上野和彦議員の本会議一般質問

災害対策

①リーダーの迅速果敢な危機管理対応について

【質問】

新型コロナウイルス感染症流行の中、複合災害のリスクがかつてないほど高まっており、未曽有の災害に対するリーダーの迅速果敢な危機管理対応が求められている。そこで、最悪の事態を想定した危機に臨む知事の見解を求める。

【知事】

新型コロナウイルス感染状況を踏まえた危機管理対応についてであるが、今、都は、かつて経験したことのない新型コロナウイルス感染症という「見えざる敵」との闘いの只中にあり、この闘いは長期にわたることが予想される。

一方、近年気候変動等により、災害が年々激甚化・頻発化しており、昨年度は台風第19号により大きな被害が発生しているほか、首都直下地震等の発生も懸念されている。

私は、阪神淡路大震災の際に、避難所においてインフルエンザがまん延するなど、ひとたび大規模な地震が発生すれば、様々なことが同時に起きることを身近に経験した。

また、防衛大臣として中越沖地震への対応を指揮した際は、刻々と変化する被災者のニーズを先々まで見通し、きめ細かな対策を展開した。

こうした経験から、危機管理の要諦は、様子を見て広げていくのではなく、最初に最大限を想定し、そこから状況に応じて柔軟かつ的確に対応していくことだと心得ている。

東京が様々なリスクに直面し、予断を許さない状況にある中にあっても、あらゆるリスクを念頭に置き、万全の対策を講じることこそ、リーダーの責任にほかならない。

「備えよ、常に」の精神で防災対策を幅広く推進することが、都民の皆様が安全・安心の中でいきいきと輝くことのできるセーフシティ東京の実現につながるものと認識している。

②避難所における感染症対策について

【質問】

自宅療養の検査陽性者の避難には、防災部門と保健所部門との連携が不可欠であり、感染可能性のある避難者の対応には、保健師等の専門的知識が必要。都は、陽性者等の対応について、適切な避難所の運営ができるよう区市町村を支援すべきと考えるが、見解を求める。

【福祉保健局長】

避難所における感染症対策についてであるが、国の通知では、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、区市町村は、通常の災害発生時よりも可能な限り多くの避難所の開設を図るとともに、ホテルや旅館の活用等を検討することや可能な場合には親戚や友人の家等に避難していただくことも周知することとされている。

また、軽症者等については、原則として、一般の避難所に滞在することは適当ではないとされている。

都は、こうした国の通知や感染症対策の専門家の意見を踏まえ、陽性者等の避難について、区市町村の防災部署や保健衛生部署の取組を把握した上で、避難所の運営に当たっての留意点を示すなど、区市町村が適切に対応できるよう支援していく。

③東京マイ・タイムラインの普及啓発について

【質問】

都は、東京マイ・タイムラインの作成を支援するなど普及啓発を図ってきており、このような取組の継続は重要である。そこで新型コロナ感染症対策を踏まえ、創意工夫を凝らして、自宅で学習できるマイタイムラインの普及啓発を進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。

【総務局長】

東京マイ・タイムラインの普及啓発についてであるが、都民が風水害発生前の適切なタイミングで正しく避難行動がとれるようにするためには、マイタイムラインの継続的な普及が必要である。

都は、これまで、作成支援セミナーなどの研修を主体として、普及啓発活動を進めてきたが、集合形式による開催が難しい状況において、自宅でもマイタイムラインの作り方を学習できる動画を配信することとした。

この動画は、洪水、高潮、土砂災害などの特徴や地域特性などを踏まえた内容としているほか、児童版や日本語、英語字幕版も用意し、ユーチューブでも配信することで、誰でも手軽に学習できるようにしている。

今後とも、様々な手法や機会を活用し、マイタイムラインの幅広い普及啓発に取り組んでいく。

④耐水対策について

【質問】

建設局における耐水対策の進捗状況について。

【建設局長】

河川施設の耐水対策の進捗状況についてであるが、東部低地帯においては、想定される最大級の地震による津波や、台風による高潮などによる浸水が発生した場合でも、水門や排水機場等の機能を確保することが重要である。

このため、都は、平成24年に「地震・津波に伴う水害対策に関する都の基本方針」を取りまとめた。

この基本方針に基づき、建設局では「東部低地帯の河川施設整備計画」を策定し、耐震対策に加え、耐水対策として、水門や排水機場等の電気、機械設備について、計画の高潮高さより高い位置へ移設することとした。

現在、22施設全てで事業化し、そのうち水門等8施設、排水機場2施設の対策が完了した。引き続き、令和3年度末までの完了に向けて耐水対策を推進していく。

【質問】

港湾局における耐水対策の進捗状況について。

【港湾局長】

海岸保全施設の耐水対策の進捗状況についてであるが、港湾局では、平成24年度に策定した「東京港海岸保全施設整備計画」に基づき、東京港沿岸部の背後の市街地等を防護する水門、排水機場について、河川施設と同様に、耐震対策に加え、電気、機械設備を、計画の高潮高さより高い位置に移設する耐水対策を推進している。

現在、水門、排水機場のうち、耐水対策が必要となる14施設を全て事業化し、そのうち水門八施設の対策が完了している。

引き続き、残りの水門3施設、排水機場3施設について、令和3年度末までの完了に向けて耐水対策を着実に推進していく。

【質問】

下水道局における耐水対策の進捗状況について

【下水道局長】

下水道施設の耐水対策の進捗状況についてであるが、下水道局では、都の方針に基づき平成24年度に「下水道施設の地震・津波対策整備計画」を策定しており、下水道施設が、堤防や水門等に守られているなどの立地条件を踏まえ、万が一、地震により堤防等が損壊したときに津波が襲来した場合に備え、東京都防災会議で示された最大津波高さに対しての耐水対策を実施している。

対象とした水再生センター・ポンプ所34施設全てで平成28年度末までに対策を完了させた。

⑤今後の耐水対策について

【質問】

今後の耐水対策について、都の見解を伺う。

【建設局長】

今後の都の耐水対策についてであるが、大規模水害時の東部低地帯や沿岸部において、都民生活を早期に復旧、復興していくためには、速やかな排水により浸水を解消することが重要である。

このため、都は、施設の耐水対策に加え、避難体制等の充実、強化を目的とした高潮浸水想定区域図を踏まえ現在、排水ポンプ車の配置計画等の検討を進めている。

一方、国では現在、気候変動による降雨量の増加や海面水位の上昇を踏まえた治水計画などについて社会資本整備審議会に諮っている。

想定し得る最大規模の高潮に加え、こうした国の動向も注視しつつ、排水施設の耐水対策について関係局と課題を共有しながらしっかりと議論していく。今後とも水害に強い都市の実現に向け、治水対策に取り組んでいく。

都市基盤整備

①千葉県境における橋梁整備について

【質問】

補助第143号線と補助第286号線の橋梁整備について、都の所見を伺う。

【建設局長】

千葉県境の橋梁整備についてであるが、約300万人の都民が生活する東部低地帯では、洪水等の災害時のリダンダンシーを確保し、避難や緊急物資輸送等を確実に行うため、新たな橋梁整備が不可欠である

このうち、用地取得が比較的少なく、早期着手が可能な補助第143号線については、令和4年度の事業着手に向けて、橋梁構造等の検討を進めていく。

また、都県の防災拠点を結ぶ補助第286号線については、河川管理者との協議を進めるとともに、高規格堤防の計画や沿道のまちづくりとの整合を図りながら、事業手法等について、地元区と調整していく。

引き続き、共同事業者となる千葉県や地元区との連携を一層強化し、千葉県境の橋梁整備に着実に取り組んでいく。

②篠崎公園の整備について

【質問】

都は平成24年に高台化を含めた整備計画を策定した。次の段階として、都は篠崎公園の高台化の実現に早急に取り組むべきであるが、都の見解を伺う。

【建設局長】

篠崎公園の高台化の取組についてであるが、篠崎公園では、水害時にも対応する広場の高台化や江戸川堤防への避難動線の確保に取り組むこととしている

江戸川沿いの区域を高台化するため、平成28年に国の高規格堤防や地元区の区画整理と連携する基本協定を締結し、現在、盛り土の支障となる埋設物の移設工事に向けて各企業者と調整を進めている。また、計画区域中央の約7.8ヘクタールについて、平成30年に事業認可を取得した。さらに、柴又街道沿いにおいては、平成29年に試験盛り土を行った未開園地を含む約2.6ヘクタールについて、今年度新たに高台化の基本設計に着手する。

今後とも、篠崎公園の防災機能を強化するため、高台化への取組を着実に進めていく。

③葛西臨海公園一帯の魅力向上について

【質問】

葛西臨海公園は、葛西海浜公園や葛西臨海水族園とも一体的な利活用という観点を持って、その魅力向上を図っていく必要があると考える。知事の見解を伺う。

【知事】

葛西臨海公園一帯の魅力向上についてであるが、葛西海浜公園が、平成30年、東京都で初めてラムサール条約湿地に登録されたことは大きな成果である。

葛西海浜公園に隣接する、葛西臨海公園と葛西臨海水族園は、多くの都民に利用されているとともに、自然環境の面で大きなポテンシャルを持っている。

今後、これらの公園一帯を、豊かな自然環境を活かし、国内外からの多くの人々が親しむことのできる場所として、整備していくことが重要である。

そのため、葛西臨海公園では、花の名所の魅力向上として、スイセンやヒマワリなどの大規模な花壇を整備するとともに、渡り鳥等を観察するウォッチングセンターの改修などを進めていく。

また、多くの人々に干潟という生物多様性に富む海辺の自然を広く周知していくなど、海浜公園や水族園と一体となって、地域全体の魅力向上に取り組んでいく。

環境政策

①水と緑溢れる東京について

【質問】

都は、10年、20年先を展望した長期戦略を今後策定すると聞いているが、玉川上水を生かした緊急水利システムの構築も長期戦略の構想に導入するなど、自然災害に直面しても適切に対応できる「水と緑溢れる東京」を実現すべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

水と緑に溢れる東京についてであるが、都市の豊かな水や緑は、気候変動の影響を抑制し、安らぎや潤いのある快適な都市環境の形成に寄与する

また、消防水利や緊急時の飲料水など、首都直下地震などの脅威に備え、まちの安全を確保する観点からも重要である。

かつて東京は、江戸時代には、自然勾配を巧みに利用した玉川上水とその分水網が、江戸を豊かな水の都にしてきた。

まちなかには、河川や水路が張り巡らされ、武家屋敷や庭園には豊富な緑が保全されており、水と緑は江戸の暮らしを豊かにしてきた。

こうした先人たちが築いてきた財産を活かす観点から、「『未来の東京』戦略ビジョン」では、水を多摩川から引き、かつての玉川上水の姿によみがえらせる可能性を長期的に展望しながら、まず、外濠の浄化を進めるプロジェクトを開始した。

今後、様々な関係者と連携し、防災の視点も含め、水と緑溢れる豊かな都市東京の実現に取り組んでいく。

②外濠におけるアオコ対策について

【質問】

今年度の外濠におけるアオコ対策の具体的な取組について、都の見解を伺う。

【建設局長】

外濠におけるアオコ対策についてであるが、外濠については、東京2020大会の開催に向けて、国の指定史跡にふさわしい良好な環境となるよう、水質改善を進めていくことが重要である。

このため、昨年末に完了したしゅんせつに加え、今年度は、更なるアオコ対策として庁内関係5局による検討会での方針に基づき、水質改善処理剤の散布など外濠に適応可能な対策を、調査、検討し、9月中を目途に取り組んでいく。

今後とも、歴史的財産である外濠の水質改善に向けた取組を進めていく。

③外濠への導水に向けた調査などについて

【質問】

外濠への導水に向けた、管路の施設機能調査などを早急に着手するべきであるが、都の見解を求める。

【東京都技監】

外濠への導水に向けた調査などについてであるが、これまで都は、関係局が連携して、外濠の効果的な水質改善方策を幅広く検討し、河川水等の導水の有効性などを確認してきた。

外濠への導水に向けては、水源、水量の確保や、玉川上水など既設水路の活用、新たな導水路の整備など、広範で多岐にわたる検討が必要である。

このため、新型コロナウイルス感染症への対応状況も踏まえながら、関係局が役割分担し、国や地元区との連絡会議も活用し、必要な調査などの着手に向けて取り組んでいく。今後とも、関係機関と連携し、外濠の水質改善を進め、水の都にふさわしい、まちに潤いを与える東京を実現していく。

救急医療体制

①ドクターヘリ導入に向けた検討について

【質問】

ドクターヘリは一分一秒を争う人の命を救うために有用であり、公明党は導入について提案してきた。昨年の第四回定例会で、知事は、東京型ドクターヘリと連携したドクターヘリの導入に向け検討を進めていくと答弁した。現在の進捗状況と今後の取組について、伺う。

【福祉保健局長】

ドクターヘリ導入に向けた検討についてであるが、都は、これまで、ドクターヘリの有用性が高い地域について調査を行うとともに、ドクターヘリを導入している近隣他県に赴き、導入までの検討事項や手続、導入後の運行状況、課題などを確認してきた。

また、本年2月に、都の災害医療コーディネーターや学識経験者等で構成されるドクターヘリ導入検討委員会を設置し、運用方式や基地病院の要件等について検討を行うとともに、救命救急センターを有する多摩地域の病院を対象に、現地調査やヒアリングを実施した。

今後、導入検討委員会での検討状況も踏まえながら、基地病院や協力病院の選定に向け、救急医療対策協議会において検討を進めていく。

②近隣県との連携について

【質問】

東京オリンピック・パラリンピック大会を見据えた近隣県との具体的な連携に向けた検討状況と今後の取組について、見解を求める。

【福祉保健局長】

近隣県との連携についてであるが、都は、隣接県と協定を締結し相互応援や共同運航を行っている県に赴き、実施体制や費用弁償、ドクターヘリの要請基準や要請方法、搬送先医療機関の決定などについて情報を収集した。

これらも踏まえながら、今後、近隣県との連携に向け、ドクターヘリの共同運航に関わる基本的な事項を定める協定や運航マニュアルなどについて、具体的な検討を進めていく。

③ドクターヘリについて

【質問】

緊急医療体制の強化は極めて重要である。ドクターヘリ導入に向けた動きを加速化し、令和3年度からの東京都ドクターヘリの運航を目指して全力で取り組むべきと考えるが、本格導入に向けた決意について、知事の見解を求める。

【知事】

ドクターヘリについてであるが、お話しの小型ヘリを活用したドクターヘリは、短時間での離陸など機動力が高く、救急医療の効率的な提供に寄与している。

都は、現在、東京消防庁と連携して遠距離運航や夜間飛行が可能な東京型ドクターヘリを多摩や島しょ地域において運用しており、小型ドクターヘリと併用することで、都の救急医療体制の機能強化が進むよう、令和三年度の導入に向け、着実に取り組んでいく。

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