教育について
【質問】
長期戦略の策定に向けた論点整理には、東京が目指す教育のイメージは示されているが、それを担う教員の育成について言及されていない。今月末に公表される長期戦略ビジョンには、教育現場を担う優れた教員の育成の視点を盛り込むべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
教員の育成についてであるが、科学技術の進歩やグローバル化の進展など、世の中の動きは極めて速い。
予測不可能な時代においては、これまでのロールモデルにとらわれず、子供たちが自らの希望や意思に基づいて、人生を選択していけるようにしなければならない。
そのためには、未来を切り拓く子供一人ひとりが持つ個性や特長を活かして、自立性や創造性を伸ばしていくことが必要である。
こうした、新しい時代にふさわしい教育を築き上げていく上で、子供の教育に直接携わる教員が果たす役割は極めて重要である。
「東京都教育施策大綱」では、重要事項の一つとして、「子供たちの学びを支える教師力・学校力の強化」を掲げており、急速に変化する社会の中で、教員が、子供たちの力を最大限伸ばすとともに、きめ細かく寄り添うことができるよう、資質・能力の向上に取り組んでいる。
東京の活力の源は「人」であり、未来を担う子供たちを大切に育てていくことは、「人が輝く東京」を創り上げるためのベースとなる。
年末に策定する長期戦略ビジョンでは、お話しの、教員の育成の重要性を十分に踏まえ、新しい時代にふさわしい教育の実現に向けた政策を盛り込んでいく。
【質問】
都市間の教育国際交流の枠組みを広げながら、現場の教員同士が交流する場を増やしていくべきと考える。教育長の所見を伺う。
【教育長】
教員同士が国際交流する場の拡大についてであるが、教員が海外の教育者との交流を通じて、多様な指導法や考え方を学び、共通の教育課題について議論しながら、指導力を高めていくことは、グローバル人材育成に向けた教育の充実を図る上で、有効である。
今年10月には、オーストラリアから複数の校長が都内の公立学校を訪問し、ビジネスや食糧問題等の授業を実施し、教員と意見交換を行った。参加した学校からは、生徒との対話を中心とした指導方法や、ICTの効果的な活用が参考になった等の声が寄せられた。
今後、教育に関する覚書を締結している海外の教育行政機関等との連携を活用し、国内外の教員が相互にモデル授業を行い、ディスカッションをする等、教員同士が、現場に根差した交流ができる機会を拡大していく。
【質問】
世界教育者会議の開催を展望し、海外派遣研修報告会・シンポジウムのさらなる充実に取り組むべきであるが、教育長の所見を伺う。
【教育長】
教員の海外派遣研修報告会等についてであるが、都教育委員会が今年11月に実施したシンポジウムでは、オーストラリアや米国の教員や有識者等により、各国・地域の先進的な教育手法や新しい時代における教員の役割に関するパネルディスカッション等を行った。
参加した約200名の都内公立学校の教員への調査では、「論理的な思考力を向上させる指導法やSTEAM教育の実践例が参考になった」、「主体的な学びを促す授業実践に役立てたい」等、非常に好評だった。
今後は、より幅広く参加者を募り、国内外の教育者と対話しながら様々な教育手法に関する理解を深めたり、双方の教育改善について議論したりする等、参加型シンポジウムへと充実させ、グローバル人材育成に向けたより良い教育の在り方を、東京から発信する場としていく
SDGsについて
【質問】
SDGsの実現に向けて、グリーンボンドによって財源が充当される事業を新たに増やすなど取組を充実するべきと考えるが、知事の所見を伺う。
【知事】
東京グリーンボンドの取組についてであるが、環境と金融の両面で世界をリードするスマートシティの実現を目指し、平成29年度から、全国の地方自治体に先駆けてグリーンボンドの発行を開始した。
東京グリーンボンドは、都の環境施策の強力な推進やグリーンボンド市場の活性化、投資を通じた都民や企業の環境配慮意識の醸成など、重要な役割を果たしている。
こうした考えの下、調達した資金は、都有施設への再生可能エネルギーの導入や公園整備など、CO2やエネルギー使用量の削減に資する事業のほか、河川護岸や防潮堤の整備など、気候変動への適応策に活用しており、SDGsの実現にも大きく寄与している。
3回目の発行となる今年度は、機関投資家向けの応募倍率や投資表明件数が過去最高となるほか、個人向けでは、販売初日に完売するなど、関心の高まりが改めて確認できる結果となった。
来年度は、東京グリーンボンドの発行意義を積極的に高めていくため、充当事業の拡充を進めるなど、取組の更なる充実を図っていく。
【質問】
スマートシティ、ダイバーシティを目指す東京都としてこれらの実現に貢献するユニバーサルデザインタクシーを、目標の10,000台を超えて、さらなる普及に取り組むべきと考えるが、都の見解を求める。
【環境局長】
ユニバーサルデザインタクシーについてであるが、都は、環境性能が高く、車いすのまま乗車できるユニバーサルデザインタクシーの普及を図るため、平成28年度から令和2年度までの5年間で10,000台普及させる目標を掲げ、導入する事業者に対して補助制度を設け、支援策を講じている。
本年11月末現在、補助金の申請受付は、約8,600台、また、都内の登録台数は本年10月末現在で、約9,900台となっており、間もなく目標とする10,000台に達する見込みである。
ユニバーサルデザインタクシーは、東京2020大会のレガシーともなりうる取組であるとともに、自動車の低炭素化をさらに促進するものであることから、より一層の普及に向けた取組を検討していく。
【質問】
持続可能な社会を実現するため、SDGsに先進的に取り組む推進校の成果を、都内全ての公立学校において活用できるようにすべきと考えるが、都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
SDGsに関する教育についてであるが、これからの社会に生きる子供たちには、自然環境や地域・地球規模の諸課題等を自らの課題と捉え、協働して解決するなど、持続可能な社会の創り手としての資質や能力を身に付けることが求められている。
そのため、都教育委員会は、小・中・高・特別支援学校の中から推進校を指定し、資源のリサイクルや理想のまちづくりなどをテーマとした、各学校における教科の枠を越えた実践的な研究を促進してきた。
今後、教育活動におけるSDGsの位置付けや推進校の先進的な取組等をまとめた資料を作成し、都内全ての公立学校に配布するとともに、各推進校の研究発表会でその成果を地域等に広く発信するなど、持続可能な社会の実現のために貢献できる人材の育成を支援していく。
災害対策について
【質問】
より多くの子供たちが家庭で「マイ・タイムライン」を作成できるよう、学校での指導をさらに進めるべきと考える。都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
学校でのマイ・タイムラインの指導についてであるが、近年の自然災害の実態を踏まえ、子供たちが天候の状況等を見極め、適切な避難行動をとれるようにするためには、学校での指導を一層充実させることが必要である
これまで都教育委員会は、子供たちが災害から身を守る行動等を学ぶ「防災ノート」の作成と学校での活用等を通して、防災教育の推進を図ってきた。こうした取組に加え、今年度は、風水害の備えに関する意識を高めるため、総務局と連携し、都内公立学校の全ての子供にマイ・タイムラインを配布し、家庭での作成を促してきた
今後、全ての都立高校等が1年生等を対象に、授業や防災訓練の中で、マイ・タイムラインに関する指導を行うことにより、家庭での作成につなげ、生徒とその家族が、風水害に対して万全な備えができるようにしていく。
【質問】
新河岸川をはじめ都が管理する主要な河川に監視カメラを増設するべきである。また、監視カメラの映像を見ることができるサイトについても来年の出水期までにアクセス集中に対するシステムの強化を行うべきである。河川監視カメラの増設と併せて都の見解を伺う。
【建設局長】
河川監視カメラの増設と水防災総合情報システムのアクセス集中対策についてであるが、水害から都民の命を守るためには、河川の状況をわかりやすくリアルタイムに伝える監視カメラの設置等、住民の避難に資するソフト対策を進めることが重要である
都は、昨年度の防災事業の緊急総点検を受け、今年度より、新河岸川を含む都内全域の河川を対象に監視カメラの設置拡大に向けた検討を実施しており、設置する河川や箇所などを選定していく。
また、水防災総合情報システムについては、大規模水害時のアクセス集中に対応できるよう、今年度中に通信容量の増強等の機能強化を実施する。
引き続き、河川の監視強化と都民の避難判断につながる水防災情報提供の更なる充実に取り組んでいく。
【質問】
城北中央公園調節池の効果と進捗状況について伺う。
【建設局長】
城北中央公園調節池についてであるが、激甚化・頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備と併せて、豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池の整備を推進することが重要である。
本調節池は、石神井川において、時間最大75ミリの目標整備水準達成に向けて整備する、総貯留量約25万立方メートルの地下調節池である。
現在、一期事業として、令和7年度末の完了を目指し、約9万立方メートルを貯留する調節池本体の構築を進めている。これにより、平成22年に北区で溢水被害を発生させた時間最大114ミリの豪雨が降った場合でも、溢水を防止する効果を発揮する。
今後とも水害に強い都市、東京の実現に向け、治水対策を着実に推進していく。
都市計画道路について
【質問】
都市計画道路である補助第92号線のJR山手線立体区間の取組状況について、都の見解を伺う。
【建設局長】
補助第92号線についてであるが、本路線のうち、JR山手線及び山手貨物線との交差部を含む、北区中里3丁目から同区田端5丁目までの延長約160メートルの区間は、第四次事業化計画の優先整備路線に位置付けられている。
本区間の整備により、掘割構造となっている鉄道で分断されている地域の連絡機能が強化され、防災性や安全性が向上する。
鉄道との交差部は、橋梁形式で整備することから、現在、鉄道事業者と協議を進めている。
引き続き、橋梁構造や周辺道路との接続方法の検討を進め、地元区や関係機関と連携し、早期事業化に向けて積極的に取り組んでいく。
税務行政について
【質問】
今後、税務のICT化の進展等を踏まえ、住民サービスの向上を図るとともに、必要なところに必要な人を配置し、将来にわたり正確で公正な課税・徴収事務ができるよう、業務改革もあわせて進めていくべきであるが、都の見解を伺う。
【主税局長】
税務のデジタル化に伴う業務改革についてであるが、Society5.0の社会実装に向けた変革が進む中、税務行政のデジタルトランスフォーメーションを実現するため、主税局では、将来にわたり都税収入を確保し、歳入所管局としての使命を果たし得る税務行政のあり方について、現行基幹システムの再構築を含めた検討を行っている。
税務のデジタル化により、申告・申請や納税などの手続において都民の利便性の向上を図るとともに、内部の税務事務についても可能な限りシステム化を図ることで限られた人材を個々の実情に応じたきめ細かな税務相談や、取引・資産保有形態の多様化に対応した税務調査に重点配置するなど、社会構造の変化に対応した執行体制を構築していく。