東村邦浩議員の本会議(2月27日)代表質問

子育て・若者・教育施策

① 私立高校授業料の実質無償化の速やかな支給について

【質問】

都議会公明党が毎定例会で訴えてきた、所得制限を設けない都立・私立高校等の授業料実質無償化が令和6年4月よりスタートするが、各学校の意向により、4月からも一旦、学校に授業料を納めなければならず、7か月後に授業料が返還されるという仕組みになっている。

所得制限の撤廃により所得審査がなくなった今こそ、都は、国の就学支援金の立て替えや、都の特別奨学金の早期支給により、できるだけ速やかに保護者の負担をなくすために実質無償化の授業料分を支給すべきであるが、知事の見解を伺う。

【知事】

私立高校授業料の負担軽減についてであるが、教育は子供の健全な育ちを支える重要な基盤であり家庭の経済状況に関わらず、子供たちが将来にわたって安心して学ぶことができる環境を早期に実現する必要がある。

都はこれまでも私立高校の授業料負担軽減に取り組んでおり、補助金の支給方法については、令和5年度、手続の電子化等により支給時期を10月に前倒ししている。

令和6年度は、対象者についての所得制限を撤廃する新たな制度を実施し、制度の円滑な執行に努めていく中で、今後、より一層速やかな支給が実施可能となるか、国や関係者との間で調整を図り、検討していく。

② フリースクール等への支援について

【質問】

都の不登校生徒数が過去最多となり、学校以外の学びの場であるフリースクールのニーズが高まっている。フリースクールに通うには月額平均4万3千円の費用がかかる。また、フリースクールの経営者からは、活動内容を充実させたくても公的な財政支援がないため困難であるとの声を伺っている。子供たちがフリースクールで安心して学び、成長できるよう、既存の枠組みを超えて保護者やフリースクールへの財政支援策を打ち出すべきだが、都の見解を伺う。

【子供政策連携室長】

フリースクール等への支援についてであるが、都は令和6年4月から、不登校の状態にある義務教育段階の子供がフリースクール等に通う場合の利用料に対する月2万円の助成制度を創設し、保護者の経済的負担を軽減していく。また、フリースクール等に対する補助制度を創設し、子供一人ひとりのサポートプランの作成・実践や活動の安全性の向上等に必要な経費について支援することにより、子供の活動支援の充実等を後押ししていく。

これらを通じて学校外の多様な学び・居場所の選択肢を創出していく。

③ 「親の就労の有無に関わらない保育利用」の第二子以降の無償化について

【質問】

都議会公明党の提案で、都は令和5年度から、親の就労の有無に関わらず、専業主婦のご家庭なども希望すれば、0歳から2歳までの乳幼児が保育を受けることができる「多様な他者との関わりの機会創出事業」を開始した。

利用料については、令和6年度から第二子以降の無償化をはじめとして、より多くの子供たちが保育を受けることができるようにすべきだが、都の見解を伺う。

【福祉局長】

都は令和5年度、他者との関わりの中で、非認知能力の向上など子供の成長が図られるよう、保護者の就労等の有無にかかわらず、保育所等で児童を定期的に預かる取組を開始した。

令和6年度からは、より多くの児童の受入れが進むよう、運営費補助を拡充し、常勤職員の配置等による受入日数の拡大や障害児等の受入れを支援する。また、多子世帯の経済的負担を軽減するため、第二子以降の利用料を無償化する。

こうした取組により、子育て家庭の多様なニーズに寄り添いながら、子供の育ちを支援していく。

④ 子育て世代の住まいの確保について

【質問】

住まいは人が生きていく上での基本であるが、東京では、所得に占める住宅費の割合は最も多くなっている。そのため、2人目、3人目のお子さんの出産に躊躇されている家庭も少なくない。こういった社会的課題を解決するために、都が実施しているインパクトファンド(官民協働の投資)と、都内に80万戸以上あると言われている「空き家」を活用して、子育て世帯向けの住宅確保に取り組むべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

子育て世代の住まいの確保についてであるが、望む人誰もが安心して子供を生み育てやすい社会を実現するには、生活の基盤である住まいを安定的に確保できる環境の整備が必要である。

そのため、都は令和5年度、空き家を重要な資源として捉え、子育て世帯向けの住宅への活用など創意工夫を凝らす民間事業者への支援を開始した。

令和6年度は、都が設置する空き家に関する相談窓口を通じて、蓄積した情報を事業者へ繋げるとともに、補助制度や資金調達の支援など様々な施策を活用していく。

今後、子育て世代の住宅確保に向け民間のノウハウ活用を検証しながら幅広い視点で取り組んでいく。

⑤ 若年夫婦等への都営住宅の募集の改善について

【質問】

若年夫婦や子育て世帯向けの定期使用住宅の募集においては、将来の子育てや、現在子育て中であっても、2人目・3人目を安心して産み、育てられるよう、更に緩和し、積極的に広い住宅を提供すべきであるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

若年夫婦等への都営住宅の提供についてであるが、都営住宅では、応募倍率が1倍を切った広い住戸を、少人数の世帯でも申し込めるよう、これまで多摩地域を中心に緩和してきたが、令和6年1月から、区部でも毎月募集及び随時募集において同様に緩和を行っている。

令和6年5月からは、若年夫婦等が対象の定期使用住宅で将来の家族の増加等も考慮し、地域や応募倍率に関係なく、2人世帯から広い住宅に申込みできるようにする。

こうした取組により、若年夫婦等が、ニーズに即した住戸に入居できるよう、積極的に支援していく。

⑥ 都営住宅を活用した若者等への生活支援について

【質問】

経済的に苦しい状況が続く単身の若者等への生活支援は重要である。本来の目的を逸脱しない範囲で都営住宅でも積極的に支援を図るべきである。単身の若者等に、応募割れの空き住戸を活用して、住宅と就労の支援等がセットの施策を講じるべきだが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅の空き住戸を活用して、様々な都民ニーズに応える施策を展開することは重要である。

都は、これまでも、大学と連携して、団地のコミュニティ活動に参加する学生の入居を推進してきた。

令和6年度からは、区市町、社会福祉法人等、関係局と連携し低所得の若年・中年単身者の就労自立モデルの構築に向け、こうした都営住宅の現在の入居資格がない方々を対象として、多摩地域などを中心に、応募の少ない都営住宅の空き住戸を試行的に期限付きで提供していく。

さらに、入居する方々には、自立に向けた就労支援・家計改善相談等の必要なフォローを実施していく。

⑦ 小児インフルエンザ任意接種補助について

【質問】

高齢者には費用助成されているが、子供に対しては任意接種のため、大きな家計負担となる。また子供は罹患すると肺炎や脳症などの重症化のリスクもある。都議会公明党の提案で、令和6年度予算案では、子育て家庭への負担が重い13歳未満の小児インフルエンザワクチン接種の補助事業費が計上されたことを評価する。今回、接種率50パーセントの予想で予算を組んでいるが、それを上回るときにおいても柔軟に対応すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【保健医療局長】

小児インフルエンザ任意接種補助についてであるが、インフルエンザワクチンの接種回数は、13歳以上の1回に対し、13歳未満は2回とされており、子育て支援の観点から、13歳未満への接種に係る自己負担額が13歳以上と同程度となるよう、接種費用の助成を実施する区市町村への財政支援を行うこととした。

今後、本事業の趣旨や仕組みについて、新たに助成を検討する自治体も含め、区市町村や接種を行う医療機関等に対し、様々な機会を捉え丁寧に説明し、希望者が接種を受けられるよう、取り組んでいく。

被災地支援

① 災害廃棄物処理の支援について

【質問】

能登半島地震で発生した災害廃棄物は石川県で240万トンと推計され、通常の7年分に相当し、この災害廃棄物が復興の足かせになると言われている。都は、東日本大震災の時のノウハウも生かし、今後、災害廃棄物の受入や職員の派遣など、被災地のニーズを的確にとらえ、積極的な支援を行うべきと考えるが、都の見解を伺う。

【環境局長】

災害廃棄物処理の支援についてであるが、大規模な災害発生後には、大量の災害廃棄物が発生することから、被災自治体単独での対応は困難であり、広域的な支援が必要である。

都は発災直後から、石川県内の自治体における災害廃棄物の円滑な処理に向け、延べ20名の職員を派遣し、災害廃棄物の発生量推計や仮置場の開設準備、処理契約締結に向けた技術支援等を実施している。今後、建物解体の本格化に向けた技術支援や、国補助申請に係る事務支援等を継続的に実施する。加えて、適時適切に被災地のニーズを把握しながら、都内区市町村等とも連携し、災害廃棄物の広域処理に向けた支援のあり方を検討していく。

② 石川県の観光面からの震災復興の支援について

【質問】

東日本大震災の際、まず、どのような目的でもよいから被災地に来ていただき、経済を活性化してほしいとの強い要請があった。今回も、石川県の受入れ可能な観光地や温泉地を、都が積極的にプロモーションを行うなど、石川県の観光復興を支援すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

石川県の観光面からの震災復興の支援についてだが、能登半島地震により大きな被害を受けた石川県について、観光を通じて地域経済の復興を後押しする視点は重要である。

1月に地震が発生した後、都では、県庁から様々な地域について、宿泊施設の被害の実情や避難者の受入れ対応のほか、旅行者の来訪が可能なエリアの状況等に関する情報の収集を行ってきた。

今後、国や石川県の動向を踏まえながら、現地に職員も出向き状況を把握した上で、観光にふさわしい地域や時期に関する情報の発信を進める。

これにより、石川県の観光面からの復興を後押しする。

③ 被災地の復興支援について

【質問】

能登半島の子供たちは、小学校中学校の授業が再開しても、校庭に仮設住宅が建設されるなど、グラウンドが使えず、スポーツが思う存分できない。東日本大震災の時に被災地の子供たちを招いて実施されたように、能登半島の子どもたちを、スポーツを通じて元気にしていくためにも、今回も夏休みを利用して被災地の子どもたちとのスポーツ交流事業を行うべきと考えるが、都の見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

スポーツを通じた被災地支援についてであるが、スポーツには人々を勇気づけ、人と人との絆を育む力があり、被災地の復興を後押しし、とりわけ次代を担う子供たちに希望を与える。

東日本大震災では、都は、被災自治体と連携して、子供たちがスポーツをする機会を確保するため、岩手・宮城・福島の3県と東京の子供たちとのスポーツを通じた交流や国際大会の観戦招待等の事業を展開してきた。

能登半島地震後の対応においても、震災の復旧や復興の状況を見定めつつ、被災地の意向を確認したうえで、スポーツを通じて元気を届ける方策について、これまでの取組等も参考に検討していく。

大規模地震対策

① 緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について

【質問】

一棟でも沿道建築物が倒壊すると緊急輸送道路が機能しなくなることから、この事業は100%実施しなければ、意味がありません。そこで現在の状況と、一日も早く100パーセントを実現していくための今後の都の取組について、知事の見解を伺う。

【知事】

緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてであるが、令和6年1月に発生した能登半島地震では、建物の倒壊や道路の寸断などにより、救援、復旧活動に支障が生じた。この状況を目の当たりにした今、一刻も早く東京の防災力を高めなければならない。

都は、震災時に生命線となる特定緊急輸送道路の沿道建築物について、全国に先駆けて条例を制定し、耐震診断を義務付けるなど、耐震化を推進してきており、約9割の建物が耐震性を有するまで進展した。

防災意識が高まっているこの時を捉え、民間のアドバイザーにも協力いただきながら、耐震性が確保されていない沿道建築物に対して一気呵成(いっきかせい)に進めていく。

総力を挙げて、沿道建築物の耐震化を推進し、安全・安心な都市を実現していく。

② 火災の延焼を遮断するための特定整備路線の整備について

【質問】

都は、木造住宅密集地域において、火災の延焼を遮断し、救助や避難などの防災性向上に資する幅員15メートル以上の都市計画道路である特定整備路線を2025年度までに整備するとしている。

特定整備路線の現在の進捗状況と事業を進める上での課題とその解決に向けた取組について、見解を伺う。

【東京都技監】

これまで都は、生活再建支援の相談窓口を設置するなど、関係権利者に丁寧な対応を行い、現時点で66パーセントの用地を取得し、全区間で工事に着手している。

事業の一層の推進には、用地取得において移転に課題のある高齢者等への支援拡充が必要であり、令和6年度、相談窓口への来所が困難な方を対象に訪問型の生活再建支援を開始する。また公的住宅等を活用し移転先を確保する。

こうした取組により事業を一層推進し、地域の防災性向上を図っていく。

③ 戸建て住宅の耐震化について

【質問】

東京においても、首都直下地震に備えて、戸建て住宅の耐震化に向け、都民への支援や周知の取組を強化すべきと考えるが、見解を伺う。

【都市整備局長】

戸建て住宅の耐震化についてであるが、能登半島地震では、戸建て住宅が多数倒壊するなどの被害が発生した。都民の生命と財産を守るためには、戸建て住宅の耐震化を進めることが喫緊の課題である。

令和5年度から、旧耐震基準に加え平成12年以前に建築された新耐震基準の木造住宅への耐震化助成を開始し、令和6年度からは耐震改修等の補助限度額を引き上げる。

また、新たにデジタル広告など様々な媒体を活用して広報を展開するとともに、区市町村と連携した個別訪問相談会等において、戸建て住宅の耐震化の必要性を都民一人一人に伝わるよう周知していく。

これらにより、戸建て住宅の耐震化を強力に推進する。

④ 耐震化促進税制について

【質問】

都議会公明党は、令和5年の予算特別委員会において、耐震化促進税制の軽減対象を新耐震基準の木造住宅の改修へと拡充するよう提案した。住宅の耐震化の更なる推進に向け、令和6年度以降、新耐震基準の住宅にも税制面からの対応をすべき。都の見解を伺う。

【主税局長】

耐震化促進税制についてであるが、住宅の耐震化に向けて、税制の活用は有効な手段の一つであり、都は、23区内において、旧耐震基準に基づき建築された住宅を建て替えた場合、又は耐震改修した場合に、独自の固定資産税及び都市計画税の減免を行ってきた。

令和6年度からは、平成12年以前に建築された新耐震基準の木造住宅を令和7年度末までに耐震改修した場合も、新たに減免の対象に追加する。

こうした取組により、住宅の耐震化を税制面から更に後押ししていく。

⑤ 戸建て住宅の液状化対策について

【質問】

首都直下地震では、都内の埋め立て地域や地下水の深度が浅い地域などでは、液状化が広く発生し、被害が甚大に及ぶ危険性があるため、液状化対策工事への補助を開始するべきである。その際、個人建て主だけでなく建売事業者にも適用するなど、補助対象を幅広く設定するべきである。また、新築工事だけでなく、既存建築物での対策にも補助を適用するべきであるが、見解を伺う。

【都市整備局長】

戸建て住宅の液状化対策についてであるが、能登半島地震では、液状化により戸建て住宅が大きく傾くなどの被害が多数発生しており、戸建て住宅の液状化対策を進めていくことが重要である。

このため、令和6年度から、所有者等が行う液状化対策のための地盤調査や対策工事に係る費用への助成を新たに開始し、建売住宅の事業者等に対して補助を行う場合も対象とする。

また、既存住宅の液状化対策に係る工法認定の取得に向けた事業者等への支援を実施していく。

⑥ 液状化対策の周知や促進策について

【質問】

建築工事費の上昇が続く中にあっても液状化対策が進むよう、必要性を周知するほか、事業者と連携して液状化対策の促進策を検討すべきであるが、見解を伺う。

【都市整備局長】

液状化対策の周知や促進策についてであるが、首都直下地震等における被害想定では、都内の広範囲において液状化による被害が示されており、戸建て住宅への対策の必要性を都民に周知するとともに、事業者と連携して取り組むことが重要である。

このため、ポータルサイトなどによる普及啓発に加え、動画配信サイトや地下鉄車内での広告などにより、幅広く都民向けに周知を行う。

また、ハウスメーカーや業界団体等と連携し、建て主等に対策の実施を働きかけていくなど、戸建て住宅の液状化対策を推進していく。

⑦ 水道の強靭化の更なる推進について

【質問】

都では基幹施設の機能不全に備えて、相互に機能を補完し合う上水道施設の整備を急いでいるが、現状8割程度である。都内の人口規模からいえば、100万人単位で断水が長期化する可能性がある。都として計画を練り直すことも視野に、水道の強靭化を更に推進すべきと考えるが、水道局長の見解を伺う。

【水道局長】

水道の強靭化の更なる推進についてであるが、水道局では、被害を未然に防止する予防対策として、管路の耐震継手化は約5割、バックアップ機能の強化は目標の約8割の施設整備を完了しており、断水リスクを着実に低減している。また、被害が生じた場合を想定し給水車の配備拡大や受援体制の充実、工事事業者との連携強化等に取り組んでいる。

今回の能登半島地震では、施設の状況や地勢的な要因などもあり、広域的かつ長期間の断水が発生した。今後支援に携わった職員や事業者の経験、国などが取りまとめる被害実態の分析等を踏まえ、当局の対策を点検し、ハードソフト両面から更なる水道の強靭化に繋げていく。

⑧ 震災時の下水道機能の確保について

【質問】

下水道施設が機能不全となれば、トイレが使えなくなり、衛生環境が悪化し、感染症を引き起こすなど、命にも及ぶ極めて危険な事態が予想される。大規模震災時にも対応できる下水道機能の確保に取り組むべきと考えるが、下水道局長の見解を伺う。

【下水道局長】

震災時の下水道機能の確保についてであるが、下水道局では、被害を未然に防止するため、避難所や災害拠点病院など5,900か所を対象施設として、下水道管の耐震化等を進め、約8割が完了した。

また、水再生センター等では、揚水機能や消毒機能など最低限の下水道機能を1系統で確保したことに加え、汚泥処理施設等を対象に拡大し耐震化を推進している。

さらに、応急対策として、避難所などからのし尿を水再生センターで受入れ、処理することとしている。

今後は、今回の能登半島地震における被害状況などの検証結果を踏まえ、震災対策の充実に繋げていく。

⑨ 災害時トイレ環境の確保について

【質問】

首都直下地震の発災直後においても、トイレの量を確実に確保すべきである。また、都が令和6年度策定するトイレ計画には、トイレトレーラーも含め、能登半島地震で投入された様々なトイレの活用・連携や、し尿処理についても検討を進め、質の確保も図るべきと考えるが、見解を伺う。

【総務局長】

災害時トイレ環境の確保についてであるが、大規模災害発生時の不衛生な環境による被災者の健康被害を防ぐために、公衆衛生の確保は重要である。

このため都は、令和6年度、想定以上の被災者にも対応できるよう、40万人分の携帯トイレを追加配備することとした。また、災害時のトイレ環境の向上に向けた計画を関係各局等と連携して策定する。具体的には、能登半島地震でのトイレの事例検証を行うとともに、被害想定や応急から復旧のフェーズに応じた多様なトイレの活用や、衛生的な維持管理について整理し、都と区市町村が行うべき事項を取りまとめていく。あわせて、他県市や民間とも連携した取組について検討を進めていく。

⑩ フェーズフリーという新しい概念の推進について

【質問】

フェーズフリーという概念は、平時と災害時の垣根を取り払い、身の回りにあるものやサービスを平時はもちろん、非常時にも役立てるというものである。能登半島地震を踏まえ、今後、災害対策の必要な見直しを行っていく際、フェーズフリーという新しい概念、考え方を取り入れて、災害対策を推進すべきである。加えて、都民にも広く、この新しい考え方を周知すべきである。知事の見解を伺う。

【知事】

災害対策の推進についてであるが、平時の取組が、非常時においても役に立つという、いわゆるフェーズフリーの考え方は、防災対策を行う上で、有効である。

都は、災害時も見据えた公園の整備、停電時にも有効な再生可能エネルギーやZEVの導入などを進めている。加えて、都民に対し、災害時にも使える液体ミルクや携帯充電器をはじめ、食料品や生活用品など、普段使っている物を多めにストックする、日常備蓄などの取組を促進している。

「備えよ、常に」の精神の下、平時からできる防災対策をより一層推進するため、ホームページやセミナー等でわかりやすく発信し、都民とともに、災害への備えを強化していく。

教育施策

① 教員のメンタルヘルス対策について

【質問】

教員における2ケ月以上の長期欠勤の発生率を比較するとワーストスリーであり、発生率ではワーストワンを続けている。教員のメンタルの不調は、児童生徒の学習環境にとってマイナス要因であると同時に、担い手不足が続く新規教員の採用においても看過できない事態であり、本格的な対策が必要である。都立学校はもとより、メンタルヘルス不調の未然防止と早期発見にむけ、アウトリーチ型相談事業の拡充を目指し、取り組む区市町村教育委員会数も、学校数も、大きく拡充を図るべきと考えるが、見解を伺う。

【教育長】

アウトリーチ型相談事業についてであるが、本事業は臨床心理士等が訪問した小中学校の全教員と面談を行うもので、専門家に直接相談できると好評である。また、学校ごとに悩みの傾向等を分析し、専門家のアドバイスと合わせて区市町村教育委員会や各学校に提供することで、職場の改善にもつなげている。

令和6年度は、実施自治体を40から61に拡大すると共に、新たに都立学校でも実施する。特に担任の負担が大きい小学校では、全新採教員や病休復職者に加え他の区市町村から初めて異動した教員にも対象を拡大する。

より多くの学校の教員が、専門家と相談する機会を得ることで安心して働ける環境づくりを一層促進していく。

② 教員が相談しやすい仕組みづくりについて

【質問】

新任教員などにおいては気軽に相談できる人間関係が周囲に形成されていない現状を踏まえ、日頃の悩みを相談しやすい人的環境の整備を図る必要があると考えるが、見解を伺う。

【教育長】

教員が相談しやすい仕組みづくりについてであるが、都教育委員会は、令和5年12月、小中学校の教員が日頃の業務上の悩みを専門家に気軽に相談できる窓口として、新たにSNSでの相談を開始した。令和6年度からは、都立高校や特別支援学校の教員にも対象を拡大する。

また、小学校において、年齢の近い校内の先輩教員にいつでも相談を行える新規採用教員メンターを新たに導入すると共に、管理職や相談役となる教員に、より良いコミュニケーションのための研修を行い、新規採用教員の職場定着と学校全体の人材育成力の向上を図っていく。

これらの取組により、身近な相談体制を一層充実することで、働きやすい職場づくりを推進していく。

③ 小中学校の保護者対応に係る専門家活用について

【質問】

保護者への対応は教員の職務の一環であり、真摯で丁寧な対応に努めることが原則であるが、正常な授業運営や児童・生徒への指導に支障をきたすと判断されるほどに難しい保護者対応に当たっては、外部の専門家が小・中学校の教員に替わって対応に取り組む支援の仕組みが必要と考えるが、見解を伺う。

【教育長】

小中学校の保護者対応に係る専門家活用についてだが、保護者等への対応に苦慮する事例において、専門人材の協力を得ることで、教員の負担を軽減できるよう、都教育委員会は「学校問題解決サポートセンター」を設置し、都内公立学校の管理職が、弁護士、医師等からの助言を受けることができる体制を構築している。

また、子供を取り巻く家庭の問題等に対し、福祉面から保護者を支援するSSW(スクールソーシャルワーカー)の配置の拡充を図ってきた。

一方で、区市町村において保護者対応を専門に担う人材配置を望む声もあることから、今後、そうした外部人材の活用の在り方について、ニーズを調査するなど、教員の負担軽減につながる取組の一層の促進を図っていく。

医療・福祉施策

① 看護師等修学資金について

【質問】

看護師等修学資金は、民間を含めた全ての看護師等養成施設の学生を対象に、都内看護職員の確保と学びの支援を目的とした制度である。今回条例改正案が提出されたが、都内看護職員の更なる確保と看護師を目指す学生への支援に向けた、今後の都の取組について伺う。

【保健医療局長】

看護師等修学資金についてであるが、生産年齢人口の減少や働き方改革への対応、高齢化による医療需要の増加等を見据え、看護学生の修学を支援し、都内看護職員の確保を図ることは重要である。

このため都は、都内で看護業務に従事する意思のある公立及び民間立の看護師等養成施設の学生を対象に、修学資金を貸与している。

今後、都内の施設に一定期間従事した場合の返還免除額の拡大や、都が指定する施設に従事した場合の返還免除条件の緩和など、修学資金制度の充実を図り、看護学生への修学支援と、都内看護職員の確保を一層進めていく。

② シルバーパスの充実について

【質問】

シルバーパスは、住民税課税者も非課税者と同等の安い費用負担とすべきである。アクティブな長寿社会を実現するとして、今後、アクティブChoju(長寿)プロジェクトを進めていこうとしていることも踏まえ、シルバーパスの充実を図るべきと考えるが、知事の所見を伺う。

【知事】

シルバーパスについてであるが、シルバーパス制度は、高齢者の社会参加を助長し、高齢者の福祉の向上に寄与しており、多くの方に活用されている。

現在の制度となってから23年が経過し、交通事情や交通事業者を巡る環境はキャッシュレス化も含め、変化している。

また、平均寿命、健康寿命が延伸する中、元気で自立した高齢者が増加しており、自分らしく活躍できる社会の実現が求められている。

制度の検討に当たっては、こうした状況を踏まえる必要があり、今後、新たな時代にふさわしいシルバーパスの役割について、課題を整理していく。

③ 介護職員等への居住支援特別手当について

【質問】

都における介護職員の不足の要因が極端な低賃金にあるとして、都議会公明党は、知事への予算要望で、都独自の支援を行うよう家賃等が高い東京の特性を踏まえた手当ての支給を最重点事項として要望した。これに対し、都は介護だけでなく障害者施設で働く人も対象として居住支援の特別手当を支給することにしたことを評価する。特別手当の具体策について明らかにするよう説明を求める。

【福祉局長】

介護職員等への居住支援特別手当についてであるが、都は、令和6年度から新たに、国が介護報酬等について必要な見直しを講じるまでの間、介護職員や介護支援専門員、障害福祉サービス等の福祉・介護職員を対象に、居住支援特別手当を支給する事業者を支援する。

具体的には、月額1万円の手当を支給する事業者に対し、令和6年4月分から支援するとともに、人材確保の観点から、勤続5年目までの介護職員には1万円を加算し、2万円の支援を行う。これらは、社会保険料の雇用主負担相当分についても補助を行う。

今後、介護や障害福祉サービス等の職員の確保・定着につながるよう一層の取組を推進していく。

④ 訪問介護ヘルパーへの収入増支援について

【質問】

令和6年度の介護報酬改定では、施設系の基本報酬は増額となるが、訪問系は減額となった。そのため、公明党は国会の場で見直しを求め、総理から処遇改善加算の手続きを簡素化することで加算を取りやすくして収入増に結びつけていく旨の答弁があった。

都としても、訪問事業所に対する処遇改善加算の取得簡素化周知と取得手続支援が必要である。さらに、若手や介護未経験者の資格取得等で在宅介護の要である訪問介護事業者を支援するとともに、訪問介護ヘルパーへの支援策を強化すべきと考える。今後の対応について都の見解を伺う。

【福祉局長】

訪問介護事業所への支援についてであるが、都は、訪問介護を含む介護事業所の処遇改善加算等の取得を支援するため、加算の取得要件などを解説した動画の配信や専門家による助言を行うほか、問合せに対応する専用窓口を設けている。今回の報酬改定に当たっても、引き続き必要な加算が取得できるよう、きめ細かく支援していく。また、令和6年度は新たに、訪問介護の仕事の内容や魅力を紹介したリーフレットや動画を作成し、求職者に周知するほか、未経験者を雇用する事業者に対し、雇用経費や資格取得経費を補助する。

今後、訪問介護の人材の更なる確保・定着・育成に向け、取組の強化を図っていく。

⑤ 外国人介護従事者の受入れ促進について

【質問】

様々な分野において国際間の人材確保の競争は激しくなっており、特に最近の円安によって、日本で働く積極的な理由が失われつつあるという話も聞いている。人材獲得競争が激化する中、東京の介護現場が外国人に選ばれるためには、都が東京で働く魅力を海外に向けて発信するとともに、介護施設の海外からの人材獲得支援に積極的に取り組むべきと考えるが、都の見解を伺う。

【福祉局長】

外国人介護従事者の受入れ促進についてであるが、都は、介護施設等の経営者に対し、外国人介護従事者の受入れに必要な知識等を提供するセミナーなどを行うほか、受入施設等に対し、多言語翻訳機の導入や、在留資格に応じた日本語や介護技能の学習等に必要な経費を補助している。令和6年度からは新たに、事業者団体等と連携しながら、海外の就職イベントに出展し、現地で直接、東京の介護現場の魅力を発信するなど、積極的な広報活動を行う。また、海外の外国人や送り出し機関向けに、介護施設等の求人情報などを掲載する情報サイトを構築し、受入れのマッチングを促進する。

今後、海外からの介護人材の獲得に向けて更なる取組を進めていく。

⑥ シルバー人材センターによる就業支援について

【質問】

今後、住み慣れた地域において、本格的な仕事を望む高齢者のニーズに応えていくために、シルバー人材センターが地域の事業者から多くの就業機会を確保できるように、取組を強化していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

シルバー人材センターによる就業支援についてだが、シルバー人材センターが、働くことに意欲を持つ高齢者に対し、その経験を生かし活躍できる仕事を適切に提供することは重要である。

このため都は、令和6年度、同センターが高齢者に対し現役時代に培った力を生かし多くの収入の確保にもつながる仕事を増やす取組への支援を強化する。

具体的には、東京しごと財団と協力し、シニアの経験に見合う仕事を提供する民間企業の開拓を行う。

こうした会社からシルバー人材センターに業務を試行的に発注する経費に助成を行い、その後の継続した仕事の依頼に結び付ける。

⑦ 高齢者の就業に向けた新たな支援について

【質問】

新設されるプラチナ・キャリアセンターにおいて、中小企業を退職した方や、多くの意欲ある高齢者に対し、生活の安定にもつながるよう、幅広く都内企業から自分に合った仕事や働き方を見つけられる取組を進めるべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

高齢者の就業に向けた新たな支援についてであるが、高齢者が新しい職場で活躍できるよう、仕事を通じ身に付けた能力にふさわしい業務や柔軟な働き方を提供する会社での就業を後押しすることは重要である。

このため都は、令和6年度、そうした中小企業を掘り起こし高齢者に活躍の場をつくるための拠点をプラチナ・キャリアセンターとして設置する。

この拠点を通じ、中小企業のニーズに応じ、専門的な技術や知識に詳しいシニア人材と会社とのマッチングを行う。また、営業や経理等の力を持つ高齢者が、様々な勤務の仕組みにより中小企業で働くきっかけをつくる。

これらにより、高齢者の就業を後押しする。

都市機能の向上

① 羽田空港アクセス線西山手ルートについて

【質問】

都議会公明党は、令和5年の第1回定例会の代表質問で、羽田空港へのアクセスの利便性向上のためには、都の優先6路線に位置づけられている2031年に完成予定の羽田空港アクセス新線に接続する東京貨物ターミナルとJR大崎駅を結ぶ西山手ルートの早期整備が必要であると訴えた。しかし、1年がたつが具体的な事案スキームも見えてこない。スピード感をもって本事業を進めていくため、国に強く働きかけるとともに、関係者との協議を加速していくべきである。知事の見解を伺う。

【知事】

羽田空港アクセス線西山手ルートについてであるが、羽田空港の機能を最大限に発揮させるためには、鉄道アクセスの充実が重要であり、西山手ルートは、多摩も含め広範囲にわたり利便性の向上が期待される。

都市鉄道の整備は、事業化に向けた手続や財源の確保について、国や鉄道事業者等と緊密な連携の下、取り組むことが必要である。

都としては、様々な機会を通じて事業中の東山手ルートの進捗状況などを踏まえつつ、西山手ルートの事業スキームやスケジュールについてJR東日本と引き続き協議を行っている。

国に対しては、政府提案要求に加え、令和6年2月、国において設置された「今後の都市鉄道整備の促進策のあり方に関する検討会」などの場を活用し、本路線の事業化など都市鉄道の整備に必要な財源確保を含む整備促進策について強く求めていく。

② 高速道路の本線料金所の早期撤廃について

【質問】

令和5年第1回定例会の都議会公明党の代表質問に対し、知事は「料金所のETC専用化については、圏央道とその内側の料金所を対象とし、2025年度までに概成する予定」と述べた。しかし、2023年度は1ヵ所も料金所のETC専用化が行われていない。都内高速道路上の料金所を撤去し、渋滞を解消するためにも、料金所のETCの専用化を早期に実現すべきであるが、知事の見解を伺う。

【知事】

高速道路の本線料金所の早期撤廃についてであるが、高速道路料金所のETC専用化は、交通の流れを阻害する高速道路上の本線料金所の早期撤廃にもつながるため、早期実現を確実に進めることが重要である。

一方で、国及び首都高速道路株式会社からは、様々な課題によって整備に遅れが発生すると聞いている。

しかし、課題はあっても、それらをスピーディにクリアし、前に進めていかなければならない。

都は、国及び首都高に対し、料金所のETC専用化とともに、永福料金所などの本線料金所の撤廃を早期に実現するよう、強く要請していく。

産業政策

① 個人保証に頼らない制度融資の利用拡大について

【質問】

今般、国の信用保証制度において、創業時のみならず、個人保証に頼らない制度融資の利用が拡大されることになった。これまでの融資慣行を根本から見直すことになる画期的な取組である。

都はこれに対応した融資制度を構築するとともに、中小企業や金融機関にしっかりと周知し、金融機関による融資の方法の見直しに結び付けていくことが必要であるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

制度融資を受ける場合の経営者の保証についてだが、中小企業では資金繰りの確保のため金融機関から融資を受ける場合、経営者が保証人となることが多い。こうしたリスクを減らし経営者による新たな業務展開や円滑な事業承継に向けた取組を後押しすることは重要である。

国では、令和6年3月から経営者の保証を不要とする保証制度を導入する。これにより、都の制度融資では中小企業に対し、債務超過でも財務の状況を見極め保証料を引上げ経営者の保証を取らない仕組みを開始する。また、国は保証料の負担を減らす支援等を行うため、これらに対応した制度融資の新たなメニューを作る。こうした仕組みの普及に向け、金融機関を通じ事業者に幅広くPRする。

② カスタマーハラスメントへの対応について

【質問】

カスタマーハラスメント防止条例制定の検討にあたり、都のルールを広くかつ分かりやすく消費者にも伝え、職場が働き手を守る取組を着実に定着させるために、業種別のガイドラインやマニュアル作りも進むような実効性のある方法を検討すべきであるが、知事の見解を伺う。

【知事】

カスタマーハラスメントへの対応についてであるが、製品を買い求める顧客やサービスの利用者等から過大な要求や不当なクレームを受け、働く方が人格を傷つけられ精神的なダメージを受ける状況をなくすことを目指し、適切な対応を進める仕組みづくりは不可欠だ。

公労使会議の議論を受け、専門家等が検討を進め、こうしたハラスメントに関し、民間や公共サービスの現場の実態やルールづくりの必要性が明らかとなった顧客とのやり取りの最前線に立つ従業員等に対し、社会的な常識や通念を超えた言動を行うことを抑えたい。

カスタマーハラスメントの考え方と、その防止の理念を示し対応の拠り所となる条例の制定を検討するその実効性の確保と顧客満足を両立するガイドラインなども作り、業種に応じた現場での取組を後押しする。

働く方が安心して仕事のできる環境をつくり上げるため、議論と検討を積み重ねる。

③ 建設や運輸の事業者の働き方改革支援について

【質問】

働き手不足に直面しながら働き方改革への対応を求められる中小企業の経営者は、公的な支援策を相談に赴く余裕もない。中小の建設・運輸業が抱える働き方や経営改善のニーズを把握し、企業の課題に沿った支援策に適切につなげていくため、専門家による巡回相談を開始するべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

これまで都は、中小企業に対し、職場の働き方の見直しや法令改正の内容等の知識を提供するセミナーを実施してきた。

今後は、建設や運輸の事業者に対し、専門家が巡回し時間外労働の縮減に向けた相談をきめ細かく行う。令和5年度中にこの取組の周知と受付を開始し、相談の内容に応じ、経営面から十分な納期や人材の確保にも役立つ適正な取引条件を実現するための支援にもつなげる。

④ 建設や運輸の事業者の生産効率の向上について

【質問】

大規模な資金投入が可能な大企業に比べ、中小企業にとっては、働き方改革に資する設備投資への助成が極めて重要である。建設・運輸業界に向けて、これまでよりも上乗せを図った、より取り組みやすい助成事業を開始すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

建設や運輸の事業者の生産効率の向上についてだが、中小の建設や運輸の会社が、時間外労働への上限の適用に対応する上で、現場での働き方の見直しにつながる生産性の向上を進めることは重要である。

これまで都は、中小企業がDX(デジタル・トランスフォーメーション)等による生産効率の向上に役立つ設備を導入する際の経費に対し、その最大4分の3を1億円を上限に支援している。

今後、建設や運輸の会社が生産性を高め時間外労働の短縮等に役立つ設備の導入を図る場合、その経費の5分の4に助成を行う取組を令和5年度中に開始する。これにより、作業効率の優れた最新の建設機械や倉庫内の品物をトラックに積む自動のシステムの導入等を後押しする。

⑤ 介護で使用する機器の開発への支援について

【質問】

介護業界での働き方改革に資する技術開発に向けた助成を、とりわけ手厚く支援すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】

介護で使用する機器の開発への支援についてであるが、介護に必要な対応を円滑に進めその効果を高める上で、現場で使う機器を作る中小企業が様々なニーズを踏まえ新たな製品を生み出す取組を支援することは重要である。

このため都は、令和6年度、介護で使用する機器を生産する中小企業が現場の業務を担う事業者と意見交換する場を設け、製品開発をきめ細かく進める取組につなげる。

また、意見交換を踏まえ製品を開発する場合、その経費の最大3分の2を2,000万円を上限に助成する。

これにより、少ない力でも介護を適切に行える装置や施設での見守りを的確に実施するセンサーの実用化等を支援し、中小企業の新製品の効果的な開発に結び付ける。

⑥ 農地の保全に向けた取組について

【質問】

東京の農地をこれ以上減らさないよう、居住地の中に点在するという生産緑地の特徴や、集中的な投資を求める農業振興地域の生産者ニーズなど、それぞれの状況を踏まえ、取組の強化を図るべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

農地の保全に向けた取組についてであるが、東京の農地は、農業の担い手の高齢化が進み、相続時の税負担等により、急速な減少が続いており、その歯止めとなる取組を速やかに進める必要がある。

都内には、住宅に囲まれた畑地のほか、郊外のまとまった広い耕作地もあり、各々の地域の状況に応じた効果のある対応は不可欠だ。

市街地にある生産緑地について、区市が買い取り、市民のため農作業や憩いの場を作る取組を支援する。

地元の自治体等が、農業者から農地を借り上げ、住民向けに野菜作り等を体験する農園等の開設に必要となる機器の導入をサポートする。

農業を意欲的に進める農業振興地域では、一団の畑地に大型のパイプハウスを設ける等、経営の強化に役立つ取組を後押しする。耕作地の規模拡大に役立つ、農地の長期貸出しにつながる奨励金の仕組みも導入する。

東京の農地の減少を食い止めるため、地域に応じたきめ細かな施策を展開する。

スポーツ施策

① デフリンピックの開催準備について

【質問】

現在、都は、国際手話講座の受講費用の支援を開始している。その受講生が、実際に東京大会の開催期間中に活躍していただくことが重要である。大会運営での活躍につながるよう国際手話人材の確保を進めるべきであり、都は取組の改善を図るべきである。見解を伺う。

【生活文化スポーツ局長】

デフリンピックの開催準備についてであるが、大会時に、選手が円滑にコミュニケーションできるよう、国際手話人材の確保を進めていくことは重要である。

そのため、都は、大会に関心のある方に、国際手話講座の受講費用を支援し、人材の育成を図っている。令和6年度は、より多くの幅広い講座が対象となるよう運用を見直し、人材の裾野の拡大を図る。

加えて、講座修了者などに対して、大会情報を提供し手話習得者が大会運営に参画しやすくするなど、当事者団体とも連携して必要な人材確保に努める。

こうした取組を通じて、デフアスリートが、最高のパフォーマンスを発揮できるよう大会準備を進めていく。

② デフリンピックを契機とした共生社会づくりについて

【質問】

都議会公明党の令和5年第4回定例会代表質問に対し、子供を含めた幅広い世代が手話に親しめる動画を制作、活用するとの答弁があった。都が新たに作成した動画を活用するとともに、スポーツだけでなく教育や福祉の分野と連携し、手話言語条例の趣旨も踏まえた共生社会づくりにつながる大会を目指すべきであるが、知事の見解を伺う。

【知事】

デフリンピックを契機とした共生社会についてだが、東京2020大会を通じて、ハード・ソフト両面でバリアフリーに向けた取組が大きく進展した。

国内外から多くのデフアスリートが東京に集うデフリンピックは、この共生社会への歩みをさらに加速させる好機である。

大会に向けて、共生社会への理解を一層広げていくため、聴覚障がい者にとって重要なコミュニケーション手段の一つである手話に、子供たちが親しめるよう制作した楽曲を、今後広く普及させていく。

これに加えて、デフリンピックをやさしく学べるハンドブックを小学校などへ配布するほか、社会で活躍する聴覚障がい者の姿を大会特設サイトで発信していく。

デフリンピックに向け、幅広い世代が、気付き、考えるきっかけとなる取組を多面的に推し進め、東京の新たな未来を切り拓いていく。

③ 世界陸上とデフリンピックについて

【質問】

「今後の国際スポーツ大会のモデルを示す」とした世界陸上が、都民の皆様の信頼を得るためには、ガバナンス確保と共に徹底した予算管理や収入確保など財政基盤の確保が極めて重要である。このことはデフリンピックも同様のことが言える。知事の見解を伺う。

【知事】

世界陸上とデフリンピックについてであるが、国際スポーツ大会の開催に当たっては、都民、国民の信頼を得ることが重要である。両大会においては、コンプライアンスの徹底や外部の視点を取り入れた契約のチェックなど、ガバナンス確保に向けた取組を進めている。

さらに、大会の成功に向けては、適切な財政運営が不可欠であり、各運営組織は、今般、大会運営を効率化する視点に立って、財政計画を策定した。

今後、都は、運営組織に対して、更なる経費の精査や予算管理の徹底とともに、日本陸連や全日本ろうあ連盟をはじめとする関係者と連携した収入確保を求めるなど、適切な財政運営のための取組をサポートしていく。

こうした取組を通じ、今後の国際スポーツ大会のモデルを目指し、大会を成功に導いていく。

サイバー空間をめぐる脅威に対する取組

【質問】

ハッカー集団によるウェブサイトの閲覧障害の発生やクレジットカード不正利用被害など「サイバー空間をめぐる脅威」に対する警視庁の取組について、警視総監の見解を伺う。

【警視総監】

「サイバー空間をめぐる脅威」に対する警視庁の取組についてであるが、令和5年、都内では、インターネットバンキングに係る不正送金被害が前年比で約3倍に急増したほか、重要インフラ事業者等に対するサイバー攻撃が確認されるなど、サイバー空間の脅威は極めて深刻な情勢が続いている。

このような情勢を踏まえ、当庁では、サイバー事案の徹底した検挙はもとより、金融機関に対するサイバーセキュリティ対策強化の要請や官民共同サイバー攻撃対策技術訓練を実施しているほか、都民・事業者向けの広報啓発活動などにも取り組んでいる。

今後も、治安に対する都民の不安感を払拭するため、部門の垣根を越えて組織の力と知恵を結集し、サイバー空間の安全・安心の確保に万全を期す。

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