーションについてであるが、今回新たに、救急搬送要請があった自宅療養者のうち、軽症者を受け入れる「酸素ステーション」を旧国立総合児童センター「こどもの城」に、約130床の規模で設置する。
ステーションでは、医師の管理の下、規模に応じた看護師を配置し、酸素や輸液投与等を行いながら経過観察することとしており、今後、条件が整い次第順次開設していくなど、患者の症状に応じた受入体制の確保を図っていく。
⑧ 酸素ステーションの設置について
【質問】
都立・公社病院においても、酸素ステーションを新たに設置して受入れ数の増加に対応すべきだが、都の見解を伺う。
【病院経営本部長】
酸素ステーションの設置についてであるが、現在、爆発的に新規陽性者が増加しており、新型コロナ患者の重症化を防ぐためには、患者に酸素を投与する酸素ステーションを整備することは極めて有効である。
このため、都立・公社病院において、主に中等症患者に酸素投与や薬剤投与等を行う病床を新たに2病院で80床整備する。患者は入院調整本部から受け入れ、症状に応じて入院、宿泊療養や自宅療養に適切に結び付けていく。
今後、他の病院でも順次拡大していくとともに、こうした酸素ステーションも活用しながら、更に多くの患者を受け入れていく。
⑨ コロナ患者の受入れについて
【質問】
都は、コロナ患者の治療のため、現在病床を5,967床確保していると公表しているが、受入れが進まない病院もある。実態を明らかにするとともに、入院の受入れが進むよう、柔軟な空床利用ができるよう調整すべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
コロナ患者の受入れについてであるが、全国的な感染拡大を受け、国は、本年8月6日付事務連絡で、都道府県から新型コロナ患者等の入院受入要請があった場合、正当な理由なく断らないことや、正当な理由がない場合、病床確保料の対象にならないこともあり得ること等を示した。これを受け、都も適切な受入れを要請し、実績が低調な医療機関には個別に状況確認を行う旨通知した。
また、医療機関の役割の明確化を進め、特に軽症・中等症患者を受け入れる医療機関には、重症・中等症の医療機関で症状が改善した患者の受入れや自宅等での療養が困難な患者への投薬・酸素投与、中和抗体薬の投与のうち1以上を行うことで、役割を担っていただくこととした。
引き続き、症状に応じた医療を適切に提供できるよう、貴重な医療資源を有効に活用していく。
⑩ 新型コロナ病床について
【質問】
ワンフロアをゾーニングした場合でも、財政支援を認めていくべき。また、民間病院が、コロナ収束後にコロナ病床から一般病床に転換し、患者が戻ってくるまでの期間、空床に対する財政支援を行っていく仕組みを構築すべき。併せて見解を伺う。
【福祉保健局長】
新型コロナ病床についてであるが、都は、コロナ患者を重点的に受け入れるため、新型コロナウイルス感染症重点医療機関を整備している。
この重点医療機関の要件の1つに、専用の病床を確保することを定めており、国の通知によると、お話しのように、ゾーニング等を行うことでフロアを区切り、専らコロナ患者等に対応する看護体制を明確にすることで、既存の1病棟を2病棟に分けることも可能とされている。
また、都は、コロナ患者の受入れに必要な支援のための病床確保料などの財源確保に加え、通常診療を担う医療機関についても、医療機関の実情を踏まえた財政支援を国に要望しており、今後、お話しのコロナ収束後の対応については、必要に応じて、国への要望を検討し、医療提供体制が確実に維持されるよう努めていく。
⑪ 抗体カクテル療法について
【質問】
都は、抗体カクテル療法をほかの宿泊療養施設で受けられるよう早急に体制整備と拡充を図るとともに、訪問診療や地域の医療機関での通院でも治療が受けられるように検討を急ぐべき。見解を伺う。
【福祉保健局長】
抗体カクテル療法についてであるが、国の「診療の手引き」では、発症から時間の経っていない軽症例で、ウイルス量の減少や重症化の抑制の効果が示されており、こうした有用性は、医療提供体制への負荷軽減に資する観点からも重要である。
国は、現時点で対象を入院患者に限定しているが、宿泊療養施設や入院待機ステーションを有床診療所や臨時の医療施設とすることにより、使用が可能となっている。
都は、品川プリンスホテルイーストタワーを臨時の医療施設として、投与を開始した。
今後も適切な実施に努めながら、併せて、外来診療の自宅療養者も対象となるよう国に働きかけることで、希望する方が投与を受けられる環境の整備に取り組んでいく。
中小企業支援
【質問】
個人事業者を含めて多くの事業者の経営がひっ迫している状況を踏まえ、新たな支援の拡充について分かりやすく事業者に説明するとともに給付を急ぐべきと考えるが、見解を伺う。
【産業労働局長】
東京都中小企業者等月次支援給付金についてであるが、今回の補正予算により、国の制度改正に伴い酒類販売事業者への支給額の拡充を行う。また、酒類販売以外の事業者に対する都独自の支援として、国の支援金へ加算するとともに、2か月連続で売上が30パーセント以上減少した場合に新たに支給対象とするなどの充実を図る。
また、審査体制を2.5倍に拡充したことに加え、中小企業支援団体と連携して、本制度を分かりやすく解説した簡易版パンフレットを用いた周知を行うとともに、ウェブサイト上でQ&Aを充実させるなど、審査の迅速化に向けて取り組んでいく。
さらに、新たに月次支援給付金の対象となる7・8月分については、9月上旬から受付を開始するなど、月次支援給付金の早期支給につなげていく。