医療的ケア児に対する支援
① 医療的ケア児の通学費支援について
【質問】
都では、現在、通学が難しく自宅等で教員の訪問により指導を受けている生徒については、福祉タクシーの交通費を支援しており、この交通費への支援を学校に通学している医療的ケア児にも広げるべきと考えるが、都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
医療的ケア児の通学費支援についてであるが、医療的ケア児の学校における学習機会の拡充を図るためには、安心して通学できる手段を確保することが重要である。
現在、都教育委員会では、肢体不自由特別支援学校において、医療的ケア児の専用通学車両を運行しており、ケアの実施体制が整い、乗車できるようになるまでの間は、保護者の付添いによる通学をお願いしている。その際、障害の状態や安全上の理由から福祉タクシーを利用する場合があり、現状においては、その費用は保護者の負担となっている。
今後は、医療的ケア児支援法の趣旨も踏まえ、子供たちの通学機会の一層の拡充と保護者負担の更なる軽減を図るため、通学費の支援について検討を進めていく。
② 人工呼吸器の電源確保について
【質問】
在宅で人工呼吸器を使用している医療的ケア児の災害発生時の電源確保のため、蓄電池も補助の対象とすべきと考えるが、見解を伺う。
【福祉保健局長】
人工呼吸器の電源確保についてであるが、都は、災害時に備え、在宅で人工呼吸器を使用する医療的ケア児などに、自家発電装置等を無償で貸与・給付する区市町村を包括補助で支援している。
近年、台風や大雪などの風水害による停電が多く発生しており、自家発電装置等に加え、屋内で安全に使用できる電源の確保が求められている。
このため都は、補助対象に蓄電池を加えることについて、過去に大きな被害を受けた道府県の状況や、専門家の意見を踏まえながら、検討を進めていく。
食品ロス対策
【質問】
都は、2030年食品ロス半減に向け、事業者と連携しながら先進技術の積極的な活用を図っていくべきと考えるが、見解を求める。
【環境局長】
食品ロス対策についてであるが、事業系の食品ロス削減に向けては、事業者が有する知見、技術力等を活かした新たなビジネスモデルの創出により、先進技術の活用を推進していくことが有効である。
都は、スーパーの販売実績等のビッグデータをAI解析し在庫を適正化するモデル事業を行い、食品ロスを4割削減し、その後の社会実装につなげてきた。
今年度は、ロングライフ化を行う事業者を公募し、飲食店で余った食材を急速冷凍技術を用いて自販機で販売する取組や、期限が短い惣菜パンの風味を保った冷凍販売等、販売時のロス削減を目指す実証事業を行っている。
今後は、得られた成果等を関係事業者と広く共有するとともに、食と先進技術の融合したフードテック等の活用も検討しながら、更なる食品ロスの削減を進めていく。
フードパントリー
【質問】
フードパントリー事業に、コーディネートに係る人件費や諸経費などの運営費も新たにメニューに追加し、更なる事業拡大につなげるべきと考える。フードパントリー事業の現在の取組状況を明らかにするとともに、今後の展開について、見解を伺う。
【福祉保健局長】
フードパントリーについてであるが、都は、生活困窮者等に食料を提供するとともに、適切な支援につなげる地域の拠点となるフードパントリーの設置に取り組む区市町村を支援しており、今年度は5区市が実施する予定である。
国は今般の補正予算案において、コロナ禍で困窮するひとり親家庭等の子ども等を対象とした子ども食堂やフードパントリー等の事業者への支援を拡充することとしている。
今後、国の動向も注視しつつ、区市町村の状況を把握し、フードパントリーの設置がより一層進むよう働きかけていく。
循環器病対策の推進
【質問】
都民の命を守るために、循環器病についての知識と普及、啓発を図り、確実な検査・診断につなげていく必要がある。東京都循環器病対策推進計画の策定の意義を改めて伺うとともに、循環器病に関する知識の普及啓発を進めるべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
循環器病対策の推進についてであるが、脳卒中、弁膜症などの心臓病その他の循環器病は、令和2年の人口動態統計によると、悪性新生物に次ぐ死亡原因となっている。
循環器病は、運動不足や不適切な食生活等の生活習慣に端を発して、患者自身が気付かないうちに病気が進行することが多いことから、予防・健診の普及や知識の啓発が重要である。
都は本年7月、循環器病対策基本法に基づき、予防から治療、在宅療養、就労に至るまで、総合的かつ計画的に推進することを目的に、東京都循環器病対策推進計画を策定した。
今後、医療・保健・福祉の関係者等からなる循環器病対策推進協議会で具体的な取組を検討し区市町村や関係団体等と連携しながら、循環器病の発症・重症化予防等を推進し、誰もが質の高い医療を受けられ、安心して暮らせる東京の実現を目指していく。
災害対策
① 目黒川流域及び野川の新たな調節池について
【質問】
目黒川流域及び野川においても新たな調節池を早期に事業化していくことが重要である。都の見解を伺う。
【建設局長】
目黒川流域及び野川の新たな調節池についてであるが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備と併せて、豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池の整備を推進することが重要である。
河川整備計画では、目黒川流域において、上流の支川である蛇崩川、烏山川、北沢川で総容量約47万立方メートル、野川において約80万立方メートルの調節池の整備を位置付けている。
現在、その候補地となる場所や構造形式の選定などの検討を進めており、この内、目黒川流域における新たな調節池について、来年度の事業化に向け、関係機関との調整を行っている。
今後とも、浸水被害の軽減に向け、こうした取組を着実に推進していく。
② 下水道の浸水対策について
【質問】
経営計画2021において、世田谷区野毛地区を含む3地区が浸水対策を強化する地区として重点化されている。地域住民の不安を払拭するため、新たに追加した3地区の浸水対策を早急に推進していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【下水道局長】
下水道の浸水対策についてであるが、下水道局では早期に浸水被害を軽減するため、経営計画2021において追加した3地区を含め、57地区を重点化して幹線等の施設整備を進めている。
地区の追加に当たっては、流出解析シミュレーション技術を活用し、広い範囲に床上浸水等が確認された「世田谷区野毛地区」と、「目黒区自由が丘、世田谷区奥沢地区」の2つの地区を1時間75ミリ降雨に対応する対策強化地区とした。また、近年の浸水被害の状況等を踏まえ、「板橋区熊野町、中丸町地区」を1時間50ミリ降雨への対応を基本とする対策重点地区とした。
新たに追加した3地区については、経営計画2021の期間である令和7年度までの着手を目指していく。