小林健二議員の一般質問

文化財の防火安全対策について

【質問】

多くの文化財が存在する東京において、自然災害、なかんずく火災から文化財を保護する取組を一層推進していくべきと考える。教育長の見解を求める。

【教育長】

文化財の防火対策についてであるが、文化財は、都民はもとより国民共通の貴重な財産であり、適切な防火対策を講じ、後世に継承することが必要である。

都教育委員会は、昨年4月に国が実施した国宝や国指定重要文化財に対する防火設備等緊急状況調査に合わせて、独自に都指定文化財を対象とした調査を実施した。

この調査結果に基づき、文化財の所有者や区市町村に対し、指導・助言を行うとともに、防火設備を整備する都指定文化財所有者に対して、財政的支援を行った。

引き続き、所有者や区市町村に対し、国の文化財の防火対策ガイドラインを周知するとともに、東京消防庁とより一層連携し、防火の取組を支援していく。

【消防総監】

文化財の防火安全対策についてであるが、火災による焼失を防止し、貴重な文化財を次世代に継承することは重要であると認識している。

東京消防庁では、毎年1月26日の文化財防火デーを中心に、文化財の関係者と連携した自衛消防訓練等を実施するとともに、都民に向けた各種広報を通じて、文化財に対する防火防災意識の高揚を図っている。

また、首里城の火災を受け、文化財及び大規模木造建築物など計702対象に対して、関係者の関心が高まっている火災直後の1か月間に、緊急の防火安全指導を実施し、出火防止対策等の再徹底を図った。

今後も、教育庁等の関係行政機関と連携し、文化財の防火安全対策に取り組んでいく。

資源リサイクルについて

【質問】

国内外から注目の集まる東京2020大会において、都民や事業者、業界団体等の協力を得ながら、世界に誇るべき日本の分別とリサイクルの文化を世界に発信し、持続可能な資源利用の実現につなげていくべきと考える。知事の所見を求める。

【知事】

持続可能な資源利用の実現についてであるが、東京2020大会を契機に、資源の持続可能な消費と生産のモデルを実現し、世界に広げていくことは、先進国の主要都市である東京が果たさなければならない責任である。

大会では、資源の3R、すなわちリデュース、リユース、リサイクルの取組を徹底するとともに、物を大切にする心「リスペクト」を加えた4Rの取組を推進し、資源循環の高度化を図る。

具体的には、競技会場において、使い捨てプラスチックを徹底的に削減し、都民や事業者の協力を得ながら来場者に向けて、ごみの分別を呼びかける分別ナビゲーター活動を行う。

こうした取組を、大規模イベント時における東京発の資源回収の新たなスタイルとして、幅広い普及を図る。

また、廃ペットボトルから新たなペットボトルを再生するボトルtoボトルの取組を推進し、飲料メーカーやリサイクル関連業界等との連携により、高度で質の高いリサイクルの潮流を確立する。

大会を契機に、日本が誇るもったいない意識や持続可能な資源利用の実現に向けたノウハウを大会のレガシーとして、国内外に広く発信していく。

【質問】

社会全体でリサイクルを推進する集団回収事業を今後も安定的に継続させていくためにも都として積極的な支援策を講じるべきと考える。古紙の集団回収に対する都の現状認識と、今後の取組について見解を求める。

【環境局長】

古紙の集団回収についてであるが、集団回収事業は、地域団体、自治体、資源回収業者の三者が連携し、古紙などを回収・リサイクルする活動であり、地域の資源利用を進める上で重要な取組である。

昨今の古紙市況の悪化により、古紙の集団回収から撤退する資源回収業者が現れ、多くの自治体から集団回収の実施が困難な状況になりつつあるとの声が寄せられている。

このため都は、現在、区市町村担当者や古紙回収業界へのヒアリングを通じて、古紙回収の現状や、市況悪化による影響などの実態調査を行っている。

今後、この調査結果を踏まえ、地域における古紙の健全なリサイクルシステムの維持に取り組む区市町村への支援策を検討していく。

児童虐待防止について

【質問】

練馬区は練馬子ども家庭支援センター内に練馬区虐待対応拠点を設置する方針を発表した。これは練馬区の提案に東京都が積極的に応え、区と都の共同モデル事業としての取組と聞くが、都が共同でこの事業に取り組んでいく意義とその内容について見解を伺う。

【福祉保健局長】

児童相談に係るモデル事業についてであるが、子供たちを虐待から守るためには、住民に身近な地域で支援を行う子供家庭支援センターと、専門的知識や技術が必要となるケースに対応する児童相談所が、連携・協働していくことが重要である。

来年度、都が練馬区と共同で実施するモデル事業では、区の子供家庭支援センター内に都の児童相談所のサテライトオフィスを設置し、児童相談所職員が虐待相談に対応するとともに、都と区の連携拠点として、合同での調査や個別ケース検討会議などを実施することとしている。

事業の実施状況等は、全区市町村が参画する合同検討会で共有し、都と区の連携事例として、東京全体の児童相談体制の強化に向けた検討に活用していく。

障害者スポーツについて

【質問】

パラリンピックの成功はもちろんのこと、大会後も障害者スポーツ振興を推進していくことが必要。そのためにも、大会後も競技団体に対する支援を一層充実させていくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【オリンピック・パラリンピック準備局長】

障害者スポーツ競技団体への支援についてであるが、障害者スポーツの振興のためには、競技の普及や選手育成等の中核を担う競技団体の取組の強化が重要である。

都はこれまで、東京2020大会に向けて、競技団体が行う練習会や合宿など、競技力向上に資する取組を支援しており、今後は、対象とする競技団体の拡大についても検討していく。

また、来年度は団体のガバナンス強化の観点から、人材確保や資金調達の手法などをテーマにした研修会を新たに実施するとともに、専門家による会計処理や法人格の取得に向けた助言・相談なども実施していく。

こうした取組などを通じ、障害者スポーツ競技団体の運営基盤を一層強化し、障害者スポーツを大会後も広く普及させ社会に根付かせていく。

都立学校の通信環境について

【質問】

「未来の東京」戦略ビジョンにおいて、都立学校の普通教室の無線LAN整備率を2022年に100%を達成するとの目標が掲げられた。令和2年度における都立高校及び都立特別支援学校への無線LAN整備の取組について見解を伺う。

【教育長】

都立学校の通信環境についてであるが、都教育委員会は、校内の無線LAN環境等を整備し、生徒が所有するスマートフォン等を活用したBYOD研究校において、一人一人の力を最大限伸ばす学びの充実や、校務の効率化等といった成果を確認した。

都立学校における普通教室の無線LAN整備率は、平成31年3月時点で約16%であり、BYOD研究校の成果を全都立学校に広げていくためには、通信環境整備の加速が必要である。

そのため、令和2年度に、都教育委員会は、都立学校80校の普通教室、特別教室等に無線LAN環境を整備する。こうした取組により、「スマート東京実施戦略」が掲げる「全ての児童・生徒がインターネットに繋がる環境の実現」を目指していく。

医療施策について

【質問】

災害医療情報収集を始め災害拠点病院のBCPの質についても評価を行うべきとの課題提起がなされている。BCP策定を推進することは重要だが、こうした指摘も視野に入れ、実効性のある計画を病院が策定できるよう、都は取り組んでいくべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

病院のBCPについてであるが、病院のBCPが災害発生時に有効に機能するためには、平時からBCPに基づく訓練を繰り返し行い、その検証結果を踏まえ、内容を随時見直すことが必要不可欠である。都は、ガイドラインに繰り返し点検・見直し等を行うことの重要性を明記するとともに、防災訓練説明会等の機会を活用し、近年の自然災害を踏まえて見直しを行った事例等を紹介し、より実効性のあるBCPの策定を働きかけている。

来年度は、現在のガイドラインに、電力量や備蓄量等の例示など、病院の規模や機能に応じた内容を新たに加えるとともに、アドバイザーを活用し計画策定に取り組む病院を支援するなど、災害時の効果的な業務継続体制の確保・推進に取り組んでいく。

防災に資する公園について

【質問】

都市計画公園・緑地の整備方針の改定を踏まえ、城北中央公園及び石神井公園の防災機能の強化を着実に推進していくべきであるが、見解を伺う。

【建設局長】

城北中央公園及び石神井公園の防災機能の強化についてであるが、両公園は震災時の避難場所や救出救助等の活動拠点となる区部西部の重要な公園であり、防災機能の強化のため、公園区域の拡大と防災施設の整備に取り組んでいる。

公園区域の拡大については、城北中央公園では約七ヘクタール、石神井公園では約4haを優先整備区域に位置付け、来年度は、両公園の既取得地の一部で造成整備に向けた設計を進める。

また、照明灯の改修や非常用電源等の防災施設の整備は、来年度、城北中央公園では工事完了の予定であり、石神井公園では工事に着手する。

今後とも、地域の防災力の向上に向け、防災公園の整備を積極的に推進していく。

【質問】

練馬区と緊密に着実に連携を図り、防災公園としての練馬城址公園の整備計画を早急に示していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【建設局長】

練馬城址公園の整備計画の策定についてであるが、本公園の計画区域は、練馬区の中央部に位置しており「都市計画公園・緑地の整備方針」においては、首都東京の防災機能の強化を目的に、重点的に整備を進める公園に位置付け、21.9haを優先整備区域として設定している。

これまで、計画区域の地形や動植物の分布、文化財の状況等の調査分析を進めるとともに、地元の練馬区と、水とみどりの拠点づくりに加え、防災の取組やにぎわいの創出など、公園の目指すべき姿について意見交換を進めている。

整備方針の改定案においても、引き続き、優先整備区域を設定しており、地元区と緊密に連携を図りながら、整備計画の速やかな策定に向け取組を進めていく。

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