国際交流
① 教員の海外派遣事業について
【質問】
2022年度にアメリカに留学した学生の国別人数は、1位は中国で約29万人、2位はインドで約26万9千人、日本は8位で1万6千人。グローバル化が進み世界のあらゆる分野で競争や協力が広がる中、まず、教える側である教員が世界の中で学んで、それを生徒に伝えていくことが重要である。海外派遣研修は令和5年度で10年目を迎え、東京の教育力向上に大きく寄与してきたことを高く評価する。
今後はグローバル人材育成の一層の充実に向けて、国際交流の取組に携わる管理職等に対象を拡大するなど、教員の海外派遣事業を拡充していくべきである。都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
教員の海外派遣事業についてであるが、都教育委員会は、英語の指導力等の向上を目的として、平成26年度から教員の海外派遣研修を実施し、令和5年度は、英語科教員に加え、国際交流を担当する教員など約100名を海外の大学に派遣した。
令和6年度、研修内容の充実を図るとともに、派遣人数も拡大し、さらに、派遣対象を教員だけでなく、校長等の学校管理職や教育行政職員である指導主事等にも広げる。
こうした取組により、個々の教員の指導力を高めるとともに、各学校や区市町村教育委員会が創意工夫を凝らし、国際交流等の取組を推進していくことを支援していく。
② 多様な国・地域との交流について
【質問】
これまでの海外派遣研修はアメリカやカナダなど英語圏で行われてきたが、研修先を非英語圏に広げていくことが重要である。非英語圏の英語教育や国際交流の在り方を学ぶことができる。
今後、北米やオセアニアなどだけでなく、多様な国や地域とも連携し、生徒だけでなく教員も含めた国際交流の取組を一層、充実させるべきである。都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
多様な国・地域との交流についてであるが、都教育委員会は、グローバル人材を育成する取組を一層充実させるため、令和5年度、交流機会の少なかったアジアや中東等の国や地域に生徒及び引率教員を派遣した。
令和6年度は、トルコやイギリス等に派遣先を拡充し、先進的な研究を行う大学や施設等を訪問するほか、現地校等での同世代の生徒との交流を行う。また、教員も、生徒の引率や海外の教員との意見交換等の経験を通じて、帰国後の実践的な指導力を向上させる機会とする。
このような取組を通じて、多様な価値観を持つ人々と協働し、国際的な視点から新たな時代を切り拓く人材の育成を、強力に進めていく。
③ 都立高校における国際交流の充実について
【質問】
都立高校は学校単位でも、生徒を海外の高校に派遣するとともに、都教育委員会などが招聘した海外の生徒を受け入れている。こうした学校間の国際交流においても、生徒だけにとどまらず、教員同士も交流する好機としていくべきである。また、都立高校が海外との交流をより一層推進できるよう、都教育委員会として支援を充実すべきである。併せて、都教育委員会の見解を伺う。
【教育長】
都立高校における国際交流の充実についてであるが、都教育委員会は、平成29年度から、海外から生徒と引率教員を約1週間、都立高校に受入れ、授業や部活動を通じて交流する東京体験スクールを実施している。
令和6年度は、生徒間で社会的な課題を話し合うなど、交流を一層充実させるとともに、都立高校と現地校の教員同士が指導方法等について情報交換を行うなど、継続的交流の契機とする。
さらに、海外との学校間交流を支援する国際交流コンシェルジュの活用などにより、全ての都立高校が学校の特徴を活かした多様な国際交流が行えるよう支援していく。
産業振興
① コンテンツ事業者の海外展開の支援について
【質問】
アニメ、映画、ドラマ、音楽、ゲームなどのコンテンツ産業は、日本経済をリードする成長分野であるが、コンテンツ産業の国際競争は激しい。日本のコンテンツ産業が国際競争に勝ち抜いていくためには、足腰を強くし、本格的な産業として成長していかなければならない。
アニメや映画だけでなく、今後は裾野を広げて、あらゆる分野の中小企業やクリエーターが、より多く世界のコンテンツ市場に挑戦できるように支援していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
コンテンツ事業者の海外展開の支援についてであるが、アニメをはじめとするコンテンツ事業者が、外国での取引に関するノウハウを確保し、海外市場で事業を展開できるよう後押しすることは重要である。
これまで都は、コンテンツ事業者に対し、国内での経営や取引に係る相談や情報提供を行ってきた。今後は、コンテンツに関わる海外の法令や商取引等に関し、弁護士等の専門家が相談対応を行う。
また、アニメのコンテンツを企画する事業者が、海外見本市に出展する支援も行っている。これまで出展支援を受けた事業者を対象に、今後は、より一層の販路開拓につなげるため海外の展示会での商談機会の確保を図る。
② アニメを活用した観光振興について
【質問】
日本のアニメは世界的に人気が高い。有名な作品のセル画や台本など約5万点を所蔵しており、貴重な環境資源である。これら、所蔵しているアニメのセル画などを活用した観光振興策を拡充させていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【産業労働局長】
アニメを活用した観光振興についてであるが、アニメや漫画の魅力を発信しインバウンドの誘致を進める拠点において、そこで保管をするセル画等の貴重な資料を活用し誘客の促進を図ることは重要である。
都では、その拠点である「アニメ東京ステーション」において、テレビ放映のため作ったセル画や台本などの保管資料を展示し、海外から訪れた方にアニメ制作のプロセス等が分かるよう紹介している。
今後、外国人旅行者がセル画の作り方を体験するワークショップの拡充を図るとともに、「アニメ東京」で保管する資料を使いアニメ制作の現場の様子を海外の方に伝えるセミナーを開催する。
高齢者政策
① 3つのCの推進について
※3つのCとは、Children(子供)、Choju(長寿)、Community(居場所)のことで、「未来の東京」戦略での施策の強化の方向性を示す言葉。区市町村と連携して推進し、先駆的・分野横断的な取組に対し、ソフト・ハード両面から補助する事業もある。
【質問】
eスポーツは、若者だけではなく、高齢者も気軽に参加できる。健康長寿を実現するためには、医療や介護だけではなく、eスポーツの活用など新しい視点からの多様な取組が必要である。長寿社会の実現に向けて、3C補助事業を活用した各自治体の意欲的な施策の展開を促進していくべきと考えるが、知事の見解を伺う。
【知事】
3つのCの推進についてであるが、都市の活力の源泉は「人」である。その思いの下、「人」に着目した「Children」「Choju」「Community」の3つのCを「未来の東京」戦略の核に据え、「人」が輝く東京の実現に向けて取り組んできた。
その展開には、区市町村との緊密な連携が不可欠であり、3つのCの1つ、「Choju」においても、都では、高齢者のQOL向上に資する区市町村の取組を強力に支援している。
3C補助による支援は事業開始から3年で、23区市町村にまで拡大しており、その中で、お話のeスポーツの活用による世代間交流やフレイル予防の取組などが展開されている。
今後、区市町村の先駆的な取組を支援するとともにそこで得られた知見を都内全域に横展開し、豊かに老い、自身の希望に沿って活躍できるアクティブな長寿社会の実現に向け取り組んでいく。
② 地域におけるeスポーツの推進支援について
【質問】
eスポーツは高齢者の孤立防止、仲間づくり、世代間交流に大きな効果を発揮する。eスポーツを活用した高齢者支援が身近なところで広がるように「地域の底力発展事業」で支援していくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【生活文化スポーツ局長】
地域におけるeスポーツの推進についてであるが、都は、地域の底力発展事業助成を通じて、住民同士の交流事業、高齢者の地域における健康増進の取組、デジタル活用などを支援してきた。
これまで、高齢者に外出の機会を創出する体操教室や、高齢者がスマートフォン等を活用できるような講習会が開催されている。
eスポーツは、子供から高齢者まで、幅広い世代の方が気軽に楽しめるものである。
都は、地域の底力発展事業を活用してeスポーツの取組を行う町会・自治会を支援し、地域での交流の輪を広げていく。
都営住宅の自治会活動支援のための学生入居の取組
【質問】
都は、都議会公明党の提案を受け、自治会活動に参加することを条件に、大学生の都住への入居を進めている。北区では、桐ヶ丘団地に大学生が入居し、居住者に喜ばれている。今後、この取組を更に進めていくべきと考えるが、都の見解を伺う。
【住宅政策本部長】
都営住宅への学生入居の取組についてであるが、都営住宅の居住者の高齢化が進む中、団地の自治会活動の活性化を図ることは重要である。
これまで、9つの大学と協定を締結し、9団地に計46人の学生が入居して自治会活動に協力してきた。令和6年3月1日には、北区と足立区内の都営住宅に学生が新たに入居し、11団地で計54人になる予定である。
今後、区市の協力を得ながら、大学に対して本事業の意義・目的を説明する機会を増やし、団地の近隣にある大学に限らず、地域貢献に関心のある大学との協定締結につなげ、自治会活動を支援する取組を更に推進していく。
車椅子電動アシスト装置の費用の支給について
【質問】
介助者の筋力が衰えても、ボタンを押すなど簡単な操作で車椅子を動かすことができる、介助用電動アシスト装置は、特例補装具として認められれば区市町村から費用が支給されるが、車椅子利用者や介助者の中には、費用は支給されないと誤認し、申請しない方もいる。車椅子介助用電動アシスト装置が特例補装具として費用の支給対象になり得ることを、申請者や区市町村職員に正しく理解されるよう取り組むべきだが、都の見解を伺う。
【福祉局長】
介助用の電動車椅子の支給についてであるが、介助用の電動車椅子は、申請者の障害の状況や生活環境など真にやむを得ない事情により必要な場合に、特例補装具として支給することができる。
その支給については、東京都心身障害者福祉センターの判定に基づき区市町村が決定しており、都は、補装具に関する区市町村向けの業務マニュアルに特例補装具の例や、判定手続について記載し、周知を図っている。
今後、区市町村職員向けの講習会において、介助用の電動車椅子等の特例補装具の例示や判定手続について改めて周知を図り、必要な補装具の利用が広がるよう取り組んでいく。
街づくり
① JR埼京線(十条駅付近)連続立体交差事業について
【質問】
JR埼京線十条駅付近の連続立体交差事業は北区民の長年の悲願である。北区との連携をより密にしながら、早期の完成に向けて事業の進捗を急ぐべきだが、都の見解を伺う。
【東京都技監】
JR埼京線十条駅付近の連続立体交差事業についてであるが、本事業は、鉄道を高架化し、6か所の踏切を除却することで、交通渋滞や地域分断を解消するとともに、道路ネットワークの形成を促進し、地域の活性化や防災性の向上に資する極めて効果の高い事業である。
高架橋を構築するためには、北区が施行する鉄道付属街路事業の用地を活用し、仮線を敷設する必要がある。
現在は、北区が用地取得を進めており、都はその課題解決を支援するとともに、事業全体の調整を行っている。
今後とも、地元区や鉄道事業者と連携し、事業を着実に推進する。
② 桐ケ丘団地における店舗権利者対応について
【質問】
商店街には、建て替えられる住棟の1階にある店舗や都有地に借地している店舗がある。店舗兼住居のため、新しい住居も探さなければならない。都営団地の建て替え事業に伴い、商店街は大きな影響を受ける。都は、店舗ごとにきめ細かく相談に乗り、それぞれの選択にそって丁寧に対応していくべきだが、見解を伺う。
【住宅政策本部長】
桐ケ丘団地における店舗権利者対応についてであるが、店舗の買取補償については、令和2年度から開始した物件調査がおおむね完了し、補償金の提示などを進めている。
また、商店街東側の創出用地で実施する民間活用事業では、事業者が、整備する複合施設において、営業継続を希望する権利者のために賃貸床を計画し、出店に関し協議をすることとしており、令和5年11月に募集要項を公表したところである。
今後、事業者の選定などを進めるとともに、この賃貸床での営業を希望しない方も含め、権利者の意向を踏まえ丁寧な対応を行っていく。
災害対策
① 住宅の耐震化助成について
【質問】
都議会公明党の代表質問において、戸建て住宅の耐震化助成の限度額を引き上げるとの答弁があったが、耐震改修等を行う場合、また、不燃化建替え等を行う場合、それぞれの限度額引き上げの金額について、都の具体的な答弁を求める。
【都市整備局長】
住宅の耐震化助成についてであるが、地震による被害から都民の生命・財産を守るためには住宅の耐震化に併せて不燃化を進めることが重要である。
令和6年度から、耐震改修等の都費の補助限度額を引き上げることとしており、防災都市づくり推進計画の整備地域内では60万円を70万円に、整備地域外では50万円を60万円に、それぞれ引き上げる。
また、不燃化建替え等については、整備地域内では90万円を105万円に、整備地域外では75万円を90万円に、それぞれ引き上げる。
これらにより、戸建て住宅の耐震化や不燃化を強力に推進する。
② 城北中央公園調節池の整備について
【質問】
今後、さらに集中豪雨が激しくなると想定すれば、石神井川の洪水対策を急がなければならない。現在、城北中央公園調節池の整備が進められているが、早期に治水効果が発揮されるように取り組むべきである。都の見解を伺う。
【東京都技監】
城北中央公園調節池の取組状況についてであるが、本調節池は、石神井川において年超過確率20分の1規模の降雨に対応することを目指して整備する、貯留量約25万立米の地下調節池である。
このうち、第1期工事として貯留量約9万立米の調節池を整備しており、令和7年度の完成を目指し、現在取水施設などの工事を実施している。完成すると、平成22年に北区で溢水被害を発生させた豪雨と同規模の雨に対して、溢水を防止する効果を発揮する。
また、令和6年度からは、新たに第2期工事として、貯留量約16万立米の調節池の整備に着手する。
更なる安全性の確保に向けて、着実に取り組んでいく。
③ 王子第二ポンプ所の整備について
【質問】
現在、都は王子第二ポンプ所では排水力を高めるために、王子第二ポンプ所の整備工事を行っているが、早急に完成させるべきと考える。都の見解を伺う。
【下水道局長】
王子第二ポンプ所の整備についてであるが、早期に浸水被害を軽減するため、浸水の危険性が高い北区堀船、東十条地区を重点地区に位置付け、王子第二ポンプ所などの整備を推進し、雨水排除能力の強化を図っている。
王子第二ポンプ所については、深さ約30メートルのポンプ所地下躯体が完成し、現在、建築工事を進めており、令和6年度には、ポンプ設備などの設備工事に着手する。
令和7年度末の稼働に向けて、引き続き、施設整備を推進し、安全・安心な暮らしの実現に貢献していく。