東村邦浩議員の本会議(10月5日)代表質問

オリンピック・パラリンピック

① バリアフリーの推進等について

【質問】
パラリンピックを契機に障害者全体への理解が広がり、「多様性と調和」の理念が定着することが重要。大会を契機に、心や街のバリアフリーや、ユニバーサルデザインなどの取り組みを一層進め、誰にでも優しいまちづくりを推進していくべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】
バリアフリーの推進等についてであるが、都は、東京2020大会の開催に当たり、競技会場周辺のバリアフリー整備を重点的に進め、都内のバリアフリー情報をまとめたポータルサイト「とうきょうユニバーサルデザインナビ」で広く周知した。

また、心のバリアフリーを推進するため、児童・生徒向けのポスターコンクールの実施や、従業員の意識啓発等に取り組む企業等を登録・公表することなどに取り組んでいる。

東京2020大会を契機に、障害者を含む当事者等の意見も聴きながら、利用者の視点に立って、バリアフリーのハード・ソフト両面の取組を進め、誰もが安全、安心、快適に暮らし、訪れることができるユニバーサルデザインのまちづくりをより一層推進していく。

② パラアスリートの競技力向上の支援について

【質問】
パラアスリートの競技力のレベルアップに向け、2度目のパラリンピックを実現した東京から、更なる練習環境の充実や国際大会への参加、使用する道具の技術革新を徹底して支援していくべきと考えるが、都の見解を伺う。

【オリンピック・パラリンピック準備局長】
パラアスリートの競技力向上の支援についてであるが、都は、障害者スポーツ競技団体の練習の場の確保にも資するよう、特別支援学校活用促進事業を実施するとともに、身近な区市町村のスポーツ施設のバリアフリー化等を支援してきた。また、国際大会に出場する東京ゆかりの選手に対して、海外遠征費等を支援している。

さらに、障害者スポーツに供する優れた技術・製品の開発に取り組む中小企業や地域を支援し、東京2020大会では、新たに開発した競技用車いす等を使用したパラアスリートがメダルを獲得した。引き続き、技術的なアドバイスや開発費の助成等により用具等の開発に取り組む中小企業を支援する。

今後、味の素スタジアム内の施設を練習拠点として整備するほか、引き続き、海外遠征など、競技活動の支援も検討していく。

③ 大会後のパラリンピック教育の実施について

【質問】
パラリンピック教育は、人間の多様性を認め、社会の課題を解決することが目的であり、日本が共生社会を目指していく上でも、継続していくべきであるが、都の見解を求める。

【教育長】
大会後のパラリンピック教育の実施についてであるが、平成28年度から都内全公立学校で実施してきたオリ・パラ教育では、子供たちが、多様性を尊重する態度を身に付けることができるよう、知識の習得だけでなく実際の体験や活動を重視した学びに取り組んできた。

これまで、都教育委員会は、パラスポーツ競技応援校の指定やパラリンピアン等の派遣を通じて、スポーツ体験や選手との交流を推進してきた。各学校では、これらを契機として、特別支援学校や地域とのスポーツ交流等に取り組み、互いを認め合い、思いやる心を育んでいる。

今後、都教育委員会は、子供たちのパラスポーツ体験を増やしていくため、競技団体と連携した教員向け講習会等を実施し、学校や地域での様々な体験を通じて、共生社会を担う子供たちに必要な資質・能力を育んでいく。

④ 教員の障がい者スポーツに関する体系的な学びについて

【質問】
体育教員が子供たちの可能性を早い段階から見出していけば、障がい者スポーツ人口は、更に増え、すそ野が拡がっていく。そこで、都としても、国に対して、体育教員の養成課程における障がい者スポーツ科目の必修化を強く求めていくべきと考えるが、見解を伺う。

【教育長】
教員の障害者スポーツに関する体系的な学びであるが、障害者スポーツの裾野を広げていくためには、学校において子供が障害者スポーツに親しむ機会を充実させ、教員が子供の興味や能力を引き出すことが重要である。

都教育委員会では、東京2020大会の開催決定を受け、子供たちの障害者スポーツを通じた体験や交流を更に促進してきた。また、競技団体と連携して講習会を開催し、延べ1,013人の教員に競技の魅力や安全な指導方法等を伝えるなど、教員の学ぶ機会を増やしてきた。

今後、子供たちの発達段階に応じた可能性を見出し、その能力を一層伸ばしていくためには、体育等の教員が大学の教員養成課程の段階から障害者スポーツの基礎的理論等を学ぶことが有効であることから、国に対して障害者スポーツ科目の必修化について要望していく。

⑤ 大会における感染防止対策について

【質問】
水際対策、入国後検査と健康管理、行動管理、陽性者発生時の感染対策が厳格に進められた。大会開催が東京、国内の感染拡大に繋がったかのように主張するメディアもある。対策の結果は実際はどうなのか、エビデンスを詳細に示して明らかにすべきだが、見解を伺う。

【オリンピック・パラリンピック準備局長】
大会における感染防止対策についてであるが、徹底した水際対策や定期的な検査等の結果、空港検疫の陽性率は0.1パーセント、スクリーニング検査で0.03パーセントと低く抑えられ、訪日大会関係者の都内の入院者数はピーク時で2人となった。専門家からも「大会は安全に行われた」と評価された。

また、ステイホームやテレワーク等の呼掛けを行い、道路、鉄道等の混雑が予想された重点取組地区において、昼間時間帯の滞在人口が大会前より約1割減少するなど人流は減少、抑制された。なお、感染状況の動向を示す指標である実効再生産数は、7月21日の1.4をピークに下落傾向に転じ、9月9日には0.63まで減少した。大会におけるこれらの対策は、専門家を含むラウンドテーブルにおいても有効に機能したと評価された。

⑥ 大会経費について

【質問】
最終的な大会経費や負担について、都民・国民に丁寧に説明し、理解を得ていく必要がある。またコロナ禍という非常時での開催であるため、赤字が出た場合には、国に応分の負担を求めるべきだが、あわせて知事の見解を伺う。

【知事】
大会経費についてであるが、大会の開催にあたり 組織委員会、国、東京都の三者は平成29年5月の「大枠の合意」による役割・経費分担に基づき、連携・協力して大会準備を進めてきた。

大会の延期後も、延期に伴う追加経費や新型コロナウイルス感染症対策が必要となる中、これらの経費について明らかにし、それぞれの役割を果たしながら、組織委員会、国とも一体となって取り組んできた。

一方で、コロナの影響により、オリンピックとパラリンピックにおける観客は大部分が無観客となり、これに伴うチケット収入の減少が見込まれている。

現在、組織委員会において、収入及び支出両面における精査を進めているところであり、今後とも、都民・国民の理解が得られるよう取り組んでいく。

⑦ 復興オリンピック・パラリンピックについて

【質問】
大会の大きな意義の1つである「復興オリンピック・パラリンピック」としての取り組みとその成果について、知事の所見を求める。

【知事】
復興オリンピック・パラリンピックについてであるが、私は一貫して、東京2020大会の原点は「復興オリンピック・パラリンピック」であると申し上げてきた。

都はこれまでも、スポーツを通じて、被災地に元気を届けられるよう、青森から東京までをつなぐ1,000キロ縦断リレーや、被災地と東京の子供達との交流、全国に先駆けた被災地でのフラッグツアーなど、様々な事業を展開してきた。

そして、東日本大震災から10年の節目に当たる今年3月に、被災地復興の象徴として、福島県のJヴィレッジからオリンピック聖火リレーがスタートするとともに、大会においては、宮城県でサッカー競技が、福島県で野球・ソフトボール競技が実施された。

さらに、福島県で製造された水素が聖火を灯し、被災地の花で彩られたブーケが選手の栄冠を称え、被災地の食材が選手村等で提供され好評いただいた。

こうした取組をはじめ、メイン・プレス・センターにおける復興ブースなど様々な機会を通じて、世界中の皆様に、これまで頂いた支援への感謝を伝えるとともに、復興に向けて力強く歩む被災地の姿を発信することができた。

今後、オリンピックスタジアム横に設置していた復興のモニュメントを被災地へ移設する予定であり、引き続き、被災県をはじめ、関係者と連携して、復興の後押しとなる取り組みを進め、被災地との絆を次代に引き継いでいく。

⑧ 文化プログラムについて

【質問】
大会の重要な一翼を担う「文化プログラム」の成果とコロナ禍での経験を生かした今後の文化政策について、所見を伺う。

【生活文化局長】
文化プログラムについてであるが、都はリオ大会以降多彩な文化プログラムを展開し、伝統と革新が融合した東京の文化の魅力を力強く発信することを目指してきた国内外からアイデアを広く募集し、伝統と最先端技術が融合した展示、公園等東京の街中を舞台に実施したアートプロジェクト等、人々の記憶に残る企画を展開した。

コロナ禍での制約もあったが、様々な工夫をしながら、障害や年代を問わず参加できる事業、海外アーティストや自治体と連携した公演など、多様な人々の力をあわせて築き上げた事業を都内全域で実施した。

今年度策定する文化戦略では、先の定例会での御党のご提案も踏まえ文化プログラムの成果とコロナ禍で得た経験等から文化への参加機運が都民等に根付くための施策を盛り込み芸術文化都市東京の実現に取り組んでいく。

⑨ 同性パートナーシップ制度について

【質問】
制度設計に当たっては、学識経験者や当事者から意見や要望を聞く取り組みが強く望まれる。それらを十分に反映させたうえで来年度にも制度をスタートさせるべきと考える。制度創設に向けた都の取組について、見解を求める。

【総務局長】
同性パートナーシップ制度創設に向けた取り組みであるが、制度の検討を進めるに当たっては、性的マイノリティ当事者や有識者等からの幅広い意見を適切に反映させていくことが重要である。

このため都は、今月から、学識経験者や当事者支援団体に対し、制度の設計や現行法制との整合性、当事者の立場に立った手続の在り方、活用が想定されるサービス分野等について、ヒアリングを実施する。また、性的マイノリティ当事者等を対象とする実態調査を実施し、性的指向や性自認など多様な性に関する都民の認識のほか、当事者が直面する生活上の困りごとや行政に求める支援策、他自治体の制度利用者の声等を幅広く把握する。

こうした有識者や当事者の意見等を早期に取りまとめ、制度の検討を着実に進めていく。

新型コロナウイルス対策

① 感染症対策に取り組む商店街への支援について

【質問】
繁華街の入り口で短時間で結果が出る検査を行い、陰性であれば来店を認め、営業時間も元に戻すというモデル事業を商店街で実施すべき。そして、モデル事業を検証し、効果が上がれば、本格的にこのスキームを実施すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】
感染症対策に取り組む商店街への支援であるが、リバウンド防止措置期間の中にあって、感染症対策を行いながら経済活動の再開に向けた準備を進めて行くことは重要である。

先月、新宿区の商店街が来街者や近隣店舗の従業員等に対してPCR検査を行う取り組みを都が支援した。3日間で約500名の方が参加し、検査を受けながら商店街を利用できる事例を作ることができた。

今後は、感染拡大の防止に向け、商店街が様々なガイドラインに基づいて実施する取組に加え、PCR検査やワクチンの接種済証を活用した商店街の主体的な取組の支援を検討していく。

こうした取組により、地域での感染拡大の防止と商業活動の回復を着実に後押ししていく。

② 宿泊施設や旅行事業者に対する支援について

【質問】
「東京をもっと楽しもうキャンペーン」を都内在住者に絞らず、東京に来る人に対してもインセンティブを与える新たな展開を検討していくべき。また、海外からの訪日客を見据えて、東京の新たな魅力を発信する事業についてもスタートさせるべきだが、都の見解を伺う。

【産業労働局長】
宿泊施設や旅行事業者に対する支援についてであるが、都では、10月よりリバウンド防止措置期間となり、感染拡大を抑制しながら観光需要の回復を図っていく必要がある。

昨年のGoToトラベル事業は、お話のように他道府県から都内への観光客の多くが大手の宿泊施設に泊まり、中小の宿泊事業者からは、期待したほど利用されなかったという声も聞いている。このため都は、観光需要回復を見据えた準備として、中小のホテル・旅館が旅行者をより一層惹きつけられるよう、魅力向上に資する取組への支援を開始する。

具体的には、専門家を派遣するとともに、新たな宿泊プラン作りやその広報経費などを助成する。また、海外に向けて、東京2020大会のレガシーや最新の観光情報等を、アニメなど東京の優れたコンテンツと組み合わせて効果的に発信していく。

③ 新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制等について

【質問】
再び感染爆発となることも想定した更なる医療提供体制の強化や感染防止対策に取り組んでいく必要がある。今後、新たな変異株も危惧される中、今、都がやるべきことは、これまでの様々な取組の総点検と体制の再構築・強化を図っていくべきだが、知事の見解を伺う。

【知事】
新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制等についてであるが、新型コロナウイルス感染症は、中長期的に感染拡大の反復が見込まれることから、第5波の中で顕在化した課題や、重症化予防効果のある治療薬の使用などの環境変化も踏まえ、万全の備えを講じていくことが必要である。

重症・中等症の患者等を受け入れるため、症状に応じた病床を確保していく。

比較的軽症な患者を受け入れる酸素・医療提供ステーションを増床するとともに、抗体カクテル療法等の実施により、重症化を予防し、医療への負荷を軽減する。

また、宿泊療養施設においては、医師の往診による継続的な酸素投与や抗体カクテル療法の実施など、医療機能の向上を図る。

さらに、自宅療養者には、フォローアップセンターの体制強化や酸素濃縮装置の拡充など支援体制を強化するほか、市町村との患者情報の共有による支援の充実、東京都医師会と連携したオンライン診療や助産師による妊産婦への健康観察の実施など、よりきめ細かに支援していく。

今後、こうした対策をスピード感を持って、複合的に講じていくとともに、これまでの様々な取組の総点検と体制の再構築・強化を図り、都民の生命と健康を守ることに全力を尽くしていく。

④ 抗体カクテル療法について

【質問】
抗体カクテル療法については、短期入院のほか、外来診療や自宅療養者に対しても積極的に実施できるよう体制を整備するべき。また、抗体カクテル療法を受ける患者の搬送に必要な体制を整備すべきだが、併せて見解を伺う。

【福祉保健局長】
抗体カクテル療法についてであるが、抗体カクテル療法は、重症化リスクがある軽症患者に中和抗体薬を投与するものであり、都のモニタリング会議で、他の要素も含まれるが、投与から14日以上経過した方の約95パーセントが軽快したと報告された。

この治療薬は発症後早期の投与が望ましいため、都は保健所からの情報を基に、酸素・医療提供ステーションや医療機関との受入調整を行い、自宅と投与を行う施設との搬送体制の整備も進めている。また、宿泊療養施設に入所している基礎疾患を有する方にも、抗体カクテル療法の効果等を丁寧に説明し、酸素・医療提供ステーションで積極的に受け入れ、投与している。

こうした取組により、早期かつ確実に重症化リスクのある患者を抗体カクテル療法に結び付けていく。

⑤ 保育所等でのPCR検査に対する支援について

【質問】
保育所において陽性者が発生した場合、濃厚接触の疑いのある方が速やかにPCR検査を行えるようにすべき。一方、既に自主的に検査を実施した保育所については、遡って支援すべきと考える。また、放課後等デイサービス等も対象にすべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】
保育所等でのPCR検査に対する支援についてだが、都は、保育所等において、新型コロナウイルス感染症の陽性者が発生した場合に、施設内での感染拡大を防止するため、児童や保育従事者に対し、速やかにPCR検査を実施できる仕組みを整備した。

具体的には、都が購入した検査キットを、区市町村を通じて保育所等に送付し、濃厚接触の可能性のある方の検体を検査機関に返送していただくものであり、先週、その旨を区市町村に通知した。現在、各自治体の意向を確認しており、必要数が確定次第、順次、検査キットを送付する。

今後、今回の取組以前に、陽性者の発生に伴い、検査を行った保育所等への支援のほか、放課後等デイサービス等への支援についても検討していく。

⑥ 自宅療養者への医療支援について

【質問】
自宅療養者のために、酸素濃縮装置の確保を進めるとともに、妊産婦への支援や薬の確保などの必要な体制を整えるべき。また、オンライン診療システムの活用を都内全域で進めるべきと考えるが、併せて見解を伺う。

【福祉保健局長】
自宅療養者への医療支援についてであるが、都は現在、自宅療養者が緊急時に自宅で酸素投与を受けられるよう、酸素濃縮装置を760台確保しており、今後の感染拡大に備え、1,000台を目途に確保していく。また、東京都助産師会と連携し、地域の助産師が自宅療養中の妊産婦に対し、電話や訪問等により行う健康観察を新たに実施していく。

さらに、東京都医師会や東京都薬剤師会と連携し、品川区での取組を参考に、先月多摩地域で開始したオンライン診療を、今後、都内全域での実施に向けて調整していく。

加えて、平日夜間及び土曜休日に電話・オンライン診療等を受診し、薬を処方された自宅療養者に調剤や薬剤の配送、服薬指導を行う薬局に対し、配送に係る経費を新たに支援するなど、地域における自宅療養者の医療支援体制を強化していく。

⑦ 療養者の容体急変への対応について

【質問】
自宅、宿泊療養者が容体急変した場合に備えて、医療相談窓口の体制を強化するとともに、自分で連絡することが困難な人のために、自動で酸素飽和度、心拍数、血圧などを測り、関係部署に送信を行うシステムや機器の活用を進めるべきだが、見解を伺う。

【福祉保健局長】
療養者の容体急変への対応についてであるが、都は、自宅療養者からの緊急の医療相談に対応するため、自宅療養者フォローアップセンターの電話回線数を増強し、相談体制の拡充を図っている。

また、パルスオキシメーターを確保し、保健所設置区市に配布するほか、地域のかかりつけ医が自宅療養者の健康観察で活用できるよう、東京都医師会への貸与を開始するなど、フォローアップ体制を強化している。

さらに、宿泊療養施設では、療養者の体調急変を迅速に把握できるよう、更なる安全管理体制の充実に向け、お話しの機器の導入も含め、検討を進めている。

今後、検討結果等も踏まえ、自宅・宿泊療養者の容体急変に適切に対応する仕組みの強化を図っていく。

⑧ 臨時の医療施設について

【質問】
今回の補正予算案には酸素・医療提供ステーションの増床、また、新たな臨時の医療施設の確保が計上されている。今後の感染再拡大の折には、速やかに対応できるよう準備を進めるべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】
臨時の医療施設についてであるが、現在、都内の新規陽性者数は減少しているが、今後、増加に転じた場合にも速やかに対応できるよう、患者を受け入れる病床の確保に加え、これを補完する臨時の医療施設を整備していくことは重要である。

都は、入院待機ステーションや、軽症・中等症患者を受け入れる酸素・医療提供ステーションの設置などに取り組んでいる。

今後、感染の再拡大に備え、酸素・医療提供ステーションを増床するとともに、様々な症状の患者に対応するための機能等を勘案して、既存施設等を活用した臨時の医療施設等を整備し、医療提供体制を確保していく。

⑨ 都の大規模接種会場の運営について

【質問】
都の大規模接種において夜間帯の接種時間延長など、きめ細やかな環境整備を行うべきだが、見解を伺う。

【福祉保健局長】
都の大規模接種会場の運営についてであるが、希望する全ての方が、より早期に2回の接種を終えるには、区市町村と連携しながら、地域の実情を踏まえて接種体制の拡充を図ることが重要である。

都は、区市町村と調整しながら、地域性や利便性を考慮して大規模接種会場を設置しており、その中でも利便性の高い行幸地下、立川北及び本日開設したNHK渋谷会場では、土曜日・日曜日も含め、夜8時まで接種している。さらに、都内の区市町村が実施している夜間帯の接種実績なども参考にして、行幸地下会場の接種終了時刻を、現行の夜8時から1時間延長することを検討していく。

引き続き、区市町村と連携しながら、接種機会の拡大に努めていく。

⑩ 3回目のワクチン接種について

【質問】
3回目のワクチン接種を円滑に行うため、まずは接種対象者を把握するためのVRSへの接種実績の入力を進め、その上で接種体制の整備やワクチン供給を確保していく必要がある。こうした課題に対し、国や区市町村と積極的に調整を図っていくべきだが、見解を伺う。

【福祉保健局長】
3回目のワクチン接種についてであるが、国は、3回目の接種対象者は、2回目の接種終了後、おおむね8か月以上経過した方との考えを示しており、本年12月から接種開始できるよう、都道府県は区市町村を支援するとともに進捗管理することとしている。

対象者は、ワクチン接種記録システム「VRS」に2回目までの接種記録が登録されていることが前提となるため、区市町村等に早期の登録を改めて依頼していく。

また、医療従事者等については、2回目までの接種と同様に住所地以外の勤務先での接種も可能となっており、都は、区市町村と協働した接種体制を念頭に、具体的な役割分担や、ワクチンの安定的な供給等について、区市町村や国、関係機関等と調整していく。

⑪ 新型コロナウイルス感染症の後遺症について

【質問】
都立・公社病院の相談窓口において、後遺症に悩む都民が、お住まいの地域で診療を受けられるよう支援すべき。また、これまで蓄積されてきたデータを活用し後遺症の実態を調べるとともに、医療機関に向けて後遺症に関する情報を周知すべき。併せて見解を伺う。

【福祉保健局長】
新型コロナウイルス感染症の後遺症についてであるが、後遺症の実態は、現段階では明確になっておらず、確立された治療法もない。都は、都立・公社病院に「コロナ後遺症相談窓口」を設置して相談に応じるとともに、必要な方には診療を行うほか、東京iCDC専門家ボードで後遺症に関するリーフレットを作成し、幅広く都民に周知している。

今後は、コロナ後遺症に対応している医療機関の情報を収集し、相談窓口で活用するなど、後遺症に悩む都民が、身近な医療機関でより適切な医療を受けられるよう取り組んでいく。また、東京iCDCにおいて、都立・公社病院と連携し、後遺症相談窓口等で蓄積したデータや症例を分析し、実態把握を進めるとともに、医療従事者にも後遺症に関する情報を提供するなど、後遺症に関する理解促進を図っていく。

⑫ 中小企業の感染防止対策への支援について

【質問】
本年7月に東京ⅰCDCの専門家による会議が開催され、空気清浄機の議論が行われたと伺っているが、その議論を踏まえた空気清浄機の取扱いについて都の見解を伺う。

【産業労働局長】
中小企業の感染防止対策への支援についてであるが、感染防止対策の助成事業において、業界ガイドラインに記載のない取組については、東京ⅰCDCの意見を踏まえて支援の適否を判断することとしている。

このため都は、本助成事業における空気清浄機の取扱いについて、東京ⅰCDCの専門家による換気の補完に有効との意見を踏まえ、これまで対象外とされたものも含めて見直しを行った。具体的には、ガイドラインの記載内容によらず、全ての業界に対して幅広く助成対象とするとともに、事業を開始した本年1月4日以降に購入したものを適用することとした。また、冬場の感染症対策を徹底するため、申請受付期間を2か月間延長する。

本助成制度の更なる利便性の向上を図ることにより、中小企業の感染防止対策を着実に支援していく。

⑬ 中小企業の人材確保等について

【質問】
奨学金の負担軽減を行い、中小企業の人材を確保する事業を今定例会でスピード感をもって対応する意義について、知事の見解を伺う。

【知事】
中小企業の人材確保等についてであるが、建設やITなどの業界において人手不足は深刻であり、専門性を有する技術者の確保が大きな課題となっている。

一方、これから就職先を探す学生の中には奨学金を受給している方も多く、コロナ禍において、就職後の奨学金返還に不安を感じている方が多数存在する。

こうした学生の方々が中小企業に技術者として就職した際の奨学金返還の負担軽減支援は、中小企業にとっても、将来的に中核を担う優秀な人材の確保につながる効果的な取組である。

未だ予断を許さないコロナ禍において早急なサポートが必要との考え方に立ち、来年度の採用活動にあたりこうした支援が利用できるよう、今年度中に対応を開始することとした。

この取り組みを通じて、東京の持続的な発展を支える中小企業の人材確保を支援していく。

⑭ 奨学金返還の負担軽減を通じた中小企業の人材確保について

【質問】
この奨学金の負担軽減を行い、中小企業の人材を確保する事業の具体的なスキームについて、都の見解を伺う。

【産業労働局長】
奨学金返還の負担軽減を通じた中小企業の人材確保についてであるが、都は、建設、IT、ものづくりの3分野の中小企業を対象に、これらの企業が奨学金を利用した学生等を技術者として採用した場合に、その返還をサポートする事業を新たに開始する。具体的には、奨学金の返還に必要な経費の一部について、都と中小企業がそれぞれ同額を負担し、1人当たり合計150万円を上限として助成する方向で検討を進めている。

今年度から、事業に参加する企業の募集を開始し、採用された方が1年間その企業に勤務したことを見極めたうえで、3年間にわたり支援を行う。

こうした奨学金負担の軽減を通じ、コロナ禍において中小企業における人材の確保と定着を図っていく。

都政課題

① チャレンジ8について

【質問】
都議会公明党は今回の都議選で、全世代の都民の安全・安心をめざし、東京の未来を開く政策「チャレンジ8」を強く主張し、都民から期待と賛同をいただいた。4年間で総力をあげて実現に取り組んでいく。「チャレンジ8」の認識について、知事の答弁を求める。

【知事】
東京の未来を切り拓く政策についてであるが、都は、目指すべき東京の姿と、その実現のための幅広い戦略を盛り込んだ「未来の東京」戦略に基づき、「成長」と「成熟」が両立した明るい未来の東京を創り上げる取り組みに、日々邁進している。

この戦略では、「人が輝く」東京を実現していくことを、政策の基軸としている。

いつの時代も、未来を切り拓くのは「人」であり、誰もが安全・安心に包まれ、一人ひとりがいきいきと輝く社会を実現しなければ、明るい未来をつかみ取ることはできない。

御党の今回の政策は、全世代の安全・安心を目指すとの理念の下、多岐にわたる分野において、子供から高齢者まで、一人ひとりの暮らしをきめ細かく支えるための、「人」を大切にする視点に立ったものと理解している。

今後とも、建設的な議論を積み重ねながら、「人が輝く」東京を創り上げていきたい。

② 重粒子線治療設備の導入について

【質問】
重粒子線治療ができる施設は、現在、全国に山形、群馬、千葉、神奈川、大阪、兵庫、佐賀の7施設しか設置されておらず、全国で最も人口が多い東京都に設備導入が必要と考える。重粒子線治療について都は、独法化の議論の中でも検討すべきだが、都の見解を伺う。

【病院経営本部長】
重粒子線治療についてであるが、重粒子線治療は、放射線治療の1つで、照射回数が少ないため、日常生活との両立が可能な体への負担が少ない低侵襲な治療である。

一方、施設の整備や運営には多大なコストを要するものであり、より多くの患者に治療を行うことが必要であるが、現在、保険適用となる疾患が前立腺がんや骨軟部腫瘍など一部に限定されている。

国では、重粒子線治療の実績や効果を基に、保険適用外の疾患に対する治療の有効性・安全性等について、秋以降に議論が行われる予定である。

都としては、こうした国の議論も十分注視しつつ施設を導入した他府県の状況等を調査し検討していく。

教育

① 一人1台端末の適切な利用について

【質問】
都はまず、児童・生徒が、正しくICTを活用するための情報モラル教育を一層強化するとともに、自分の端末から相談することができるよう、工夫すべきである。

さらに、教員の取組も一層強化すべきである。都の見解を求める。

【教育長】
一人1台端末の適切な利用についてであるが、子供たちが学習者用端末を用いて安心・安全な学びを進めていくためには、学校における情報モラル教育の充実と適切な端末の管理が不可欠である。

都教育委員会は、発達段階に応じた情報モラル教育の教材「SNS東京ノート」を全ての児童・生徒に配布し各学校では、SNS等を利用する際に、他者を傷付けないよう配慮することなど、指導を繰り返し行ってきた。

また、今般改めて、各学校において、教員が端末上の書き込みを適切に把握するとともに、他者から容易に推測されないパスワードを設定することや、他者に知られないよう管理することなどの指導を行うよう徹底した。

今後、情報モラルの意識を高めるため「SNS東京ノート」をデジタル化し、端末上で活用して、日常的に指導を行えるようにする。また、子供が、日頃抱える不安や悩みについて、端末を通じて相談できる仕組みについて検討する。こうした取り組みにより、子供たちが端末を適切に活用して学習できるよう学校を支援していく。

② 高校段階の一人1台端末の整備について

【質問】
都は今年度モデル事業を行っているが、来年度から本格実施される高校段階の一人1台の端末整備について、長期化するコロナ禍で、多子世帯を含め保護者の経済的負担にならないよう、十分に配慮すべき。そこで、都の見解を伺う。

【教育長】
高校段階の一人1台端末の整備についてであるが、都教育委員会は、これまでの研究成果を踏まえ、今年度、都立学校12校をモデルとして、既存の端末を活用し、教科学習や探究活動等での効果的な学習方法の開発を行っている。また、同一端末の使用により、生徒同士の学びあい、教員からの統一的な操作指示などにおいて、有用性が確認できている。

令和4年度からの保護者負担による一人1台端末の整備に当たっては、こうした成果を全校に普及させていくこととしている。

また、端末の購入に当たっては、家庭の経済状況に関わらず全員が購入できるよう、給付型奨学金の活用に加え、全世帯を対象に負担額が一定となる補助制度の創設について、詳細の検討を進めていく。

③ 私立高校における一人1台端末の整備について

【質問】
私立高校においても、生徒一人1台端末の整備に向けた取組と支援が必要である。都の見解を求める。

【生活文化局長】
私立高校の一人1台端末の整備についてであるが、教育におけるデジタル環境の整備は、動画や音声を用いた学習、海外等との生徒同士の交流など、これまでにない多様で充実した授業を提供する上で、大変重要である。

私立高校では、これまでも、それぞれ独自の教育方針に基づき、電子黒板や無線LANなどのデジタル環境整備を行ってきた。

生徒の端末整備においても、学校がまとめて整備する方法や、保護者が学校の指示する端末を購入する方法など、各学校で様々な手法を用いている。

そのため都として、各学校の整備方法に応じて、保護者の負担軽減に配慮しながら、生徒一人1台端末の整備が確実に進むよう、具体的な手法の検討を進めていく。

④ 特別支援教室における指導期間について

【質問】
特別支援教室の運営ガイドラインの新たな取組により、「障害による学習上又は生活上の困難」の改善を更に進めていくためには、区市町村に特別支援教室での原則の指導期間を設定した趣旨とその運用について、より丁寧に説明を尽くすべきであるが、見解を伺う。

【教育長】
特別支援教室における指導期間についてであるが、特別支援教室での指導は、発達障害のある子供たちの学習上の困難等を改善し、より多くの時間を在籍学級で過ごせるようになることを目的に実施している。

子供たちが抱えているそれぞれの学習上の困難さに応じて目標を設定して指導を行い、学校生活の1年間のサイクルが終了する時点で、必ず振返りを行う趣旨で、指導期間を原則1年間と定めた。必要な場合は、1年間指導を延長し、延長終了時には、改めて支援策を検討し、特別支援教室での指導の継続を含め、子供の状況に応じた適切な支援を行うこととしている。

この内容を、本年3月に策定したガイドラインに記載し、区市町村教育委員会に示しているが、今後、その趣旨をわかりやすく説明した資料を作成し、適切な運営と指導の充実を支援していく。

防災対策

① 盛土による災害防止のための総点検について

【質問】
都は、熱海市での土砂災害を受け、許可を受けていない盛り土や、安全対策が不十分な盛り土など、同様の災害を引き起こす恐れのある盛り土が都内に存在していないか、その状況を速やかに把握し、必要な対策をとるべきである。都の見解を伺う。

【建設局長】
既存の盛土の状況把握とその対策についてであるが、盛土に起因する土砂災害を防止するには、その状況を把握し必要な対策を実施することが重要である。

7月の熱海市における土石流災害を踏まえ、都は土地利用の規制等に関する法律や条例を所管する4局が連携して盛土による災害防止に向けた総点検を実施している。

具体的には、土砂災害警戒区域や山地災害危険地区の上流域、大規模盛土造成地等にある盛土約1,600箇所を点検対象とし、必要な措置の実施状況などについて目視等により点検を行っている。今後、年内を目途に点検結果の暫定的な取りまとめを実施する予定である。

なお、点検の過程で災害をもたらすおそれがある盛土の存在が判明した際には、法令に基づき、速やかに対応策を検討していく。

② 土砂災害の未然防止について

【質問】
東京の土砂災害を未然に防ぐために、国の検討を待つことなく現行法制度で十分対応できていない事柄について検討すべきであるが、都の見解を伺う。

【東京都技監】
土砂災害の未然防止についてであるが、熱海市における土石流災害を受け、国は、例えば宅地造成等規制法による盛土がある一方、法律の網にかかっていない盛土にどのように対応していくのかという問題があり、各省のはざまになっている部分の総点検も必要としている。

そのため、国においては、盛土による災害防止のための関係府省連絡会議を設け、災害防止の対応方策などに関して推進することとした。

都としては、現在進めている盛土総点検により現況の把握に努めるとともに、今後、関係局から成る会議体を早期に設置し、国の検討状況を見ながら、国や区市町村との役割分担も勘案しつつ、課題整理の上、対応の在り方などについて検討していく。

③ 広域避難先の確保について

【質問】
今回の協定を実効性あるものとするために、関係区と共に運用や活用の詳細を具体化するとともに、大規模風水害への対応強化のために、公的・民間を含めた広域避難先のさらなる確保に、都は邁進すべきであるが、知事の見解を求める。

【知事】
広域避難先の確保についてであるが、近年大規模風水害が頻発する中、江東5区を中心とする東部低地帯においては、多くの都民の命を守るため、行政区域を越える広域避難先の確保が急務である。

このため都は、受入れ可能な都立施設を広域避難先として活用することはもとより、国・民間施設にも積極的に協力を求めていくこととした。

その第1弾として、都は、広域避難先に活用する施設として渋谷区にあるオリンピックセンターとの包括協定を先月締結した。

今後は、この施設で広域避難者を円滑に受入れられるよう施設管理者や関係区等と具体的な検討を進めていく。

また、広域避難先の更なる確保に向け、避難誘導に要する都民負担等を考慮し区部にある国・民間施設を中心に調整を図り、年度内の新たな協定締結に向けて、取り組みを進めていく。

いつ起こるとも知れない大規模風水害から都民の命を守るため、国や関係区等と緊密に連携して、広域避難対策に万全を期していく。

環境

① 外濠浄化について

【質問】
大会に向けて実施した暫定対策の取り組み状況とともに、これまで進めてきた調査検討の進捗状況と今後の取り組みについて明らかにすべきである。見解を求める。

【東京都技監】
外濠浄化についてであるが、水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を実現するには、水辺空間を生かした魅力ある都市の顔づくりを進めることが重要である。外濠の水質改善に向けては、東京2020大会に合わせ、暫定対策として水質改善処理剤の散布等を行い、アオコの発生を抑制した。また、外濠への導水に向け、関係局が役割分担し、新たな導水路整備等に関する詳細調査を実施しており、年度内に基本計画の検討を進め、取りまとめていく。

あわせて多摩川からの通水の可能性も展望し、玉川上水中流域において、のり面における樹木の成長が進んでいること等から、水量が増えた場合ののり面への影響調査に着手している。

引き続き、国や地元区とも連携しながら水質改善を着実に進め、人々が憩う外濠の水辺を再生していく。

② 住宅等の一定の新築建築物の太陽光発電設備導入義務化について

【質問】
自然エネルギーには太陽熱や地熱などもある。また、乗用車の新車販売を2030年までに100パーセント非ガソリン化するという画期的な施策を打ち出したが、こちらは義務化となっておらず整合性がない。太陽光発電だけをなぜ義務化とするのか、知事の見解を求める。

【知事】
住宅等の一定の新築建築物への太陽光発電設備の導入義務化の検討についてであるが、ゼロエミッション東京の実現に向けては、2030年までの10年間の取組が極めて重要であり、今こそ、行動を加速する時である。

都内CO2排出量の約7割は、事業所や住宅などの建物を利用する際に消費するエネルギーに由来しており、今後、新たに建てられる建築物は、その後何十年にもわたり使用されることから、2050年の東京の姿を形作ることになる。

とりわけ、新築される建物の9割超を占める住宅等の中小建築物の対策が重要であり、省エネ性能の向上に加え、利用するエネルギーを再生可能エネルギーへと転換していくことが不可欠である。

都は、これまで、太陽光発電や太陽熱、地中熱等の設備への支援を実施することで、住宅等への再エネ設備の導入を推進してきた。

この間、太陽光発電設備の設置費用は年々低下するとともに、住宅等へ設置することで、電気代削減や売電収入が得られ、停電時にも電気を使用できるメリットがあるなど、導入の機は熟している。

こうした状況を踏まえ、住宅等の一定の新築建築物に太陽光発電設備の設置を義務付ける、都独自の制度の導入に向けた検討を開始する。

今後、環境審議会の下に設置する分科会において、法的な観点や太陽光発電以外も含め、効果的な再エネ設備の導入方法など専門家等による審議を重ねていく。

また、関係団体等、多様な立場の方々からのご意見等を伺いながら、円滑な導入に向けた支援等の在り方など、様々な課題も含め、幅広く議論を進めていく。

こうした取組を通じ、広く都民、事業者の理解と共感を得た上で、住宅等の新築建築物への太陽光発電等を標準化していくための制度を構築するとともに、あらゆる主体の抜本的な取組強化策を結集し、ゼロエミッション東京を実現していく。

都政運営

① 都立・公社病院の独立行政法人化の必要性について

【質問】
コロナ禍の中、なぜ今、独法化を進める必要があるのか、都民に分かりやすく説明すべきだが、都の見解を伺う。

【病院経営本部長】
独法化の必要性についてであるが、都立・公社病院は、コロナ対応において、専用医療施設の開設等、2,000床を確保し、他の医療機関で対応が困難な妊婦や小児、精神疾患等の合併症患者を積極的に受け入れてきた。

一方、採用予定の医師が、他の医療機関での兼業ができないために直前で辞退する事例や、定数管理により専門看護師など必要な人材が採用しづらい状況があるなど、現在の経営形態では、法令等の制約の下での迅速・柔軟な人材の確保が改めて課題になった。

独法化のメリットは、法人独自の勤務制度やより働きがいのある人事給与制度により、柔軟な人材確保等が可能となり、対応力を機動的に強化できることにある。

今後も、感染状況に応じて更なるコロナ対応が必要であり、新たな感染症の発生にも備えていかなければならない。また、超高齢社会が本格化する中、医療環境の変化に迅速に対応できる体制を早期に整備する必要がある。

このため、独法化の準備を進め、感染症対応をはじめ都民に必要な医療を確実に提供していく。

② 独法化後の財源措置について

【質問】
「独法化すると経営効率優先となって、これまでの財源措置が縮小され、不採算な医療が後退するのでは」との懸念の声も聞かれるが、独法化後も、都が必要な財源を措置し続けることで、行政的医療が確実に提供されるよう担保すべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】
独法化後の財源措置についてであるが、感染症医療や周産期医療など、民間医療機関だけでは対応困難な行政的医療の提供は、都立病院が果たすべき重要な役割である。

超高齢社会が本格化し医療環境が大きく変わる中でも、また、コロナのような緊急事態においても、行政的医療を確実に提供する役割を担い続けるために、地方独立行政法人「東京都立病院機構」を設立することとした。

法人設立後は、医療ニーズに応じて柔軟で機動的な運営ができる独法化のメリットと、都立病院と公社病院が一体となるスケールメリットを最大限活用することで、行政的医療を充実・強化していく。

また、行政的医療に必要な経費は、採算の確保が困難であることから、将来にわたって、都民に必要な医療を安定的・継続的に提供できるよう、法人設立後も、これまでと同様に、都が確実に財源を措置していく。

③ 独法化後の人材確保に向けた取り組みについて

【質問】
独法化を通し、より働きがいのある環境を整え、労働意欲を高めるとともに、人材確保の効果を都民に分かりやすく説明すべき。また、退職金や年金制度等の方針を明らかにするなどして、人材確保を図り、都民の安全安心につなげるべき。あわせて、都の見解を伺う。

【病院経営本部長】
独法化後の人材の確保に向けた取組についてであるが、質の高い医療の提供には、職員が高い意欲を持ちながらその能力を最大限に発揮し、安心して働き続けられる環境づくりが重要である。このため、地方公務員法等にとらわれない、働きやすい勤務時間制度や働きがいと能力・スキルの向上につながる人事給与制度等を構築する。

具体的には、専門性に着目した手当やライフスタイルに応じた勤務時間の設定など職員のニーズに合わせた制度のほか、退職手当は、都と同制度とすることを検討している。また、社会保険は、引き続き東京都職員共済組合の組合員となるので、年金等の給付は都職員と同じである。

新たな都立病院として、職員の意欲と能力を更に引き出す制度を構築し安定的な人材確保を図っていく。

④ 独法化後の都の組織について

【質問】
議会をはじめ、都民の意見を法人運営に反映したサービスを提供し続けられるような体制を構築するべきと考えるが、見解を求める。

【知事】
独法化後の都の組織についてであるが、法人を所管する都の組織は、行政的医療の安定的な提供など都の医療政策と連携し、法人がその役割を確実に果たせるよう、法人との調整を行い、運営を支援する役割を担うことになる。

また、医療環境が大きく変化していく中で、都に寄せられる都民や地域のニーズ、議会からの意見を、法人の病院運営に的確に反映させることも都の役割である。

こうした役割を踏まえながら、新たな法人が、都民の医療ニーズに迅速かつ柔軟に対応し、質の高い医療を提供できるよう、都の組織体制について検討していく。

⑤ 東京ささエール住宅の今後の取り組みについて

【質問】
要配慮者が安心して入居できる住まいを増やしていくべきだが、東京ささエール住宅の登録状況をどう認識しているか。また、専用住宅の登録戸数の増加に向けた今後の取組について、都の見解を伺う。

【住宅政策本部長】
東京ささエール住宅の今後の取組についてであるが、住宅確保要配慮者の居住の安定のためには、民間賃貸住宅に円滑に入居できるよう、ささエール住宅の登録を着実に進めることが重要であり、都は計画を策定して登録促進に努め、現在、約4万戸が登録されている。

しかし、要配慮者のみが入居できる専用住宅については、ささエール住宅の登録事業者に対するアンケートによると、入居中の事故やトラブルの発生など様々な不安があることから、積極的な登録がなされていないものと考えられる。

今後は、家賃低廉化や改修費への補助等に加え、見守りサービスや単身高齢者等の死亡に伴う残置物処理等に関するモデル契約条項の普及促進などにより、貸主の不安軽減を図り、専用住宅への登録を促進していく。

⑥ 民間住宅を活用した安心して生活できる居住環境の実現について

【質問】
居住支援法人等の民間の取組を生かしながら、既存の民間賃貸住宅ストックを活用して、要配慮者が入居できる住宅を増やし、安心して生活できる居住環境の実現を目指すべきと考えるが、都の見解を伺う。

【住宅政策本部長】
民間住宅を活用した安心して生活できる居住環境の実現についてであるが、民間住宅を含めた重層的な住宅セーフティネットの構築に向け、既存住宅を東京ささエール住宅に登録するよう促すことは、空き家対策としても重要である。

都は、今年度、モデル事業として、空き家を改修してひとり親世帯向けのささエール住宅として登録する取組を採択し、防音性の向上など子育てしやすい住宅への改修費の一部を民間事業者に補助する事業を実施している。

今後、居住支援法人等が行う、既存住宅の共同居住型のささエール住宅への改修や要配慮者の状況に応じたきめ細かい支援サービスなど、多様な取組との連携を強化することで、ささエール住宅への登録を促進し、要配慮者が安心して生活できる居住環境の実現を図っていく。

⑦ 住宅局の復活について

【質問】
生活再建への支援、社会の活力の再生のためにも低廉で良質な住宅供給の拡大が不可欠である。そして、そのためには住宅政策本部を更に発展させ、住宅局の復活を実現することが必要であると考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】
住宅部門を担う局の設置についてであるが、これまで、都は、直面する課題に応じて、組織の在り方を戦略的に見直してきた。

住宅部門についても、平成16年度に、まちづくりと一体となった住宅政策を推進するため、関係部署を再編統合して、都市整備局を設置した。

平成31年度には、東京の住宅を取り巻く環境変化に対応するため、都市整備局に住宅政策を専管する本部を設置し、まちづくりとの一体性を確保しながら、迅速に対応する執行体制を強化した。

これにより、都市づくり政策との連携のもと、都営住宅の建替えによる創出用地を活用したまちづくりを進めるとともに、喫緊の課題である老朽マンションや空き家への対策、セーフティネットの構築など、住宅施策を機動的に推進している。

今後は、住宅確保要配慮者への居住支援の強化も図りつつ、都市づくり政策と住宅政策の連携のもと、重層的な住宅セーフティネット機能の強化など、「『未来の東京』戦略」に掲げる住宅戦略の展開に向けた新たな組織の在り方を検討し、執行体制を構築していく。

⑧ 局編成について

【質問】
多分野にわたる施策を展開する福祉保健局を分割・再編し、こども施策を総合的に推進する専管組織も必要であると考える。新しい都政を作るため、局編成を検討し、機能する都政へ転換すべきだが、知事の見解を伺う。

【知事】
都庁組織の在り方についてであるが、新型コロナという未曽有の危機に直面しながら、皆様の御支援、御協力により、東京2020大会を成し遂げることができた。

都政はこの経験を跳躍台として、東京の明るい未来を切り拓く取組を加速させていく。

そのために、まずは、危機管理の徹底である。新型コロナウイルスをはじめとした感染症、頻発化・激甚化する風水害や、大規模地震など、いかなる災害からも都民の命を守るべく、万全の体制を構築しなければならない。

また、本年3月、議員提案により、「東京都こども基本条例」が成立した。未来を担う子供をあらゆる場面において権利の主体として尊重する、この条例の理念を踏まえ、子供目線に立った総合的な政策を、力強く進めていかなければならない。

東京2020大会を終え、都政が次なるステージを迎える今、万全の危機管理、大会レガシーの発展を礎として、あらゆる政策のバージョンアップを図るとともに、様々な課題にも機動的に対応できる組織の在り方を来年度に向けて検討を進め、戦略の実行を支える執行体制を構築していく。

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