斉藤やすひろ議員の本会議(10月6日)一般質問

都政課題

① 持続可能な社会の実現に向けた取り組みについて

【質問】
都は「未来の東京」戦略で、世界共通の目標であるSDGsの目線から政策を展開することを提示。コロナ禍で浮き彫りになった諸課題を克服し、世界規模の危機を乗り越えて持続可能な「未来の東京」に向けた取組を積極的に推進すべきと考えるが、知事の見解を伺う。

【知事】
持続可能な社会の実現に向けた政策展開についてであるが、私は、知事就任以来、人々の活力と都市の成長を生み続けるサステナブルな東京の実現を大きなテーマとして掲げ、政策を推し進めてきている。

その実現に向けては、環境、経済など、あらゆる分野における課題を地球規模で捉え、政策を実行していく必要があることから、国際的な共通目標であるSDGsを、重要な視点と位置づけている。

今、新型コロナの危機を乗り越えた先の東京をどう創り上げていくかが問われている。そのため、単にコロナ以前に戻るのではなく、強靭で持続可能な社会の創成を目指す「サステナブル・リカバリー」を「未来の東京」戦略のスタンスとして打ち出した。

いかなる状況でも学びを止めない環境の整備や、新しい時代にふさわしい働き方、自然と調和したウォーカブルなまちづくりなど、コロナ禍からの回復を契機に、質の高い生活や、人々の心の豊かさにつながる取り組みを加速していく。

先日、都道府県として初の取り組みとなる「東京・サステナビリティ・アクション」を国連に提出し、サステナブル・リカバリーに向けた都の政策をSDGsと結び付けて示した。

都自らの取組に加え、区市町村、都民、大学など多様な主体と協働した幅広い政策を展開し、成長と成熟が両立した都市の実現に取り組んでいく。

② 生物多様性地域戦略について

【質問】
現在、都が改定に向け検討を進めている生物多様性地域戦略も、世界的な動向なども参考にしつつ、都内における緑施策中心の戦略ではなく、国内や世界の生物多様性を意識した、これからの時代にふさわしい地域戦略としていくべきである。都の見解を伺う。

【環境局長】
生物多様性地域戦略についてであるが、東京は、食料など世界中の生物資源を大量に消費する国際的な大都市であることから、都内だけでなく地球規模の生物多様性にも配慮する視点が必要である。

都は現在、新たな国際目標や国家戦略の改定を見据え、地域戦略について改定に向けた検討を進めている。

8月に意見募集の素材として公表したゼロドラフトでは、将来像実現に向けた基本戦略案の1つとして、環境配慮商品の選択や海ごみ対策など地球規模の環境問題にも配慮した行動変容を都民や事業者に提示している。

今後、国際的な動向や提出された都民意見などを踏まえ更に検討を進め、従来の緑施策に留まらず、国内や世界の生物多様性も視野に入れた、新たな地域戦略を取りまとめていく。

③ ESG債の発行について

【質問】
ESG債などの発行を通じて、より多くの投資家の参加を促進するべきと考えるが、所見を伺う。

【財務局長】
ESG債の発行についてであるが、都は、平成29年度に全国の自治体に先駆けてグリーンボンドを発行して以降、毎年発行を継続し、これまで多くの投資家に参加いただいた。

また、今年7月には、社会的課題の解決を目的とした事業に充当するソーシャルボンドを国内自治体で初めて発行したが、応募倍率も高く、従来の都債の投資家とは異なる業態の方々も参加するなど、好評であった。

都は、ESG投資への旺盛な機運を捉え、国内外の投資家を対象としたオンラインによる個別面談や動画等による幅広い広報を行っており、投資家層の拡充に積極的に取り組んでいる。

今後とも多様な投資家と対話を重ね、連携することにより、サステナブル・リカバリーの実現に貢献していく。

教育施策

① SDGsに関する教育の推進について

【質問】
持続可能な社会づくりの担い手の育成の充実を図るための、これまでの取組の成果と今後の取組について、都教育委員会の見解を伺う。

【教育長】
SDGsに関する教育の推進についてであるが、これからの持続可能な社会の創り手となる子供たちには、地域社会や地球規模の諸課題を自らの課題として受け止め、協働して解決するための資質や能力を身に付けることが求められている。

都教育委員会は、これまで、研究推進校を50校指定し、地元の商店会と協働して町の活性化策を提案する身近な取組や脱炭素社会の在り方について考察・発表を行う学習などの先導的な教育実践を事例集にまとめ、都内公立学校に向け発信してきた。

今後、今年度の研究推進校の成果について、オンライン開催による発表会で全公立学校に普及啓発し、各学校での実践を促進することで、持続可能な社会の実現に貢献する人材の育成に取り組んでいく。

② オリパラ教育における今後の取り組みについて

【質問】
スポーツを通じて困難を克服してきたアスリートと直接触れ合い、話を聞くことなど、「子供たちの心に残る取り組み」を、今後もオリパラ教育の一環として実施していくべきである。都の見解を伺う。

【教育長】
オリパラ教育における今後の取り組みについてであるが、都教育委員会では、これまでパラリンピアン等を学校に派遣し、アスリートとの直接交流を通して、子供のスポーツへの関心を高め、夢に向かって努力したり困難を克服したりすることへの意欲を培ってきた。

パラリンピック競技大会では、公立学校約1万人の子供たちが、連携観戦に参加し、競技する姿を目の当たりにした。また、参加しなかった子供たちも、テレビ観戦を行い、画面を通じてアスリートと交流する取り組みや応援メッセージを届ける取り組みを行い、大会の感動を共有した。

今後、都教育委員会は、選手からの返礼動画等を学校に届けるとともに、アスリート等と直接交流する機会を設け、子供たちが東京大会の感動を心に刻み、日々の活動に意欲的に取り組めるよう学校を支援していく。

③ 児童相談所の体制強化について

【質問】
都の児童相談所では、児童福祉司1人が対応する児童が100人を超える状況や、一時保護所に入所している児童の面会の機会もなかなか多く取れない状況もあると聞いている。

そこで、児童相談所の体制を一層強化するため、人材の確保や育成を更に進めるべき。見解を伺う。

【福祉保健局長】
児童相談所の体制強化についてであるが、都はこれまで、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司及び児童心理司を増員するほか、困難ケースで職員に助言・指導等を行う専門課長を配置するなど、児童相談所の体制強化に取り組んできた。

今年度は、意欲ある人材を継続的に確保するため、専任チームを設置し、大学や養成機関への訪問や、専門サイトの開設など、採用活動を積極的に展開している。

また、来年度以降の新任研修等に活用するため、児童福祉分野の専門家を交えた検討会を新たに立ち上げ、面接スキルの習得や、事例検討を通したアセスメント力の向上を図る演習型のカリキュラムを現在作成している。

こうした取り組みにより、児童相談所の体制強化に向け、人材の確保・育成を一層進めていく。

④ 児童相談所のサテライトオフィスについて

【質問】
児童虐待に的確に対応するためには、児童相談所と地域の子供家庭支援センターの連携強化も不可欠。都は、児童相談所のサテライトオフィスを子供家庭支援センター内に設置するモデル事業に取り組んでいる。現在のサテライトオフィスの取組状況について、見解を伺う。

【福祉保健局長】
児童相談所のサテライトオフィスについてであるが、都は昨年度、練馬区の子供家庭支援センター内に児童相談所のサテライトオフィスを設置し、児童相談所職員が虐待相談に対応するとともに、区と連携して、合同調査や対応方針の検討会議等を実施している。

この取り組みにより、子供家庭支援センターと児童相談所の間で、情報共有や協議の機会が増え、迅速な一時保護や円滑な引継ぎにつながっている。

今年度は、定期的に合同の通告受理会議を開催し、より適切な支援につながるよう、内容に応じて対応機関を決める通告の振り分けを試行的に実施している。

さらに、年内に台東区のセンターにもサテライトオフィスを設置する予定であり、今後ともこの取り組みを一層進め、区市町村と緊密に連携しながら児童虐待に対応していく。

⑤ ひきこもりの方への支援について

【質問】
ひきこもりの方へのきめ細やかな支援を進めるためには、今後も御家族や当事者の声を丁寧に施策に取り入れながら、身近な地域である区市町村と連携して支援を行うべきと考えるが、見解を伺う。

【福祉保健局長】
ひきこもりの方への支援についてであるが、都は、令和元年度に「東京都ひきこもりに係る支援協議会」を設置して支援の在り方を検討しており、昨年度の中間の取りまとめを受け、今年度から、多くの相談・支援機関が参加する合同相談会の相談員や、セミナーの講師として、家族会に協力いただくなど、家族や当事者に寄り添った支援を進めている。

本年8月、本協議会から、当事者や家族が早期に相談支援を受けられるようにするには、身近な地域の相談体制の充実と多様な関係機関の連携が必要であり、その際には当事者団体や家族会の知識・経験を活用する視点が重要との提言を頂いた。

今後、都と区市町村による「ひきこもりに係る支援推進会議」を新たに設置し、情報共有しながら、提言を踏まえ支援を推進していく。

⑥ 電動キックボードに対する交通安全対策について

【質問】
都内では、電動式キックボード利用者が歩道を通行し、歩行者が危険な状況に晒されている。ルール・マナーの徹底も重要だが、歩行者の安全を最優先とするため、取締りを強化すべきと考える。電動式キックボードに対する交通安全対策について、警視総監の見解を伺う。

【警視総監】
電動キックボードに対する交通安全対策についてであるが、現在、電動キックボードは原動機付自転車と同様の要件を満たすことにより公道における利用が可能であるが、都内において実施区域等を定め、特例で利用時の要件を緩和した実証実験が行われている。

しかしながら、交通ルール・マナーを無視した走行が見られることから、警視庁においては、悪質・危険な行為を取り締まるとともに、街頭における指導警告を強化している。

また、電動キックボード利用者はもとより、実証実験の実施事業者や販売店に対しても交通ルール・マナーの周知を図るため、当該事業者や販売店から利用者に対し働き掛けを行うことをお願いするとともに、警視庁ホームページやツイッターなど各種媒体を活用した広報啓発を行っている。

警視庁としては、今後も、電動キックボードに関する総合的な交通安全対策を更に強化していく。

⑦ MTBI(軽度外傷性脳損傷)について

【質問】
基礎自治体が、脳をMTBIから守るためにリーフレットを作成していることに鑑み、都が啓発を支援するべきとの我が党の提案を受け、MTBIの理解促進事業を包括補助の対象としたことを評価する。市町村への啓発に一層取り組んでいくべき。見解を伺う。

【福祉保健局長】
軽度外傷性脳損傷についてであるが、いわゆるMTBIは、交通事故や外傷などで、頭を強く打ったり、強く揺さぶられたりする衝撃により発症する、脳損傷の1つである。

事故直後のCT検査などに異常がなくても、数時間以上経過してから、集中できない、記憶できないなどの症状に苦しむことがあり、事故前と異なる症状が現れたら、速やかに医療機関を受診することが重要である。

都は、この疾患の主な症状や、脳を衝撃から守り予防するための注意点、頭を打った時の対応と受診方法等を分かりやすく記載した、住民向けリーフレットの作成等に取り組む区市町村を支援しており、こうした取組が一層進むよう、説明会等で積極的に働きかけていく。

⑧ MTBIの取り組みについて

【質問】
MTBIが学校での運動部活動中に発生する事例が多いことから、教員はMTBIの正しい対処法について理解することが必要だと提案してきた。

都教育委員会及び生活文化局の取り組み状況について見解を伺う。

【教育長】
学校における軽度外傷性脳損傷の対応についてだが、学校には、教育活動において、児童生徒の生命と安全を確保する義務がある。特に、体育活動中に頭部を打った場合は、脳に衝撃が伝わり、脳損傷を起こす可能性があることから、適切に対処することが重要である。

都教育委員会は、令和元年度、軽度外傷性脳損傷を含む頭部外傷に関する知識や事故発生時の具体的な応急処置等を掲載した部活動に関する総合的なガイドラインを作成し、公立中学校及び都立学校に配布した。また、毎年実施している保健体育科教員の協議会等においてガイドラインの内容と救急要請の徹底について説明している。

今後、これらに加え、関係局と連携して、区市町村で作成した頭部外傷に関する普及啓発資料を、協議会等で情報提供し、事故発生時の対応力を向上させていく。

【生活文化局長】
私立学校における頭部外傷への対処方法に関する理解促進についてであるが、授業や運動部活動等の体育活動において、児童生徒の安全を守り、事故防止対策を徹底するとともに、事故発生時には、迅速に適切な対処をすることが重要である。

都はこれまでも、各学校に対して、国が作成した頭部外傷を含む事故防止に関する指導資料や事例集の周知、頭部外傷に関する知識等をまとめた、日本脳神経外科学会の提言などを通じた注意喚起を行っている。

今後は、都教育委員会の作成した軽度外傷性脳損傷、いわゆるMTBIを含む頭部外傷に関する対処方法等を掲載したガイドラインを活用するなど、事故防止に関する情報を提供することで、各学校が適切に対応できるよう支援していく。

構造改革

【質問】
都政の構造改革では、行政サービスに対する満足度を上げていくために、都政にとっての「ユーザー」である都民の声に耳を傾け、その要望に寄り添うことを徹底すべきであると考える。都民とのコミュニケーションを通じたサービス向上について、見解を伺う。

【デジタルサービス局長】
都民の声を踏まえたサービス向上についてであるが、電子申請などのデジタルサービスを、より利便性の高いものとしていくためには、ユーザーである都民の意見を踏まえた改善を続けることが重要である。

このため、現在都が進めている行政手続のデジタル化においては、全ての手続にユーザーレビュー機能を導入し、サービスの使い勝手など利用者からの評価に基づき、継続的な改善を図ることとした。

また、本年7月に正式リリースした「シン・トセイ 都政の構造改革ポータルサイト」では、構造改革の取り組みに関するアンケートフォームを設置し、頂いた意見を改革の推進に活かしていく。

こうした取り組みにより、都民とのコミュニケーションを深め、都政のQOSの一層の向上に繋げていく。

道路整備

① ICTの活用による都民と協働した道路管理について

【質問】
大学研究者からの提案で採択された「市民協働システム」については、昨年10月に目黒区内の都道でも利用が可能となった。

都民と道路管理者とが協働した道路管理の取り組みの一環として期待している。現在の取組状況について、都の見解を伺う。

【建設局長】
ICTの活用による都民と協働した道路管理についてであるが、大学提案による市民協働システムは、都民がスマートフォンから道路の損傷や不具合などを投稿し、道路管理者による補修等の進捗状況を確認できる仕組みである。

令和元年度の試行開始以来、順次、対象エリアを拡大し、都道では本年5月には島しょ部を除く都内全域で実施しており、利用者は1,300人を超えている。

場所や時間を問わず、容易に投稿が可能なシステムであることから、休日・夜間も多く利用していただくなど、都民からの通報機会の拡大につながっている。

引き続き、更なる普及啓発に努めるとともに、投稿内容や、使いやすさなどの観点から、システムの検証を進めていく。

② 自転車通行空間の整備について

【質問】
「東京都自転車通行空間整備推進計画」における、目黒区内の都道について、優先整備区間などを含め今後の整備目標について、都の見解を伺う。

【建設局長】
目黒区内の自転車通行空間の整備についてであるが、自転車は、都市内の有効な交通手段であり、誰もが安全で快適に利用できるよう、自転車通行空間の整備を進めることが重要である。

本年5月に策定した「東京都自転車通行空間整備推進計画」では、目黒区道との通行空間の連続性を確保するため、都道目黒通りの約10キロメートルを優先整備区間に選定し、今後10年間で整備に取り組むこととした。また、駒沢通りなどにおいても、無電柱化事業と合わせて行うなどにより、約10キロメートルの通行空間の整備に取り組むこととしている。

今後とも、区や交通管理者と連携しながら、自転車通行空間の整備を積極的に進めていく。

河川

【質問】
都は、目黒川流域河川整備計画にのっとり、関係する目黒区、品川区など地元自治体と協力しながら、水質改善対策を進めていくべきである。都の見解を伺う。

【建設局長】
目黒川の水質改善についてであるが、都市の河川を都民が親しみ憩える快適な水辺空間としていくためには、良好な河川環境の確保が重要である。

都は、目黒川において、関係局が連携した清流復活事業等による流水の確保や、船舶による大規模なしゅんせつを実施するとともに、地元区や関係局等からなる水質浄化のための検討会において技術的な助言を行っている。

現在目黒区は、臭気対策の一環として、令和5年度からの稼働を目標に、高濃度の酸素溶解水を供給する施設を計画している。今年度は設計を実施しており、都は必要な財源措置を行うなど区と連携して取り組んでいる。

今後とも、地域に親しまれる水辺の創出に向け、目黒川の水質改善に取り組んでいく。

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