大松あきら議員の本会議(9月25日)代表質問

子育て・若者・教育施策

① 学校給食費無償化の自治体の負担軽減

【質問】

都は、令和6年4月、都内全ての自治体に対して、国が実施するまでの間、学校給食費の2分の1を補助する仕組みをスタートした。

しかし、23区では全ての自治体で学校給食の無償化が実施されているが、多摩地域等においては、比較的財政力の強い自治体のみ実施されているに留まり、依然として11の自治体で実施できない状況にある。こうした学校給食費の無償化における自治体間格差の是正について、都議会公明党が市長会の強い要望もあり、知事に緊急の申し入れを行ったところ、今回、補正予算において、都がトータルで市町村の学校給食費の8分の7を助成する仕組みが盛り込まれた。この助成の仕組みによって都内全ての市町村が学校給食費の無償化に踏み込めることになったのか、都の見解を伺う。

【総務局長】

学校給食費の負担軽減についてであるが、学校給食費は子育て世帯の大きな負担となっており、本来、その無償化は国の責任と財源で実現すべきである。

都は、子育て世帯の経済的不安を解消するため、国の方策が講じられるまでの間、市町村の取組費用の2分の1を支援することとした。さらに、市町村が取り組む各種施策に要する一般財源を補完するための市町村総合交付金について、政策連携枠で17億円拡充し、無償化に係る経費全体の8分の7相当までを都が支援する。

今回の都の方針を受け、早速、複数の自治体が新たに無償化に取り組むことを表明しており、全ての市町村で学校給食の無償化に向け検討していると聞いている。

② 高校生世代の医療費助成の恒久化

【質問】

高校生3年生世代までの医療費の無償化についても、23区は所得制限が撤廃されているが、多摩地域等においては、財政力によって所得制限が撤廃されていない自治体がある。都民からは、同じ東京に住んでいて自治体の財政力によって格差が生じるのは不公平との声がある。重要なことは、市町村の負担を生じさせることなく、制度を恒久化し、市町村が令和7年度の予算編成に間に合うように、早期に決着することである。知事の見解を伺う。

【知事】

子供の医療費助成についてであるが、都は、子供の医療費助成について令和5年度から、一定の基準の下、高校生等に対象を拡大して実施している。

少子化が急速に進行する中、望む人が子供を安心して育てられる環境づくりの更なる促進が必要である。

全ての子供の健全な育ちと、子育て世帯の経済的負担の軽減を進めるため、子供の医療費助成について、令和7年10月からの所得制限撤廃を目指し、市町村との協議を加速していく。

財政事情によることなく全ての市町村が持続的に事業を実施できるよう、総合交付金を措置することを念頭に置き、早期の合意を目指していく。

③ 0歳から2歳までの第1子の保育料無償化

【質問】

0歳から2歳までの第2子の保育料無償化は、都議会公明党・政策目標チャレンジ8の一つであり、都議会公明党の提案を受け、都はこれまで保育料の第2子以降の無償化に取り組んできた。今後は、この無償化の取り組みをさらに先に進め、第1子にまで広げるべきと考える。知事の見解を伺う。

【知事】

保育料の無償化についてであるが、都は、子供を持ちたいと願う方々が安心して子供を産み育てることができる環境を整備するため、様々な子供・子育て支援施策を強力に推進してきた。

令和5年10月からは、経済的理由で子供を2人以上育てたいという願いを諦めずにすむよう、都独自に、第2子の保育料無償化に取り組んでいる。

この施策を一歩先に進め、保育料無償化の第1子への対象拡大について、 具体的に検討していく。

④ 幼稚園や保育所等の子供の育ちや学びの支援

【質問】

都議会公明党は、乳幼児期の集団保育の重要性や共感力などの非認知能力を育むことの大切さを繰り返し提案してきた。こうした中、都は、「とうきょう すくわくプログラム」を令和6年度から都内全域で展開している。

「とうきょう すくわくプログラム」の取り組みが大きな広がりを見せる中で、取り組みの質を確保していく観点から、幼稚園や保育所等の子供の育ちや学びを支援すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【子供政策連携室長】

とうきょう すくわくプログラムについてであるが、幼稚園・保育所等における質の高いプログラムの実践をサポートするため、都は令和6年度、都内全ての園を対象に、事例等を用いた実践的な研修会を開催するとともに取組のヒントとなる動画や頻度の高い質問を取りまとめたQ&Aを発信していく。また、各園が実施する探究活動の充実に向けた保育者研修への支援も行っていく。加えて今後、更なる質の向上を図るため、優良な活動を行う園が、他園に対して探究活動の内容や方法について実践的な助言を行う仕組みのあり方についても検討する。様々な取組を重層的に展開することで、各園の特色や強みを活かしたプログラムの実践を後押ししていく。

⑤ 助産所における妊婦健康診査

【質問】

助産所で妊婦検査を受診した方は、受診票による公費負担の対象外で、償還払いの対応がなされてきた。

都議会公明党は、助産所での妊婦健康診査受診票の使用ができるよう提案し、また、合意が困難だった区については、都議会公明党と連携し、区議会公明党が議会で取り上げてきた。そうした結果、助産所における妊婦健康診査受診票の使用が令和6年10月1日から開始されることとなったが、使用開始までの議論の過程や、都民への普及啓発について、都の見解を伺う。

【福祉局長】

助産所における妊婦健康診査についてであるが、都は、医療機関でのみ利用可能な妊婦健康診査受診票を助産所でも利用できるよう、これまで区市町村や都医師会、都助産師会等と協議を進めてきた。

この協議の中で、区市町村、医療機関、助産所の連携の在り方などの議論を重ね、今般、合意に至り、令和6年10月1日から、都内の全区市町村において、妊婦健康診査受診票の助産所での利用を開始することとした。

利用開始に当たっては、制度の概要や受診票が利用できる助産所の一覧を都のホームページに掲載するとともに、区市町村や助産所と連携して窓口での説明やチラシ配布を行うなど、都民に向け広く普及啓発を行っていく。

⑥ 若者施策の充実 

【質問】

デジタル化やグローバル化の進展など若者を取り巻く社会状況は目まぐるしく変化している。こうした中にあって、子供・若者計画はもとより、知事が所信表明で明らかにした新たな戦略策定においても、若者の思いに応え、若者施策の充実を進めていくことが重要であると考えるが、見解を伺う。

【政策企画局長】

若者施策の充実についてであるが、若い世代を取り巻く生活や社会の環境が急速に変化をする中、若者の意見を十分に反映し、支援の施策をつくりあげていくことは重要である。

これまで都は、若い世代の社会的な自立の支援に向けた計画を改定するため、若者が参加する部会を設け、様々な意見を聞いている。これに加え、若い世代の学びや生活などを支援する団体の若者から意見を聴き、今後、部会に報告をし、計画の策定に役立てる。また、こうした計画とともに作成する新たな戦略に関し、若者の意見をきめ細かく取り入れていく。

⑦ 特別支援学校の児童生徒の行方不明対策

【質問】

令和6年7月、八王子西特別支援学校の高等部1年生の生徒が行方不明となり、亡くなられた状態で発見された。

東京都教育委員会としても、二度とこのような悲しい事故が起きないように、GPSなど位置が検索できる機器を活用した対策を講じるべきと考えるが、教育長の見解を伺う。

【教育長】

特別支援学校の行方不明対策についてであるが、都教育委員会は、平成28年度から2年間、位置検索機器を保護者に貸与し、登下校時に児童・生徒に携帯させるモデル事業を実施した。

この事業では、行方不明による事故の発生率は低下したが、機器を持つことを嫌がったり、忘れてしまうなどの事例が見られた。近年、衣服などに付けても気にならない小型軽量の機器が開発され、持ち歩くことが困難な児童・生徒においても活用できる可能性が広がってきている。

今後、児童・生徒が安全に通学できるよう、これらの機器の活用など、効果的な対策を速やかに検討していく。

⑧ 教員の保護者対応等における専門家活用 

【質問】

学校現場においては、保護者や住民からの過剰な苦情や不当な要求が教員の負担となり、業務に支障を来している場合がある。こうした問題に対し、都議会公明党は、教員に代わって保護者や住民に対応する仕組みをつくるよう求めた。教員に代わって、保護者や住民への対応を、法律の専門家の活用も含め、都教育委員会が責任をもって行う体制を整備するべきである。都教育委員会の見解を伺う。

【教育長】

学校の保護者対応等における専門家活用についてだが、都教育委員会は、保護者等への対応に苦慮する事例において、教員の負担を軽減できるよう「学校問題解決サポートセンター」を設置し、弁護士、医師等の専門家を迅速に、学校へ派遣することで、都内公立学校の管理職等に直接助言するなどの支援をしている。加えて、令和6年7月に、区市町村教育委員会に対して、保護者対応等における専門家活用の実態について、調査を実施したところであり、今後、各区市町村の意向を聞き取るなどして、教員の負担軽減につながる効果的な支援について検討していく。

⑨ 教員の働き方改革への保護者等の理解の促進 

【質問】

保護者や住民の過剰な苦情などへの対応が教員の大きな負担になっている実態を地域にも理解して頂けるよう、広報活動を強化していくべきだが、教育長の見解を伺う。

【教育長】

働き方改革への保護者等の理解の促進についてだが、保護者や地域と信頼関係を築き、理解と協力を得ることは、学校の働き方改革を進める上で重要である。このため、都教育委員会は、保護者や地域に向けて、教員の長時間勤務の実態や、働き方改革の具体例と教育の質への効果等を記載したチラシを配布するなど、普及啓発を図っている。また、保護者と学校との適切なコミュニケーションを呼びかけるポスターを新たに作成し、学校等に掲示している。

今後とも、区市町村教育委員会と連携し、各学校が働き方改革に取組やすい環境づくりを推進していく。

⑩ 教員のメンタルヘルス対策 

【質問】

長時間勤務などが原因でメンタル面で不調となり、若手教員をはじめ、長期的に休養される教員も少なくない。また、教員の精神疾患による休職者は増加傾向にある。現在連携している医療機関に加え、第三者として関与できる他の民間の専門家団体との協力を拡大し、採用間もない若手教員も含め、全ての休職者が復職支援プログラムに参加できるようにするべきである。都教員委員会の見解を伺う。

【教育長】

教員のメンタルヘルス対策についてであるが、都教育委員会では、臨床心理士等が小中学校を訪問し、全教員と面談するアウトリーチ型相談事業や、精神科医等による相談、医療機関と連携した職場復帰支援など様々な取組を実施している。

一方で休職者が増加していることから、令和6年度、アウトリーチ型相談事業の対象を都立学校に拡大したほか、休職者等に向けて、心の健康回復に役立つ知識等を学べるミニ動画を、精神科医の監修の下、制作・配信する。

今後、若手教員を含め、復職を目指す教員への支援の充実に向け、外部専門家を一層活用した対策について検討し、メンタルヘルス対策を推進していく。

⑪ 教員の海外派遣研修

【質問】

グローバル化する世界で活躍できる人材を育成するためには、教員自身が英語力とともに国際感覚を身につける必要がある。

都教育委員会は令和6年度から、校長や指導主事なども対象にアジア圏への派遣を開始した。こうした取り組みを受け、今後は海外派遣研修の成果を、教員個人の教育力アップだけにとどまらず、教育委員会や学校の取り組みの充実につなげていくべきと考える。都教育委員会の見解を伺う。

【教育長】

教員の海外派遣研修についてであるが、国際交流を組織的に進めていくため、従来の英語科教員向けの研修に加え、令和6年度新たに校長や指導主事等も対象とした研修をシンガポールで実施した。

現地では、大学等で教育制度や指導法等についての意見交換を行ったほか、現地校を視察し、国際交流等に関する実践的な理解を深めた。また、校種及び役職を超えた参加者間のネットワークが形成され、研修後各校の具体的な取組が共有される等の成果を得ている。

今後、教育委員会における施策立案や各校の取組にも活かせるよう、成果を普及する報告会を実施するなど、グローバル人材の育成を更に推進していく。

⑫ チャレンジサポートプランの意義や取り組み 

【質問】

都議会公明党は、困難さを抱える生徒を受け入れる学校として、チャレンジスクール等の拡充を求めてきたが、現在、希望者全員が入れない状況が続いており、その拡充が課題である。

都教育委員会は困難を抱える生徒に対し総合的に支援を行うため、今回新たに作成した「都立高校におけるチャレンジサポートプラン」の意義や取り組みみについて、見解を伺う。

【教育長】

チャレンジサポートプランの意義等についてであるが、都立高校では不登校経験等困難を抱える生徒が増加し、ニーズも多様化しているため、総合的な支援が必要である。

そのため、不登校経験や発達障害等のある生徒、日本語指導が必要な生徒等に対して、各都立高校において、専門家による相談体制の充実や教室外での居場所の確保等を行うとともに、事情や悩みに応じた適切な支援を実施していく。さらに生徒の受入環境の充実に向けて、チャレンジスクールの規模拡大を行うなど、多様な生徒に対応した適切な教育・学習環境を用意していく。

本プランの取組を着実に進め、全ての子供が将来への希望をもって自ら伸び育つ教育を実現していく。

⑬ 在京外国人生徒等の受入環境充実と入試制度に係る周知

【質問】

都議会公明党は、在京外国人生徒募集枠設置校の拡大等を質問したところ、都教育委員会は、在京枠設置校を現在の全日制高校8校に加え、昼夜間定時制4校を新たに設置するとともに、これまでの外国籍の生徒に限定していた国籍要件を撤廃し、日本語指導が必要な日本国籍の生徒についても認めることを発表した。

この制度改正に伴い、より多くの日本語指導が必要な生徒が本入試を受検することが想定される。

今後、日本語指導が必要な生徒の受入環境充実を図るべきである。また、NPOの知見も生かした連携も視野に、新たな入試制度に受検生が対応できるようにするための取り組みについて、併せて見解を伺う。

【教育長】

在京外国人生徒の受入環境等についてであるが、都教育委員会は、令和7年度入学者選抜から、これまでの設置校に加えて、単位制である昼夜間定時制高校にも新たに在京外国人枠を設置し、生徒の興味や関心に合わせた教科・科目の選択、柔軟な単位取得など昼夜間定時制高校の特徴を生かした指導を行っていく。

また、令和6年10月、在京外国人枠設置校の拡大や応募資格を緩和する入試制度に関する説明会を、本入試を実施する全ての高校が参加のもと新たに開催する。加えて、都立高校の合同説明会においても、専門の相談窓口を設け、きめ細かな情報提供を行うなど、今後、様々な機会を捉え、NPO団体のノウハウも活用し、周知を図っていく。

医療・福祉施策

① 救急医療における東京ルールの着実な運用を

※救急医療における東京ルール・・・都内に12ある二次医療圏ごとに地域救急医療センターを設置し、救急患者で5回以上、または20分以上照会を行っても搬送先が決まらない場合、同センターが調整を行う仕組み。

【質問】

年々、高齢者の救急搬送が増加し、入院の際、看護師が看護と併せて介護の仕事をしなければならないため、人手が不足し、救急医療機関で受入れが困難となっている。都は、こうした実態を踏まえ、救急医療において東京ルールが着実に運用されるよう対策を講じるべきと考えるが、見解を伺う。

【保健医療局長】

コロナ禍以降、東京ルール事案数が高止まりしているため、対応策を検討してきた救急医療対策協議会からは、介助等に人手を要する高齢者が事案の半数以上であることを踏まえ、看護補助者の配置など救急外来の体制強化等が必要との意見をいただいた。

こうした意見も踏まえながら、救急医療の東京ルールが円滑に運用されるよう取り組んでいく。

② 下水サーベイランスの対応を

※下水サーベイランス・・・下水中のウイルスを検査、監視すること。受診行動や検査数等の影響を受けることなく、無症状感染者を含めた感染状況を反映する客観的指標としての活用が期待されている。

【質問】

国から「感染症流行予測調査実施要領」が示され、下水からの新型コロナウイルスRNA抽出による感染源調査が求められたところだが、都は、迅速に対応し、実効性のある対策を講じるべきである。見解を伺う。

【保健医療局長】

都は令和2年度から、健康安全研究センターにおいて、下水を活用した新型コロナウイルスの調査を試験的に進めてきた。国は、新型コロナの定点報告による感染動向の把握を補完するため、令和6年度から下水サーベイランスを予防接種法に基づく感染症流行予測調査に位置付けた。

都は、これに基づく調査を令和6年内に開始し、その結果を都民や関係機関等に対する情報提供や感染拡大時の注意喚起に活用していく。

③ アピアランスケアへの支援

【質問】

都は、都議会公明党の求めに応え、がん治療に伴う外見の変化を補うアピアランスケア支援事業を開始し、令和6年度は42自治体が実施になる予定と聞いている。

一方、事故や病気、先天性などで身体の一部を失った方や、手術の傷痕など外見の変化に伴い、健常者と障がい者のはざまに置かれ、精神的な苦痛を感じながら生活している方々も少なくない。

がん以外の病気等を原因とする外見の変化や片目失明者への義眼、そしてエピテーゼについても都の「アピアランスケア支援事業」の対象としていくべきと考える。都議会公明党が求めた実態調査の結果も踏まえ、都の見解を伺う。

※エピテーゼ・・・その人の皮膚の色や形を再現したシリコン製の装具。外見を整えることで、自己肯定感や社会復帰などQOLの向上にも貢献する。

【保健医療局長】

今般、アピアランスケアの実態を把握するために実施した区市町村への調査では、がん以外の病気や事故等で身体の一部を失った方も補助対象とすることや、眼や指などの補整用人工物であるエピテーゼへの支援を求める意見等があった。また、義眼使用者への調査では、医療保険や補装具費支給制度の適用がない場合、経済的負担が大きいなどの回答があった。

こうした調査も踏まえながら、外見が変化してもその人らしく生活を送れるよう取組を推進していく。

④ 介護の資格取得支援と昇給を結びつける取り組み

【質問】

介護の働き手の意欲の向上につながる資格取得支援と昇給を結びつける取り組みとして、働きながら介護福祉士などの資格の取得に挑戦できる環境を都が整え、資格取得者への昇給を促す原資を都が補助するべきである。また、重要な立場にありながら、なかなか昇給の機会に恵まれにくい施設長やリーダー職に対し、都が研修を実施して、認証するとともに、更なる昇給を促す原資を補助するべきである。併せて見解を伺う。

【福祉局長】

都は、介護福祉士等の資格取得に必要な経費を補助するほか、キャリアパスの導入を含む人材育成の仕組みづくりを支援してきた。一方、経験や資格、役職等に応じた任用・給与制度や、それらを運用する人事評価制度の仕組みは事業者により様々である。今後、施設長やリーダー職も含め、介護職の更なる魅力向上に向け、都内事業者の実態を把握・分析しながら、より実効性のあるキャリアパスの導入支援策と望ましい人事給与制度の在り方を検討していく。

⑤ 介護職員の資質向上

【質問】

施設長は、職場のメンタルヘルスの保持、働き方改革への対応など、その役割の重要性はますます高まっている。都は、介護を巡る社会環境の変化に応じた研修を定期的に実施し、施設長をはじめとした介護職員の資質向上を図るべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉局長】

介護職員の資質向上に向けた取組についてであるが、介護現場の生産性向上に向けたタスクシェアの推進や介護関連データを利活用した運営の普及など、介護を巡る社会環境は変化している。都は、介護事業所に対し、ニーズに応じた研修を行うための経費を支援するほか、研修の企画や講師の確保が難しい事業所に講師を派遣するなど、現場のスキルアップを支援している。また、東京都福祉人材センターでは、初任者、中堅職員、施設長等の管理職員など職層に応じた階層別研修等を実施している。今後、新たな現場ニーズにも対応できるよう、研修内容の改善等を行い、施設長を含めた介護職員の資質向上に向けて一層取り組んでいく。

シルバーパスの抜本的な改善

【質問】

高齢者がいつまでも元気で活躍していただくために、シルバーパスの果たす役割は重要である。

都議会公明党は繰り返し、利用者負担の軽減について、所得にかかわらず現行の安い金額にすべきと提案してきた。

シルバーパスの制度は、2000年以降25年間見直しがなされておらず、バス会社への運賃補償については、この間の物価高騰や人材確保に見合ったものになっていない。そこで、多摩都市モノレールへの利用拡大や自己負担の軽減など、在り方を検討すべき時期が来ていると考える。

都議会公明党はこれまで、事業の継続と充実を要望してきたが、高齢者の社会参加を促進する観点から、シルバーパスの抜本的な見直しを図り、改善すべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

シルバーパスについてであるが、シルバーパス制度は、現在の制度となってから四半世紀が経過し、平均寿命、健康寿命の延伸や、交通事情の変化、地域における移動手段の多様化など 本事業を巡る環境は大きく変化している。

このような状況の変化を踏まえ、アクティブな「Choju社会」の実現を目指し、高齢者の社会参加に加え、福祉、まちづくりなど、高齢者施策全体を総合的に議論していく必要がある。

こうした議論の中で、シルバーパスについても、利用実態を把握しながら、高齢者の社会参加を支える事業として、制度の改善に向け検討を行っていく。

防災対策

① オール東京での災害廃棄物処理体制の強化

【質問】

都議会公明党は、能登半島地震からの一日も早い復興のため、災害廃棄物を北陸3県だけでなく、都において、区市町村の協力の下、受入れ処理すべきであると訴えてきた。ようやく国が都に対し、災害廃棄物の広域処理を要請してきたことから、都は特別区・多摩地域の自治体などの協力の下、都内清掃工場での令和6年9月末の災害廃棄物受入れに向けて準備をしている。

都は、首都直下型地震を想定し、能登半島地震での教訓も踏まえ、オール東京での災害廃棄物の処理体制の強化を進めるべきである。知事の見解を伺う。

【知事】

東京全体での災害廃棄物の処理についてであるが、都は、区部及び多摩地域の清掃工場の協力を得て、令和6年9月27日から、東京全体での受入れを開始する。また、鉄道コンテナを保有する横浜市や川崎市とも連携し、輸送力を確保する。

さらに、補正予算により、鉄道コンテナ100基を令和7年度にかけて順次製造し、広域処理の迅速化と首都直下地震への備えを強化する。

今後、都内自治体や一部事務組合との連携を深め、専門人材の育成強化を含めた、実効性の高い災害廃棄物処理体制を確立していく。

「備えよ常に」の認識の下、東京全体での取組を一層充実させ、首都直下地震への対応力の強化を図っていく。

② 中小河川における調節池の整備

【質問】

豪雨対策は喫緊の課題である。都議会公明党はこれまでも、激甚化する豪雨による河川氾濫の対策として、調節池の整備を政策目標チャレンジ8に掲げ、都の取り組みを後押ししてきた。都も調節池等の整備を進め、令和6年夏の豪雨では中小河川の水位の低下に効果を発揮した。今後も、激甚化、頻発化する豪雨から都民の安心・安全を確保するためにも、効果の高い調節池等の整備をさらに進めてくことが重要である。

令和6年夏の集中豪雨に対し、調節池が発揮した効果と今後の整備に向けた知事の見解を伺う。

【知事】

都は、これまでに調節池を27か所総貯留量約264万立米分整備しており、令和6年8月末の台風10号による大雨の際は、11か所で洪水を取水し、水位を低下させた。

現在、8か所で約130万立米分の調節池工事を実施しており、このうち、下高井戸調節池と下谷橋調節池で令和6年度中に稼働を開始する。

さらに、気候変動への備えとして、2030年度までに約200万立米分の調節池の事業化を目指すとともに、環七地下広域調節池等を連結し東京湾まで繋げる、いわば新しい川を地下に1本作る取組を推進する。

引き続き、河川施設の整備を一層推進し、気候危機に打ちかつ強靱な都市東京を実現していく。

③ 区部における浸水対策

【質問】

都は、時間75ミリの雨量にも耐え得る下水道整備を進めるため、67の地域を重点地区に掲げ、対策を進めているが、令和6年7月31日、内水氾濫による浸水被害が出た地域の中には、重点地区に掲げられているものの、整備未着旬地域も含まれていた。一方、一部完成した施設を貯留施設として活用し、被害を防げた地域もあった。

一部完成した施設でも暫定的に貯留施設として活用するなど、早期に効果を発現させる取り組みを進めるべきと考える。区部における浸水対策について、見解を伺う。

【下水道局長】

区部における浸水対策についてであるが、下水道局では、早期に内水はん濫による被害を軽減するため、浸水リスクが高い67地区を重点化し、28地区を完了させるなど、着実に施設整備を進めている。

幹線など規模の大きな施設整備には長期間を要するため、一部完成した施設を暫定的に貯留施設として稼働することで早期に整備効果を発揮させており、令和6年は中野区東中野、杉並区阿佐谷地区で開始するなど、現在事業中の20地区のうち8地区において暫定貯留を実施し、その貯留量は合計約15万立方メートルに及ぶ。

今後、この取組を一層推進し、早期に効果を発現させ、都民の安全・安心を確保していく。

④ 雨水浸透ます設置に向けた都民意識向上の取り組み

【質問】

内水氾濫を防ぐには、雨水をしみ込ませるまちづくりを進めることが重要である。区市においても雨水浸透ます等の設置助成を進めているが、その活用数は多くなく、令和6年の豪雨の状況からも、これまで以上に取り組みを加速する必要がある。個人住宅への雨水浸透ます設置に向け、都民の意識を向上させる取り組みを進めるべきと考えるが、見解を伺う。

【東京都技監】

雨水流出抑制の推進についてであるが、河川や下水道等の負荷を軽減する雨水浸透ますは、公共施設に加え、個人住宅にも広げることで大きな効果が期待されることから、都民の豪雨対策への意識向上が重要であり、都は、これまでも雨水貯留浸透施設等への補助を拡充するとともに、広報誌や動画配信により、豪雨への備えなどの普及啓発を実施してきた。

令和6年度は、雨水流出抑制に取り組んでいる56の行政や民間企業等を「雨水しみこみアンバサダー」に認定し、官民連携による都民の意識向上を図ることとした。

こうした多くのアンバサダー等による普及啓発により更に雨水流出抑制対策を推進していく。

⑤ 災害用トイレに係る区市町村支援

【質問】

能登半島地震では水洗トイレが使用できず、避難者が二次的に健康を害する問題が顕在化した。

災害に備えて、トイレトレーラーや循環型トイレなど、し尿の処理等も考慮した様々な種類のトイレ対策を計画的に取り組むことが重要である。

都は、各自治体が地域特性に応じて災害用トイレの確保に取り組めるよう支援していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【総務局長】

災害用トイレに係る区市町村への支援についてだが、能登半島地震においては、ライフラインが深刻な被害を受け、トイレの衛生環境が悪化した。そのため都は、令和6年度、能登半島地震の教訓や区市町村、専門家の意見などを踏まえ、災害時のトイレ環境の向上に向けた計画策定に取り組んでいる。

現在、区市町村が災害用トイレを適切に配備できるよう、発災直後、復旧期、それぞれの段階や、下水道管や建物などの被害想定を踏まえ、地域特性に応じて、必要となるトイレの量や種類などを検討している。今後計画を令和6年度内に取りまとめ、発災時にも衛生的なトイレを安心して利用できるよう、区市町村の取組を支援していく。

⑥ 無電柱化へのDX活用

【質問】

能登半島地震では、多くの電柱が倒壊し、避難や救援活動の支障となった。首都直下型地震に備え、無電柱化の一層の推進が必要である。

無電柱化には、道路地下に電線共同溝を設置するスペースを確保する必要があるが、地下空間には、ガス、水道管など、官民の様々な管理者が保有する地下埋設物が存在しており、移設に向けた調整や工事には多くの時間を要する。

今後、地下埋設物の移設に向けた地下の3D化など、DXの活用により無電柱化をスピードアップすることが重要と考える。都の見解を伺う。

【建設局長】

事業の実施に当たっては、限られた道路空間内に電線共同溝を設置することから、既設の地下埋設物の移設を効率的に進める必要がある。

このため、令和6年度より地下埋設物の位置や設計の3Dデータ化に取り組んでおり、これらを活用し、設計段階から埋設企業者等との間で情報を共有することで、円滑な事業調整を図っていく。

こうしたDXの取組により無電柱化を加速し、安全で強靭な都市東京を実現していく。

⑦ 災害時の携帯電話位置情報の活用

【質問】

能登半島地震では、携帯端末の位置情報が不明者捜索に積極的に活用されたが、このほど国は、自治体が安否不明者名簿に基づき、通信事業者に位置情報の提供を求めることができるよう運用を見直した。

災害時に携帯電話の位置情報を活用することは有効な手段であることから、都も活用に向けた取り組みを速やかに進めるべきと考えるが、見解を伺う。

【総務局長】

災害時の携帯電話位置情報の活用についてであるが、災害時に住民の安否確認を円滑に行うためには、携帯電話の位置情報は有益であり、令和6年6月、国は自治体の災害対策本部が、携帯電話事業者へ位置情報の提供を要請できることとした。

都は、発災後、区市町村が得た氏名など安否不明者の情報を収集しており、位置情報の活用のためには、携帯番号など更に詳細な情報が必要である。また、人の行き来が激しい首都圏では、速やかな安否確認のため、近隣自治体等との情報共有も重要である。今後、区市町村や近隣自治体、携帯事業者、警察、消防等と情報収集の方法や手順などについて、具体的な検討を進めていく。

産業施策

① 東京プラスサポート融資制度の活用による中小企業支援

※東京プラスサポート融資制度・・・都が独自に実施している融資制度。都が地域の金融機関と連携し、原則無担保で事業性資金をスピード感を持って融資している。

【質問】

エネルギーや各種原材料の高騰などにより、中小・小規模事業者は厳しい経営状況に追い込まれており、資金繰りにおいても、厳しい状況である。

制度融資の利用だけでは足らず、追加資金が必要な事業者にとって、東京プラスサポート融資制度がさらに利用しやすくなることが大事である。

都は、この制度を活用した資金繰りの負担軽減策を図るべきである。見解を伺う。

【産業労働局長】

東京プラスサポートによる支援についてであるが、感染症対応融資の返済開始や原材料価格の高騰などにより、資金繰りが厳しい中小企業が事業継続を図るため多様な資金調達の手段を確保することは重要である。

そのため、制度融資での資金調達が困難な中小企業に対し、都独自の融資制度において、貸付原資の預託や損失の補助といった財政措置を講じることにより、金利や保証料の軽減を図っている。さらに令和6年度中に、融資期間の上限を5年から7年に延長し、事業者の月々の返済負担を軽減する。

こうした取組により、中小企業の資金繰りを下支えしていく。

② 中小企業の事業承継

【質問】

後継者難による倒産件数は6年連続で増加しており、さらなる対策が必要である。また、中小企業の事業承継にはM&Aが有効な手段の1つである一方、悪質な事業者が高い仲介手数料を取るなど、M&Aのイメージが悪化している。中小企業が安心して事業承継に臨めるよう、寄り添った相談対応により後継者を見つけ、望ましいM&A等に至った成功事例の紹介や、悪質な事業者による被害を防止する対策を強化すべきである。都の見解を伺う。

【産業労働局長】

中小企業の事業承継についてであるが、都内中小企業における事業活動の維持・発展に向けて円滑な事業承継が進むよう支援することは重要である。

そのため都は、地域の経済団体と連携し事業承継の相談対応を行うとともに、年間1,100社を超える企業に事業承継の専門家が訪問し、助言等を行ってきた。

今後は、セミナー等での成功事例の周知を充実するとともに、相談窓口や企業訪問において令和6年8月に改訂されたM&Aの健全化に関する国のガイドラインの内容を丁寧に紹介する。また、M&A取引において不適切な事案が生じた際は、国の窓口への情報提供のサポートも開始する。

これらにより、中小企業の事業承継を後押しする。

③ M&Aに対する金融支援

【質問】

中小企業の技術力の継承と得意先確保の観点から、事情をよく知る同じ業界の中小企業によるM&Aに期待することを耳にする。

都は、こうしたニーズに応えるためのM&Aを仕掛ける側に対する支援策を整えているが、資金が不足し断念するケースや、融資メニューを把握できていないケースもあることから、業界団体からは、M&Aに乗り出し、業界の仲間の支援に取り組む上での融資を待ち望む声も寄せられている。

買い取る事業者も支援の対象であることを積極的に情報提供するとともに、経済団体と連携した取り組みを強化するべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

M&Aに対する金融支援についてであるが、中小企業の事業活動の維持と発展に向け、事業の円滑な承継を金融面から後押しすることは効果的である。

都の制度融資では、令和6年度から、M&Aを行う際に、買取り側の企業が株式を取得する費用などにも対応するため、融資限度額の引上げや融資期間の延長など、支援の強化を図っている。こうした融資メニューを多くの事業者に活用していただけるよう、金融機関や支援機関と連携してPRするほか、経済団体のセミナー等において周知を行っていく。

今後も、中小企業のM&Aによる事業承継が促進されるよう後押ししていく。

④ 社会経済情勢を踏まえた入札制度改革

【質問】

都は、7年前の入札制度改革において、東京都発注工事について、積算業務の負担軽減の観点から、建築工事については4.4億円未満、土木工事については3.5億円未満、設備工事においては5.5億円未満の価格帯の案件を事前公表のままとした。

現在の資材及び人件費の高騰においては、7年前の入札制度改革時のままの価格帯では実態に合っていないため、東京都発注工事の事前公表の価格帯を現在の経済状況を踏まえ、改めて見直すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【財務局長】

社会経済情勢を踏まえた契約制度についてであるが、都は、品質確保と、同規模の企業間での公平な競争を目的として事業者の規模や能力に応じた等級格付けを実施するとともに、各等級に対応した建築・土木・設備工事ごとの価格帯を発注標準金額として設定している。

各種契約制度も、この等級別発注標準金額を基本に適用範囲等を定め、公平、公正かつ中小企業が入札に参加しやすい制度の構築に努めてきた。

近年の経済状況を踏まえ、入札状況等を検証するとともに外部有識者の意見も聞きながら、等級別発注標準金額と、予定価格の公表区分などこれに付随する制度について、実態を踏まえて検討を進めていく。

⑤ 技術者育成モデルJV工事の取り組み強化

【質問】

7年前の入札制度改革において、JVによって中小建設業が大手建設業から技術等を学ぶ貴重な機会であることを踏まえ、技術者育成モデルJV工事を導入したが、実態は、令和5年度までの6年間の平均モデルJV工事は年間3.7件しかない状況である。

災害時における地域の守り手としての中小建設業の技術力向上を図るため、技術者育成モデルJV工事の取り組みを強化すべきである。都の見解を伺う。

【財務局長】

技術者育成モデルJV工事についてであるが、都は、大規模な工事契約において条件としていたJV結成義務を見直す際に、JVが、中小企業が大企業から技術等を学ぶ貴重な機会であることを踏まえ、一部案件において大企業と都内中小企業とのJV結成を要件としたモデル工事を導入した。

平成30年度から令和5年度までの6年間で22件を実施し、中小企業の技術力向上につながる成果が報告されている一方で、参入事業者が少ないといった課題も生じている。

今後、モデル工事について、参画企業へのヒアリング等を通じ、中小企業育成を強化する方向で検討を行う。

⑥ 業務委託における最低制限価格の適用拡大

【質問】

最低制限のない、いわゆるダンピング受注は労働者の賃金へのしわ寄せが懸念されることから、都議会公明党は、最低制限価格の導入をかねてより求めてきた。最低賃金の持続的上昇が見込まれる中で、労働者の処遇と業務委託の品質の確保の両立を図るためには、最低制限価格制度のさらなる適用の拡大が必要である。

都は国に対し、人件費を主な内容とする委託は悉(ことごと)く請負に区分できるという方針を示すか、準委任であっても発注者の判断により最低制限価格を設定できるとするよう求めるべき。見解を伺う。

【財務局長】

業務委託における最低制限価格制度についてであるが、著しい低価格での受注は、契約の品質確保及び担い手の確保に支障を来すことが懸念されることから、最低制限価格制度等を適切に活用することが有効である。

一方、業務委託に最低制限価格制度の導入を検討するに当たっては、法令上、適用可能とされる範囲が不明確であることに加え、業務内容に応じた多様な積算手法が存在する等の課題があり、都はこれまで、設計等委託や印刷請負において試行を積み重ね、順次、この制度の導入を図ってきた。

御指摘の法令上の課題については、国とも意見交換を行うなど、引き続き課題解決に向けて検討を進めていく。

⑦ 公共工事における猛暑対策

【質問】

都議会公明党は、令和5年第3回定例会で、工事中断指示等の熱中症対策を求め、令和6年7月22日には、改めて知事に対し、同様の緊急要望を行った。

都は、熱中症対策として工期の割増し、これに伴う経費増への対応を、建築を含む営繕工事全般に広げ、発注当初から契約に反映させるべきである。

また、そうした事前の対策を講じてもなお足りないほど、猛暑日が続く場合には、柔軟に契約変更に応じるべきであるが、見解を伺う。

【財務局長】

建設工事における工期設定についてであるが、都は工事の発注に当たっては、施工条件や資機材の納期等を考慮し工期を設定している。

また、土木工事においては、過去の猛暑日の実績に基づき、作業ができない日数を予め工期に含めて発注するとともに、設計で見込んだ日数を超える場合は、協議を行い工期や経費の変更も可能としている。

建築工事などの営繕工事においても、令和6年10月1日以降、大規模なものから猛暑日を考慮した工期を順次設定するとともに、契約変更についても適切に対応していく。

⑧ 東京都社会的責任調達指針

※東京都社会的責任調達指針・・・都が持続可能性にも配慮した調達を行うことを通じて、都の調達にとどまらず、企業の調達においても、環境、人権、労働及び経済の各分野での望ましい慣行を敷えんさせ、持続可能な社会に貢献することを都の社会的責任と捉え、これを果たすために策定した指針。

【質問】

都は、都議会公明党の提案を受け、「未来の東京」戦略において、SDGs目線の取り組みを都庁から世界に広げ、持続可能な社会に貢献することを掲げた。こうした中、東京都社会的責任調達指針を策定したが、都は、経営者に寄り添って、丁寧に調達指針の趣旨や意義をしっかり伝え、共感を得るべきである。

また、取り組みが不十分な事業者に対してペナルティを課すのではなく、望ましい取り組みを促進させる支援が必要と考える。都の見解を伺う。

【財務局長】

東京都社会的責任調達指針についてであるが、都は、令和6年7月に調達指針を策定して以降、その趣旨や背景等を説明した解説版を作成し公表するとともに、ウェブサイトや業界団体等を通じた周知や、オンライン説明会の開催に取り組んできた。

今後は、関係局と連携してセミナー等を通じた周知を行うなど、事業者の一層の理解促進に努めていく。

また、指針が求める望ましい慣行の定着を目指し、いわゆる推奨的事項について、総合評価方式競争入札における加点など、インセンティブ付与のあり方を検討していく。

⑨ タクシーへの燃料費支援

【質問】

令和6年度補正予算案には、都議会公明党が繰り返し求めてきたタクシーに対する燃料費支援が計上されている。

タクシーはバスと同様に重要な公共交通であり、国ではこれまでも、タクシーを燃料費支援の対象としてきた。

今回、都が初めてタクシーへの燃料費支援を決断するに至った経緯と、その支援内容を明らかにすべきである。また、全タクシーを支援対象とするべきと考えるが、都の見解を求める。

【東京都技監】

タクシーへの燃料費支援についてであるが、タクシーは、観光やビジネスだけでなく、通院や高齢者の移動手段など、都民生活と直結した役割も果たしている。また、コロナ禍を経て、利用者のニーズが変化しタクシーを含めた移動手段が多様化している。

令和4年以降の運賃改定後も、依然として燃料価格の高騰や人材不足が続き、厳しい状況にあるタクシー事業者についても、速やかに価格転嫁することが困難な事情を考慮し、今回、燃料費の支援を実施することとした。

実施に当たっては、都内の全タクシーを対象として、1台当たり12,000円を支援する。今後は幅広く広報を展開し、事業者の制度活用を促進していく。

⑩ カスタマーハラスメント防止条例

【質問】

都議会公明党が早期制定を求めていた、全国初となるカスタマーハラスメントを禁止する条例案が令和6年第3回定例会に提出された。現場での運用の鍵となるガイドラインについて、指針の作成という形で盛り込まれている。

サービス業の現場では、カスタマーハラスメントや、それによる人材流出の危機感から、対面サービスを縮小する動きも見られるなど、深刻な状況が続いている。今こそ全国初の条例で先鞭をつけることによって、国による法制化にも弾みをつけていくべきである。また、企業に所属しない方を含め幅広い働き手を都条例で守り、被害者がアクセスしやすい支援体制も設けるべきと考えるが、条例の意義と併せて知事の見解を伺う。

【知事】

カスタマーハラスメント防止条例についてであるが、働く人が傷つけられ精神的なダメージを受け、人材の流出も招くカスタマーハラスメントをこれ以上放置することはできない。こうした行為を、職場の努力や労働者を守る法律だけで防ぐことは困難である。

そのため、都独自の規範として、あらゆる人を対象にカスタマーハラスメントを禁止する条例案を提出した。国や他の自治体の取組との相乗効果により、ハラスメントは許されないとの理念を社会に広く浸透させていく。

カスタマーハラスメントの被害者に対しては、条例で、事業者による安全の確保や配慮を求め、指針においてその具体的な方法を示す。

加えて、職場で支援を求めることが難しい方や組織に所属しない方が、相談しやすい体制を構築していく。

⑪ カスタマーハラスメントの防止

【質問】

条例を解説する指針を早期に作成し、罰則を設けない意義や悪質な行為は刑法の犯罪に該当することなどを伝え、条例の理解を広げていくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

カスタマーハラスメントの防止についてであるが、今般提出した条例案では、全ての人を対象に、あらゆる場面でカスタマーハラスメントを禁止する規定を設けたことを大きな特徴としている。

罰則に関しては、禁止行為を狭く限定することにつながることに加え、禁止されない行為は許容されるという理解が広がることも懸念されることから、罰則を設けずガイドラインにより実効性を確保することとした。

こうした考え方を丁寧に解説する指針を令和6年内に作成し、条例への幅広い理解を促していく。また、悪質な迷惑行為は刑罰が適用されることも記載し、ハラスメントは決して許されないとの認識を広げていく。

都市機能の向上

① 鉄道駅のホームドア整備の加速

【質問】

都は、都議会公明党政策目標・チャレンジ8の一つである鉄道駅のホームドア整備の加速に向けた官民協議会を設置した。

新たな協議会においては、先の検討会で実施した技術的課題の検討結果等も生かし、国と連携しながら財政面や施工面などの課題も含め実効性のある対応策を検討すべきと考えるが、見解を伺う。

【東京都技監】

ホームドア整備の加速についてであるが、ホームドアは、駅利用者の転落を防止し、かけがえのない人の命を救う重要な施設である。その整備には、ホームの補強や通路幅の確保などの課題があり、官民が連携し取り組むことが不可欠である。

都は、令和6年7月に、国土交通大臣に整備加速を要請するとともに、8月には、鉄道事業者と国が参画する「ホームドアの整備加速に関する協議会」を設置した。

協議会では、鉄道事業の許認可権を有する国の技術的な支援も得ながら、設計基準の運用改善や新技術の活用など工期短縮やコスト縮減につながる対策を検討し、整備の加速を実現していく。

② 多摩都市モノレールの町田延伸

【質問】

多摩都市モノレールの町田方面延伸の決定に向けての取り組みについて、知事の見解を伺う。

【知事】

多摩都市モノレールの町田延伸についてであるが、多摩地域は、400万人もの人口を擁し、豊かな自然や良好な住環境に恵まれ、また、多くの大学や研究機関が集積するなど、その発展は活力ある東京の実現に欠くことができない。

多摩都市モノレールの町田方面への延伸により、開業区間と一体となって南北方向の拠点が結ばれ、多摩地域の活力や魅力が更に向上する。

令和5年度末に地元2市が連携し、沿線まちづくり構想を策定したところであり、都は、そうした動向を踏まえ、令和6年度から、関係機関等と共に、導入空間となる道路の検討や延伸の事業性検証に着手した。

引き続き、地元市によるまちづくりの深度化や関係機関等との協議・調整状況を勘案しながら、本路線の具体化に向けて取り組んでいく。

③ 都市計画道路の整備方針

【質問】

今後、予定される2026年度からの整備方針については、歩道のない都道、狭隘道路の解消、整備の遅れている多摩の都道や多摩都市モノレールの町田延伸の導入空間の確保など、優先整備路線を選定すべきである。

次期整備方針に関する検討の進め方など、今後の都の取り組みについて見解を伺う。

【東京都技監】

都市計画道路の整備方針についてであるが、都市計画道路は、交通、物流機能の向上による経済の活性化のみならず、日々の生活を支え、災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤である。

都はこれまで、おおむね10年ごとに優先的に整備すべき路線を選定し、計画的、効率的な都市計画道路の整備に取り組んできた。

現在の整備方針の計画期間が令和7年度末であることから、令和6年10月、学識経験者による委員会や、都と区市町による検討会を設置する。

今後、区市町と連携し、幅広く都民意見の把握に努めながら、新たな整備方針の策定に向け検討を進めていく。

④ 火葬場整備に係る特別区への支援

【質問】

近年、多くの民間火葬場で一般の火葬料金が9万円と高騰していることから、都議会公明党は、党都本部にプロジェクトチームを設置して、各区議会議員と連携して課題の調査研究を行ってきた。都内の死亡者は年々増加し、現在の公営火葬場が今度予定している火葬数増加対策だけでは火葬待ちも解消されず、地域によっては高額な民間に頼らざるを得ない状況が続くと考えられる。

現在、公営火葬場の新設を求める請願・陳情が複数の区議会で採択等されている。そこで、今後、臨海斎場のように、複数区で新たな火葬場を設置するということになれば、都としても関係自治体に対して支援を行うべきと考えるが、都の見解を伺う。

【総務局長】

火葬場整備に係る特別区への支援についてであるが、都は、特別区における都市計画事業の円滑な促進を図るため、都市計画交付金により、区が負担する都市計画事業費の一定割合を支援しており、火葬場整備事業も対象となっている。

平成16年には、港区、品川区、目黒区、大田区及び世田谷区の一部事務組合により、臨海斎場が開設されており、都は区の要請に応じて、取扱基準に基づく都有地の減額売却及び本交付金を活用した財政支援を実施した。

今後、特別区が新たに火葬場整備を行う際には、これらの仕組みを活用し、支援することとなる。

⑤ 都立の葬儀所でのご遺体の保管場所

【質問】

独居高齢者や親族の遺体引取り拒否の増加によって、身寄りのない遺体、いわゆる無縁遺体が増加している。

遺体安置に係る費用負担は最終的に自治体が行うことになっているが、都立の葬儀所においても保管場所の増設に取り組むべきと考える。都の見解を伺う。

【建設局長】

都立の葬儀所でのご遺体の保管場所についてであるが、葬儀や火葬までの間のご遺体を適切に保管するニーズに対応していくことは重要である。

現在の瑞江葬儀所には、火葬までの間、ご遺体を保管するための柩保管庫が8体分ある。新たに整備する新施設には、2体分を増設し、10体分の柩保管庫を設置するとともに、利用状況を踏まえながら、本施設で火葬を行わない場合でも、柩保管庫を利用できるようにする。また、建替え中の青山葬儀所には、8体分の柩保管庫を新たに設置し、都民に広く利用いただけるよう検討する。

今後とも、公営葬儀所としての役割を的確に果たしていく。

⑥ 「ODAIBAファウンテン(仮称)」の整備

【質問】

都は先般、臨海副都心に世界最大規模の噴水「ODAIBAファウンテン(仮称)」を整備することを発表した。

この事業を進めていくに当たっては、地域の皆様の理解を得ることが何よりも重要である。また、都民の税金を新たに支出することがないよう取り組むべきであるが、都の見解を伺う。

【港湾局長】

お台場海浜公園の噴水についてであるが、臨海副都心の魅力に更に磨きをかけ、一層の賑わいを創出することは地域の発展にとって重要である。

これまで、多くの事業者や団体等から、臨海副都心の価値向上と更なる発展を推し進めていくための取組について要望があり、大きな経済効果を生み出す世界最大級の噴水を整備することとした。整備費及び維持管理費は、現在精査中であるが、一般会計ではなく、埋立地の売却等による収入を財源とする臨海地域開発事業会計を活用するため、都民の税金は一切使わない。

今後、地域の皆様方のご意見等を伺いながら、臨海副都心の新たな魅力となるよう整備を進めていく。

デフリンピック

【質問】

大会の準備を進める上で、1年前イベントは重要な機会となる。この機会を捉え、大会の成功に向け、デフリンピックの概要の都民へのアピール、当事者の参画や都民の皆様のボランティア参加の推進、子供の競技観戦等の点で、準備に弾みをつけるべきだが、見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

デフリンピックに向けた取組についてであるが、多くの人から理解や協力を得ながら、大会を成功に導いていくことが重要である。

都は、当事者団体である全日本ろうあ連盟と協働した運営体制を確立して準備を進めており、令和6年11月には、広く大会を知ってもらうため、1年前イベントを開催する

あわせて、ボランティアの募集を開始して多くの方の参加を募るほか、ろうの当事者の方々に手話言語を用いて活動していただく機会も提供する。

大会時には、多くの子供たちに競技を観戦してもらうなどあらゆる人が参画・協働できる大会としていく。

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