栗林のり子議員の予算特別委員会(3月12日)総括質疑

家族の支援

① 結婚を希望する方々への支援について

【質問】

2月22日に厚労省から「人口動態統計速報値」が発表された。婚姻数は戦後2番目に高い減少率となった。深刻な問題であり、更なる支援が必要と考える。こうした背景からも、都として、結婚を希望する方々への更なる支援が必要と考える。来年度の取組を伺う。

【生活文化局長】

都は、結婚応援アンバサダーによるメッセージ動画をはじめ、結婚等に関する情報をポータルサイトにおいて発信している。

現在、婚約、新婚カップルが、結婚準備や新生活関連など様々なサービスを受けられる「結婚応援パスポート事業」を開始し、約300店の協賛を得ている。来年度は、利用者や協賛店の一層の拡大を図るとともに、都の取組を幅広く周知するキャンペーンを新たに実施する。

さらに、結婚に関心のある多くの都民が、気兼ねなく参加できるような応援イベントも開催する。

今後とも、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せない都民を後押しするため、結婚に向けた気運の醸成に取り組んでいく。

② 多様な家族が輝く社会の構築について

【質問】

未婚のひとり親、里親、特別養子縁組、ファミリーホーム、同性パートナーなど、多様な家族が生き生きと暮らすことを可能とするダイバーシティファミリーサポートとして、全庁的に取り組むべき。多様な家族が輝く社会の構築について、知事の所見を伺う。

【知事】

東京の活力の源泉は、「人」である。私は、知事就任以来、誰もが生き生きと活躍できる都市東京の実現に向け、ダイバーシティの推進を重要な柱の1つとして、様々な政策を展開してきた。

今般策定した「『未来の東京』戦略」においても、ポストコロナを見据えた有識者からの提言を踏まえ、多様性を圧倒的に高め、選択肢の多い社会の創出を目指すという大きな方向性を示すとともに、「ダイバーシティ・共生社会戦略」を掲げるなど、人に着目したプロジェクトを盛り込んでいる。

家族のあり様については、様々な考え方があるが、ひとり親やステップファミリー、里親、同性のパートナーなどを含めて、様々な背景や価値観を持つ人が、互いを理解し、認め合うような社会を築いてこそ、真のダイバーシティと言える。

多様性は、都市の成長の原動力である。人が輝く持続可能な都市東京の実現に向け、東京で働き、暮らす誰もが共に交流し、支え合う環境を創り上げるなど、人々に寄り添った幅広い政策を全庁を挙げて推進していく。

③ 養育費の確保について

【質問】

ひとり親家庭が養育費を継続的に受け取ることができるようにするためには、養育費について取決めを行う段階から支援することが重要と考えるが、取組を伺う。

【福祉保健局長】

都は、ひとり親家庭が養育費を継続的に受け取れるよう、現在、ひとり親家庭支援センターにおいて、家事事件に精通した弁護士等による相談対応を行うほか、ひとり親家庭向けのポータルサイトや講習会で、養育費の取決めの重要性や方法等について啓発している。

また、今年度から、元配偶者等からの養育費が不払いになった場合に備え、民間保証会社と連携し、養育費の立替保証等を行う区市町村を支援している。

来年度は、この事業を拡充し、養育費の取決めを行うに当たっての、公正証書の作成や、裁判によらない紛争解決手続であるADRの利用等についても、新たに支援の対象に加える予定である。

④ 新生児委託推進事業について

【質問】

子供を育てられない場合に特別養子縁組につなげられる取組は選択肢として大変重要である。都では、今年度から新生児委託推進事業を本格実施しているが、本格実施後の実施状況について、伺う。

【福祉保健局長】

都は、平成29年度から、乳児院と児童相談所に専任の職員を配置し、養子縁組が最善と判断した場合にはできる限り新生児のうちに委託につなげるモデル事業を開始し、昨年度末までの3年間に、12名の乳児を里親へ委託している。

今年度からは、モデル実施した区部の1か所に加え、多摩地域にも1か所確保し、合計2か所の乳児院で本格実施しており、昨年4月から現在までに11名を里親に委託している。

⑤ 養子縁組民間あっせん機関支援事業について

【質問】

特別養子縁組の選択肢の1つとして、養子縁組を行う民間のあっせん団体があるが、あっせん団体やあっせん団体から子供を迎えた養親への支援を行うべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

都は、平成30年度から、養子縁組希望者等に対して効果的な支援を行うため、定期的な連絡会議の開催など、児童相談所や産科医療機関等関係機関との連携体制の構築や、縁組成立後に養親子への継続的な相談対応等を行う民間あっせん事業者を支援している。

また、昨年度からは、養親希望者の負担軽減を図るため、民間あっせん事業者に支払った手数料を補助しており、今後とも、民間あっせん事業者による特別養子縁組が円滑に行われるよう支援していく。

⑥ フォスタリング機関事業について

【質問】

里親等への委託を推進していくに当たり、フォスタリング機関の活用など一貫性・継続性のある里親支援体制の構築を図ることが重要。「東京都社会的養育推進計画」において、里親支援の一環として、フォスタリング機関事業を実施するとしている。進捗状況を伺う。

【福祉保健局長】

都は、里親のリクルート及びアセスメント、里親への研修、子供と里親のマッチング、養育の支援といった一連の業務を包括的に民間事業者に委託するフォスタリング機関事業のモデル実施を、昨年10月、多摩児童相談所の所管地域で開始した。

フォスタリング機関は、児童相談所と連携しながら、里親家庭への訪問や面談などにより、里親や子供に寄り添った支援を行うほか、保有する施設を活用して、子供と実親の定期的な交流を支援している。

来年度は、モデル実施を継続して、取組状況を検証していくこととしており、その後、検証を踏まえながら地域を拡大し、令和6年度までに、全ての児童相談所での実施を目指す。

⑦ 性自認及び性的指向に関する調査の内容及び目的について

【質問】

パートナーシップ制度について、昨年四定の代表質問で、実態調査の実施を検討し、当事者のニーズに即した施策を実施するという答弁があった。来年度予算に、性自認及び性的指向に関する調査として、約2,300万円が計上されたが、調査内容と目的について伺う。

【総務局長】

性自認及び性的指向に関する基本計画は、国内外の動向や社会情勢の変化等を踏まえ、必要に応じて施策の見直しを行うこととしており、見直しに当たっては、当事者のニーズを含めた、広く都民の意見を把握していくことが重要である。

そのため、来年度は、次期の基本計画の策定に向けて、性自認及び性的指向に関して悩みを抱える当事者が行政に何を求めているのか、性の多様性に関して都民がどのような理解をしているのか、などについて調査を行うものである。

⑧ 要綱に基づく同性パートナーシップ制度導入の可否について

【質問】

都が同性パートナーシップ制度を制度化する際は、新たな条例を作るまでもなく、基本計画に明文化し、実施要綱を作ることで制度を運用できると考えるが、手法としての都の見解を伺う。

【総務局長】

同性パートナーシップ制度は、性の多様性に関わる都民の理解を得た上で、検討していくべき課題であると認識しているが、制度としては、条例に根拠規定を直接定める方法と、執行機関が実施要綱を定める方法がある。

⑨ 同性パートナーの在留資格の創設について

【質問】

「未来の東京」戦略の国際金融都市・東京プロジェクト実現に向けて高度外国人材の積極的な受入が不可欠であり、そこには同性パートナーとして来日する外国人も含まれる。そこで同性パートナーの在留資格創設について、都はこれまでどのように取り組んできたのか伺う。

【戦略政策情報推進本部長】

高度金融人材の受入促進に当たっては、LGBTの方々も活躍できるダイバーシティ実現の観点が重要である。このため都では、平成29年9月に開催された国家戦略特別区域諮問会議において、外国人同性パートナーの在留に係る特例の創設を提案した。

具体的には、高度金融人材等の同性パートナーについて、同性婚の配偶者と同様に、在留資格「特定活動」による入国・在留を認めることを求めた。

これまで、その実現に向けて、国と制度面の課題等に関する意見交換を複数回実施し、昨年7月の政府の成長戦略フォローアップの中で、外国人同性パートナーの在留資格のあり方について継続して検討を行う旨が初めて明記されたところである。

引き続き本件特例の創設を国に対し要望していく。

⑩ 同性パートナーシップ制度の導入に向けた調査について

【質問】

パートナーシップ制度は、利用する人が多い少ないの問題ではなく、多様性を表すメッセージでありエールである。今回予算計上されている調査に、同性パートナーシップ制度・ファミリーシップ制度の導入も視野に入れた調査と示すべきである。知事の所見を伺う。

【知事】

同性パートナーシップ制度及びファミリーシップ制度は、婚姻関係の在り方そのものに関わるものであり、広く国民の理解を得ていくべき課題と認識している。

都においては、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いの解消のため、「基本計画」を策定し、性的マイノリティの方々に対して、都庁の各局でどのような配慮が必要なのか、個別具体的に検討し、必要な取組を推進している。

来年度においては、次期の基本計画に向け、広く都民や当事者の意見を把握するため、実態調査を実施し、その結果を踏まえて、どのような施策を展開すべきか検討していく。

今後とも、当事者の方々に寄り添う施策の展開を通じて、誰もが生き生きと生活できるダイバーシティ東京を実現していく。

動物との共生社会

① ペット同伴可能な宿泊療養施設について

【質問】

都は、我が党の要望を受け昨年10月に、家族が感染した際ペットと同伴できる宿泊療養施設を開設した。今後も動物愛護相談センターとの連携も図り継続することが求められる。これまでのペット同伴の施設利用状況と、来年度の取組について、伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

新型コロナの軽症者等がペット同伴で入所できる宿泊療養施設は、昨年10月9日に開設し、昨日までに、ペット同伴者122人を含む、全体で362人の方を受け入れている。

受入開始から昨日までに、同伴されたペットの数は、全体で134匹であり、その内訳は、犬69匹、猫58匹、うさぎ5羽、ハムスター2匹となっている。

施設の利用者からは、ペットと一緒だったので安心して療養することができたとの声や、ペットを飼っている人には必要不可欠な施設との声が寄せられている。

都が運営する宿泊療養施設で、ペットを同伴できる施設はこの施設のみであることから、来年度も引き続き活用していく。

② 動物愛護管理法の改正に伴う対応について

【質問】

令和元年に動物愛護管理法が改正され、今後、ケージの大きさ等、事業者が遵守すべき数値基準に係る規則や、マイクロチップの装着・登録の義務化等が始まる。新たな規制について、事業者や飼い主が理解し遵守するために、都はどのように対応していくのか、伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

令和元年の動物愛護管理法等の改正により、動物取扱業者に対する各種規制の強化やマイクロチップ装着の義務化等が行われたことから、都は、本年度改定する動物愛護管理推進計画に、法改正等による事業者への新たな規制の周知や遵守の徹底、マイクロチップ装着制度の定着のための普及啓発等の取組を盛り込むこととしている。

今後、事業者が遵守すべき新たな飼養管理基準等について、リーフレット等で速やかに周知するとともに、きめ細かな指導を行い、遵守の徹底を図っていく。

また、マイクロチップ装着の義務化等については、事業者に対し、リーフレットや研修等で周知していくとともに、飼い主に対して、ポスターやインターネット広告等により、広く啓発していく。

③ 動物愛護相談センター改築について

【質問】

コロナ禍で、目立ち始めているのが多頭飼育崩壊である。昨年、神奈川県の動物愛護センターを視察した。こうした緊急性にも対応できるセンターが重要である。都も本格的に動物愛護相談センター改築に向け、候補地など結論を急ぐべきと考える。見解を伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

本年度改定する動物愛護管理推進計画案では、重点的に取り組むものとして、多頭飼育問題への対応力強化に向けた関係機関との連携強化や、保護した動物の適正な飼養管理、ボランティア等との連携・協力による動物の譲渡拡大に向けた仕組みづくり、災害時等の危機管理体制の強化等を掲げている。

動物愛護相談センターは、こうした都の動物愛護管理施策を進める上で中核を担う施設であり、その整備に当たっては、役割を果たすために必要な機能を確保し、都民や関係者が来所しやすい利便性、業務の効率性等を十分に考慮することが必要であり、来年度、より具体的な検討を進めていく。

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