小林健二議員の予算特別委員会(3月25日)しめくくり総括質疑

産業施策

① 中小企業の人材確保のための奨学金返還支援事業について

【質問】

奨学金返還支援事業は、人手不足の建設やものづくりなどの企業が学生を技術者として採用する場合に、都と中小企業が国の代理返還制度を活用して、本人に代わり一部返還を支援する事業だが、令和3年第2回定例会で都議会公明党が提案し、令和4年度より事業が開始された。

令和5年度、都は、都議会公明党の更なる提案に応え、夏以降、対象を新卒から20代に拡大するなどの見直しを図っており、都の支援に上乗せ支援を始める自治体の動きも出てきている。

技術者確保のための奨学金返還支援事業について、この事業を利用した企業と学生からどのような声が届いているか、令和5年度の取組状況と併せて、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

都は、建設、IT、ものづくり分野の企業が、技術者として学生等を採用した場合、その奨学金の返還を支援している。これにより、都と会社が同額を提供し3年間で1人当たり最大150万円の負担を減らしている。

この取組に関し、令和5年度、202社の中小企業が参加し、60名を超える学生等から利用の申込みを受けた。これにより、現在までに32名の就職の内定が実現し、建築の地盤を調べる技術者やプログラマーのほか、化学製品の研究開発担当等の人材確保に結び付けた。

中小企業からは、この仕組みを活用し、令和6年度も効果的に採用を行いたいとの意向が出ている。また、学生からは、中小企業に就職するインセンティブと考えているとの評価もある。

② マッチング促進事業について

【質問】

令和6年度予算案において、国の代理返還制度を利用する中小企業と求職者とのマッチングイベントを計上している。この事業の中で奨学金返還支援事業のPRも行い、幅広い企業の人材確保に結び付くようしっかり後押していくべきだが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

国では、従業員の抱える奨学金を本人に代わり企業や自治体が返還することのできる制度を設けている。

この普及に向け、都は令和6年度、制度を利用する企業30社と奨学金の返済が必要な求職者200人を集めた就職面接会を2日間にわたり開催する。この面接会において、中小企業の人材確保に向けた奨学金の返還を減らす都の支援についてもPRを行う。

また、面接会に参加する求職者に対し、都の奨学金返還に係るサポートの内容を事前にオンラインにより紹介する。

③ 就職氷河期世代に対する就労支援について

【質問】

様々な業種や職種で人手が不足しているからこそ、就職氷河期世代が課題解決のための有力な選択肢になると考える。

都議会公明党の提案で、都は令和5年度、ノウハウを学び、専門家にも相談できる複数の会社との面接会を各地で開催し、就業を後押ししている。各回とも多くの求職者が訪れていると仄聞し、採用側でも担い手として就職氷河期世代への期待も高まっている。

そこで、就職氷河期世代がより速やかに正規雇用へと結び付くよう支援を一層強化すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

就職氷河期に入社ができず不安定な就労の続く方々が中高年層となる中、その速やかな就業の支援は重要である。

このため都は、そうした求職者の速やかな正社員としての就業を実現する支援を充実する。具体的には、セミナーで就職活動のノウハウを学び、専門家に希望の職種や条件を相談した後、複数の会社と面接を行うマッチングの機会を6回から8回に増やし、都内各地で提供する。

これにより、就職氷河期の求職者の就業を後押しする。

④ 就職氷河期世代のキャリアチェンジの支援について

【質問】

都議会公明党は、雇用のミスマッチの解消には、スキル、経験の乏しい分野へのキャリアチェンジを後押しする都の支援が重要であると訴えてきた。

就職氷河期世代の就労支援にあっては、希望する分野のマッチングだけでなく、人手不足の業界や職種が求めるスキルの習得を支援するなどの取組も求められる。

求職活動をする氷河期世代がこれまで経験のない分野で新しいキャリアを築けるよう、スキル習得を含めた支援を行うべきだが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

就職氷河期の求職者が、希望する仕事に確実に就業できるよう支援することは重要である。

このため都は、令和6年度、業務の経験が十分でない方が様々な分野の会社に就職できるよう、きめ細かなサポートを開始する。具体的には、専門家が多様な業種や職種を紹介した上で、業務に必要なスキルを講習により学び、その後、会社の現場で2か月間派遣により働き、正社員として就職する支援を行う。

これにより、求職者が業務の能力を習得し、就職する支援を進める。

⑤ 都営住宅の空き家補修工事における書類の削減や簡素化について

【質問】

都議会公明党は、令和6年4月から、罰則規定も適用される建設、運輸分野での働き方改革関連法の本格施行に備え、かねてから都に取組の強化を求めてきた。

建設工事においては、人材確保の観点からも、履行確認に要する書類の削減や提出方法の改善が喫緊の課題である。その点、工事件数が年間約9,000件ある都営住宅の空き家補修工事での改善の効果は極めて大きいはずであり、都議会公明党は見直しを求めてきた。

都議会公明党の求めに応じて、都営住宅の空き家補修において、東京都住宅供給公社は工事受注者の負担軽減のために工事の写真貼付のDX化等書類の削減や簡素化を進めていくと聞いているが、その取組について都の見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅の空き家補修において、工事書類の削減や簡素化により、就労時間の短縮を図ることで、受注者の働き方改革を後押しすることは重要である。

東京都住宅供給公社は、都営住宅の空き家補修の工事写真について、受注者の意見等を踏まえ、令和6年度から紙面による提出を省略し、電子データによる提出を可能とすることとした。具体的には、工事後の写真をアルバム状に編集したデータと、工事前と工事中の写真データを、DVDなどで提出するよう簡素化する。

都と公社は、今後も都営住宅の工事を支える人材確保に資するよう、受注者の一層の負担軽減を検討していく。

⑥ 工期の適正化のための契約変更のやり取りに関する書面化の徹底について

【質問】

令和6年4月以降は、時間外労働の上限規制に罰則が適用されることから、工期の適正化が強く望まれるが、工事契約によっては、工事認可に伴う諸手続での段取りの変化などから、事前に工期などの適正化を十分に行えないことも発生してくることが考えられる。

都議会公明党は、かねてからこうした点も事前に都庁全体としてしかるべき対応ルールの徹底を求めてきた。

発注者と受注者で契約変更に関するやり取りをした結果として契約変更とならない場合であっても、その経緯の書面化を今後徹底すべきと考えるが、見解を伺う。

【財務局長】

発注者と受注者における契約変更に関するやりとりについては、工事請負契約書や設計変更に関するガイドラインにおいて、書面により行わなければならないことを定めている。

令和6年1月及び2月に開催した各局の契約担当部署及び工事担当部署による会議において、契約変更となる場合はもとより、契約変更とならない場合であっても書面によるやり取りを行うことを、改めて周知した。

今後とも意識の浸透を図り、取組を一層徹底するとともに、受注者と発注者が対等の立場で契約を行っているという認識のもと、協議に誠実に対応するなど、発注者としての責務を果たしていく。

⑦ 再配達削減に向けた普及啓発活動の推進について

【質問】

令和6年4月よりトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されることから、物流事業者への負担を少しでも軽減することが重要である。そのためには物流の効率化が必要だが、効率化を妨げる要因の1つに高止まりしている再配達率がある。近年は、Eコマースの普及に伴い、荷物の配送回数が増え、再配達も増加している。

再配達を削減するよう、宅配事業者が直接消費者に対し啓発活動を行うことも大切と考えるが、都の見解を伺う。

【都市整備局長】

再配達削減に向けた普及活動を進めるためには、宅配事業者等が自ら、消費者に対し、啓発キャンペーン活動を行うことも有効である。

都は、再配達削減に向けた取組に賛同する事業者が、啓発キャンペーンなどにおいて、手軽に安心して使える置き配バッグの配布を行う場合には、その事業者に対して、購入費の2分の1を補助する事業を実施する。

これらの取組により、再配達削減に向け、消費者の行動変容を促していく。

都市農業施策

① 有機質肥料の利用促進について

【質問】

化学肥料の原料であるリンなどは海外からの輸入に依存しており、ウクライナ情勢を契機にその価格はいまだ高止まりの状態が続いている。このため、国際的な価格変動の影響を受けにくく、環境にも優しい堆肥などの有機質肥料への関心が高まっている。

都議会公明党は、以前、練馬区の企業が学校給食から出る食料残渣を収集、リサイクルし、堆肥などを製造、販売する取組を視察した。栄養価が計算されている給食の食べ残しでもあり、非常に品質のよい肥料になるとのことで、食品ロスの削減という観点からも注目されている。しかし、化学肥料に比べ堆肥は重量があることから、畑への散布に係る負担が大きいと聞く。最近では、軽量で使いやすいペレット型の堆肥が販売されているほか、牧草をそのまま土壌にすき込む緑肥の活用を検討している方もいる。

有機質肥料の利用を促進するためには、こうした新しいタイプの肥料の導入を後押しするとともに、作業負担を軽減する機械類等の整備もサポートすべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

東京の農業で環境への負荷を減らすため、化学肥料に代え、堆肥等の活用を図ることは必要である。

このため都は、新たに堆肥の利用を進める農業者に対し購入経費への支援を行っている。この取組では、学校給食で出る食材の残りを使う堆肥も対象としている。

こうした堆肥の固まりは重量があり、畑地に入れる際の負担は大きい。このため、令和6年度、その散布の作業が容易となる小さな粒状の堆肥のほか、植物を肥料として使う緑肥の種の購入に対し3分の2の助成を行う。

また、堆肥を農地に撒く機器や、緑肥を畑地に混ぜ込むトラクター等の導入に係る経費に支援を開始する。

② 農地を活用した食育の推進について

【質問】

食育は、健全な食生活はもちろん、農業への理解や地産地消への推進にもつながる重要な活動である。都は、東京産農産物消費拡大支援事業において、農業団体などが行う地産地消の取組を3年間にわたり支援し、東京都食育推進活動支援事業では食育活動の支援を行っている。

都は、東京の子供たちが食育を学ぶ機会を提供するとともに、これまで実施している食育に係る補助事業について、幅広くPRを行うべきと考えるが、都の令和6年度の取組を伺う。

【産業労働局長】

これまで都は、各地の自治体による食育のイベントの開催や、東京産の農産物の学校給食での活用に関し支援を行ってきた。また、食育の推進に取り組むNPO等が都内で採れた野菜を使う料理の講習会等を開き、普及啓発を進める場合のサポートを実施している。

こうした事業について利用が増えるよう、支援の内容に関し、都の食育のイベント等でのPRを強化する。

さらに、令和6年度、農業を通じ食育への関心を高める取組も充実する。具体的には、東京産の野菜等の紹介や販売を行うイベントを開き、その中で日々の食事の大切さを伝える機会を設ける。これに参加した親子が会場から畑地に移動し、収穫体験のできる工夫も行う。

地域公共交通

① 地域公共交通の充実について

【質問】

「未来の東京」戦略の強化の方向性では、アクティブな長寿社会の実現において地域公共交通の充実が掲げられている。

都議会公明党はシルバーパスの充実を繰り返し求めているが、高齢者が安心して出かけられる足の確保は重要であり、地域公共交通の充実にも取組を進めていくべきだが、知事の見解を伺う。

【知事】

アクティブな長寿社会を実現するためには、高齢者がどこへでも不安やストレスなく移動し、生活できる環境を整備することが重要である。

地域公共交通の充実・強化に向け、高齢者等の外出を支える鉄道やバスに加え、デマンド交通やグリーンスローモビリティなどにより地域での移動手段の充実を図る。

また、これらの移動手段を高齢者等がよりスムーズに利用できるよう分かりやすい案内情報の提供や、段差解消などのバリアフリー化を促進していく。

区市町村や交通事業者との連携を図りながら、高齢者をはじめ、誰もが移動しやすく利便性の高い、人が輝く活力あふれる都市の実現を目指していく。

② 地域公共交通を担う区市町村に対する支援の実績と今後の取組について

【質問】

都議会公明党は、令和4年の予算特別委員会で、区市町村が交通不便地域などにおける住民への移動支援を一層推進できるよう、地域特性に応じた取組に対し支援していくべきと質問し、都からは、都と区市町村から成る行政連絡会などで技術的な側面も情報提供し、支援していくとの答弁があった。

そこで、これまでの実績と、今後どのように取り組んでいくのか見解を伺う。

【都市整備局長】

都は、令和4年度から、コミュニティバスへの支援に加え、地域公共交通計画の策定やデマンド交通の導入等の費用を補助対象とした。令和3年度に13件だった補助件数は、令和5年度は2月末時点で47件と増加しており、着実に取組が進んでいる。

地域公共交通の充実・強化に向け、令和6年度からは、交通結節点などにおいて新技術を活用した案内表示や、新たなモビリティの導入等について調査・検討を行い、得られた知見を取りまとめ、区市町村との行政連絡会等で情報を共有していく。

今後とも、地域公共交通を主体的に担う区市町村の取組を支援していく。

環境施策

① 都有施設への太陽光発電設備設置等の進捗と令和6年度以降の取組について

【質問】

都は2050年の脱炭素社会の実現に向けて再エネの導入を積極的に進めているが、その中心的役割を果たしているのが太陽光発電である。太陽光発電については、日照条件により発電量が変化するなど安定性に課題があり、大規模な太陽光発電施設では日中の余剰電力が問題となるケースも増えてきている。

まずは都として、都有施設の太陽光発電電力を最大限無駄なく活用するため、太陽光発電設備等をネットワークでつなぎ、発電量を掌握して、都有施設での電力活用や蓄電池などの充電を効率的に行うバーチャルパワープラント(VPP)の取組を本格的に開始し、再エネ電力の効率的な活用につなげる取組を加速すべきである。

都は、令和6年度予算で都有施設への太陽光パネルの設置加速化や、それらを活用したVPPの構築事業に約96億円の予算を計上しているが、この取組の進捗と令和6年度以降の取組について伺う。

【環境局長】

脱炭素化の推進に向けて、2024年度までに知事部局等で2万キロワットの太陽光発電設備を設置する目標を掲げ、現在、設計及び工事を進めており、2022年度までに約1万キロワット設置した。

また、再エネ大量導入時代を見据え、例えば休日の学校で発電した再エネ余剰電力を束ね、防災公園や福祉施設へ供給するようなVPPのシステム設計を、27施設を対象として進めている。

令和6年度は、一部の施設において、先行的に運用を開始し、発電や需要量の予測システムの精度を検証する。

今後、こうした取組の拡大により、再エネの基幹エネルギー化を後押ししていく。

② EVバッテリーなどのリユースの取組について

【質問】

都は、蓄電池導入に向けた補助事業を実施しているが、蓄電池は製造時にレアアースなどを多用するため、資源の安定確保という点で課題がある。この点、リユース蓄電池の普及が進めば、資源の有効活用や、さらに蓄電池の価格低下につながることも期待できる。

都議会公明党は、令和5年第3回定例会で、EVバッテリーのリユースを推進すべきと求めたのに対し、都からは、EVなどの普及に合わせた活用の促進を図るとの答弁があった。

蓄電池の普及拡大に向け、EVバッテリーなどのリユースの取組をさらに後押ししていくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

蓄電池の普及を図る上で、EVで使ったものを再利用する取組を後押しすることは必要である。

これまで都は、蓄電池を事業所に設置する場合や電力ネットワークの安定に役立つ大規模なものを導入する際の支援において、EVからの再利用も対象にしてきた。

令和6年度より、再生可能エネルギーの設備を導入し、それに併せ蓄電池も設置する事業者への支援に関し、助成の上限額を倍増し、2億円とする。

この取組について、EVから取り外した再利用の蓄電池も対象とする。また、電力ネットワークとの間で充電や放電を行う大規模な蓄電池を導入する会社がリユースのものを活用する場合、通常より手厚い助成を行う。

③ グリーン水素の製造について

【質問】

再エネの調整力として期待されているのがグリーン水素の製造である。水素については、長距離輸送、工業や化学などの産業、海運、航空業など電動化では賄い切れない分野における活用が不可欠である。さらに、災害時には輸送可能なエネルギーとして期待されている。

都議会公明党は、これまで、福島県にあるNEDOの水素製造設備や浪江町での水素活用状況を視察するなど課題を把握した上で、議会での質疑を重ねてきた。

令和6年度、都は都有地を活用して、都内初の水素製造設備を大田区京浜島で稼働する予定であり、民間の水素製造も含め、グリーン水素の製造を積極的に進めていくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

グリーン水素は、再生可能エネルギーを長期間にわたり蓄え、必要に応じ電気として速やかに活用できる。こうした電力に係る需要と供給を調整する役割を果たすことができるよう、水素の製造を増やす取組は重要である。

このため都は、グリーン水素を都有地において生産する取組を進めており、水電解装置で最大500キロワットの電気により年間約20万立米の供給のできる態勢を整える。

また、都は、東京で民間企業がグリーン水素の製造設備を導入する取組に助成を行っている。この支援について、令和6年度、設備導入の場所を東京電力管内エリアの各県に拡大する。 

これらにより、グリーン水素の生産を後押しする。

④ 木造建築物の普及及びBIMの活用について

【質問】

建物におけるゼロエミッションの推進のため、都内建築事業者の技術力向上に向け、環境建築フォーラムや様々な施策を組み合わせ、CO2排出量の少ない木造建築物の普及を進めるべきである。

加えて、素材特性を3Dの設計図に落とし込めるBIMの活用により、低炭素素材の利用を促進するべきだが、見解を求める。

【環境局長】

建築物の脱炭素化に向け、鉄等に比べ製造時のCO2排出量が少ない中高層木造建物の普及は重要である。

このため都は、新築建物を対象とした建築物環境計画書制度において、令和7年度から全国に先駆けて、木材等の低炭素建材の利用を評価する仕組みを導入する。

また、BIMは、環境性能の高い建築設計を行う重要なツールであり、都は令和6年度、省エネ手法等を実践的に学ぶ講習会を開催し、環境配慮設計を推進していく。

今後、多くのゼネコンや設計者が参加する環境建築フォーラムなどの機会を活用し、こうした取組の周知を図ることで、中高層建築物の脱炭素化を進めていく。

⑤ 木造建築物の中高層化について

【質問】

今後、木造建築物の中高層階化に一層貢献するべく、ゼロエミッションと林業の活性化、建築業界が抱える課題の解決に向け、更に積極的な対応を図るべきであるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

これまで都は、多摩産材を使った民間の中・大規模の建築物を増やすため、その設計に係る経費について、上限5千万円で2分の1の助成を行うほか、建築費は最大5億円まで支援している。また、こうした建物を設計する建築士を増やすため、優れた事例を見学する機会の提供等を行ってきた。

これらに加え、都では国産木材の取引拡大を通じ多摩産材の利用を増やすための展示会において、中・大規模の木造建築物の魅力の発信を行っている。

令和6年度は、その会場のセミナーにおいて、国産木材で作った板を何枚も重ね太い柱としたCLTを中・大規模の建物で使う工夫等を紹介する。

⑥ 木造ビル建築の政策誘導について

【質問】

都は、木造ビルの量産に取り組んでいる北欧諸国への職員派遣を重ねるなどして、国に先んじて知見を積み、国内の制度改変の動きを先取りし、政策的な誘導を図るべきである。見解を伺う。

【都市整備局長】

脱炭素社会を実現するためには、炭素を貯蔵している木材を建築物により多く利用することが有効である。

これまで都は、ドイツやカナダに職員を派遣し、中高層建築物での木材利用に係る課題等を調査し、得られた知見を木材利用促進の支援制度創設につなげた。

令和6年度以降も施策の検討に生かすため、木造建築物に関して先進的に取り組んでいる北欧諸国も現地調査の候補地としていく。

こうした現地調査などを通じて、様々な知見を蓄積し、中高層建築物における木材利用の促進を図っていく。

⑦ 環境に優しい木造ビル建築の活性化に向けた知事のリーダーシップについて

【質問】

こうした政策連動に因る都庁全体での安全で環境に優しく、都内産業の新たな活況にも繋がる木造ビル建築の活発化に向けては、時代の先取りを具体的に果たせるよう、知事のリーダーシップが必要である。知事の見解を伺う。

【知事】

建築物における木材の利用は、森林循環を促進し、脱炭素社会にも寄与するほか、木の柔らかさや温もりが、快適で人に優しい空間を造る。木材を活用する技術も進化しており、耐火性の高い建材の開発等により、今までになかった木造の中高層建築物が誕生するなど、大きなポテンシャルを秘めている。

世界の動向や技術開発の状況も注視しつつ、建築人材の確保やノウハウの共有、先進事例の蓄積などを進め、木材産業の活性化を図っていく。

私がリーダーを務める全国知事会のプロジェクトチームにおいても、CLTを活用した建築物の木造化の促進など、政策提言を取りまとめ、国に要請している。

こうした取組を通じて、木材の多様な機能を最大限発揮し、都市の新たな価値を生み出していく。

障害者支援

① 盲ろう児への支援について

【質問】

令和5年の予算特別委員会のしめくくり総括質疑において、都議会公明党が、盲ろう児の療育、医療、教育などについて、生後直後から保護者が安心して相談できるワンストップの窓口を作るよう提案したことに対し、都は「盲ろう児に対し、相談対応や情報提供などを担う中核的機能の整備に向け検討を開始する」と答弁したが、この中核的機能の早期整備に向けた取組について、見解を伺う。

【福祉局長】

東京都盲ろう者支援センターは、主に成人である盲ろう者を対象として、相談や訓練のほか、支援者の育成研修会などを実施している。

令和6年度からは、センターの支援対象を盲ろう児にも拡充し、盲ろうの方に対する総合的な支援拠点として位置付けていく。

② 盲ろう者支援センターの移転について

【質問】

東京都盲ろう者支援センターは、都議会公明党の提案を受け設置され、様々な盲ろう者の支援を行っている。

令和5年末、都議会公明党として視察したが、新たな支援を開始するには、現在の施設の規模では不十分であるように思う。

新たな支援の開始に向け、施設を拡充・整備する必要があると考えるが、都の見解を求める。

【福祉局長】

盲ろう児への支援は、子供の発達段階に合わせた訓練や、医療、福祉、教育などの関係機関が連携して専門的な対応を行うことが必要である。

このため令和6年度から、センターにおいて、指点字などのコミュニケーション訓練、学校や児童発達支援事業所の職員向け研修会、盲ろう児の親同士の交流会を開催するなど、盲ろう児向けの支援を新たに開始する。

これらの取組を、従来の盲ろう者への支援と併せて実施するため、令和6年6月を目途にセンターの移転及び施設の拡充を行い、乳幼児期から成人まで、盲ろうの方のライフステージに対応した切れ目のない支援に取り組んでいく。

③ 境界知能にある方への社会全体の理解と支援について

【質問】

境界知能とは、知能指数(IQ)が85から115で平均的とされる部分と、知的障害とされる70未満のはざま、IQ70から84にあたる方が境界知能とされ、全国に1,700万人いると推計されている。

境界知能は、正式な病名や診断名ではないが、障害にあたらないため、公的支援の対象外となる。また、専門家は、普通に見えるが普通ができないため、やる気の問題だと誤解され、適切な支援につながらない恐れがあると指摘している。

最近、報道などでも目にすることが増えてきたが、社会の認識も不足している現状である。

未来の東京戦略における、誰一人取り残さないとの理念を具現化していくためにも、こうした配慮が必要な方への正しい知識や理解を社会全体に浸透させていくことが重要であり、都として取り組んでいくべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉局長】

知能指数が知的障害の判定基準に満たない境界知能にある方は、学習や仕事、対人関係やコミュニケーションに困難を抱えている傾向にあると言われている。

そのため都は、令和6年4月に改訂する、障害者差別解消法ハンドブックにおいて、こうした状況にある方についても、法に基づく合理的配慮の提供の対象になることを紹介するなど、障害者手帳がなくとも、社会生活において困難を抱えている方がいることを広く都民に認識していただけるよう、周知に取り組んでいく。

④ 境界知能にある子供たちに対する支援について

【質問】

専門家によると、早期発見、早期対応が大事であり、義務教育段階から周囲が気づき、理解し、支援していく必要があること、社会に出てからでは、境界知能の自覚がない人を見つけ出し、支援につなげるのは困難だとも指摘している。

障害のある子供のみならず、こうした配慮が必要な子供に対する支援も充実させていくべきであると考える。都教育委員会の見解を伺う。

【教育長】

小・中学校において、学習に困難を抱えている子供一人ひとりの実態に応じた支援を行うことが重要であることから、都教育委員会は、令和3年度に、教員による子供の実態把握のための「学習と行動のチェックリスト」を作成し、学校での活用を促進してきた。

各学校では、必要に応じ、特別支援学校から助言を得ながら、把握した子供の実態を踏まえ、個別の課題を設定するなど、指導方法の工夫・改善を図ってきた。

今後、都教育委員会は、学習面や生活面で支援を必要とする全ての子供が意欲的に学べるよう、支援の具体的事例を都教育委員会のホームページに掲載するなど、学校の組織的な取組をサポートしていく。

⑤ 中小企業の障害者雇用の推進について

【質問】

今後、2.7パーセントまで法定雇用率が引き上がる中、中小企業の障害者雇用の促進に向け、業務の切り出しや働きやすさへの配慮など、ポイントを押さえた丁寧な支援が一層求められる。

そこで都は、中小企業における障害者雇用の促進に向けて、個々の中小企業が抱える様々な課題に配慮しながら、障害を有する方の受入れ、定着をしっかり後押しすべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

障害者の雇用を進める上で、中小企業の職場の状況に応じたきめ細かなサポートは重要である。

このため都は、障害者の働き方と職場環境づくりの両面に詳しい専門家を東京ジョブコーチとして会社に派遣し、障害者が仕事を円滑に行うための支援を実施している。

令和6年度は、東京ジョブコーチによる支援の規模を800人から1,000人に拡充する。

また、都では、中小企業の社員が障害者を職場でサポートするノウハウを学び、業務を円滑に進めた場合、そうした会社に奨励金を支給している。この取組は、週20時間以上働く障害者へのサポートを対象としているが、令和6年度、これを10時間以上働く方にも広げる。

認知症施策

① 認知症施策推進計画の策定について

【質問】

都議会公明党は、令和5年の第3回定例会の代表質問において、都として、認知症施策推進計画を策定し、認知症対策をさらに進めていくよう求め、都からは、総合的、体系的に施策の充実を図っていくとの答弁があった。

都は、認知症の人および家族等の意見を聴くなど、基本法の内容を踏まえて、認知症施策推進計画の策定を進めるべきと考えるが、見解を求める。

【福祉局長】

認知症基本法では、都道府県は、国の基本計画を基本として、都道府県の実情に即した認知症施策推進計画を策定するよう努めることとされている。

都は令和6年度、学識経験者、医療・介護関係者、認知症の方の家族等から成る東京都認知症施策推進会議の委員に、認知症の方ご本人を加え、認知症施策に関する検討体制を拡充する。

今後、TOKYO認知症施策推進プロジェクトなど、都が先進的に取り組む内容を盛り込んだ計画の策定について、推進会議で議論を進めていく。

② 若年性認知症について

【質問】

アルツハイマー病などの進行性の疾患の場合、軽度のうちに専門医療機関を受診することが重要であり、関係機関との調整が広域にわたるケースも多く、広域のネットワークも必要であると思う。

若年性認知症と診断された方が、できるだけ早く支援につながることや、多様な関係者による広域のネットワークを構築することが重要だが、令和6年度の取組について伺う。

【福祉局長】

若年性認知症の方の支援は、居住地と勤務先、通院先が離れているなど、医療・介護・福祉・労働等の関係機関との調整が広域にわたるケースが多い。

そのため都は、これまで、若年性認知症総合支援センターが二次保健医療圏や区市町村単位で開催してきた連絡会に代え、令和6年度、区部及び多摩地域全域を対象とする新たな連絡会を設置し、より広域的な連携を促進する。

また、若年性認知症と診断された方が早期に支援につながるよう、医療機関の職員を対象に、働き盛りや子育て中など、若年性認知症の方本人や家族の状況に応じた支援のポイントをはじめ、診断後の具体的な連携先などを内容とする研修を開始する。

高齢者施策

① 多くの収入確保につながる仕事を増やす取組について

【質問】

都議会公明党は、令和6年2月の代表質問で、地域での就労機会の拡大として、シルバー人材センターの取組強化を求めたところ、都からは、センターに仕事を提供する民間企業の開拓を行い、そうした企業がシルバー人材センターに業務を試行的に発注する経費を助成するとの答弁があった。

都は、シルバー人材センターへの試行的な発注を促し、その後の継続的な仕事の依頼に結び付くよう、発注された仕事に対して、働き手を確実に確保するサポートなどにより、企業とセンターの双方をしっかり支援すべきだが、都の具体的な取組内容について伺う。

【産業労働局長】

都は、令和6年度、シルバー人材センターが会員の高齢者に対し、現役時代の力を生かし、多くの収入確保につながる仕事を増やす取組への支援を強化する。

具体的には、東京しごと財団と協力し、同センターに新たに仕事を発注する複数の民間企業の確保を行う。それらの会社から同センターには100件の業務を試行的に発注し、会員に支払う経費について、都が全額を負担する。

また、これらの業務を行うシルバー人材センターが優れた成果を上げて、今後の継続的な受注を実現できるよう、仕事の質を高める態勢づくりの助言も実施する。

これらにより、高齢者の就業を促進する。

② シニア人材の働く機会を広げるプラチナ・キャリアセンターについて

【質問】

都議会公明党の令和6年2月の代表質問において、中小企業を退職された方など、意欲ある高齢者が幅広い都内企業から、自分に合った仕事や働き方を見つけられるよう求め、都からは、シニア人材が様々な勤務の仕組みにより、中小企業で働くきっかけを作るとの答弁があった。

プラチナ・キャリアセンターにおいて、様々な状況のシニアの方と働き手の確保に悩む企業との接点を効果的に創出し、都内企業での仕事を探すシニア人材の働く機会を広げる役割を果たしていくべきだが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

高齢者が仕事を通じ、習得した能力に相応しい業務や柔軟な働き方を提供する会社に就職できるよう、都は令和6年度、プラチナ・キャリアセンターを設け、支援を開始する。

具体的には、専門的な技術や知識に詳しいシニア人材が、中小企業の経営者などと交流しながら、就業する職場を決める機会を年間6回にわたり提供する。

また、営業や経理等の力を持つ高齢者が、その希望に応じた柔軟な働き方の仕組みを持つ会社と面談を重ねて、就職を実現するイベントを開催する。

これらに加え、就業した後、職場で円滑に仕事を進めることのできるよう助言などのサポートも行う。

若者・子ども・子育て施策

① 「とうきょう すくわくプログラム」に係る補助の考え方について

【質問】

都議会公明党は、本会議、委員会質疑等を通じ、非認知能力(コミュニケーション力や意欲、忍耐力など、数値での測定が難しい能力)の重要性について、繰り返し提案をしてきた。

都は令和6年度から、そうした非認知能力の発現の広がりに向け、「とうきょう すくわくプログラム」を都内全域に展開していくとのことである。

全域展開にあたっては、意欲ある幼稚園、保育所等に対し、プログラム実践に要する経費として、これまでに例を見ない充実した補助制度を講じるとしている。

そこでまず、6年間という長期にわたる補助制度を設け、政策効果を生み出そうとした都の意図について、説明を求める。

※とうきょう すくわくプログラム…すべての乳幼児の「伸びる・育つ(すくすく)」と「好奇心・探究心(わくわく)」を応援する幼保共通のプログラム。幼稚園や保育所といった施設類型の垣根を越え、主体的・協働的な探究活動を通じ、子供の豊かな心の育ちをサポートする

【子供政策連携室長】

「とうきょう すくわくプログラム」を通じて実践される探究活動を、日常的な幼児教育・保育の中に浸透させていくことが、乳幼児の心の育ちを支える上で重要である。

このため都は、補助対象期間を6年間とし、継続的に幼稚園・保育所等の取組をサポートしていく。

6年間の補助対象期間のうち、前半期は新たな取組にチャレンジするための期間とし、各園の探究活動の実践の積み重ねを後押ししていく。また後半期は、各園が自らの実践を検証し定着させるための期間とし、日常の幼児教育・保育における探究活動の着実な実践を促進していく。

② 「とうきょう すくわくプログラム」に係る補助内容について

【質問】

都が令和5年度に策定した、こども未来アクション2024では、本補助の使途として、物品購入費や人件費を挙げている。

こうした直接的な使途に加え、子供たちを見守り支える保育者の研修にも活用できるようにし、幅広く園の活動を支える補助制度としていくべきと考えるが、令和6年度の補助制度の具体的な内容について、見解を求める。

【子供政策連携室長】

「とうきょう すくわくプログラム」の実践に係る経費として、令和6年度は1園あたり150万円を上限に補助を行い、補助率は10分の10とする。

補助対象経費は、子供たちが使用する道具や素材等の探究活動の実践に伴う直接経費に加え、探究活動を記録し検証するためのICT機器の購入経費、実践体制構築のための非常勤職員の人件費など、実践に必要な経費を対象とする。

また、各園が自ら経験や知見を積み重ね、日常の幼児教育・保育において探究活動の定着が図られるよう、探究活動の充実に向けた保育者の研修経費も含め幅広く対象としていく。

③ 応募割れの都営住宅空き住戸を活用した若者等の生活支援について

【質問】

令和6年2月の代表質問において、都議会公明党は、単身の若者などに応募割れの都営住宅の空き住戸を活用し、住宅と就労の支援などがセットとなる施策を講じるべきと提案し、都からは、令和6年度から、低所得の単身の若者などの就労自立モデルの構築に向け、都営住宅の空き住戸を試行的に期限付きで提供し、入居者には、就労支援や家計改善相談などのフォローを実施するとの答弁があった。

住宅と就労の支援等が連動して、きめ細かく機能するためには、本事業による入居者が多様なサービスにより、次の段階に進めるような仕組みを作るべきである。

また、本事業は都民の期待も高いことから募集時期も明らかにすべきである。あわせて、都の見解を伺う。

【住宅政策本部長】

本事業の開始に当たっては、関係局、区市町、社会福祉法人等とともに、詳細な事業内容の検討、調整を行っていく。

事業開始後は、入居者ごとのロードマップを作成して個別の取組状況等を情報共有し、就労支援・家計改善相談等のフォロー、就労自立による円滑な転居など、出口まで寄り添って支援していく。

あわせて、外部有識者も交えて、本事業の運営状況や発生した課題等を共有した上で、様々なケースに対応した就労自立モデルの構築に向けて検討していく。

また、本事業の募集時期については、令和6年秋頃の開始を目標として、準備を進めていく。

事実婚の方々もパートナーシップ宣誓制度の対象に

【質問】

都議会公明党は、これまでも、都のパートナーシップ宣誓制度の対象に事実婚の方々を加えるよう提案してきた。

知事は、令和5年の第3回定例会の都議会公明党の質問に対し、「今後都は、各業界などの関係者へのヒアリングなどを速やかに実施し、困りごとの実態について十分に把握するとともに、民間事業者などに対し、事実婚当事者へのサービスが適切に提供されるよう、積極的に働きかけていく」との踏み込んだ答弁があった。

現在の取組状況について知事の見解を伺う。

【知事】

現在、金融機関等の各業界等へのヒアリングを行い、事実婚当事者の方々の困りごとの実態の把握に努めている。

また、ヒアリング等の機会を活用し、民間事業者等と、事実婚当事者へのサービス提供について意見交換を行っている。

今後、事実婚当事者の方々の暮らしやすい環境づくりに繋げていくため、ヒアリング結果等の分析を進めていく。

外濠浄化プロジェクト

① 外濠の水質改善について

【質問】

都議会公明党は、外濠やその下流にある日本橋川の水質改善に向け、下水再生水の供給余力の活用とともに、荒川から河川水を導水することを提案してきた。

人々が憩う外濠の水辺再生を早期に実現するとともに、水質浄化の取組を分かりやすく発信していくことも必要と考えるが、都の見解を伺う。

【都市整備局長】

外濠の水質を改善し都民に親しまれる水辺を実現するためには、事業実施に向けた取組を着実に進めるとともに、分かりやすく事業の効果を伝えることが重要である。

導水路等の設計を、年度にとらわれず進めるために、債務負担行為を活用するなど、必要な施設の早期完成を目指して取り組んでいる。

また、令和6年度は、令和5年度から実施している小学生向け勉強会の対象校を増やし、より広く外濠の歴史的価値等を伝えていく。加えて、スタートアップとの協働により外濠の魅力を体感できるイベントを開催する。

引き続き、人々が憩い、地域に親しまれるよう、外濠の水辺再生の取組を進めていく。

② 「外濠浄化プロジェクト」へのグリーンボンドの活用について

【質問】

都議会公明党は、外濠浄化プロジェクトの推進のために、令和2年の第1回定例会では、東京グリーンボンドによる資金調達を提案し、知事からは、充当対象の追加に向けて検討するとの答弁があり、令和4年の第3回定例会では、財務局長が、親和性のあるものとの認識を示した。

事業が進捗する今こそ、グリーンボンドの活用を検討すべきと考えるが、見解を伺う。

※グリーンボンド…地球温暖化対策や再生可能エネルギーなど、環境分野への取り組みに特化した資金を調達するために発行される債券のこと

【財務局長】

グリーンボンドは、環境問題の解決に資する事業に使途を限定した債券であり、外濠の水質改善を進める「外濠浄化プロジェクト」は、その充当対象となり得る取組と認識している。

令和6年度の「外濠浄化プロジェクト」には、事業の進捗に伴い、起債可能な経費が計上されている。

このため、今後、国際的な原則に基づき、充当事業の適格性等を評価する第三者機関との調整を行いながら、来年度の東京グリーン・ブルーボンドへの活用に向けて取り組んでいく。

③ 江戸の歴史・文化について

【質問】

大規模災害に備えて、水の確保の重要性への認識が高まる中、自然流下により、多摩から都心部へ水を到達させた江戸時代の土木技術は、最たるものである。

こうした江戸から続くインフラやその技術にも着目し、「世界遺産」に向けた取組を進めるべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

歴史を振り返ると、江戸のまちは、水路や河川が網目のように巡り、人や物を運ぶ様々な船が行き交い、賑わいや活気に満ち溢れたまさに「水の都」であった。

浮世絵や風呂敷、暖簾など、世界に広く知られる文化が栄え、今もその風格を残す寺社等の建造物に加え、水道インフラを始め、水運、橋などの高度な土木技術も発展していた。

今も受け継がれるこうした知恵や技術には、持続可能性が求められる現代において、社会課題を解決するポテンシャルが秘められている。

今後、その意義や価値に改めて焦点を当て、さらに魅力に磨きをかけ、都民の共感を生み出し、世界に誇る遺産として、後世へと継承していく。

性犯罪被害者の転居費用の助成

【質問】

都議会公明党は、犯罪被害者の当事者やご遺族の生の声をお聞きし、被害者や被害者支援相談員を対象にした実態調査の実施や見舞金などによる経済的支援の充実など、具体的な提案を行ってきた。

知事は、令和2年の第1回定例会において、都議会公明党の要望を踏まえ、見舞金制度などについて、新たに創設する旨を明らかにした。

見舞金などの経済的支援は、令和2年10月から開始され、3年余りが経過しているが、このうち転居費用助成金は、令和5年度までで76件の支給実績がある中、この給付を受けるには、被害者の住居またはその付近において、犯罪が行われたことが要件に求められているとの課題が寄せられている。

性犯罪の被害に遭われた方は、被害場所が自宅ではなくとも、加害者が自宅に押し掛けてくるのではないか、などの恐怖にさいなまれ、転居を余儀なくされることもあるという。

こうした方々を支援するためにも、給付要件を改善すべきと考えるが、見解を求める。

【総務局長】

都はこれまで、自宅等が殺人や性犯罪等の現場となり、精神的に従前の住居に居住し続けることが困難となった被害者等に対し、安心して住める住居を確保し、速やかに生活再建を図ることができるよう、転居費用の助成制度を全国に先駆けて創設するなど、被害者に寄り添った支援を行ってきた。

次期犯罪被害者等支援計画の策定に向けて、令和6年度には、都内における犯罪被害者等の実態や被害者支援に係るニーズを把握するための調査を実施する。

外国人居住者への防災対策等を行う町会・自治会への支援

【質問】

昨今、地域で暮らす外国人が急激に増加しており、地震だけでなく、激甚化、頻発化する豪雨災害に慣れていない外国人も多いと聞く。

言葉や生活習慣が異なる外国人が、いざという時にパニックを起こさず、適切な行動を取ることが何よりも重要であり、外国人がまずは自助の行動が取れるよう、支援を行うべきと考える。

また、地域では、町会、自治会の皆さまに、地域コミュニティを守り支えていただいているが、地域に在住する外国人との関係性を築いていくことは、平時もさることながら、災害時においても重要である。

町会、自治会が地域で暮らす外国人と、積極的な友好関係を築いていけるよう、アプローチする取り組みを行うべきと考える。併せて見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

在住外国人の自助の意識を高めるため、消防庁と連携し、防災、減災について学び、体験できる取組を行うとともに、地震時の対応についての動画を配信しており、令和6年度は風水害編の動画も作成し発信する。

また、新たに外国人が、ゴミ出しなど生活に必要な情報にアクセスできるQRコードつきカードを作成し、町会、自治会から外国人住民に配布いただくことで、関係作りができるような取り組みを推進していく。

併せて、町会、自治会が防災訓練にやさしい日本語を使い、外国人に参加してもらう取組等を地域の底力発展事業助成による支援していく。

デフリンピック

【質問】

初めて東京で開催されるデフリンピックの世界大会を、デフスポーツや聴覚障害に対する理解を一層深めつつ、今再び、共生社会の発展に向け、大きな前進を刻む絶好の機会としていかなければならない。

共生社会の実現に向けた取組が、デフリンピックの後も継続していくよう、大会準備を工夫していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

デフリンピックをきっかけに、共生社会に対する認識を深め、その後の取組へと繋げることが重要である。

このため、大会に向けては、他局も含めた職員を対象に、当事者を講師に招いた研修を実施するとともに、当事者団体と身近に協働する体制を構築し、準備を進める。

大会においては、観客がスマートフォンでスムーズに情報を取得できる技術を活用するなど、円滑なコミュニケーション環境の整備を図っていく。

また、日本の障害認定より緩やかな聴力基準の周知等により選手を発掘し、デフスポーツを振興していく。

こうした取組を通じ、共生社会への理解を促進し、大会後の東京のレガシーとして、次世代へ継承していく。

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