東村邦浩議員の本会議(2月22日)代表質問

財政

① 都税収入について

【質問】

令和4年度当初予算案における都税収入は、コロナ禍という激しい経済状況にもかかわらず、前年度比約5,900億円増加し、当初予算額としては過去最高の約5兆6,300億円となる見込みである。このように税収が増えると見込んだ要因について、都の見解を求める。

【主税局長】

令和4年度の都税収入についてであるが、令和3年度当初予算に比べて、11.6パーセントの増、5兆6,308億円と見込んでいる。中でも、法人二税が約4,800億円、33.0パーセント増加する見通しで、都税収入の増加に大きく寄与している。

法人二税については、令和3年度の収入実績を基に各種経済指標等を踏まえ算出しており、今後もIT関連産業や製造業を中心に、全体として企業収益が堅調に推移するものと考えている。

また、雇用・所得環境の改善による個人都民税の増や、税額据置措置の終了による固定資産税・都市計画税の増なども、都税収入を押し上げる要因となっており、来年度都税収入総額は3年ぶりにプラスとなると見込んだものである。

② 基金残高の確保について

【質問】

コロナ禍への対応など、目下の課題に全力で取り組むことはもとより、中長期を見据え、都税収入が大幅に増加した時こそ、財政調整基金及び特定目的基金の残高確保に努めるべきと考えるが、財務局長の見解を伺う。

【財務局長】

基金の残高確保についてであるが、令和3年度最終補正予算では、予算の執行過程における歳出の精査などにより、特定目的基金の残高確保へとつなげるとともに、税収増を活用し、財政調整基金への積立を実施した。また、令和4年度予算では、特定目的基金を活用し、積極的な施策展開を図る一方で、財政調整基金への積立を行った結果、令和4年度末における基金全体の残高は約1兆円を確保している。

こうした取組を進める中にあっても、今後のコロナとの闘いや、安全・安心な東京の実現など、様々な課題に対応していくためには、将来にわたる財政基盤の一層の強化は重要である。

そのため、中長期を見据えながら、基金の積立を含め、残高確保に努めるなど、持続可能な財政運営に向けた取組を進めていく。

高校3年生世代までの医療費無償化

① 高校生等への医療費助成について

【質問】

今回、令和5年4月から、高校3年生世代までの医療費の無償化を決断された思いについて、知事の見解を伺う。

【知事】

高校生等への医療費助成についてであるが、学齢期は、生涯にわたる健康づくりの基礎を培う大切な時期であり、高校生の世代は、自らの判断で医療機関を受診する機会も増えることから、自身の健康をコントロールし、改善できるよう子供たちを支援することは重要と考える。

昨年4月に施行した東京都こども基本条例においても、社会全体で子供を育む環境を整備することとしている。

今般のコロナ禍において、改めて健康管理の重要性が認識される中、子育てを支援する福祉施策の充実の観点からも、高校生等を対象とした医療費助成の令和5年4月の開始を目指して区市町村の準備経費等を来年度予算案に計上した。

今後、子供の医療費助成の実施主体である区市町村と丁寧に意見交換等を実施していく予定であり、こうした取組を通じて、乳幼児から児童、生徒へと、切れ目なく子供や家庭を支える東京を実現していく。

② 医療費助成を行う区市町村への支援について

【質問】

区部についても都独自の補助のスキームを作るべき。また、財政力の弱い市町村を支援するために、令和5年4月より開始する高校3年生までの医療費無償化の市町村負担分を、市町村総合交付金の政策連携枠で見るべきだが、併せて見解を伺う。

【福祉保健局長】

医療費助成を行う区市町村への支援についてであるが、都はこれまで、市町村が実施する子供の医療費助成事業に対し、子育てを支援する福祉施策の一環として、一定の基準の下で補助しており、更なる施策の充実に向け、来年度予算案に、高校生等への医療費助成の準備経費として、区市町村のシステム改修経費等を計上した。

具体的な制度内容については、年齢的に接続する義務教育就学児の医療費助成を参考にしながら、区市町村と意見交換して整理することとしており、今後、制度の考え方や内容、準備経費補助の詳細や事業実施に向けた課題等について、丁寧に議論を重ね調整していく。

それらを踏まえ、必要な経費や仕組みについて検討していく。

高速道路上の本線料金所の撤去

【質問】

都内7か所の高速道路上の料金所、特に永福料金所を最優先で撤去すべき。その際、現金しか利用できない人のためにSuicaやPASMOのようなデポジットカードをETCでも読み取れるよう技術開発を行うべきだが、知事の見解を求める。

【知事】

高速道路上の本線料金所の撤去についてであるが、本線料金所の撤廃などにつながるETCの普及促進とともに、ICT技術を活用した現金車への対応などについて、九都県市を代表して、令和2年に私自ら国土交通大臣に要望した。

こうした取組が実を結び、高速道路会社は、料金所のETC専用化を来月から順次、拡大していく予定である。

御提案のプリペイドカードの活用は現行とは通信の方式などが異なり、システムの大幅な改修が必要となるが、現金車への対応に資する手法と考える。

国などは、クレジットカードがなくても利便性を向上できるよう、今後、デポジット額を3,000円に引き下げるとしている。

都としては、引き続き、国などに対しETCの普及促進を強く働きかけるなど、永福料金所などの本線料金所のできる限り早期の撤廃に向けて取り組んでいく。

ホームドアの整備

【質問】

整備の進捗に向け、令和4年度の検討の到達点と安全性へ危惧が強い駅への優先的な整備について、併せて見解を求める。

【東京都技監】

ホームドアの整備についてであるが、ホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠である。

都は令和元年9月に取りまとめた優先整備の考え方も踏まえ、事業者に整備計画の策定を求めるとともに、令和2年度から補助対象駅の拡大など、支援策を拡充した。

令和3年度には、技術的な課題に対応するため、事業者との検討会を新たに設置し検討を進めている。令和4年度は新規に調査費を予算計上し、技術的な方策を取りまとめていく。その検討状況も踏まえながら、更なる整備対象駅の追加など、整備計画の見直しについて事業者と個別に調整を行っていく。

こうした取組を通じて、ホームドア整備のより一層の推進を働きかけていく。

新型コロナ対策

① 都議会災害対策連絡調整本部会議等について

【質問】

なぜ、病床使用率が50パーセントを超えたタイミングで基準を変更したのか。また、新たな基準は、今後、新たな変異株が拡大した場合にも適用するのか。あわせて、都議会の災害対策連絡調整本部会議を開く必要がないと判断された武市副知事の見解を求める。

【武市副知事】

都議会災害対策連絡調整本部会議等についてだが、これまでは、特措法に基づく行動制限等の措置を伴う場合に、調整本部会議の場で都議会の皆様と情報交換等を行ってきた。

今般の指標の設定は、国がオミクロン株の特性に応じた緊急事態宣言の発出基準を明確に示さない中で、臨床現場等において、少しずつ明らかになってきたその特性等を専門家に評価、検討頂き、都として、指標を新たに設定したものであるが、特措法による措置には該当しないと判断したものである。

今後、新たな変異株による感染が拡大した場合には、改めて対応していくとともに、措置には該当しないものの、特に重要なコロナ対策案件に関しては、調整本部会議での説明も含めて丁寧な情報提供に努め、都議会の皆様と緊密な連携を図っていく。

② 医療提供体制の逼迫度を測る指標について

【質問】

新たな基準で、医療提供体制の逼迫度として、重症病床使用率又は酸素投与が必要な患者の割合が30パーセントから40パーセントと幅を持たせている理由、また、ここでいう重症病床使用率について、都民に分かりやすく説明すべきと考えるが、併せて都の見解を伺う。

【総務局長】

医療提供体制の逼迫度を測る指標についてであるが、臨床現場等で従事する専門家の意見を踏まえ、まず、重症病床使用率は、たとえ軽度の肺炎であっても、併存する他の疾患のため集中治療を要する患者が増加してきたことから、この動向を注視するため、指標として設定した。また、感染急拡大により酸素投与が必要な方が増加すれば、その中から一定程度の重症患者が発生する可能性があり、その推移を把握するため、酸素投与が必要な方の割合を新たに指標とした。

感染拡大に伴い、医療従事者の欠勤が増加した場合には、重症病床使用率等が低い水準であっても、患者の受入れ対応など現場の状況は厳しくなる。こうした要素等を考慮し、新たな指標には、それぞれ幅を持たせることとした。

③ 社会経済活動への影響を測る指標について

【質問】

もう1つの指標である社会活動への影響を及ぼす新規感染者の数が1週間平均で24,000人とあるが、この数字は、どのような根拠に基づいた数字なのか、都の見解を求める。

【総務局長】

社会経済活動への影響を測る指標についてであるが、オミクロン株は、デルタ株と比較して、罹患率が極めて高く、新規陽性者数や濃厚接触者が急増し、多くの方々が一定期間欠勤を余儀なくされることで、社会経済活動の停滞が懸念されていた。

都内事業者へのヒアリングから、欠勤者が3割程度生じた場合、交通機関の一部運休などが行われ、社会経済活動の継続に大きな影響が生じることが分かった。

こうした状況を事前に回避するため、都の就業人口の1割程度の欠勤が想定される新規陽性者数やその濃厚接触者数を試算した。これに基づき「7日間移動平均の新規陽性者数24,000人」を、緊急事態宣言の発出を要請する指標の1つとして設定したものである。

④ 高齢者施設の新型コロナ対策について

【質問】

高齢者施設が日常的に連携をしている医師や医療機関が、クラスターが発生した高齢者施設の往診・治療を行うことが必要。医師会に協力を求め、体制を整備した上で、実効性のある取組として進めていく必要があるが、見解を伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

高齢者施設の新型コロナ対策についてであるが、今回の感染拡大では、重症化リスクの高い高齢者の施設内感染が増加しており、その対応が急務となっている。

そのため、都は、広域的に対応可能な医療機関との連携により強化した自宅療養者等への往診体制を活用し、高齢者施設での往診を積極的に進めている。さらに、特別養護老人ホーム等での対策を強化するため、施設の嘱託医等による診療を促進していくとともに、東京都医師会と連携し、地区医師会の医療支援チームの医師が入所者への往診等を行う新たな取組を開始する。

今後、地区医師会や保健所と連携し、施設と嘱託医、地域の医師等のネットワークの構築を進めながら、この事業が、多くの地域や施設で早期に実施されるよう働きかけていく。

⑤ 若者などへのワクチン追加接種について

【質問】

オミクロン株の感染拡大が続く今、若者への3回目の接種を進めるため、渋谷区での若者接種センターの課題を踏まえ、学生等に対しても前倒しして接種を加速するとともに、更に都の大規模接種会場の対象者を拡大すべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

若者などへのワクチン追加接種についてであるが、感染拡大を抑えるためには、あらゆる世代へのワクチン接種が重要であり、とりわけ、行動範囲が広く活動的な若い世代に前倒しして接種を進めていく必要がある。

都は、昨年8月以降、都の大規模接種会場において、39歳以下の若者や大学生等、また40歳以上の方に順次接種を進めてきた。

追加接種においては、若者への早期接種のため、今月下旬以降、東京都立大学の南大沢及び荒川キャンパスに都内在住・在勤・在学の若者専用会場を設置し、大学生や専修・各種学校の学生等の予約枠も設けるなど、1日当たり計2,500回程度の接種体制を整備する。

あわせて、全世代への接種を加速するため、更なる会場の開設及び対象者の拡大を早急に検討していく。

⑥ 感染症法上の分類見直しについて

【質問】

高齢者や持病のある重症化リスクのある人が、3回目のワクチン接種を終えたならば、感染症法上の分類を5類に見直すべき。課題は、治療費やワクチン接種が有償となることである。国に無償化の特例措置を実施するよう求めるべき。併せて知事の見解を伺う。

【知事】

感染症法上の分類見直しについてであるが、現在、新型コロナウイルス感染症は、感染症法上、医療費が公費で負担される反面、入院勧告、就業制限措置、外出自粛要請が可能で、1類感染症、2類感染症に近い対応が取られており、感染者の全数把握による保健所、医療機関の業務ひっ迫や、エッセンシャルワーカーのマンパワー不足など、社会活動等への影響が大きくなっている。

一方、感染症法上の分類については、都民の命を守るという観点からウイルスの変異の動向も含めた科学的知見や専門家による分析のほか、御指摘の治療薬の開発・普及、ワクチン効果の状況などを踏まえるとともに、医療費が自己負担となった場合の患者の受診への影響についても考慮する必要がある。

今後、都として、東京iCDC等の専門家から知見を収集していくとともに、国に対しても、科学的知見の収集と必要な対応を求めていく。

⑦ 国産経口薬の治験について

【質問】

都は現在、都立病院などで進めている国産経口薬の治験協力を拡充するとともに、次なる感染拡大にも備え、治療薬の開発に継続的に協力していく体制を整えるべき。見解を伺う。

【福祉保健局健康危機管理担当局長】

国産経口薬の治験についてであるが、新型コロナウイルス感染症対策を進める上で、患者の心身への負担が少なく、自宅での服用が可能な経口薬が、迅速に開発され十分な量が供給されることは重要である。

医薬品の承認過程において、候補薬の有効性や安全性を確認する治験は、新たな医薬品の開発にとって必要不可欠な手続であり、都は、公的な役割として、宿泊療養施設等3か所を治験の実施場所として提供するなど、円滑な実施に向け支援に努めてきた。

今後、宿泊療養施設等や都立公社病院での治験協力を更に拡充するなど、国産経口薬の迅速な審査・承認につながるよう、継続的に支援していく。

中小企業支援

① サプライチェーンの維持と確保について

【質問】

サプライチェーンの維持と確保を支援する事業の具体的な内容について、見解を伺う。

【産業労働局長】

サプライチェーンの維持と確保についてであるが、感染症の拡大が経済活動に影響を与え、中小企業において部品や原材料の確保に支障も生じる場合がある中で事業活動を継続できるよう支援することが重要である。

このため、都では、2月から経営上の相談対応を行う窓口を設け、専門家の派遣も開始した。また、これに合わせて経済団体と連携し、専門家が様々な業界を巡回するほか、商社OBなどが個別の企業を訪問し、受注と発注のニーズを掘り起こす取組を進めている。

来年度は、こうして掘り起こした企業同士を個別にマッチングする取組に加えて、商談会も開催し、新たな受発注のルートづくりを後押ししていく。

こうした取組により、中小企業のサプライチェーンの維持と確保をサポートしていく。

② 中小企業制度融資について

【質問】

据置期間終了に伴い、令和4年度から返済が始まる事業者も増加してくることから、都としても、据置期間のさらなる延長などもう一歩踏み込んだ支援を実施すべきと考えるが、見解を伺う。

【産業労働局長】

中小企業制度融資についてであるが、コロナ禍の影響が長期化し、中小企業の経営は厳しさを増している。都が、昨年度の制度融資で実施した保証料負担のない実質無利子融資について、その返済に苦慮する事業者に対し、きめ細かな金融支援が必要となっている。

このため、来年度は、実質無利子融資の借入を行った中小企業に関し、新たな借換メニューを創設し、借入額8,000万円までは、信用保証料の全額を補助する。このメニューを利用することにより、元本の返済を据え置く期間が延びることになる。また、金融機関に対しては、引き続き、事業者からの返済猶予や借換などの申し出に柔軟に対応するよう協力要請を行う。

こうした取組により中小企業の資金繰りを着実に下支えしていく。

③ 奨学金返還の負担の軽減について

【質問】

中小企業の皆さんと、これから就職する若者達にこの事業を知ってもらい、応募していただくことが重要である。都は、早期に若者の募集を開始するとともに、事業の周知を積極的に行うべきと考えるが、見解を伺う。

【産業労働局長】

奨学金返還の負担の軽減についてであるが、都は、中小企業の人材確保に向け、建設、IT、ものづくり分野の企業が、技術者として学生等を採用した場合、その奨学金返還を支援する事業を今月より開始した。現在、事業を利用する中小企業の募集を行っており、今後は、各社の魅力などをウェブサイトで紹介する。また、事業の認知度向上に向けて、新聞やSNSでPRを行うとともに、業界団体等を通じた情報提供を実施する。

4月からは、こうした企業への就職を希望する学生や卒業生の若者の募集を行うことに合わせて、大学のキャリアセンターやハローワーク等と連携し、本事業の利用を促す。

こうした取組により、中小企業の人材の確保と定着を支援していく。

④ 中小企業への販路開拓支援について

【質問】

多摩地域では、都心への進出が困難となった事業者が多いことから、新たに開業する東京たま未来メッセを活用して販路開拓につながる支援を行うべきと考えるが、見解を伺う。

【産業労働局長】

中小企業への販路開拓支援についてであるが、多摩地域の中小企業が直面する厳しい経営環境を克服するため、新たな販路の開拓につながる支援を適切に行うことは重要である。

本年10月には、八王子に広域的な産業交流を図る拠点として東京たま未来メッセの開業を予定している。同メッセの開業に先立ち、都では、近隣の自治体のほか、大学や経済団体も含めた意見交換の場を設け、様々なテーマで見本市や展示会を開催できるよう準備を行っている。

都は現在、中小企業が幅広く販路を開拓できる大規模な商談会として東京ビッグサイトにおいて産業交流展を行っている。

今後、東京たま未来メッセにおいても、多摩地域を中心に数多くの企業が参加する展示会を開催できるよう検討し、中小企業の販路開拓に繋げていく。

子育て・教育施策

① 子供政策の総合的な推進について

【質問】

未来の東京戦略を踏まえた、今後の都政における、子供政策の総合的な推進の方向性について、知事の見解を伺う。

【知事】

子供政策の総合的な推進についてであるが、子供は大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であり、社会の宝である。

こども基本条例を踏まえ、全ての子供の笑顔を育むチルドレンファーストの社会を実現させていかなければならない。

こうした思いから、「子供政策連携室」を設置し、都政の政策全般を子供目線で捉え直し、総合的に政策を推進する体制を構築するとともに、「未来の東京戦略バージョンアップ2022」において、この体制の構築を梃子とした、子供政策の方向性を示している。

昨年来、全庁的な体制で検討を進め、教育・福祉に限らず、まちづくりや環境など、都政のあらゆる分野において、子供との対話や子供目線からの政策を盛り込んでいる。

また、子供が抱える様々な困難に寄り添い、誰一人取り残さない視点からの子供へのサポートや、一人一人の状況に合わせた学びの環境を充実していく。

さらには、「こどもスマイルムーブメント」を官民一体で戦略的に展開していく。

庁内各局の連携により、一丸となって政策を推進し子供たちが、夢と希望を持って、笑顔でいきいきと活躍できる「未来の東京」を創り上げていく。

② 東京都こども基本条例を踏まえた取組について

【質問】

東京都こども基本条例の普及啓発を図るとともに、区市町村においても子供の意見表明や権利擁護の取組を進めるべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

東京都こども基本条例を踏まえた取組についてだが、都は来年度、子供自身が条例の内容を理解できるよう、年齢や発達段階に応じた普及啓発リーフレットを作成する。作成に当たっては、子供の権利に関わる学識経験者や、広報に関して知見を持つ有識者が参加する編集・検討委員会を設置し、分かりやすい内容構成やデザイン等を検討するとともに、子供の意見を取り入れていく。

また、身近な区市町村において、子供の権利を尊重し、擁護するための取組が進むよう、子供の意見表明や参加の促進、権利擁護に取り組む区市町村への補助を拡充する。

こうした取組により、子供があらゆる場面で社会の一員として尊重され、健やかに育つ環境を整備していく。

 チャイルド・デス・レビューについて

【質問】

CDR(チャイルド・デス・レビュー)の実施に当たっては、子供と家族に関わる様々な機関が連携していくことが求められる。また、情報管理にも十分に配慮しなければならない。こうしたことを踏まえ、CDRの実施体制の構築に向け、来年度どのように取り組むのか、伺う。

【福祉保健局長】

チャイルド・デス・レビューについてであるが、チャイルド・デス・レビューを確実に実施するためには、収集する情報の範囲や入手・管理の方法などについて整理した上で、子供と家庭に関わる様々な機関の連携・協力体制を構築することが必要である。

都は来年度、医療機関、保健所、警察等に対して、子供の死亡に関する情報の取扱いの状況をヒアリングし、情報共有の可能性や手法等について意見交換する。

また、体制構築の参考とするため、国のモデル事業に取り組む自治体の実施体制や海外の事例等について調査する。

それらを踏まえ、チャイルド・デス・レビューの実施に向け、連携体制や役割分担など、関係機関と検討を進めていく。

④ 小学校における外部人材の活用について

【質問】

小学校は学級担任制のため、幅広い対応が担任一人に集中し、子ども一人ひとりに向き合う時間を取ることが難しい現状がある。小学校教員の業務負担軽減を図るためには、これまで以上に担任をサポートしていく外部人材を活用していく必要がある。見解を伺う。

【教育長】

小学校における外部人材の活用についてであるが、小学校では学級担任制をとっており、学級経営に係る教員の負担が大きい状況にあるため、教員が、授業そのものや子供の理解に、より力を注ぐことができるよう、外部人材を積極的に活用することが必要である。

このため、教員の教材準備の支援などを行うスクールサポートスタッフの活用を促進してきた。来年度は、子供との関わりに特にきめ細かな対応が求められる1年生から3年生までの各学年に、家庭への連絡文書の作成や子供の出欠確認等、学級担任の業務を補佐する支援員を配置する事業を開始する。

こうした取組により、教員が子供と向き合う時間をより増やし、教育活動の充実を図っていく。

⑤ 都立高校における外国人生徒の支援について

【質問】

国は、高校でも特別の教育課程による日本語指導を令和5年度から対象生徒がいる全ての学校で実施するとしている。

そこで、スクールコーディネーターの対象校を拡大し、相談体制の充実とともに、生徒と教員への支援を拡充すべきと考えるが、見解を伺う。

【教育長】

都立高校における外国人生徒の支援についてであるが、都教育委員会は、令和2年度から在京外国人生徒向けの入試を行う4校に、NPO等と連携して、多文化共生スクールコーディネーターを派遣し、外国人生徒特有の悩みや不安に応じて、専門家を活用する等の支援を行っている。

来年度からは、支援対象を在京外国人生徒向けの入試を行う8校全校に拡大する。

また、各校からの、日本語学習や在留資格の悩み等、様々な相談に対して、生徒や教員への具体的な支援方法を計画し、ニーズに応じた専門家の派遣を行う等、事業の内容を強化し、相談体制の充実を図っていく。

⑥ ヤングケアラーへの支援について

【質問】

ヤングケアラーについて、社会全体の認知度を高めることも必要である。こうしたことを進めるため、都と区市町村、介護・医療等の関係機関などが一体となって取り組むべきだが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

ヤングケアラーへの支援についてであるが、ヤングケアラーは、家庭内のデリケートな問題であること、本人や家族に自覚がないことなどの理由から、支援が必要であっても表面化しにくい構造がある。

ヤングケアラーを早期に把握し、必要な支援に確実につなげるため、都は来年度、有識者や区市町村、福祉、教育、介護、医療等の関係機関等で構成する検討委員会を設置し、ヤングケアラーを把握する際のポイントや、アンケートなど子供の気付きを促す方策、各関係機関の役割や連携の在り方など、毎回テーマを設定して検討していく。

検討した内容は、マニュアルに取りまとめて周知し、関係機関等が、地域で連携して適切な支援につなげられるよう取り組んでいく。

⑦ ヤングケアラーの相談支援について

【質問】

社会の中で孤立し、誰にも相談できずに悩むヤングケアラーの支援のために、相談窓口や元ヤングケアラーを含む交流の場を整備すべきだが、見解を伺う。

【福祉保健局長】

ヤングケアラーの相談支援についてであるが、ヤングケアラーを支援するためには、不安や悩みを相談しやすい場づくりも必要である。

都は来年度から、家庭や進学等の悩みを相談できるピアサポートや、元ヤングケアラーを含む当事者が相互に交流し、経験を共有できるオンラインサロンなどを行う民間団体を支援し、気軽に相談できる環境を整備していく。

また、来年度取りまとめる支援マニュアルを、区市町村の子供家庭支援センターや学校など関係機関に周知し、地域における相談体制の整備を支援していく。

⑧ フリースクール等に通う子供への支援について

【質問】

都教育委員会は、フリースクール等との連携を推進するため、理解啓発に努めてきた。今後更に、フリースクール等であれば通うことができる子ども達への支援を充実させる必要がある。フリースクール等に通う不登校児童・生徒支援の取組について伺う。

【教育長】

フリースクール等に通う子供への支援についてだが、学校に通うことができない子供の支援には、フリースクール等の知見も活用し、一人一人の状況に応じた多様な教育の機会を確保することが重要である。

これまで、学校とフリースクール等との協議会を継続的に開催するなど、連携を深める取組を推進してきた。

来年度、区市町村の教育支援センターによるフリースクール等と連携した相談事業などへの支援を充実する。また、フリースクール等に通う子供たちが増加していることを踏まえ、フリースクール等に通う子供や保護者の意見等から支援ニーズを把握する調査を実施し、これに協力いただける子供や保護者を支援していく。

⑨ 音や光等に敏感な子供への対応について

【質問】

「HSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)の子供たちのことをもっと知ってほしい。」「校内に居場所をつくってほしい。」との声を伺った。誰一人取り残さない学校教育を推進するためにも、人一倍刺激を受けやすく、敏感な子供たちに対する支援策を講じるべきと考えるが、教育長の見解を伺う。

【教育長】

音や光等に敏感な子供への対応についてであるが、微細な刺激に敏感であることなどが要因となって集団での活動になじめない子供には、個別のきめ細かな配慮が必要である。

このように音や光等に敏感な特性は、いわゆるHSCと呼ばれることもあり、学校では、保護者と連携しながら、子供の状況に応じてできるだけ刺激が軽減されるよう、教室環境への配慮や相談室等での対応を行い、気持ちに寄り添い安心して学習が行えるよう配慮している。

今後、多様な理由で教室に入れない子供がいることについて改めて学校に理解を促すとともに、学習環境を適切に整え、安心な居場所作りに向けた取組を推進し、子供の状況に応じた学びの確保に努めていく。

⑩ 学校体育館等への空調設置について

【質問】

区市町村立小中学校における体育館空調については、いまだ設置が完了していない自治体もあり、支援期間を延長する必要がある。区市町村立小中学校の体育館空調設置について、令和3年度末の設置状況と併せて答弁を求める。

【教育長】

学校体育館等への空調設置についてであるが、学校体育館等は、児童・生徒が日常的に活動する場であるとともに、非常災害時には地域住民の避難所等としての役割を果たすことから、熱中症の予防や防災機能の強化を図る空調設置が重要である。

このことから、都教育委員会は、計画的な空調設置を行う区市町村に対し、平成30年度から今年度末までを期間とする補助事業を実施している。今年度末の設置率は、82.2パーセントとなる見込みであるが、一部の自治体では、感染症の影響等により、予定していた工事を見送る事例が生じている。

こうした状況を踏まえ、補助事業を延長し、来年度も区市町村の空調設置の取組を支援していく。

⑪ 私立高校授業料の保護者負担軽減について

【質問】

私立高校の授業料実質無償化の対象となった保護者でも授業料を一旦納入する仕組みとなっており、その負担が重くのしかかっている。保護者の収入確認に一定の期間が必要ではあるが、保護者負担軽減をするためには、期間を縮減させるべきだが、見解を求める。

【生活文化局長】

私立高校授業料の保護者負担軽減についてであるが、就学支援金及び特別奨学金の支給早期化に向けては、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を活用した取組が重要である。

このため、都はこれまで補助金の支給事務やシステムに係る調査・分析を行ったうえで、申請手続の簡素化や審査事務の効率化を実現する方策について検討してきた。

来年度は、申請・審査のオンライン化や所得審査に必要な税額取得の自動化のためのシステムを構築するとともに、学校への説明や保護者への周知を行い、補助金支給までの期間短縮については、令和五年度から実施できるよう着実に取り組んでいく。

⑫ 受験生チャレンジ支援貸付について

【質問】

対象者拡大の詳細を都民に周知するとともに、受付けを担う市区町村との連携をより一層深め、利用の促進を図るべき。加えて、現行制度で求めている一定要件を満たす連帯保証人についても、負担軽減につながるよう、緩和すべき。併せて知事の見解を伺う。

【知事】

受験生チャレンジ支援貸付についてであるが、未来を担う子供たちが、家庭の経済状況などの様々な環境にかかわらず将来への希望をもって自ら伸び、育つことができる社会をつくりあげることは重要である。

コロナ禍にあっても、より多くの子供たちが自立に向けて目指す道に挑戦できるよう、本貸付の対象となる世帯の収入要件を緩和し、貸付対象の拡大を図るとともに、申請窓口となる区市町村への補助を拡充する。

対象の拡大に当たっては、区市町村等とも連携し、広く周知を図るとともに、貸付けの際の連帯保証人の見直しを検討し、利用を希望する方や区市町村等の負担軽減を図っていく。

社会の宝である子供の将来が生まれ育った環境によって左右されることがないよう、低所得世帯の子供たちの学びを支援していく。

環境施策

① 新築住宅のゼロエミッション化について

【質問】

昨年の第4回定例会において、東京ゼロエミ住宅基準の多段階化など、住宅の環境性能を高める方策を検討していくとの答弁があった。この省エネ基準に対応する支援策を講じることで、新築住宅のゼロエミッション化を更に強力に推進していくべきだが、都の見解を伺う。

【環境局長】

新築住宅のゼロエミッション化についてであるが、ゼロエミッション東京の実現に向けては、2050年の東京の姿を形作る新築建築物の環境性能の向上が重要であり、都はこれまで、東京ゼロエミ住宅基準を定め、支援を行ってきた。

来年度は、新築住宅のゼロエミ化を更に促進するため、より高い断熱性能や国内最高レベルの省エネ性能等を備えた水準を追加するなど、東京ゼロエミ住宅基準を3段階にし、それぞれの段階に応じた支援を講じるとともに助成対象件数を大幅に拡充する。加えて、エネルギーの地産地消に資する太陽光発電設備等に対しても助成単価を増額するなど、積極的な設置を促していく。

こうした取組を通じて、新築建築物の環境性能の向上を更に加速させ家庭部門のCO2削減に取り組んでいく。

② 既存住宅の省エネ改修支援について

【質問】

既存住宅の断熱改修支援制度は広く活用され、省エネ基準をも超えるレベルを目指す必要がある。そのためには市区町村に参画を促すよう都も積極的に後押しするとともに、市区町村の制度が整うまでの間都は多くの地域で取組が開始されるよう工夫すべきだが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

既存住宅の省エネ改修支援についてであるが、住宅の脱炭素化に向けた改修を効果的に促進するためには、市区町村と連携した取組の推進が重要である。

そこで来年度から、既存住宅の省エネ診断や、省エネ基準適合レベル以上に引き上げる断熱改修工事等に対する補助事業を立ち上げる市区町村への支援を開始する。

当面の間、市区町村の補助事業における都の補助率を上乗せし、住宅所有者の負担を軽減することにより、早期事業化を促進していく。また、市区町村の実施体制が整うまでの間、都内の全ての地域で補助が受けられるよう、都が直接補助を行う事業も実施する。

こうした取組により、既存住宅の省エネ性能向上を促進し、2030年カーボンハーフを実現していく。

③ 太陽光発電設備の率先導入等について

【質問】

都は都営住宅も含め、都有施設において、率先して太陽光発電設備の設置を推進すべき。また、都営住宅の住民が、太陽光発電設置の恩恵を実感できる取り組みも併せて行うべきと考えるが、見解を伺う。

【環境局長】

太陽光発電設備の率先導入等についてであるが、2030年カーボンハーフの実現に向けて、都自身が隗(かい)より始めよの意識の下、再生可能エネルギーの導入等の取組を一層強化していくことが重要である。

このため都は、太陽光発電設備について、知事部局等の都有施設における2024年度までの設置目標を、1万2千キロワットから2万キロワットへ大幅に引き上げ設置を加速させていく。

また、都営住宅においては、来年度、まずは、約100棟に設置を進め、その際には、発電した電力を停電時に居住者等が使用できるよう、非常用コンセントを共用部に整備する。

こうした都有施設への太陽光発電設備の率先的な設置により、都内での再エネ導入拡大をけん引していく。

都立病院での不妊治療相談の実施

【質問】

地域医療を担う都立・公社病院で、都民の不妊治療のニーズに的確に対応して、外来診療などを行うことなども重要だと考えるが、都の見解を求める。

【病院経営本部長】

都立・公社病院での不妊治療についてであるが、都民のニーズの高い治療に都立・公社病院が取り組んでいくことは重要である。

都立・公社病院は、これまでも主に保険適用の診療に取り組んできており、今年4月からは患者支援センターで不妊治療の相談を開始し、不妊治療を希望する患者の悩みや不安に対応していく。

一方、体外受精や顕微授精など新たに保険適用となる不妊治療を実施するには、専門医などの人材確保や専用設備の整備が課題である。

このため、独法化を見据え本部内にPTを設置し、都立・公社病院が不妊治療において果たすべき役割などを検討するとともに、独法化のメリットも最大限生かしながら、不妊治療に対する都民の期待に応えていく。

文化・芸術施策

① 文化戦略が描く芸術文化都市・東京の未来像について

【質問】

先日都は文化に関する2022年度から2030年度までの長期計画である「東京文化戦略2030」の案を公表し、現在パブリックコメントを募集しているが、まずこの「東京文化戦略2030」で描く芸術文化都市東京の未来像について、知事の見解を求める。

【知事】

文化戦略が描く芸術文化都市・東京の未来像についてであるが、2040年代の東京は、芸術文化の力で「躍動」と「豊かさ」が両立した社会となることを目指している。

そこでは、芸術文化の鑑賞・体験を通じて、人々の想像力が高まり、「多様性と調和」が浸透している。

また、芸術文化が都民の心を豊かにし、日々の生活になくてはならないものとなっている。

そして、芸術文化に関わる人々が社会のあらゆる分野で活躍し、魅力的な作品が世界に発信されることで東京の芸術文化都市としての注目度が高まるという好循環が生まれている。

文化戦略を着実に実行し、このような「芸術文化で躍動する都市東京」の実現を目指していく。

② 若手アーティスト支援について

【質問】

都が今年度開始した「スタートアップ助成」は、拡充することが急務である。加えて、東京で活動する多くの若手アーティストが抱える稽古場、アトリエなどの創作環境向上の課題解決に向けた具体的な取組も早急に進めていくべきと考える。見解を求める。

【生活文化局長】

若手アーティスト支援についてであるが、東京の芸術文化の振興のためには、担い手となるアーティストの持続的な活動に対する支援が必要である。

新たに策定する文化戦略においては、アーティストや芸術文化団体等が継続的に活動できる仕組みをつくることとし、特に若手アーティストへの段階的な支援を掲げている。

来年度は、活動歴3年未満の若手に定額で支援を行う「スタートアップ助成」において、より多くの若手アーティストの活動を後押しする。

さらに、稽古場、アトリエなどの創作環境の提供についても、具体的な検討に着手する。

このような取組を通じ、若手アーティストを多様な面から支援していく。

③ 芸術文化の指導者への支援について

【質問】

実演家と合わせて、指導に従事する方たちも、芸術文化の普及や継承に大きな役割を果たしている。都は、伝統芸能の体験事業への助成を立ち上げるなど、こうした方々の活動の場の拡大を図っているが、今後このような取組を強化していくべきと考える。見解を求める

【生活文化局長】

芸術文化の指導者への支援についてであるが、東京の多彩な芸術文化は、地域の実演家・指導者により支えられており、都の伝統文化、芸能体験事業にも、様々な形でご協力いただいている。

今年度立ち上げた「伝統芸能活動体験助成」は、助成を受けた団体から「今まで縁のなかった人にも広げることができた」、「稽古を続けたいという希望者が現れた」との声があがるなど、地域の指導者等が活動する場の拡大につながっている。

さらに来年度は、様々なジャンルの芸術文化の担い手が参加できるイベントへの助成により、活動の場を広げていく。

こうした取組を通じ、地域で指導・育成に取り組む方々を引き続き支援していく。

東京オリパラ大会

① 大会経費について

【質問】

経費の精査とあわせて、コロナ禍という非常時での開催であるため国にも応分の負担を求めるべきであり、最終的な大会経費や負担を丁寧に説明し、理解を得ていくよう求めてきた。こうした観点から、大会経費にどのように取り組んできたのか、都の見解を伺う。

【オリンピック・パラリンピック準備局長】

大会経費についてであるが、組織委員会、東京都、国の三者は、平成29年の大枠の合意や、大会延期後の追加経費負担の合意に基づいて、毎年度、経費を精査し、総額と内訳を公表してきたまた、執行に当たっては、共同実施事業管理委員会において、コスト管理と執行統制の強化等を図ってきた。

今回、三者は、こうしたこれまでの経緯と、観客数の取扱などV5予算以降の後発事象を共有した上で、役割分担を踏まえた対応を図ることに合意した。その中で、国は、関連するパラリンピック経費とコロナ対策経費を新たに支出することとしている。

今回の三者合意により、新たな予算措置を講ずることなく対応できる見通しとなった。

引き続き、経費精査を行い、都民・国民の理解が得られるよう取り組んでいく。

② 障害者のスポーツ活動について

【質問】

障害のある人がより一層スポーツに親しめるよう、都の総力を挙げて取り組むべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】

障がい者のスポーツ活動についてであるが、東京2020大会において、パラアスリートは、様々な違いを超えて一人ひとりが輝けることを示してくれた。

パラリンピックのレガシーとして、障がいのある方がスポーツにチャレンジし、楽しむことができる「スポーツフィールド東京」を築き上げていきたい。

そのため、都立特別支援学校の活用拡大や区市町村スポーツ施設のバリアフリー化の後押し等身近な地域でスポーツに親しむ場を一層拡大していく。

また、新たに、バリアフリーに配慮したウォーキングコースの提案や体を動かすことの重要性の発信など、スポーツに関心のない方が気軽に始めるきっかけを提供していく。

さらに、今後、味の素スタジアム内に整備する東京都パラスポーツトレーニングセンターを、競技力向上だけでなく様々なパラスポーツの体験の場として活用していく。

こうした取組を幅広く展開し、「TOKYOスポーツレガシービジョン」で描いた障がいの有無に関わらず、誰もがスポーツを楽しみ、活躍できる共生社会を実現していく。

住宅施策

① 専用住宅における公社住宅の活用について

【質問】

公社住宅は、今後、住宅確保要配慮者向けの性格を強めていくとしており、家賃低廉化補助の適用を可能とする、公社住宅を専用住宅として活用していくことが効果的である。

またこうした取組が家賃低廉化補助制度の設定自治体の拡大にもつながると考えるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

専用住宅における公社住宅の活用についてであるが、公社住宅は重層的な住宅セーフティネット機能の一翼を担っており、その機能の一層の強化が必要である。

公社は、これまで高齢者や子育て世帯等への優先入居や家賃軽減のほか、昨年、長くお住まいの高齢者世帯を対象に低廉な家賃の住宅への住み替え支援を開始した。

新たな住宅マスタープラン案では、公社住宅について住宅確保要配慮者向けの性格を重視するとともにストックを有効活用していくこととしており、今後、専用住宅としての活用について、空き状況や地元自治体の意向を踏まえながら検討していく。

都としても、こうした取組と併せて専用住宅の家賃低廉化補助の実施を市区等に一層働きかけていく。

② 専用住宅を活用した住宅確保要配慮者への支援について

【質問】

専用住宅を活用した要配慮者に対する支援を、区市町村の補助制度の有無にかかわらず、広く都内で展開すべきである。見解を伺う。

【住宅政策本部長】

専用住宅を活用した住宅確保要配慮者への支援についてであるが、要配慮者の居住の安定確保に向け、要配慮者のみ入居できる専用住宅の登録を着実に進めるとともに、居住支援の充実を図ることは重要である。

このため、新たに専用住宅に登録される民間賃貸住宅を対象に、段差解消などのバリアフリー改修に加え、高齢者等のヒートショックを防止する設備のほか、モニター付きインターホンなどの防犯設備やインターネット接続機器の設置など、住宅設備の改善を後押しするよう、来年度から都単独補助を都内全域で開始していく。

こうした取組により、専用住宅への登録を促進しながら、要配慮者の居住環境の向上を図っていく。

③ 都営住宅の毎月募集について

【質問】

令和4年度は、毎月募集について、さらなる募集拡大と募集方法の改善に努めるべきと考えるが、これまでの経緯を含め、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅の毎月募集についてであるが、都民の居住の安定を確保するため、住宅に困窮する子育て世帯等の入居機会の拡大を図ることが重要である。

そこで、都は、子育て世帯等を対象に毎月募集を実施しており、現在、コロナ禍を踏まえ、臨時的に一般世帯も対象にしている。本年2月からはオンラインでの受付も可能とした。

さらに、本年4月から募集戸数を月120戸から200戸、年間2,400戸にし、この中で子育て世帯等の専用枠を増やす。一般世帯も引き続き対象とするとともに拡大を図り、入居機会を一層広げる。

今後、高齢者や障害者等の単身者も対象とするなど、毎月募集の更なる拡充に取り組んでいく。

④ 都営住宅における若年夫婦世帯等向けの募集方法の改善について

【質問】

若年夫婦世帯等向けの定期使用住宅の募集で、応募者数の比較的少ない地域では、今後、3人用又は4人用の間取りの住戸であっても若年夫婦世帯等でも応募し、入居できるよう柔軟に対処し、子育て支援に貢献するべきと考える。見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅における若年夫婦世帯等向けの募集方法の改善についてであるが、若年夫婦、子育て世帯向けの定期使用住宅の募集では多人数世帯用の比較的広い住戸の応募倍率が低い傾向にあり、1倍を切る住戸もある。

そこで、定期使用住宅の募集において、1倍を切った住戸は、その後の募集で世帯人数の条件を緩和し、若年夫婦など少人数の世帯でも将来の家族の増加なども考慮して、より広い住戸を選択し応募できるようにする。

こうした取組により、入居を希望する若年夫婦世帯等のニーズに即した募集方法に改善し、支援していく。

⑤ 都営住宅における浴室設備の更新について

【質問】

来年度は2か年の試行期間の状況を踏まえ、本格的に実施すべきと考える。まずは予算を増強し、住棟単位での更新の対象戸数の拡大を図り、加えて、故障した浴室設備の更新の対象となる住戸の要件を緩和すべきと考えるが、見解を伺う。

【住宅政策本部長】

都営住宅における浴室設備の更新についてであるが、住戸を適切に維持管理するためには、居住者が設置した浴室設備も都が更新していくことが必要である。

住棟ごとに更新する基本枠については、昨年度の応募実績を踏まえ、今年度は予定戸数と選定住棟数を拡大した。また、故障した浴室設備については、居住者の要望に応え、今年度は居住年数要件から年齢要件に変更した。

令和4年度からは、基本枠の予定戸数を1,550戸から2,600戸に更に増やし、住棟選定数も拡大して実施する。また、故障した浴室設備については、対象の全居住者が応募できるよう、年齢要件をなくして実施する。

今後はこうした本格的な取組を進め、浴室設備の更新を着実に実施していく。

安全施策

① ストーカー対策の取組状況等について

【質問】

現在のストーカー対策の取組について伺うとともに、GPSを使った犯罪への対応について警視総監の所見を求める。

【警視総監】

ストーカー対策の取組状況等についてであるが、警視庁では、平素より警視庁ホームページやリーフレット等の媒体を通じ、各種相談窓口や被害防止策等について周知を図っている。

また、ストーカーに関する相談等を受理した場合、被害者等の安全確保を最優先とした保護対策を迅速に実施するとともに、各種法令を適用した加害者の検挙や再犯防止のための取組を推進している。

GPSを使った犯罪への対応については、改正ストーカー規制法により、恋愛感情等に起因してGPS機器を取り付ける行為等が新たに規制対象となったことから、同種事案に適切に対応するよう努めるとともに、取締り及び被害防止の実効性を高める資器材の整備を検討している。

さらに、改正ストーカー規制法では規制されない悪意の感情に起因してGPS機器を取り付ける行為等にも対応するため、いわゆる迷惑防止条例の改正についても検討している。

警視庁としては、今後とも関係機関等と連携し、これらの事案に的確に対応することにより、都民の安全・安心の確保に万全を期していく。

② 電車や駅構内等における痴漢・盗撮被害防止の取組について

【質問】

電車内や駅のエスカレーターなどでの痴漢・盗撮被害防止に向けた警視庁の取組について警視総監の所見を求める。

【警視総監】

電車や駅構内等における痴漢・盗撮被害防止の取組についてであるが、警視庁では、被害が多発する通勤・通学の時間帯を中心に駅構内において警戒活動を実施しているほか、被害の相談を受理した場合は、被害防止や犯人検挙のため警察官が被害者と電車に同乗して警戒するなどの対策を実施している。

また、鉄道事業者と連携したキャンペーン等の機会を通じて、痴漢被害発生時に警告等を発する機能を有する警視庁防犯アプリ「DigiPolice」の活用促進や具体的な対応策を掲載したリーフレット等の配布、各種相談窓口の案内など広報啓発活動を実施している。

今後とも、鉄道事業者と連携し、痴漢・盗撮被害防止に向けた取組を強力に進めていく。

③ 都営地下鉄での女性専用車両拡大について

【質問】

都営地下鉄における女性専用車両の拡大に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。

【交通局長】

都営地下鉄での女性専用車両拡大についてであるが、交通局では、お客様により安心して御利用いただけるよう、平成17年から新宿線で朝のラッシュ時間帯に女性専用車両を導入している。他の路線については、相互直通運転を行っている事業者で対応が異なっていることや、導入により他の車両が混雑する等の課題がある。一方、この度策定する経営計画2022では、都営地下鉄の乗客数はコロナ禍前と比べて15パーセント程度の減少が続き、旅客動向の変化が生じるものと見込んでいる。

こうした状況を踏まえ、女性専用車両の導入拡大について、朝のラッシュ時間帯の利用状況等を勘案しながら検討していく。

今後とも、女性や子供、障害者をはじめ、誰もが安心して都営地下鉄を利用できる環境作りに取り組んでいく。

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